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この身体が嫌すぎる

30分程飛んで洞窟に戻った。火傷をした両腕がヒリヒリする。

川にしばらく浸す。

「ロップ、この火傷はどの位で治るかな?」


ロップが座って毛づくろいをしながら、適当そうに答えた。

「そんなのかすり傷っす、明日になれば治ってるっすよ。レイ様はヘタレっす」


ロップにヘタレと言われた。昨晩のスピードの敗戦を根に持っているのかもしれない。しかし、ゲロ?痰?を吐きかけられ、屁をこかれ、トモダチ(ロップ)にヘタレと言われる。

チャラ男君、キミが言ってたように俺の人生はヘルモードのようだ。


俺が今まで出会った魔物(トモダチ)は、


・海サソリ君:カニ網を壊されたのには腹が立ったが美味しかったよ。

また会おうね。(捕獲!)


ダイア()ラット()君:見かけただけ。でも今度は遊ぼうね。(狩るぞ!)


・大カギムシ君:初対面でいきなり痰を吐きかけるのは駄目だよ。

もう会いたくないね!


・赤ヘッピリムシ君:君も初対面で屁を浴びせたね。失礼ではないかね?

今後のお付き合いは控えさせてもらうよ。


ゴブリンの集落を発見!とかオークに襲われてる女騎士(くっころ)の救出!

とかないのかね?


気を取り直して昼飯にしよう。ロップには滝壺に沈めて置いた干物を与える。俺はワスプ(スズメバチ)の実を数個と、行者ニンニク?を試してみよう。


行者ニンニク?の一部を生食してみた。調味料は塩しかない、だがオリーブオイルがあったな。少しだけオリーブオイルを垂らし塩を掛けて食べてみた。

うん!ニンニク臭が口の中に溢れるね。前世の行者ニンニクより強烈だ。

残りの行者ニンニクは昼飯後に保存食にしてみよう。

毒フルーツは皮ごと齧り付く。美味い、美味すぎる!

何処かの銘菓のキャッチフレーズを思い出した。これも昼飯後に絞ってみよう。

コウエイ様の遺産に絞り機みたいなのがあったから試してみよう。

ロップは魚介系にしか興味が無いようで、俺が行者ニンニクや毒フルーツを、

美味そうに食べてる時も暇そうにアクビをしていた。


さて後片付けをして作業をしよう。前世で近所にあったネパール料理店の店長に

教えてもらったグンドゥルックを作ってみよう。行者ニンニクと昨日採ってきた

ノビルの葉を、鉈の背で繊維を切る様に叩いた。その後干し網に入れて干す。

今日中には次の工程は無理かな?次の工程は、葉っぱがシオシオに萎びてきたら漬物樽にぬるま湯を入れて重石をして放置する。

水が黄色くなってきたら再び取り出して干す。前世では大根の葉とかカブの葉と

かで作ってたよ。乳酸発酵してるので酸味が付いてなかなか美味いんだよね。

味噌汁とかカレーにも入れてたな。塩を使わない珍しい発酵食品だ。

後で調べると日本にも木曽の辺りで"すんき漬け"っていう無塩発酵の漬物があるらしい。やっぱ山奥だから塩が手に入れ難かったんだろうな。

取り合えず干し網に入れて様子を見よう。


そして次は毒フルーツを絞る。絞って絞って絞り切るのだ!物置整理の際に見つけた絞り機みたいなのを使おう。晩飯のデザート様に少しだけ残して毒フルーツを絞り機?の中に全部入れた。そしてこのハンドルをセットしてぐりぐり回せば、下から果汁が出てくるんだろう。出口に果実酒用の瓶を置いてハンドルぐりぐりを始めた。ぐりぐりぐりぐり。

結構絞れたね、まあ土嚢袋で3袋分だからな。舐めてみるとゾクゾクするが凄く美味い、このままゴクゴク飲みたいな。

絞った毒ジュースを入れた果実酒用の瓶は物置に保管する。ワイン?になるといいな。明日も上流探索を続行だ。ワスプ(スズメバチ)の実を採りに行くぞ!


そういえば忘れてた、魔石を吸収しよう。大カギムシから3個、赤ヘッピリムシから6個ゲットしたんだよな。川でよく洗ってから、まとめて手に握りしめて吸収した。


....特に何も感じないな。これ意味あるのか?

「なあロップ、魔石を吸収したけど何も感じないぞ。これやる意味あるのか?

気色悪い魔物を解体して魔石を採る必要があるとは思えないんだが」

「継続は力なりっすよ!身体能力も上がるし、総魔力量とかにも影響するらしいっす。コウエイ様も最初の頃はガンガン魔物を倒してギュンギュン魔石を吸収してたっすよ!(まあ、副作用もあるんすけどね。ゴニョゴニョ)」


また後半が聞き取れなかった、何か俺に隠してるのか?でもちょっとはパワーアップしてるのかな。

時計を確認すると16時過ぎだ。毒果実を絞るのに結構時間かかったからな。

晩飯はロップにはまた干物だ、2枚でいいだろう。俺は最後の海サソリの尻尾を食べる、今夜は質素に行こう。


その晩、ロップがリバーシでの再戦を要求してきた、だが俺はまだその時ではないと判断し却下した。キミはまだチャンプに挑むにはスタミナ不足なんだよ。

するとロップはスピード以外のトランプでの対戦を挑んで来た。仕方がない、俺は大富豪で対戦する事にした。

初回は配カードに恵まれなかった。2もジョーカーも無かったが、下位カードとスペードの3と、9が4枚手札にあった。

序盤はロップが意気揚々とカードを切ってきたが、俺が出した1に対してロップがジョーカーを出した後から形勢が逆転した。

ふふふ、キミはスペードの3の意味を知らなかったのかね。

スぺ3は単独ジョーカーを殺せるのだよ。その後9を4枚出して革命した。

ロップは2を4枚持っていたのだろう。なぜ俺の1に対してジョーカーを使ったのか意味不明だ。うにゃうにゃ喚いていたが俺の勝ちだ。その後は大富豪ルールのカード交換を行ってゲームを続けて5連勝すると、ロップが不貞腐れて試合放棄した。やっぱりロップにはまだまだスタミナが足りないようだ。


翌朝は寝坊した、ロップが吹き散らすリコーダーの音で目が覚めた。

腕時計を確認すると午前8時。なんか身体の感覚が昨日と違う。

喉に痰がからんでる感覚と下腹が熱い感覚がある。取り合えず川に行ってうがいをする。喉の違和感が取れない。かーっ、ぺっ!痰を吐こうとした俺は恐ろしい光景を見た!俺の口から水色の粘液が網状に放射された!

なんだこれ!あの大カギムシの、げろんちょと同じじゃねーか!慌てて俺は、

笛を吹いてるロップを呼んだ。

「ロップ!なんか俺の口から、あの気色悪い魔物と同じゲロが吐き出されたぞ!これはなんだ!」


「おめでとうっす!魔石を吸収すると、その魔物の特性を得られる事があるっすよ」


なんだと!以前にごにょごにょ言ってたのはこの事か!そしてこの下腹の熱い感覚はひょっとしてヘッピリムシの特性か?

俺はパンツを下げて屁をしてみた。パオン!という炸裂音と共に俺の尻から熱い気体が放射された。


ロップが肉球を叩いて爆笑している。なんか殺意がわくぞ!


「おい!こんな能力要らねーぞ!どんどん化物になっていくじゃねーか!大体なんだよ屁って、いきなり尻見せて屁をこけっていうのか!」


ロップが笑いを堪えながら答えた。


「大丈夫っすよ。使徒は進化する時に能力の取捨選択が出来るらしいっすよ。

コウエイ様も最初の頃は、口から糸を吐いたり、臭い息を吐いたりしてたっす」


....成程、コウエイ様がキリーネさんの実験?に消極的だったのはこれが原因か。

早急に進化をしなければならない!しかし使徒の身体ってどうなってるんだ?

新たな器官が身体にできるのか?ゲロ生成器官とか、熱い屁の生成器官とかが

俺の身体にあるのか?嫌すぎる。


「なあロップ、俺はこれ以上、人外の存在になりたくない。魔石の吸収は

止めようと思うんだが。進化の為には魔力量の増強の訓練を続ければいいんだろ?」


「う~ん?でも魔石を吸収した方が成長は早いっすよ。要は早く進化をすればいいんっすよ。そこはレイ様の判断っすね」


....仕方がない。この身体は嫌だ。ゲロ生成器官と熱い屁の生成器官がある身体は嫌だ!これからも魔石を吸収してとっとと進化してやんよ!


いつのまにかブックマーク登録がついてた!ありがとうございます。

感想とかも頂けると、今後の参考と励みになります。

零細小説ですが、読んでくださった方々ありがとうございます。

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