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いざ海へ

海への遠征に対して、ある程度必要な技術は習得したと思う。

いよいよ海を目指そうと思うが、ハッと気づいた。道具類はどうやって

持っていくんだ?いろいろ必要じゃないか!そこで大事な事を思い出した。


魔法の収納袋!天空神の使徒は、転生者全員が入手できるように手配すると

言っていた!


「ロップ!天空神の使徒が、魔法の収納袋をくれるって言ってたんだが、

どこにあるかわかるか?」


ロップがぺろぺろ毛並みのお手入れをしながら答えた。

「コウエイ様の遺産の中にあるんじゃないっすか?ボクが見れば分かるっすよ。

コウエイ様も持ってたっす」


ロップを抱きかかえて物置へ行き、中を探し回る。

「あ、これっすよ。あれ?二つあるっすね?」

ロップが未整理の小物の中から、黄色と茶色の巾着袋を二つ引っ張りだした。


「黄色いのはコウエイ様の持ってた物っすね。見覚えがあるっす。懐かしいっす」


おお!コウエイ様は自分の魔法の収納袋を遺産に託してくれたのか!

ありがとうございます。コウエイ様。茶色いのは俺が今回貰った物だろう。


「ロップ、これはどう使えばいいんだ?」


「袋の口をぐいっと引っ張れば広がるっす。ただ広げる時に魔力を使うっすよ。

風呂敷みたいになるんで、入れるものを置いたら包んで口を閉じれば元の大きさ

の袋に戻るっす。袋の中は別空間なんで重さは感じないっすよ。別空間の倉庫

の入り口って感じっす」


「俺の世界のファンタジー作品じゃ、こういう物は中では時間が止まっている

仕様だったがどうなんだ?」


「コウエイ様も試してたっすけど、そんな事はないっすよ。食べ物とか入れて放置したら腐るっす。あと基本的に生き物も中に入れられないっすね。

大体、目に見える大きさの生き物は袋に弾かれるっす。

植物はコウエイ様が試したっすけど、中はあんまり環境が良く無いみたいで、すぐ枯れちゃうっすよ。ただ種とかは、入れた後にもちゃんと芽がでたっす」


成程、そんなに都合よくいかないか。単なるデカい袋と思っておけばよいか。

取り合えず広げてみる。グイッと引っ張り続けると3メートル四方の大きな布になった。縁は布がだぶついている。これは高さ3メートル分なんだろう。

物を置いた後、縁の布を引っ張り上げて口を閉じれば、小さな巾着に戻るって

事だな。取り合えず海遠征に向けた物を用意しよう。持っていく物は....


・水タンク:200リットル入る。滝壺から水を汲むのが面倒くさかった。


・甕:ホーロー製の甕。30リットル位入りそうだ。塩作りの為に海水を汲もう。


・メタルマッチ:着火用。そういえば、まだ火を起こしてなかった。このメタルマッチはデカい。20センチ位ある。


・ポータブルストーブ:小枝でも使えるから便利。ただ長時間の煮炊きには向かないね。一応持ってく。


・ロケットストーブ:ペール缶のロケットストーブ。海に行けば流木とか拾えるだろう。


・モノポールテント:別に露天で寝てもいいんだけどね。一応持ってく。数日は海にいる予定だから。あと銀マットとかも持ってく。俺は翼があるから、

うつ伏せでしか寝れない。枕が欲しかったよ。コウエイ様。


・調理器具:色々。ステンレスのダッチオーブンがあったが今回はいいや。

デカいし。あと保存容器も色々梱包する。瓶とか甕とか。


・釣り具:ロップに魚をあげるために必須。あと熊手とカニ網等。


・作業用具:鋸と鉈、斧を持っていこう。流木をばらすのに必要だろう。後小さいバールも。


・その他:色々。軍手とか、バケツとかタライとか、燃えさし用の古新聞とか。


色々チェックしたが、現場に行けば色々不具合はあるだろう。

海への遠征は今回が最後じゃないし、そもそも、たどり着けるかどうかも分からないしな、慌てる必要はない。トライ&エラーだ。

準備に結構時間が掛かってもう昼くらいだ。出発は明日の早朝にしよう。


収納袋に梱包する前に釣り具を取り出した。ロップ先生に魚を献上する為に、

滝壺で試し釣りをしてみよう!


渓流竿に、道糸、サルカン、ガン玉、マス針の単純な脈釣り仕掛けで

試してみよう。


ロップは河原で自分でフリスビーを投げ、自分で取るという遊びに興じている。

あのフリスビーはロップのオモチャだったのか。

ロップは常に俺の側にいるという訳ではなく、俺の修行中もほとんど一人で遊ん

でいた。なかなか自由なヤツだ。だが遊んでいるロップは可愛いいな。

今度モフらせてくれないかな?


まず、河原の浅瀬に飛んで行って餌を探そう。適当に石をひっくり返して川虫を

探す。お、蟹がいた!小さいのは豆粒位から、赤ちゃんの手のひらサイズまで

結構ワサワサいる。取り合えず豆粒位の蟹を20匹くらいゲット。

川釣りで蟹餌ってやった事ないけど、どんな魚がいるかも分からないから、

取り合えず試してみよう。バケツと釣り具を持って滝壺の渕に飛んで行った。


餌を付けてまず一投。おおっ!数秒後にすぐ当たりがきた。すかさず合わせる!

釣れたのは25cm位の茶色の鱒っぽい魚。

ブラウントラウトとも違う。全体的に茶色だ。スレてないから入れ食いっぽいな。

あと3匹釣れたら戻ろう。俺とロップで2匹ずつ食べればいいだろう。


時間的には30分程度だった。やはりあの滝壺での釣りは非常時以外は

封印しよう。ほぼ入れ食い状態だ。

ロップは猫?だから生でもいいのかな?

だが俺は川魚には火を通したい、乾燥した小枝を集めながら、ロップの処へ

戻った。


まだ独りフリスビーで遊んでいるロップの処へ戻ると、両手でフリスビーを抱えてトテトテ駆け寄ってきた。

「あ!レイ様。何してたんすか?」


俺は魚の入ったバケツを差し出し、

「ロップへの贈り物を釣ってきたのだよ。ふふふ」


ロップはバケツの中を見るとむしゃぶりついてきた。

「うにゃ~!茶鱒にゃ!レイ様ありがとうごにゃいますにゃ!」


....何だその口調。ラリッてんのか?俺がちょっと引いていると、

瞬く間にバリバリ全部の魚を食い尽くした。


あの~、俺は二人で2匹ずつ食べようと思ってたんですが?


「ぷふ~。ボクご満悦~」

ロップは仰向けに寝転んで、ご満悦のようだ。良かったですね。


俺も食べたかったけど、しょうがない、コイツには世話になってきたからな。

でも俺が修行中も独りで楽しそうだったよね?

飛行訓練中は、マラカス持ち出して、シャカシャカ踊ってたし、

生命魔法訓練中は、タンバリン持ち出して、チャリチャリ踊ってたし、

基本魔法訓練中は、リコーダー持ち出して、ぽひっぽひ~って吹いてたし。


まあロップなりの、俺へのエールだったんだろう。

だが、ロップが非常に楽しそうだったのが若干ムカつくのだ


気分を切り替えよう。荷物はほぼ梱包済だから、今日は飛行訓練と魔法訓練をある程度流して明日に備えよう。


そして翌日。

さあ出発だ!今、日が昇る!

服装はサバゲのゴーグル、トランクス、カーゴパンツ、ベルト、ソックス、

安全靴、軍手!

装備は左腰に剣鉈、右腰に作業用ポーチ、ここに魔法の収納袋を入れてある。

武器は取り合えず剣スコップ!


よし出発しよう!

「ロップ!しばらく留守にするが、待っていてくれ。数日後には戻る予定だ」


ロップが悲しそうな目で俺を見上げる。

「何言ってるんすか。ボクを置いていくんすか?ボクはレイ様の側にいるっすよ」


「え、だってロップは猫っていっても、直立した規格外にデカい猫だぞ。

抱えて飛んでいくのはしんどいぞ。抱えると剣スコップ持てないし」


ロップがうるうるした目で俺を見上げる。

「ボクは精神生命体なんで、エレメンタル化して、レイ様と同化する事が出来る

っす。ただこれは元の姿に戻るのに時間がかかるっす。

あとは小さい猫に変化する事は可能っすけど、会話は出来なくなるっす」


これは迷う。俺だってロップは連れて行きたいんだが、色々制約があるようだ

「エレメンタル化すると会話は出来ないのか?どの位で元に戻れるんだ?

あと小さい猫は?」


「エレメンタル化すると半分眠ってる状態になるっす。会話は半分位っすね。

復帰するのに10日位掛かるっす。猫変化からの復帰は1日位っすね」


うん!そもそもロップを置いていくって考えた俺がバカだった。このまま連れて

行くしかない。まだまだ俺にはロップのアドバイスが必要なんだ。それにコイツ

がいないと俺は寂しい。ボッチは嫌だ。

「ロップ、俺が肩車する。俺の首に跨ってくれ、あと俺の角を掴むんだぞ。

それでちょっと飛んでみよう」


ぽひんと首にまたがったロップを連れて、しばらく廻りを飛んでみると頭の上で

ロップがはしゃいでいる。

「レイ様楽しいっす!このまま海へレッツゴー」


ご満悦の様だ、よし海に向かおう。ただし今回は初回調査だ、2時間を目途に海

にたどり着けなかったら戻ろう。

日本で一番長い川は、信濃川だったっけ?確か300キロ以上あったはずだ。ここは孤島だし、そんなに長い川があるとは思えない。蛇行してるだろうし、

ショートカットも出来るだろう。ただし高度はあまり上げられない、

高く飛ぶと魔力の消費が早いんだよ。基本50メートル位が限度かな?


下流の滝を飛び越えると渓谷だった。まあ前に見てるから知ってるけどね。

両側は断崖絶壁、断崖の上は森になってる、いずれ調べてみよう。

方位磁石で調べると、川は西に向かっている。

しばらくはこの渓谷に従って飛んで行こう。30分程飛ぶと渓谷が途切れて、

普通の石河原になってきた。途中で何本か他の川が合流していたので、

結構水量は多い。川幅は20メートル位?廻りは森林だな。

取り合えず川の流れに従って進む、途中で蛇行して西北方向に向きを変えた。

ロップは俺の角につかまったままずっと黙っている。

「なあ、ロップ。どんな感じだ。この島は?」


「なんか景色とか植物がコウエイ様がいた所と全然違うっすね。

なんか、うにょうにょしてるっす」


まあ北方と南海の孤島では相当植生に差はあるだろうな。腕時計を確認すると、

そろそろ飛んで1時間だ。それ程蛇行はしていなかったので、大体60キロ程

西北西に進んだ事になる。あと1時間程進んだ後に高度を上げて廻りを見渡して、

海が見えなかったら今回は戻ろう。俺は冒険はしない主義なのだ。


そして1時間程川沿いに進む。なんかどんどん川が合流してきて、川幅が

200メートル位になってきた。廻りも湿地帯みたいになってきたな。

アマゾン川の水没林みたいだぞ。


ロップが俺の髪を引っ張る。

「レイ様、ボクこんな景色見たことないっすよ」


「ロップ、俺も知識としては知っていたが初めて見る。

あと角を掴めといっただろうが。髪を引っ張るな!」


どうしよう?そろそろ戻らなければならない。今回の遠征はここまでか。

「ロップ、この辺で、一旦高度を上げて廻りを観る。海が見えなければ今回は

撤収。海が見えれば強行進軍だ!」


「ボクはどこまでもレイ様についていくっすよ。というか今ボクはレイ様に

跨っているっすから、言いなりっすよ」


取り合えず200メートル位まで高度を上げて廻りを見廻す。

おお!海が見える!これは遠征続行決定!方位は西北だ!

多分1時間位で着くだろう。


「ロップ、行くぞ海へ。遠征続行決定だ!」


「ハイヨー!」


ハイヨーってなんだ!俺は馬じゃねー!。今夜はたっぷりお話しようね。ロップ。


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