異世界5日目 人との遭遇
「サスケおはよう。今日は良い天気だね」
昨日は結局止まずに1日中、雨だったので陽の光がなんか嬉しい。風も清々しくて、やる気が出てくる。
一度上に飛んで、街までの距離と方角を確認する。街の壁が、だいぶ大きく見えてきた。周りに高い物が建ってないから、見やすいけど距離的には10kmぐらいかな?
「よし、今日中に行けそうだね。早く食事を済ませて行こうかな」
寝ていた位置に戻って、インベントリからパンと干し肉を出して食べる。今日は、気合いが入っているので、いつもより倍の量を食べた。サスケのご飯(魔力)も倍にしてあげた。
(げぶっ……。ちょっと食べ過ぎたけど、これならお昼は食べなくても大丈夫そう。どんどん行こう!)
『探知&サーチ』
300m 2匹 ウルフ
600m 2匹 魔力0.8
(手前の狼は戦闘を回避するとして、その先の新しい魔物はゲットしとかないといけないね)
『ヘイスト』
自分の速度をあげて、街へ向かう。狼の魔物は、途中から木に登って、木を伝い戦闘を回避した。途中、昨日の雨で木が滑りやすくなっていて落ちそうになったけど、なんとか木にしがみついて、落ちずに済んだ。
狼を回避したら、下に降りて地上を行く。そろそろ、新しい魔物が見えてくる筈だ。
『サーチ』・・・魔力0.8
草むらの中から2つの反応があった。少し警戒しながら草むらをかき分けると、なんとミミズがいた・・・。ちゃんと2匹・・・。
(この世界は、こんな虫にも魔力の塊があるの?これ魔物なの?)
『看破』
ミズーリ LV5 穴掘り
ミズーリ LV7 穴掘り
(名前は何となく似てるけど、レベルがあるって事は魔物なんだよね?どうやって狩るかな?地球と同じなら、水で窒息死させるとブヨブヨになっちゃうし・・・。単純にやるか!)
ゴツ・・・ガツ・・・
近くにあった石ころで頭を潰した。まだウネウネ動いていて、気持ちが悪いのでさっさと2匹とも仕舞う。
『収納』
(うぅ……虫は得意では無いんだよな。SAN値が下がったよ)
『前方探知&サーチ』
600m 3匹 ホーンラビット
1km 1匹 ウルフ
新しい魔物が居なかったので、戦いは回避して先に進む事を優先にして行く。戦闘は問題なく回避できたけど、まだ1.6kmしか進んでいない。急がねば・・・。
『前方探知&サーチ』
200m 1匹 フライングスネーク
210m 2匹 ホーンラビット
(これは……何が起こるか分かるな)
600m 1匹 ウルフ
1.2km 4匹 ホーンラビット
1.8km 2匹 ミズーリ
2.3km 2匹 ウルフ
(やっと街まで半分くらい来れたかな?こんなに魔物が居るのに、全部回避とか・・・。本当に厄介なパーセンテージだよ。全く!)
『前方探知&サーチ』
300m 3匹 ゴブリン
500m 3匹 ゴブリン
600m 4匹 ゴブリン
(ゴブリン多いなぁ。でも、こうして見るとお互いにフォローしてるのが分かる。前に、おかわりが沢山来たのは、これのせいか!ゴブリンもゴキみたいに、1匹見つけたら周りに100匹いると思わないといけないね)
朝、沢山食べたお陰で、お腹は全然空いていない。太陽と時計をみて、今が大体お昼頃だと確認する。
(回避する時に、かなり集中するんだよな。物音を立てないとか、こちらに気付いてないだろうかとか・・・。見つけて仕留めるなら楽なんだけど。もう少し進んだら、ちょっと休憩しよう)
『前方探知&サーチ』
200m 3匹 ミズーリ
600m 1匹 ホーンラビット
(よし!休憩〜。コリンでも食べようかな)
木に登って一休みする。そしていつものように……。
「サスケ、果物を取って来てください。お願いします」
そう言ってサスケに頭を下げる。1日1個のペースで食べていたので、だいぶ無くなってきてたのである。これからは、もう少し抑えて食べないと、すぐに無くなってしまう。
サスケが戻って来るまで、コリンを食べながら休む。街に着いたらの事を考えて。
『ステータス』
アリス :(仮)ソフィア・クローク LV19
身体能力 最優 鬼 90%
全種魔法 最優
HP: 2450 / 2450 MP: 11150 / 11150
ヴィルホルンの加護【常時MPで回復】
言語共通翻訳・鑑定・看破・MP自動回復・鬼の怨み
(今日はまだ、ミミズしか倒していないから、まだ大丈夫そうだ。あと5kmぐらいだし、100%になる前に街に着けるね。街に着いたらまず、寝る所を確保して、倒した魔物を換金して、レストランに行かねば!それから街の観光をしてから教会かな。ウィズに報告しないと・・・)
報告をする優先順位が1番最後だけど全く気にせず、街に着いたあとの買い物や食べ物に思いを馳せる。
ガサガサ・・・
「サスケお帰り!」
そう言った途端に草むらからサスケが出てきた。だんだん探知が上手くなってきているのか、探知魔法を発動しなくても、サスケの居場所が分かるようになってきた。サスケの成果を見てみると、30個も取ってきてくれた。
「ありがとう!サスケ!ご飯あげる」
いつあげても食べるので、今回もご褒美に多めに魔力を食べさせてあげた。
「きゃーーーー」
「このっ、街まで逃げろーー」
(ん?悲鳴?ちょっと遠いけど・・・)
『探知&サーチ』
200m 1匹 ホーンラビット
600m 15匹 ウルフ
800m 2匹 ミズーリ
1km 3匹 ゴブリン
(あれ?今、途中おかしな数の魔物が居たよね?15匹!?しかも悲鳴って、誰かが襲われてる?助けないと!!)
「いくよ!サスケ」
『ヘイスト』
手前のウサギは無視して、狼の方へ向かう。こちらも急いで近づこうとしてるけど、狼も追いかけているせいか、なかなか距離が縮まらない。暫く追いかけっこしていると……。
「こっちだ!」
「みんな早く!」
どこからか男女の声が聞こえてきた。
どうやら速度が落ちたのか、ようやく狼が1匹見えてきた。
「行け!街まで死ぬ気で走れ!止まるな!」
「行きなさい!」
さっきの声の男女が助けに入ったみたいだ。これで安心と思い、余裕ができた分、即突撃しないで、木に登ってどんな状況なのかを確認する。
そこには、狼に囲まれた男女の姿があった。近くには3匹の狼の死体があった。どうやら、ターゲットはこの2人に代わったらしい。観察をしていて、どうやってもこの2人がこの量の狼を倒せるとは思えなかった。
『看破』✕2
距離が少しあるから無理だと思っていたけど、見えてる範囲内なら大丈夫らしい。2人の情報が見れる。
カイル LV15 剣術
マリナ LV 9 水魔法・体力回復魔法
(男性の方は、剣と服装から警備の人だと思うから、ある程度戦えると思うけど、女性の方は見た目からしてシスターで、戦えると思えないんだけど・・・しかも、体力回復魔法って何?)
男性の方は、どこにでも居そうな茶色い髪で、顔は普通。着てる服が警備の制服なのか、そのお陰で格好良さはちょっと上がっている感じだ。上手く剣で狼の攻撃を防いで、戦っている。
女性の方は、シスター服を着ていて、とても綺麗な人だ。洋服効果で大人しそうにみえるけど、結構やる時はやるみたいだ。持っている"棒"と水魔法で反撃している。
・・・・・
『看破』✕4
ウルフ LV10 噛みつく
ウルフ LV13 噛みつく
ウルフ LV11 ひっかく
ウルフ LV16 噛み砕く
試しに近くの狼を看破したら、2人共勝てない事がハッキリした。自分と同レベルの魔物が残り10匹も居たら無理でしょう。チートでも無い限り・・・。
なんとか頑張って、2人で5匹は倒せたみたいだ。それでももうかなり疲弊していて、そんなに長くは持たない感じだ。
「きゃっ」
(残り10匹か……。なるべく同時に何匹か殺りたいけど・・・。!!!仕方ない行くか!)
女性の体力が切れたのか、フラついた所を狼が狙っていた。
「ストップ!動くな!『ウインドアロー』✕10」
声をあげて飛び出す。狼の動きが止まった所を魔法で倒す。7匹は、いっぺんに倒せたけど声で逆に離れた奴には、当たらなかった。
(やばい!全部殺れなかったか!うっ)
いきなり目眩がした。それに身体のダルさが一気に来た。全然集中出来ない。
(なにこれ?もしかして、100%になったから?)
私がフラついた隙をついて1匹のウルフが後ろから、飛び掛かってきた。急いで反撃をしようと振り向くけど、全然身体が云う事を聞いてくれない。
(やばい!やられる!)
そう思っていたら、横から剣が振り下ろされウルフは息絶えた。私が剣の持ち主を見ると男性が立っていた。助けてくれたみたいだ。(ありがとう……)
残り2匹のウルフは、敗北を悟ってか森に帰って行った。(帰ってくれて良かった。私はもうダメだ)
パタッ
私はその場で気を失ってしまった。倒れる瞬間誰かに抱き寄せられた気がした。
次回は別視点を入れます。
内容は短いので、更新は1週間後の予定です!