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性格矯正施設

明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いします!

「雄一、遅いよ!何してたの?」


 こちらは怒っているのに何故か、ご機嫌な雄一が駆けてきた。


「ごめん、ごめん。ウィズホルン様を観戦室に案内してた。観戦して行くらしいよ」


「ふーん、そうなんだ。あっ!受付しといたから」


「お!サンキュー、それで?今日はどのくらい?」


「雄一とタッグで殺ると言ったら、いつもの4倍だってさ。だから20人だね。世の中物騒になってきたよね」


「20!マジか!?時間は?」


「えっと、3時間ぐらいだね」


「20人で3時間……。どんだけ酷い事をしたんだよ」


「こいつら、かなり酷いよ」


「げっ!もう、軽くスイッチ入ってるじゃん。はぁ……気合い入れていくか」


「うん・・・・」


 雄一は、その言葉のあと瞑想を始めた。私は、手元にある相手の犯罪歴と動機の資料を次々と読んでいく。


 暫くすると係のものが二人を呼びに来た。その頃には二人共、雰囲気がガラッと変わっていた。


 資料を読み終えた私は、バーサーカー並に怒っている。瞑想を終えた雄一は、私と違って"無"の表現である。かなり集中しているのだろう。


 係の案内で、闘技場に連れて来られた。ここは性格を矯正する施設だ。別名『あの世のコロシアム』と呼ばれている。


 分かりやすく言うと、ここではバトル・ロワイアルが行なわれる。私達は剣やナイフだけだけど、相手は武器は何でもオーケー(但し銃を選んだ者には、更なる制裁が待っているが……)私か雄一を殺れたら、その者は地獄での刑期が短くなる。だから相手はやる気満々だ。それだけ地獄の罰は辛いんだよ……と経験者は語る。


 彼らは、目先の欲にしか気付いてないけど、これも刑罰の1つなのである。私達側からすれば、武器の扱いも戦闘も初心者に、やられる訳ないし、ここでは痛みはあるが『絶対に死ねない』のである。しかも、3時間はここから出られない。


 ……怖い事にお気づきかと思うが、ここは現世でくだらない理由で殺人を行なった者達への、矯正場所である。自ら痛みを何度も味わってもらい、その気が一切起こさせない様にさせるのが、私と雄一に課せられた使命である。つまり、徹底的にやれという事である。


 開始の合図があり、即座に駆け出す私と雄一。私の動きに合わせて、雄一も相手を殲滅して行く。お互いに死角を上手くフォローし合いながら一人また一人と倒していく。背中を預けるのに、これほど頼りになる奴はいない。


      3時間後・・・・ 



 闘技場には、怯えて隅で固まっている20人と多少怪我はしているものの、大したことの無さそうな2人がいた。


「二度とくだらない理由で人を殺さないように!じゃないと……」


 私は手を前に出し、皆に見える様にしてから、ナイフでゆっくりと手のひらを切った。先ほどまで受けていた、苦痛を思い出させる為にゆっくりと・・・。途中で無表情の雄一の顔が、僅かに動いたけど無視する。


「痛みと死のおかわりを持って行くからね」


 最後にニッコリと笑ったら、自分の手を切り、血を流しながら笑っている私は、かなり猟奇的だったのだろう。みんなガタガタ震えていた。


(よし、これで再犯はないね)


 全てを終えたので、観戦してるというウィズを探してみると……なんだあれ?他とは違うVIP席で、説明役が一人付いていて、お茶菓子まで出ている。


(なんて神対応を受けているんだ。いや実際に神様だから合ってはいるんだけど、ウィズだとなんか納得いかない)


 そこで、待ってるようにウィズに伝えて、私達は一度控え室に向かった。控え室に入った途端、無表情から元に戻った雄一が凄く怒ってきた。


「自然に治るからって、自分を傷つける必要なかったんじゃない?あいつ等の足に一発づつナイフでも当てれば済んだじゃん」

(せっかく、怪我をあまりさせないようにしたのに……)


「ごめん、雄一。ちょっと自分への戒め(いましめ)もあったからさ」


「戒め?自分を切ることが?」


「うん。ここでは何をやっても死なないし、私達は戦いに慣れてるから、どうしても圧勝しちゃうじゃん。こんな特異な場所で、大した怪我もせず、あんなに殺ってたら、人の命が軽いと認識しそうだから、痛みで違うという事をちゃんと認識しないとと思って」


 話を聞いた、雄一は呆れた顔をしていた。


(まぁ、私の考えだから理解して貰わなくてもいいんだけどね)


 死なないと言っても血は出るので、返り血で汚れた服を着替えに行く。ウィズに用があるのは私だけなので、ここで雄一と別れた。


 私が身支度を整えてVIP席にウィズを迎えに行くと、そこは森林だった。いや、実際に森林に居る訳ではなく匂いが!爽やかな森林にいるような香りがしていた。近くには救護室もあり、流石VIP席いたれりつくせりであった。


「ウィズお待たせ~、さぁ行こうか」


 こちらを振り返ったウィズの顔色は大丈夫そうだった。いや、いきなりあれを見たら、気分が悪くなったり、私を恐がったりするでしょう。普通の人は・・・。


「そうだね。僕も色々と聞きたいこともあるし」


 そう言いながら早速、ウィズが用意した部屋に向かって歩き出した。私は場所が分からないのでウィズが先導だ。


「先程の戦闘を見たけど、よく身につけたね。あれだけ出来れば、転生後も役立つよ」


 ウィズはかなり上機嫌だった。


「なら良かった」


「闘技場へは、どういう経緯で行く事になったの?あんなの中々無いよね?」


「経緯ねぇ、単純に体術極めたら先生に教えてもらっただけだよ。その時は話を聞いて、ここでしか出来ない事だと思ってやってみたけど、相手の経歴をみたら"これは徹底的にやらなければ"と思い、3日に1度は行ってるね」


「なるほど、まぁお陰で転生した後に、もしそういう場合になった時、躊躇しなさそうだと分かったから、僕としては良かったかな」


 他にも何を覚えたのかとか聞かれ、魔法関連の話しをした。話してると早いもので、目的の場所に着いた。小部屋に案内され、ここからが本格的な話し合いだ。


「さてと、歩いてる間に色々と話しを聞いて、結構役に立つものを覚えてくれていて助かるよ。これなら直ぐにでも行けるね」


「そうなの?私まだ一年残っているんだけど……」


「・・・それは大丈夫、僕の力でなんとするから……。それで君に言いたい事があったんだ」


「なにかな?」


「君は何をやらかしたの!?この破天荒娘が!」


 さっきまで笑顔だったのに、いきなり怒りだして意味が分からないことを言ってきた。


「いたっ」


「いきなり殴るなんて酷くない?言ってる意味も分からないんだけど……」


「はぁ。説明するよ・・・。君の前世の行いだと、軽い刑を半年、長くても一年で終えて、ここに居るはずなんだよ。そして今、

僕に会ってる時点で2年終わるぐらいの予定だったんだ。なのにまだ1年とはどう言う事かな?そのせいで、すんなりと会える筈だったのに、まだ2年経ってないから面会できないとかで、已む無く僕の秘蔵のお酒が犠牲になった。何故、刑期が増えたのか教えてくれるよね?」


 もう怒りを通り越しているのだろう。笑顔に青筋立てて問い詰めてくる・・・怖い。私は目を合わせないようにして説明した。


「いやぁ、私についた鬼がムカつく奴でして、そいつに罰をくらわせる為に閻魔を殴る真似をしたら……」


「君何してるの?それ刑期10年とか下手すりゃ魂抹消案件なんだけど……」


「でも、三途の川を見直す案とか補佐官の長年の悩みとか解決したから2年で許してもらえたよ」


「本当に君何してるの!?ここで相談役として働く気!?」


「そんなのあるんだ。面白そう!」


「あのね……。そもそも君は・・・」


 なんかまだまだ、お説教が続きそうだったから無理やり話しを切ることにした。決して煩わしいからではなく、出来るだけ早く向かって欲しそうだったからだ。本当だよ?


「まぁ、なんとか会えたんだからいいじゃん。それより時間無いんじゃないの?」


 正論を言っただけなのに、かなり睨まれた。そして自分を落ち着かせる為か、深呼吸を一ついれて、ぶつぶつ何か言っている。


「そうだね。じゃあ始めようか」


次は一週間後に更新します!

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