はじまりの日
一話です。クソ読みにくい上にクソつまらないと思いますが片手間にでも読んでみてください
「という訳で了義飛鳥君、わしの不手際で君は死んでしまったんじゃよ」
「は?」
白を基調とした厳かな雰囲気を漂わせる神殿の様な場所で自分を殺した、と言う謎の爺さんと殺された当人—つまり俺、了義飛鳥は対面していた。
「いや、は?と言われてもな、言った通りじゃ。ちょっとわしが寝ぼけながら書類整理をしておってな、そこで君の生きているデータを間違って消してしまったんじゃ。それが原因となって乗っていた修学旅行のバスに雷が落ちてしまったんじゃ。申し訳ないの」
神を語る男はまるで朝食の話でもするかの様に気軽に言う。
人を殺したくせにヘラヘラと、ゲームデータをリセットした程度の重さで言葉を投げかけてくる男にオレはどす黒い感情が湧き上がるのを感じた。
「テメェなに軽い口調で話してんだ!人を殺したんだぞ!?」
「落ち着きなされ落ち着きなされ、このわしが謝っているんじゃぞ?他の転生者たちはもっと寛容じゃったし大人びておったぞ?」
一発ぶん殴るか?
そう考えるもここは冷静に行こうと決め心を落ち着かせる。他の転生者とか行っていたしそうやってオレも異世界に送り込まれるのだろう。
でもこのまま何もしないで異世界に行ってやるのは気持ちがよくない。異世界転生に付き物のチートでこいつに一発仕返しをしてから旅立とう。
「ああそうかよ…なぁ、オレはお前の不手際で死んだんだよな?ならばそれ相応の利点はなにかあるのか?」
「あるとも!君には一つだけチート能力を授けよう!」
神は左右に大きく腕を広げてタッチパネルの様なものを呼び出す。そこには豪華絢爛、装飾のしすぎですやたらゴテゴテした剣や盾、ハーレム権と書かれた書類などがあった。その中の一つにオレが探していた物があり一安心する。
「じゃあこの何でも当たれば殺せる銃をくれ。これは分身とかに当たったら本体ごと死んで再生とか復活はしないのか?」
「そうじゃな、分身も本体もまとめて死ぬはずじゃ…絶対防御とかハーレムとかではないのだな?他に追加で能力はつけられんぞ?」
「構わない。…異世界にはどうやって行くんだ?その渦みたいなのに突っ込むのか?」
オレの指差す先には青と白で構成されたいかにも、といった渦があった。
「そうじゃの。ゲート自体はほとんど開いておる、あと少しすれば開けるじゃろ。あ、これが銃じゃ、取りに来てくれ」
こちらには顔を負けずにホイ、と手で銃を渡してくる。それを受け取り宙に向かい構えてみる。
…軽い。兄の持っていたガスガンの方が断然重い。悪趣味とさえ取れる邪魔な装飾の重さが感じられないのはやはりチートでできているからだろうか?
「…これ発砲するのに特殊な操作とかはあるのか?」
「簡単じゃ、トリガーを引くだけで良い。リロードなどは不要じゃからな。…良し、ゲートは展開した!あとは君が触れれば異世界へ行けるぞ!わしは最終確認をしているから来てくれ」
未だ顔はこちらに向けない。もちろん警戒なんてものは感じられないしなにより好都合だ。
「…ありがとよ、じゃあな」
そう言いながら銃口を頭に向け、トリガーを引く。
狙い通りの弾道で凶弾は進んでいき、神の後頭部から鮮やかな赤い花を咲かせて生命活動を停止させる。聞いた能力の通りならばこいつは死んだ。
さっさと異世界に逃げよう。異変に気付いた人が現れるかもしれない。
「待ちな坊主」
ゲートに触れようとした瞬間、頭上から声をかけられる。低く重く、地の底から響くような声だ。
やばい、もう追っ手が来ていたか!そう思い急いでゲートに行こうと足を踏み出す。
「待てって言っただろうが!安心しろ、俺は天使の連中じゃあねぇ、お前の味方だ!」
が、声と同時に足を変な帯状の物で絡め取られ転ばされる。
「いってぇ!なにしやがん…だ…ってどうなってんだお前!?」
「おっ、俺を見て驚くだけとは坊主やるな、ますます気に入った」
そこには全身が黒い炎で構成された存在がいた。見るだけでこの世にいてはならない存在だと言うのがわかる外見でこのままだと正気ではいられなくなる気がしてならない。それほどおぞましい姿をしている。
「お前、その銃ここに置いていくつもりだろ、だったら俺と契約して連れて行け、いい助けになるぜ?」
「…何で見ず知らずの奴がそんな事を提案するんだ?」
「お前はあのクソジジイをぶっ殺して結果俺を解放してくれたからな、そのお礼と俺の力を取り戻したいからだ」
そう言いながら死んだ神の体を触手で掴み二つに折り、体と思われる部位の炎で遺体を焼く。
数秒して触手が体内から引っ張り出してきたのはほぼ溶けてしまっている頭蓋骨だけだった。
「…やけに正直に本当の理由を話すな。連れて行くにしてもお前は何ができるんだ?」
「銃になれる。その時のお前にぴったりの能力値に勝手に合わせられるお前だけの銃にな」
「採用。かっこいいなそれ」
「ありがとよ、じゃあ腕出せ。この姿でついていくのは邪魔になるからな、腕輪になるから身につけておいてくれ」
炎がより強く輝き目を覆うと次の瞬間さっきまであった炎と触手の集合体はいなくなっていた。代わりにオレの目の前に浮遊する銀の腕輪が現れていて、それを左腕に装着する。
「じゃあそろそろ行こう。ところでお前、名前はなんて言うんだ?」
「俺か?俺の名はクトゥグアだ。これからよろしくな相棒」
この後どんな事が起こるのだろう、オレはそう胸に大きな不安と少しの希望を抱いてこの世界から姿を消した。