異世界1日目 狩りをしよう!
遅くなってすみませんm(_ _)m
後半は、別視点が入ります。
魔物まであと100mって所まで、草木に隠れながら近づいて、ようやく正体が分かった。
「ウサギ?」
そこには、額に角の生えたウサギが2羽いた。ちょうど少しひらけた所だったのでよく見えた。
「あれ?ここの動物は魔物以外でも、魔力の塊を持ってるんだ?可愛いなぁ『看破』」
ホーンラビット LV 3 頭突き
ホーンラビット LV 5 頭突き
私はこの可愛い動物に触ってみたくて、更に近づいて行く。ウサギは、鼻をヒクヒクさせて耳を素早く動かしていた。凄く警戒しているみたいだ。
逃げられないように、ゆっくり少しづつ近づいて行く。残り数メートルという所で、お互いに向き合って止まる。
(あっ、逃げられちゃうかも・・・)
お互いに動かないでいたら、急にウサギが2匹ともこちらに飛び掛ってきた。普通ならウサギが胸に飛び込んできたら、嬉しくて抱きとめるけど、この子達には鋭い角が付いていたので避けた。
「あぶなっ!このウサギっ!凄い好戦的なんだけど!」
ウサギの俊敏さを活かして、連続で頭突きをしてくる。避けて安心した所にもう1羽が頭突きと2羽は、上手く連携して攻撃をしてくる。
「かなり戦い慣れてしているウサギだな。これって動物じゃなくて、もしかして魔物なのかな?」
可哀想だけど、いつまでも付き合ってられないので、倒すことにした。動きは速いけど、攻撃が一直線なので避けやすい。反撃はどうしようか。ウルフの時に使った『ウインドカッター』は、今みたいな接近戦で速い相手には向かない。
(攻撃が一直線だから、今回は敵が突っ込んできた時に前に壁を出して、自爆させる方法が良いかな)
作戦を決めると、壁と言えば土だろうと壁のイメージを作って手を地面につける。後は、魔法を唱えるだけで完了である。しかし、ここで問題が起きてしまった!
(あれ?土の壁って何て言うんだっけ?クレイだっけ?あっ、ちょっとタンマ……)
こちらはかなり焦っているけど、敵は止まってくれる訳がなく、額の角を私にしっかりロックオンして飛び掛ってきた。
「なんて言うんだっけーーー?」
ドカッ! ガコッ!
って叫びながら、一応魔法を使ってみた。結果としては成功した。上手く敵の前に土の壁が出来て、敵は頭をぶつけて倒れていた。私は壁を消して、ウサギに近づいて見てみると、2羽とも死んでいた。
かなりの勢いで突っ込んだみたいで、首が変な曲がり方をしていた。可愛いかったウサギの残酷な姿に、私は鑑定をせず手を合わせて、インベントリにそっと仕舞った。
さてと、一息ついた所で先程のことを振り返ってみよう。適当なことを叫びながらでも、魔法が発動出来たという事は、もしかして何も言わなくても魔法が使えるのではないか?と思う。
私は近くにあった木に『ウインドカッター』を使ってみた。勿論、何も言わずイメージに魔法をのせる感じでやってみた。結果は成功した。
(なんだ、魔法言わなくても出せるんだ。ならこっちの方が楽じゃん)
私はもう一度、無詠唱で魔法を使ってみた。
(うん、問題なく使えるね。でもこれは、いざという時まで隠しておこう。普段は魔法を唱えて放つようにしよう)
空をみると、もう夕方になっていたので、今日はこの辺で休む事にする。
焚き火をする為に、周りに落ちている木をサスケと一緒に・・・てか、殆どサスケが集めてきてくれた。サスケの機動力はかなり凄くて、頼んだ物を数分で集めてきてくれた。しかも、目利きも出来るらしい。『サスケ!焚き火に使う木を集めるのを手伝って』と頼んだら、直ぐに私から離れて森を駆けていき、インベントリ機能で集めてくれた。全てそのまま燃やせる木だった。これからは、サスケに頼もう。
集めた木に魔法で火をつけ、早めの夕食にする。インベントリから、硬いパンと干し肉を出して食べた。
硬いパンは、フランスパンと言うよりラスクのような感じだった。パンも肉も半分まで食べたら、顎が疲れてきたので止めた。そのうち慣れると……いいなぁ……。半分しか食べてないけど、よく噛んで食べたから、お腹はいっぱいになった。
(顎は疲れるし、味はないし、こっちの食べ物ってこんなのばっかなのかな?街に行けばマシな食べ物があるのかな?早く魔物を狩って、街に行こう)
私はそう決意して、明日の為に寝る準備をする。火を消して、風魔法で木に登り、インベントリから掛け布団になる物をだして、サスケを撫でながら今日の事を考える。
(ウィズに頼まれて、この世界にサスケと来たけど、今日一日だけで色々あったなぁ。来ていきなり私は瀕死状態だったし、いきなり死体は見るし、狼の魔物や可愛いウサギの魔物と戦ったし、一応異世界の食べ物も食べたし、綺麗な景色も見れた。明日は何が起こるか楽しみだな)
「おやすみサスケ!何か来たら起こしてね」
サスケに夜の見張りは任せて寝る事にした。
一一その頃のウィズホルン(あの世にて)
猪俣よし子を送り出した後のウィズ視点一一
(やっと行ってくれて良かったよ。これで、ようやく何が起きたのか探れるよ。はぁ~、彼女の相手疲れるんだよなぁ。でも、これで彼女から連絡が無い間は暫くは休めるな。おっと、その前に約束していた子達に会わなければいけないね)
僕は早くやる事を終わらせて休む為に、その場を早足で後にした。彼を探す為に……。
彼は噴水広場に、他の二人の友達といた。この二人が先程言っていた。"猪俣よし子から魔道具を貰った"子達なのだろう。近付いて分かったが、同じ波長が魔道具からする。
「やぁ!先程ぶり!」
「あ!ウィズホルン様!ちょうど今、二人に話をしていた所なんです」
「そうなんだ。初見で会ってたみたいだけど一応、初めましてでいいかな?僕はウィズホルン。ウィズって気軽に呼んでくれていいからね」
二人は、初めはポカンとしていたがちゃんと自己紹介をしてくれた。
「失礼しました。私は駿河蓮と申します。皆からは"レン"と呼ばれていますので、どうぞウィズホルン様もそうお呼びください」
「分かった。レンだね。よろしく!」
なんかちょっと仰々しい挨拶が返ってきた。眼鏡をかけて、頭が良さそうなインテリ風な男がまず挨拶をしてきた。
「えっとぉ、私の名前は小鳥雪って言います。呼び方は好きに呼んで下さい」
「分かったよ。ゆきりんよろしく!」
次に背の低い、おっとりした子が挨拶してくれた。よく言う癒し系って感じの子だ。
「あっ、俺も!自己紹介が遅れてすみませんでした。佐藤雄一です。よろしくお願いします!」
彼はどう見ても体育会系の子だ。みんなタイプが違うのに仲良くしているみたいだ。まぁ、あの子と仲が良いと言うだけで、この子等も変わっているのかも知れないけど……。
「みんなよろしくね。彼から聞いてると思うけど、その事について話したいから、ちょっと場所を移動しようか?」
そう言って歩き出して、三人を個室に連れて行く。雄一は、決定だが二人は僕の世界に行ってくれるかまだ分からないから、その確認をする為に来てもらった。皆が席に座ったので話を始める。
「彼から聞いてると思うけど、改めて説明するね。二人とも僕の世界に来てくれないかな?」
「雄一は、自分から志願したみたいですが、私達は何故、ウィズホルン様の目に止まったのですか?正直、面識は一切無い筈ですが・・・」
レンが質問してきた。当然の質問である。僕も正直に答える。
「そうだね。面識は一切無いね。目に止まったのは、君たちが持っている魔道具だね。彼に聞いたら、持ってるのは君たち三人だけと言うから、声をかけたんだ」
「これですかぁ?」
ゆきりんが、頭に『?』を出しながらも、魔道具を見せてくれる。
「そうそう。それそれ!間違いないね」
「これが、私達に声をかけた理由ですかぁ?」
「そうだよ。あの子の手づくり魔道具で、ここにいる人にしか渡してないみたいだからさ。気になっちゃって!」
「それで私達は、その世界で何をするんですかぁ?」
「特に何も無いよ。記憶は消されるから、僕の世界に来てくれるだけでいいんだ。それで何か変わるかも知れないし、彼女の役に立つかも知れない。ただ、ちょっと難易度がハードの世界だから、それを理解してもらって了承を取らないとと思って……。どうかな?」
「記憶は無くなっちゃうんですかぁ?じゃあもし会っても、よし子ちゃんを分からないんですかぁ?」
「そうなるね。ただ、君たちは文字通りソウルメイトみたいだから、どうなるかは分からないけどね。もしかしたら、会ったら何か思い出すかも知れない可能性はあるよ」
「なら、私は行こうかなぁ。よし子ちゃんに会えるかも知れないならぁ」
「ありがとう。君はどうかな?」
ゆきりんからは了承を得たので、次はレンに聞いてみる。ずっと考えてるみたいで、後半はずっと黙っていた。
「私も行きます。猪俣さんがいないと、人生どこ行っても面白くないので……」
「そうか、ありがとう。じゃあ3人とも、これからよろしくね。君たちを送り出す手続きをしてくるよ。ただ、時間がかかると思うから、送り出せる日が分かったらまた知らせるから!今日はありがとう」
僕は最後に皆と握手をして別れた。このまま三人分の手続きを申請しに役所に行く。
(さて、これから楽しみだ。彼らが上手く出会う事を願うよ)
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