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私の最後

 初めての作品なので暖かい目で読んで下さい。

自己満足作品なので、読んでて辛ければ辞めて頂いて大丈夫です!連載頑張ります。




 私の名前は猪又よし子。1ヶ月後には誕生日がきて106歳になる予定だ。もう一度言おう『106歳になる予定だ』



・・・・・・




 思っていることは分かる。私も永く生きすぎたと思っている。


 でも、ストレスを溜めずに思うがまま、好きなように人生を楽しんできたから、こんなに生きてきたんだと思う。『NO!ストレス!』これが長生きの秘訣だね!


 息子夫婦と3人の孫たちと一緒に暮らしていたんだが、食事中に急に目眩がして倒れてしまい、目が覚めたら見知らぬ所で吃驚した!



 いま流行りの異世界転生をしたのかと思い、自分の手を急いで見てみる。シワシワのいつもの自分の手だ。さらに点滴や管まで付いていた。


 私は今、白い部屋のベッドの上に寝かされている。早く言えば病室だ。名探偵も吃驚のスピーディーな場所確認も終了。ふぅー、なんか身体がだるいな。手や周りを確認しただけで疲れたぞ。なんでだ?


 近くに息子がいたから話を聞いた。食事中に急に倒れたと(そこは覚えてる)だから慌てて救急車を呼んで近くの緊急病院につれてきたと(ふむふむ)倒れてから2日は立っていると(なにーーー!6食も食べ損ねてる!)検査結果は何もでなかったらしい。たぶん寿命だと医者は言っていたみたい。


 寿命(笑)そんな診断あるんだ。初めて聞いたよ。もう諦めろってことね。まだ、ギリギリ生きているんだけどな~。ギリギリね・・・

 

 とりあえず、息子と嫁さんに言いたいことだけ言って休むかな。少し眠たくなってきたし。


「優、美智子さん、一緒に住んでくれてありがとうね。お陰で助かったわ。こんな我儘ばあさんでストレス溜まったでしょう?」


「そんなことないですよ!いつも、お食事のリクエストしていただいて、献立考える手間がなくて助かってましたから」


 美智子さんはそういいながら、私の手を握り微笑みました。


「そう言ってくれると気持ちが楽になるわ」


 私も微笑みを返します。


「美智子さん、うちのバカ息子が注意してもどうしようもなかったら捨てていいからね」


「おいおい、なに不吉なこと言ってくれちゃってるの?」


「そういう事だから優。あなたは捨てられない様に美智子さんを大切にするのよ。こんな良い人に逃げられたら、もう現れないからね!! 2度と!!」


「わかってるよ」


「もし美智子さんを不幸にしたら、化けて枕元に出るから!そして、毎晩長々と説教するから覚悟してね!」


「毎晩説教とか…地味に堪えるな。てか、実の息子より嫁さんの方が大事なんだね」


と、言いながら息子は苦笑した。


「当たり前じゃない、優には小さい頃から色々教えてきたし、やらせても来たんだから。心配はしてないわ。何処でも生きていける!あんたは……だから、美智子さんの心配をするのよ」


「はいはい、子供の頃から色々と教え込まれましたからね。そもそも、捨てられるような事にはならないし! ね?」


 と言いながら息子は慌てて美智子さんを抱き寄せ(捨てないよね?)と仔犬のような眼差しで縋るように訴えている。


「………そうね」


「なにその間は!美智子は俺に不満があるの?既に別れようとか考えてたの!?」


「冗談よ。ちょっと、からかってみただけ」


 と言いながら美智子さんは楽しそうに微笑んだ。こんな頼りなさそうな息子だが、それは美智子さんの前だけなので良しとしよう。


 ……うん、この調子なら別れる心配は、なさそうね。安心したわ。


「孫たちは今日は試験と応援かい?」


 それを聞いた2人は、とても申し訳ない顔をしながら答えた。


「そうなんだよ。一応、母さんが目覚めた時点で連絡は入れたんだけど……ちょうど終わった所でこっちに急いで来ると言ってたけど……」


「みんな、お母さんが目覚めるまで付いてるって、試験休むとまで言ってたから、それは後で怒られるからと説得して行かせたのよ」


「美智子さんありがとう。私のせいで行かないとかだったら、蹴りだして面会謝絶にするところだったよ」


「面会謝絶は辞めてくれよ。そこはせいぜい、個人の立入禁止ぐらいにしといてよ」


と呆れた顔で息子に言われた。


「いや、そこは説得出来なかった場合の連帯責任で」


「あいつら説得出来て良かったぁ。母さんはやると言ったらやるからな」


 ははは…、勿論実行したとも。だって、自分の子供も躾けられないなんて、不甲斐なさすぎて顔も、しばらく見たくなくなるわ。


 そろそろ眠たくなってきたから、瞬きしたそのままに目をつむっていると、ドアの向こうからバタバタと掛けてくる騒がしい音が、これは(注意しないといけない)と思い、重い瞼を開けた。


 ばんッッッ


 ちょうどその時、勢いよくドアが開いて孫たち3人が部屋に飛び込んできた。


「おばあちゃんまだ生きてる?」

「息してる?」



「「間に合って良かったぁ」」


 入ってきて早々失礼な事を言ってきたのは歳が一番下の双子の孫。(カイ)(ソラ)である。今日は空手の進級試験だったはず。


「勝手に殺すでないよ。全く失礼な子たちだね。それと、病院の中では騒がない!」


 そう注意して心配で駆け寄ってきた双子の手の甲をつねった。


「いてっ」

「なにするんだよ!」


 晩婚につぐ晩婚と、歳の差婚&高齢出産で奇跡の10代の孫たちが私にはいる。ため息をつきながら呆れた顔で入ってきたのは、双子の兄の(タキ)だ。


「だから言ったろ。静かにしろって、じゃないとお祖母ちゃんに怒られるって、自業自得だよ。二人とも受付でぎゃーぎゃー騒ぐからどれだけ恥ずかしかったか。お祖母ちゃんもっとやっていいよ。」


 そう言いながら弟達の背中を押して私に差し出してくる。息子と美智子さんは、受付で騒いだと聞き謝りに行っている。


「やめろよ」

「告げぐち反対!」


 滝は余程恥ずかしい思いをしたのだろう。凄い笑顔…


「騒いだのは悪かったって、でも俺達だけお仕置きなんてずるいぞ滝兄」

「そうだよ!兄さんだって怒られるべきだと思うよ」


 双子のジト目に兄は、本当に何か分からないという顔をしながら首を傾げている。


「つい、さっきの事なのにもう忘れたの?車を運転してくれた事には感謝してるけど、しばらく滝兄の車には乗りたくない!」


「何度死ぬかと思ったか…いくら急いでいるからってスピード出しすぎだよ。一時停止殆ど無視だし、イライラしてるからって前を走ってる車を煽らないでよ。おかげで僕達トラウマだよ。車の運転恐い…免許いらない…」


「だって、のろのろ遅かったから…」


(何してくれちゃってるの!?滝は一番冷静だと思ったのに一番狂気をはらんでる子だったのね)


「滝こっちに来なさい」


 びくっ


 私は、だるい身体を起こし滝を自分のもとに呼んだ。少し怯えながら滝は、言うとおりに近くに来た。


「急いできてくれたのは嬉しいけど、こんな死にぞこないなヨボヨボの婆ちゃんより、未来ある貴方や弟達を大事にしなさい!もし、ここに来るまでに何かあって貴方達が私より先に逝ってしまったら、死んでも死にきれないよ」


「お祖母ちゃんごめんなさい。弟達は僕が守るよ。だから……安心して逝ってくれ」


 ・・・うん。滝は賢い子だね。暗い雰囲気を変えようと、ワザとこういう事を言ってくれるんだから。私もそんな孫の策に乗って……


 ごつんっっ


「貴方はいつも一言余計なのよ。本当に頼んだわよ!危ないことは利を考えてしなさい。」


「利があったらしていいんだ」


 空が思わずつぶやいた。いい音が病室内に響いて、その音と共に滝は頭をかかえて、(うずくま)っていた。私にゲンコツを貰ってるにもかかわらず、笑っている。マゾか…?


「チャンスはピンチの時にくると聞くからね。リスクとリターンを考えて自分の責任でやるなら好きにしなさい」


「利を考えてね…なら、今回は危険をおかした意味あったね。元気なお祖母ちゃんの姿みれたし」


 満面の笑顔で可愛いことを言ってくる。この、お祖母ちゃんっ子め。この笑顔に流されたら、今回の事を認めないといけない、でもここはちゃんと釘を刺しとかないと…


「弟達の未来を勝手にBetし(賭け)ないように!反省なさい」


「はーい。考えとくよ」


 まったく、お陰で大分疲れたわ。これならぐっすり眠れる。


 私は、ため息をつくとゆっくりとベットに身体を預けた。かなり眠い…


「明日は、柔らかい肉で焼き肉がしたいね。美智子さん準備よろしくね」


「はい。お母さん任せて下さい。今日はゆっくり休んで下さい」


「みんな今日はありがとう。また明日ね。おやすみ」



一猪又よし子 105歳  ○月✕日  ご臨終一

更新は気分で早かったり遅かったりです。

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