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ふじこ?に更に質問

非常に興味深い話を聞いた。俺は全裸の境遇も忘れて黒猫との問答を続ける。

質問タイム続行。コウエイの遺産の確認は後でいいや。


「なあ、天空神が人族を優遇してるのは理解したが、優遇順序は次にドワーフ、

次にエルフ、だが獣人に関しては、かなりおざなりな扱いに感じたんだが。

どういう事なんだ?」


「ドワーフは様々な分野で有能な職人っすからね~。やっぱり重要なんじゃ

ないっすか?。エルフは容姿が人族にとっては綺麗に見えるようですからね~。

娼館とかで需要があるんじゃないっすかね?獣人は種族によって違いますけど、

討伐対象か、奴隷対象っすね。だからコウエイ様は種族によって差別されない国を作ろうとしたんすよ!まあ現状については分からないっすけどね」


ふ~ん、成程ね。まあコイツの知識は100年前の物らしいから、現在はどうなってるのか分からないが。もうちょっと他種族について聞いてみよう。


「現状の詳細は分からないが、カダス聖教を崇める人族が支配的種族って認識でいいんだよな?他の種族って具体的にどんな種族がいるんだ?ドワーフとエルフと

獣人がいるのは分かったが、獣人は猫以外の種族もいるらしいし、100年前は、人族以外の種族はどういう状況だったんだ?」


「えー?ボクも会ったことがある種族しか分からないっすよ。人族、ドワーフ族、エルフ族。獣人族は、猫人、犬狼人、猪人、爬虫人、あとは人狼っすね。

ただ獣人は他にもいるらしいっすよ。

あとそれ以外に、レプラコーン族、鬼人族、森小人族と夢魔族もいたっすね。

ボクが知ってるのはこの位っすね」


ふ~ん。犬狼人と人狼は、どう違うんだろう?まあ続けてくれたまえ。


「ドワーフはグラムロック山に自治区があったっす。

人族の町にも結構いたっすね。ただ、町での扱いはそんなに良く無かったっすよ。奴隷すれすれ、生かさず殺さずって感じだったっす」


鍛冶をやりたいって言ってた老人が気の毒だ。自治区に生まれている事を願う。


「レプラコーン族はドワーフの亜種みたいな感じらしいっす。

ドワーフをほっそりさせた感じっす。グラムロック山に一緒に住んでたっすね。

町での扱いはドワーフと同じ感じでしたね。どちらも有能な職人ですから、

低賃金で扱き使われてたっすよ」


天空神の使徒の銀髪女もドワーフに頑張れって言ってやがったが、低賃金労働力としか見てないって事か。レプラコーン族も同じか。酷い世界だな。

まあ俺の世界も昔は似たようなもんか。いや俺もそうだったな。デスマーチとか

やってたしな!


「エルフ族は月の森や、黒の森、影の森に自治区を作ってたっす。人族の町にいたエルフは大抵は娼館奴隷だったっすね」


あのOLは大丈夫だろうか?多分前の世界より酷い世界だぞ。


「獣人は基本的に辺境の集落でひっそり暮らしてたっすね。人族に見つかると奴隷狩りされるっすから」


JK、残念ながらケモミミアイドルの夢は諦めて、すらっとした猫さんとして、

森でひっそりと暮らしてくれ。


「森小人族はエルフの集落の近くに住んでたっす。

エルフとは共生関係みたいっすよ。臆病なんで、エルフ族の自治区の外には基本的に出ないっす。非力なんで奴隷としても需要はなかったっすね」


一応、ドワーフ、レプラコーン、エルフと森小人は自治区内では、それなりに

生活出来てたらしいな。


「鬼人族は人跡未踏の山岳地帯に集落を作っていたっす。

角があって、皆屈強な戦士なんで、人族には恐れられてたっす。

コウエイ様の配下の鬼人族にはゼゼロフ将軍っていう、凄く強い人がいたっすよ」


鬼人って何?鬼なの?金棒とか持って虎皮のパンツとか履いてるの?


「夢魔族と、人狼族は結構人族の都市に紛れ込んでたっすね。

通常の見た目は人族と変わらないっすから」


成程、夢魔とか人狼は、普通にしてれば人と変わらないのか。

犬狼人はケモナー要素が多いんだろうな。


「コウエイ様はそんな諸種族に呼び掛けて、みんなが暮らせる国を目指したっす。

ただ人族の裏切り者と、勇者のせいで夢半ばで亡くなられたっす。

あ!結構長命の種族もいるので、もしかしたらコウエイ様の配下だった方にも会えるかもしれないっすよ!」


勇者とか、ゼゼロフ将軍とか色々気になる事が出てきたぞ。

コウエイ様の配下か。会えるなら是非会いたいな。

でも俺、孤島にいるんだよな。いつか島から出られるんだろうか?


「コウエイ様の配下で、今でも生きていそうな人物は分かるか?」


「そうっすね~。ボクも前回の戦いの全ては把握してないっすよ、

側近の方々なら、【鉄鬼】ゼゼロフさんは、壮絶な討ち死にを遂げられました。

【前進将軍】ヴァルクさんも同様っすね、生死不明な方の中で、種族の寿命的に

生きている可能性があるのは、そうっすね~、まず【迅狼剣神】ガルゼさん。

でも生きていたとしてもかなり高齢っすね~」


「【毒姫】キリーネさんと、【百面】サーシャさんはどこかで人族に紛れて生きているかも知れないっすね。

【大賢者】パイノワールさんは、エルフっすからね~。目立つし、人族の近くでは生きにくいでしょうね~。どこか辺境の森で、隠遁してるかもしれないっすね。

【火神】ガラムドさんは寿命的に微妙っすね。壮年のドワーフだったっすからね。

でも、ガラムドさんなら生きてると思うっすよ。なんかあの人が死ぬとか想像出来ないんすよね~。他の方々は生き残ったとしても、寿命的にお亡くなりになってるでしょうね~」


何その二つ名持ちの方々!ゼゼロフ将軍は鬼人族で、パイノワールさんはエルフ、ガラムドさんはドワーフらしいが、他の側近の人達が気になる。他の人達はどんな種族なんだ?


「....取り合えず、コウエイ様の側近の人達について詳しく教えてくれ」


黒猫が遠くを見つめて語りだした。

「ゼゼロフ将軍は凄い戦士っす。コウエイ様が北方の僻地、ガガイ山脈まで出向いて行って配下になって貰ったっす。中々承諾して貰えなかったので、コウエイ様は三回も出向いたっすよ。承諾後は、集落の鬼人族を全員連れて来たっす。

鬼人族はコウエイ様の近衛隊だったっすよ」


三顧の礼だな。よっぽどの人材だったんだろう。


黒猫が目を潤ませて続ける。

「配下になっても、ゼゼロフ将軍はコウエイ様にはぞんざいな口調だったっすね。

コウエイ様をオマエって呼んでたっす。最後の出撃の時、ゼゼロフ将軍はその前

の戦いで大怪我を負ってたっす。コウエイ様は必死で止めて、連れて来た鬼人族

を連れて逃げろって言ってたっす。でもゼゼロフ将軍は笑いながらコウエイ様に

手紙を渡して、鬼人族の近衛隊を引き連れて出撃したっす。

手紙を読んだコウエイ様が静かに涙を流したのは、まだ覚えているっす。

うわ~ん(号泣)」


出師の表だな。土井晩翠の”星落秋風五丈原”を思い出したじゃないか!

”祁山悲秋の風更けて、陣雲暗し五丈原....”

この黒猫は俺を泣かそうとしてるの?ううっ(涙)


黒猫がぼんやりした様子で続ける。きっと回想に浸っているのだろう。

「ヴァルク将軍は猪人族っすね。この人はどんな戦いでも絶対後退しないんで

結構困り者だったんすよね~。ゼゼロフ将軍と違って荒々しい感じじゃなくて、

凄くのんびりした口調で話す人だったっす。ただ戦いになると大斧を振り回して、

真っ先に敵陣に突入する人だったっすよ。子供から人気があって、非番の時は、

いろんな種族の子供たちと遊んでいたっす。ボクも良く遊んで貰ったっす。

コウエイ様の事はキミって呼んでたっすね。最後の出撃ではゼゼロフ将軍と共に

最後まで奮戦して、討ち死にを遂げられました。うわ~ん(号泣)」


前進将軍って、前進元帥と言われたプロシアのブリュッヘルみたいな人だったの

かな?でも中身は世紀末救世主の話の山の人?合掌。ううっ(涙)


俺はこういう話には弱いんだ!俺が耐えきれずに涙を流していると。

黒猫が心配そうな顔で

「マスター?何で泣いてるっすか?マスターは会った事無い人達っすよ?」


俺は目を拭い、

「うるさいな~。俺はそういう話に弱いんだ!続けたまえ」


黒猫はうろん気に俺を見た後、説明を続けた。

「ガルゼ将軍は人狼っす。剣の達人っす。遊撃部隊を率いていた方っすね。

ガルゼ将軍は、ある人狼族の集落を率いて、自ら配下になった人っす。

ゼゼロフ将軍や、ヴァルク将軍と違って凄い堅苦しい人っす。

コウエイ様の事を上様とか呼んでたっすね。というかコウエイ様に対して配下

らしい振る舞いをしていたのは、ガルゼ将軍だけっすよ。

コウエイ様の世界でカタナって呼ばれてた武器をガラムドさんに作ってもらって

愛用してたっす。その二振りのカタナは、コウエイ様にタチウオとサンマって

命名されたっす。ゼゼロフ将軍のライバル的存在だったっすよ。

力のゼゼロフ、技のガルゼって言われていたっすね。最後の戦いでは、

パイノワールさんと共に別行動だったんで生死は不明っす。

でも生きていて欲しいっす」


刀に太刀魚とか秋刀魚とか。何なの?そのセンス。

でも、前世では物干し竿なんて刀を持っていた人もいたしな。


「キリーネさんは夢魔族っす。凄く綺麗な人なんすけど、ずっと部屋に引きこもって怪しい実験をしてたっす。コウエイ様の事を実験対象として見てた節があるっすね~。コウエイ様も結構苦手みたいだったっすよ。コウエイ様の事はコウエイ君って呼んでたっす」


なんかマッドなサイエンティストっぽいな。俺も実験対象にされるのか?


「サーシャさんは良く分かんないっす。コウエイ様は、しぇいぷしふたーって呼んでましたけど、容姿を変化させる事が出来る生き物っす。サーシャさん以外に見た事ないっす。サーシャさんは諜報活動を担当してたっすよ。

殆ど城にいなかったので、あんまり話した事がないんすよね~。帰って来ても、

毎回姿が違うしキャラも違うんすよ。コウエイ様の事は、コウエイっちって呼んでたっす」


何だその生き物?ルパンか?まあ続けて。


「パイノワールさんは、コウエイ様のお姉さん的な存在だったっす。

いつもコウエイ様はパイノワールさんに、怒られてたっす。

でもなんかコウエイ様は嬉しそうだったっすよ。コウエイ様の事はアンタ!

って呼んでたっす」


お姉さんに怒られて嬉しいって、コウエイ様は前世では一人っ子だったのかもしれないな。


「【火神】ガラムドさんはそうですね~、コウエイ様は、ガラムドさんの事を

オジキってって呼んでたっす。ガラムドさんはコウエイ様の事を悪たれって呼んでたっす。

なんかいつも二人で酒を飲みながら、次に作る変な物の相談とかしてたっすね」


ガラムドさんと火縄銃を作ったんだろうな、確定。

でもコウエイ様は楽しい生涯だったんだね、羨ましいよ。

俺もそんな仲間達とこの世界で生きて行きたいな。孤島から出られたら出来るだけ消息を探してみよう。

【迅狼剣神】ガルゼ、【毒姫】キリーネ、【百面】サーシャ、

【大賢者】パイノワール、【火神】ガラムドだな。覚えておこう


「分かった。あと何だっけ?あ、勇者って何なんだ?」


「ボクも良く知らないっす。勇者って言うのは、教会から神器の使用権を託された存在らしいっす。ゼゼロフ将軍もヴァルク将軍もコウエイ様も、勇者が神器を使って亡くなられたっすよ」


何だ?その最終兵器!

「その神器ってなんだ?」


「ボクには分かんないっすよ~。天空神が外の世界から持ち込んだ兵器だと思うっす。ピカッと光ってバリッとなったらコウエイ様が倒れて、ボクも意識が無くなったっす」


インドラが持ってた武器、ヴァジュラ?だっけ?そんなようなもんだろうな。

対策は今考える必要はないな。何も出来ないし。


「勇者って、【界審の儀】の人族の転生者なのか?」


「そうっすね。コウエイ様の勢力が侮れなくなったので、天空神の使徒が神器を貸して介入したらしいっす」


「でもコウエイ様は60年位生きたんだろ?どちらも老人になってないか?

老人の勇者だったのか?」


「コウエイ様は最後まで若々しかったっすよ。使徒の種族特性っす。

勇者も若かったっすよ。多分、天空神が加護を与えてたんでしょうね~。

そもそも勇者は、前回以前にいたかどうかも分からないっす」


ボッチの初代、ヒャッハーな2代目、村長さんの3代目に対しては勇者の投入はないだろうな。孤島でボッチな俺にも当面関係ないか。この島に引きこもれば種族特性的にかなり長く生きられる様だが、ボッチ生活に耐えられる自信がない。苔むした仙人みたいになりそうだ。コウエイ様の志を継承するかどうかは、人の姿になって島を出られる方法を見つけてから考えよう。


しかし、転生していきなりこんな情報を得られるとは思わなかった!ふじこ?改めケット・シー君に感謝!コイツの存在は、他の転生者に比べて凄いアドバンテージじゃね?頼りになる先生だよ。


「お前みたいなガイドエレメンタルは他の転生者にもいるのか?」


「ボク達を選択出来るのは星母神の使徒だけっすよ。今までコウエイ様しか選んでくれなかった理由が分からないっすよ。使徒以外の種族は、親とか同族とかいますから、ボク達がいる必要はないと思うっす。天空神の使徒にボク達みたいな存在がいるのかは分かんないっす。でも何らかの手段で天空神の意向が分かるんじゃないっすかね?」


あ~、理解出来たぞ。ガイドエレメンタルは、使徒に星母神の指針を説明する存在で、多分ふじこ?の原因は、天空神側の嫌がらせなんだろう。【界神の儀】の取り仕切り役らしいし。

星母神の使徒の3代目までは、ふじこ?の意味が不明なんで、選択しなかったんだろうな。文字化けだけで、なんという効率的な妨害工作だ!

おかげで、天空神の使徒は効率的に天空神の秩序普及に邁進し、星母神の使徒は何をしていいか分からずに、迷走したんだろうな。

でもヒャッハーな2代目は駄目だろ。


「コウエイ様が最初にお前を選択したんだよな?その時も最初からこんないろいろな情報を説明出来たのか?」


黒猫がもじもじしながら俺を上目で見つめる。

「前回のボクが最初に知っていたのは、星母神様と【界審の儀】についてだけっす。その他については、コウエイ様と生きた62年の歳月で得た情報っすよ。」


そうか、初代からずっと、ふじこ?を選択していれば、もっと情報が蓄積出来て

いたんだろう。やっぱケット・シーは凄い存在だった!俺ボッチだけどなんとか

やっていけるかも?コイツがいれば話相手もいるし。

ありがとうございます星母神様。友達になろうね、ケット・シー先生。

あ!まだ聞いておくべき事があった!


「先生、この世界の地理を教えろください」


「....先生ってなんすか?あと何故口調が変わったんすかね?まあいいっすけど。

説明してきたとおり、現在この世界の在り方を星母神様と天空神が争っている状況っすよ。まだ天空神の介入で、全世界を掌握出来ない状況なんで、

星母神様と天空神の協定で、まず地域を限定して、【界審の儀】により支配権を

掛けて勝負をする方向になったらしいっす。コウエイ様はβ版の世界って言ってたっす」


地域を限定的してっていう事は、地球のコピー世界でも一部の地域だけって事か。


「師匠!地域を限定って、具体的にどれくらいの範囲なんでしょうか?あと気候とか教えろください!」


「....師匠ってなんすか?あと変な敬語が気持ち悪いので元に戻してくださいっす。地域についてはボクも把握してないっす。ボクが分かるのはコウエイ様が認識していた地域だけっす。気候については北は寒い、南は暖かいって感じっすよ。

コウエイ様が建国しようとした地域は、北寄りの地域だったんで、冬は結構寒かったっすね。教会の本部があるマルク王国はその南っすね、まあ今どうなってるかは、正確には分からないっすけどね。

さらに南の方は良く分からないっす。行った事ないっすから。

ただマルク王国のもっと南には魔王が降臨した大樹海があるっす」


大樹海。俺の出自の選択肢にもあったな。北と南で寒暖の差があるって事は、

日本と同じ様な位置取りか?俺が今いる孤島はどの辺なんだろう?


「俺が今いる孤島は、何処でどんな気候なんだ?」

敬語が気持ち悪いと言われたので普通に戻した。


「う~ん、ボクも知らない場所です。マスターが目覚める前に外で星を観ましたけど、多分、かなり南の島っすよ」


南の島でサバイバル生活。俺はフローネになるの?


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