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異世界6日目 ウィズホルン教会①

今回は少し短めです。

 身体がダルい。何もしたくない。息が苦しい・・・・。


(ん?今、少し楽になった気が……誰かに手を握られている……?)


 身体がダルい。何もしたくない。息が苦しい・・・・。


(ん?また楽になった気が……誰だろう……キレイな女性……)


 身体がダルい。何もしたくない。息が苦しい・・・・。


(ふぅ、今は楽だ。いつもキレイな女性が近くにいる……)


 身体がダルい。でも・・・。


(だいぶ楽になってきた。ん?何か聞こえる……)


『いつまでも、苦しんでる原因が分からないなんて可笑しいだろ!?変な病気を持ってるかも知れない!』


『だからって殺すなんて……絶対駄目です!』


『俺は、ここのみんなを守りたいだけだ!』


(なんか、私のせいで大変な事になってる?)



           ・


           ・


           ・


           ・   




「あれ?ここはどこ?」


 私は、見たことない部屋のベッドに寝ていた。なんか、デジャブを感じるけど、病院じゃないことは確かだ。


「痛っ!」


 手に痛みが走り、起きて確認して見ると……。


「チチチ」


 サスケが指に噛み付いていた。ていうか、沢山歯形がついている。どんだけ、噛み付いたのやら。


「はいはい、ご飯かな?今あげるから」


がちゃっ


 私が指から魔力をあげようとしたら、扉が開いて誰かが入ってきた。


「声が聞こえたから、もしかしてと思って・・・。目が覚めて良かったわ。私は、マリナって言うの、よろしくね。貴方は?」


 そう言って入ってきたのは、森で見かけた女性だった。よく見ると、茶色い髪を肩の辺りで切りそろえていて、とてもキレイな人だ。夢でもちょくちょく見たような?


「私は・・・・・アリス。森から運んでくれたんですか?ありがとうございます」


 この世界に来て初めて名前を名乗ったので、一瞬自分で付けた名前を忘れてしまってた。不審な間を誤魔化すために、森から運んでくれた事のお礼を言った。女性の方に向き直って頭を下げる……なのに女性は、不審な顔で見てくる。


「あっ、ごめんなさいね。見たところ、2〜3歳児だと思ってたから、大人みたいな礼儀正しさに驚いてしまって・・・。貴方は、何処かの貴族様の子なのかな?」


「分からないけど、違うと思います」


「そうなのね。なんで森に居たのかは、分かる?お父さんとお母さんは?」


「分かりません。気付いたら森に居たので・・・。周りに誰もいなかったし……」


「そうなのね・・・・」


(嘘は言ってないからいいかな)


「・・・そうだ。ここは、どこですか?」


「ここは、サファリスタって街の孤児院よ」


「サファリスタ?本当ですか!?」


「えぇ、街の名前はサファリスタよ?」


「やったぁ!来れて良かったぁ・・・!あっ、いや……とても来たかった街だったので……」


 たまたま目指した街が、目的の街だった事と街に着けたことに、かなり喜んでしまった。目の前のマリナさんをみて我にかえり、ちょっと恥ずかしくなってしまった。


「ふふふ……元気になったみたいで良かったわ。7日も倒れていたから心配したのよ」


「えっ!そんなに!?」


ガブッ


「痛っ!ごめんってサスケ、今あげるから」


 話に夢中になっていて、サスケにご飯をあげるのを忘れていたら、かなり強く噛まれた。もうそのまま、魔力をあげることにした。


(分かったってば、沢山あげるから……ほら……)


「見たことないけど、その子は貴方の使い魔なの?」


「使い魔?……そんな感じです。サスケっていいます」


「使い魔がいるなんて、貴方本当に変わってるわね」


ぐぅ〜〜〜〜〜


 これ以上つっこまれたら答えるのに大変と思っていたら、私のお腹が空気をよんでくれた。


「……お腹すいた」


「ちょうど良かったわ。食欲があるなら、そろそろ昼食だから、みんなと一緒に食べましょう」


「私も良いの?」


「えぇ、もちろん」


 サスケのご飯もちょうど終わったので、お言葉に甘えて御馳走になる事にした。この街に来て初めての食事だから楽しみだ!


 部屋を出て少し行くと、扉の無い部屋が見えてきた。そこには大きめなテーブルがあり、その周りには既に子供たちが10人程集まっていた。


「みなさん。今日から一緒に暮らすアリスちゃんです。仲良くしてね」


「「「はーい!」」」


「えっ!ここで暮らす?そんな、悪いですよ!」


 私は突然の話にびっくりしてしまい、大きな声を出してしまった。


「こちらは全然大丈夫よ。先程の話で親御さんがいないみたいだし、明日は一緒に詰め所に行かないといけないから、出来れば此処に居てくれると助かるの」


「そうなんですね。分かりました。迷惑でないならお世話になります。皆、よろしくね」


 この世界や街のことが、まだ全然分からないので、教えてくれそうな人が近くにいるこの場所はとても良い拠点場所だろう。


「あら〜、もしかして、ずっと意識が無かった子〜?」


 奥から料理を持った女性が現れた、少しのんびり目に話す変わった喋り方だ。この人もキレイな人で、髪の色や面影がマリナさんと似ている。親子かな?


「そうよ。意識が戻って良かったわ、アリスって言うらしいの」


「あらあらそうなの〜。アリスちゃん、私はここのシスターで〜マリナの母のマリアーヌよ〜。よろしくね〜」


「よろしくお願いします」


「さぁ〜、お食事にしますから、皆さん座ってね〜」


 保護者の二人に挨拶を済ませたので、席に着く。もう、お腹がペコペコだ。空きすぎて、お腹と背中がくっつきそうだ。


「はじめまして、わたしリリア」


 私の隣に座った同じ年齢ぐらいの女の子が話しかけてくれた。


「よろしくね。私はアリス」


 周りを見ると、私と同じぐらいの子がリリアって子ぐらいで、後は4〜5才ぐらいの子が3人、ちょっと奥には7〜8才ぐらいの子が4人と、マリアーヌさんのお手伝いしてる子が2人……。計10人の子供たちがいた。


(かなりの大所帯だなぁ。そこに私も入ってしまっては家計は大丈夫なのかなぁ?)


 色々と考えていたら、食事が既に目の前に配られていた。メニューは、固いパンと申し訳程度の野菜が入ったスープだった。


「このやさい、わたしがあさとったんだよ」


「いただきます」


 みんな、固いパンをスープに浸して食べていたので、同じ様に食べてみる。久しぶりの固くないパンとお腹の減りすぎにより、私にとっては、かなり大満足な食事だった。


(そっかぁ。固いパンはこうやって食べるのが正解なんだ。ちょっと薄味だけど、美味しい)


「ご馳走様でした」


(美味しかったけど、育ち盛りには足りないんじゃないのかな?)


次回1週間後に更新します!

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