異世界4日目 雨の日
「おはよう。サスケ」
ポツリ… ポツリ… ザー… ザー…
朝起きると雨が降っていた。葉っぱが上手いこと傘の役割になってくれたお陰で、そんなには濡れなくて済んでいる。強いて言えば、木の幹をつたってきた雨水のせいで、寄っかかって寝ていた、背中が濡れてる位いだ。
(あー、今日は雨か。雨の中狩りに行くのは悩むなー。途中で止んでくれたらいいんだけど・・・。雨……そうだ!)
『探知』
周りを調べて近くに何もいない事を確認してから、木から降りて目の前の拓けたところへ向かった。
『ストーンウォール』
初めてウサギとバトルした時には、出てこなかった石壁の魔法を唱えて、自分が中に入れる位の大きさの入れ物を作る。前後左右と下だけ石壁で固めて作る。
簡易型なので水が多少、土で濁ってるけど仕方がない。崩れないように"固め優先"で作ったから・・・。
そこに魔法で水を入れて、ファイアボールを水に沈めて、お湯を作ればお風呂の完成である。温度を確認しながら中に入り、天然の雨をシャワー代わりにし、お風呂の中で身体を洗う。海外のお風呂みたいに・・・。
(流石に2日も身体を洗わないと、何か痒くなってきた気がする。石鹸が欲しい!さっぱりはするけど、なんか物足りないよ)
お風呂を済ませたら、魔法で温風を出して身体を乾かし、インベントリに入ってる3着しかない、子供服に着替える。着ていた服は、その場で水洗いしてインベントリにまた仕舞っておく。天気が良くなったら、干す予定だ。
朝シャンは終わったので、簡易型のお風呂は、土に戻しておいた。私はこれから、朝ご飯だ。いつもの固いパンと干し肉を食べながら、今日の予定を考える。
もぐもぐ・・・
(この後はどうするかな?ちょっとステータスを確認してみるか)
『ステータス』
もぐもぐ・・・
アリス :(仮)ソフィア・クローク LV15
身体能力 最優 鬼 65%
全種魔法 最優
HP: 2250 / 2250 MP: 10750 / 10750
ヴィルホルンの加護【常時MPで回復】
言語共通翻訳・鑑定・看破・MP自動回復・鬼の怨み
もぐもぐっっ!・・ゲホッゲホッ・・・・
(何これ・・・。昨日1日で鬼のパーセンテージが、かなり上がってるんだけど!)
パンが詰まったので、手のひらに魔法で水を出して飲む。
(ふぅ〜、死ぬかと思ったよ。餅じゃなくてパンを詰らせて死んだら、ウィズに何て言われるか。危ない危ない、食事してる時は気を付けよう。ステータスの、この数値ってもしかして、魔物を狩ると上がってるのかな?でも、この森で魔物を倒さないと私が殺られちゃうし・・・狩らない訳にはいかないからなぁ。あと、2日か3日で街に着かないとヤバそうだな)
昨日倒した魔物の数を考えると、そのくらいがギリギリだろう。今日は雨が降ってるけど、少しでも進む事にした。
『探知&サーチ』
『サーチ』・・・・魔力3.0
「うげぇー、マジか!」
雨だから魔物も、多少は減ってると思っていたが、大間違いだった。何故か増えているし、サーチで分からない新たな魔物もいるみたい。
『ヘイスト』
(鬼の怨みのパーセンテージが気になるけど、新しい魔物は確認して優先的に狩って、進むしかない。よし、行くか!)
取り敢えず、200mの所に反応があるので行ってみる・・・。反応のあった辺りに来てみたはいいけど、何もいない。何度確認しても、私の所に反応がある。
(あれ?おかしいな?小さい魔物なのか見えない魔物なのか)
『サーチ』・・・魔力3.0
(ちゃんと反応がある……。ん?上?)
シュルルル……
目が合ってしまった。そこに居たのは、私なんて簡単に丸呑みに出来そうな程、大きな蛇だった。木の上で様子を窺っているのか、凄く見られている。
今の構図的には、蛇に睨まれたカエル状態で、少しでも動いたら即、飛び掛かって来そうな程の気迫が感じる。腹ぺこなのだろう。私のパンと干し肉をあげるから、私を食べるのはやめて欲しい。
動けないので、仕方なく詠唱しないで魔法を出すことにする。アローだと、仕留められなかった時に大変だから、命中率は下がるけど、範囲は広いカッターで倒す。
(『ウインドカッター』✕5)
下手な玉も数撃てば当たると思い、5発もカッターを繰り出した。詠唱も無く、見えない風の刃が5発も飛んできたら、避けられる筈も無く、蛇の首が飛んだ。首周辺も残りのカッターでザクザクと切れて、蛇の身体と共に下に落ちてきた。
『看破』
さっきは、気が反らせられなかったから出来なかった看破を使って、この魔物が何かを調べる。
フライングスネーク Lv20 噛みつき 毒
(やっぱり、毒持ちだったのね。フライングスネークって事は、まさか飛んでくるの!?危ない危ない)
「サスケ回収お願いね」
『探知&サーチ』
50m 数200以上 魔力0.2
次を調べたら、すぐそこにかなりの数がいる事が分かった。壁みたいにズラッと魔物の反応があって、迂回するのも無理そうな感じだ。
『サーチ』・・・魔力0.2
さっきの失敗を見習って、改めて早めにサーチで場所を確認する。そうすると目の前の葉っぱ辺りにいる事が分かった。気を付けながら近づくと、そこにはカタツムリが居た。
(これって魔物なの?ただのカタツムリに見えるけど……)
取り敢えず、少し狩って行く事にする。倒し方が分からないので、陸にいる生き物だからだと窒息死させる事にした。
ウォーターボールの中にカタツムリが入る感じにして、暫く待っていると・・・。葉っぱから外れてぷかぷかと浮いた。試しにインベントリ送りにすると、ちゃんと入った。
全部やるのは大変なので、目の前にある茂みの所だけ回収する。茂みを囲める位のウォーターボールを出し、それを維持して暫く待つ。ついでに、お昼ご飯も済まそうとパンと干し肉を出して食べる。
一度確認すると、まだまだ葉っぱに付いてるのがいるので、もう少し休憩にする。私は、コリンの実を出して食べて、サスケにもご飯(魔力)をあげる。
食べ終わった頃に確認して観ると、全部葉っぱから剥がれて浮いていたので、全て回収をしてから街に向かう。
『探知&サーチ』
300m 数6 魔力1.8
街とは違う方角だけど、まだ知らない魔物だったので、そっちに行く事にした。
『ヘイスト』
新しい魔物を見に行くと、そこには沼地があった。魔物は沼の中にいるらしい、何かが動いてる。
『看破』
グリーンフロッグ Lv8 ジャンプ ✕6匹
そこにはカエルが居るみたいだ。しかも、全部似たようなLvだったので割愛する。一応、数匹欲しいので沼からちょうど出てるやつ2匹に魔法をぶつける。
『ウインドアロー』✕2
上手く当たって、2匹とも倒せた。他のはまた、沼の中に潜ってしまった。2匹あれば良いので、回収はサスケに任せた。別に、沼で汚れるからとか言う理由じゃないよ。いつも回収はサスケの仕事だからだ。
『探知&サーチ』
200m 数2 ウルフ
300m 数3 ホーンラビット
『ヘイスト』
寄り道はここまでにして、また街を目指して行く。極力戦闘は最小限にして、鬼のパーセンテージを上げないように気を付ける。街までの最短距離に居る魔物だけ倒す事にして出発。
・・・・・
戦闘を4戦に抑え、だいぶ進んだところで、時計で時間を確認してみる。雨なので空模様での時間把握が不可能だからだ。まだ夕方の時間帯だったけど、周りが暗くて良く見えないので、今日はここで休む事にする。
身体と服を乾かしてから木に登り、サスケに果物をお願いして私は夕飯を食べる。昼間にコリンの実を食べたので夜は固いパンと干し肉のみ食べる。本当に味気ない食事だ。
『ステータス』
アリス :(仮)ソフィア・クローク LV19
身体能力 最優 鬼 85%
全種魔法 最優
HP: 2450 / 2450 MP: 11150 / 11150
ヴィルホルンの加護【常時MPで回復】
言語共通翻訳・鑑定・看破・MP自動回復・鬼の怨み
(今日、だいぶ進んだお陰で明日には、街に着きそうだ、なんとか間に合ったかな。後、数体倒したら100%になりそうだから気を付けねば。明日は早く起きて出発しよう。雨の音うるさいなぁ。明日は止んでて欲しいな)
ザー… ザー…
サスケが帰ってきたのを確認して、ご飯(魔力)をあげて、さっさと寝る。
「明日には街に着きそうだよ。楽しみだね。サスケおやすみ」
次回2週間後に更新します!
いよいよ、人に会う予定です!