12話 【ナラ村散策】
ケイン『平和だぁ』
ジャフィン『村だし』
次の日俺とケインは村を歩き回っていた、そして
昨夜の夜食時に父さんから驚きの話を聞いた
『お前ルーカストアで有名だったらしいな』
『え?なんでだ?』
『ルーカストアから来た英雄ショーの人が言ってたぞ?ミューリアに規格外な冒険者が現れたって、なんでも中位職の有名なチームを瞬殺したってな』
『ぎくっ・・・』
『名は銀狼のジャムルフィンと首狩りグスタフと・・・な、クフフ!お前は格好良くていいが、グスタフは何やったんだよ・・・ハハハ!』
夜食の時に父さんは腹を抱えて笑っていたな・・
そんなこんなで村にその話が出回り
『おお!ジャフィン君じゃないか!戻ったのだな!』
『ジャフィンお兄ちゃんだぁ』
『あらぁジャフィン君じゃなぁい』
『銀狼さんだぁ!』
俺はかなり話しかられてしまうのである
ケインもなんか横で軽く笑っている
『なんか有名人じゃないですか?』
『何故だ・・・』
俺は少し恥ずかしかった、悪い気分じゃないが
慣れてないんだよこういうの
隠れて移動したい・・・切実に
俺は村の商店街に来た、なんか少し商店街が立派になっているような気がする
ところどころに兵士も複数いた、ベリト副将の部下だろう
俺を見つけると近づいて先頭の兵が俺に声をかけてくれる
『ジャムルフィン名槍士様!お疲れ様です!』
『え・・・メーソウシ?』
俺はなんか変な異名をつけられている
少し思考が止まってしまった
『先日は一部の兵が粗相をいたし申し訳ありませぬ!ベリト副将に早急に帰還の報告をしてますので明日には来ていただけると思います!』
『あ・・・はい』
横でケインが店にある熊の人形を眺めている
俺はどう反応していいのか・・・
『明日にはどうかお住いの家にてお待ちいただければ光栄です』
『ああ大丈夫だ、ベリト副将にはいつも助けてもらっているからな』
『感謝します!!』
そうして敬礼をしてその兵は後ろを向くと他の兵士も同じく向き
どこかへ歩いていく
『ジャフィンさんなんか人からのアタリが変わりましたね』
ケインは熊の人形を買ったらしく胸に抱きしめながら聞いてくる
『うぅむ、どう反応していいのか・・あはは』
苦笑いしかできんな、まぁ悪い事じゃないから良しとしよう
また暫く歩いていると村の衛兵達が急いで村の門の方角に向かって走っているのが見えた
その先頭には見覚えのある人見つけた
『ん・・あれは、レイさん』
そう、彼は父さんの後任でこの村の衛兵長となった衛兵だ
しかも歳も意外と若かった
父さんの話では彼女ができたとか、フゥ!
俺は急いでいるレイさんに大声で声をかけたのだ
『レイさん?何かあったのですか?』
『おお!ジャフィン殿じゃないか!丁度良い・・・力を貸してくれ』
レイさんは動きを止めてこちらに近付いてきた
俺は頭を傾げて何だろうなと思ったので聞いてみることにしたのだが
『北門の方から魔物が出現して通行ができないとの一報をきいたのです』
『なるほど、して・・・魔物とは』
『ハイゴブリンとゴブリンキングです!早急に対処しないといけないのですがゴブリンキングとなると我らと駐在している兵士では心もとなく・・』
『なら俺が倒しとくよ』
『へっ?』
俺はケインにお家に帰っていろと言い
手に持っていた槍を握りしめて口を開いた
『大丈夫です、やっとくのでいつも通り仕事していてください』
『ですが、ランクBの魔物が』
俺はテクテクと家に戻るケインを守りながら
レイ衛兵長に視線を向けなおす
『魔滝で父さんが担当した門のとこですよね、行ってきますので一応門の周りに数人待機させてくれるだけで結構です、では』
『えっ!ジャフィン殿!?ですがっ・・・あっ!』
俺はレイさんの言葉を最後まで聞かず
風を起こしながらビュンっと走り抜けた
今の俺の足ならそこまで10分あればすぐだ
狼気も全回復だ、槍もいつも持ち歩いてるから万全だ
道の途中で少し寄り道をした、
丁度いい奴の家があるから誘ったのだ
『マジかぁジャフィン!キングは俺に寄越せよぉ!ハハハ!』
『お兄ちゃんまた弱い物イジメ!?』
『違ぇよルーシー!魔物退治だ!』
『やっぱり虐めじゃん!』
『だぁー!ちげぇよ!』
グスタフだ、適度にこいつも魔物と触合わないと
多分倒れるんじゃないかなと不安だ、言い過ぎか?
ついでに妹のルーシーもいた
グスタフに似合わずとても可愛い15歳だ
ルルカと同い年だ、グスタフは大剣を取りに家の奥に消え即戻ってくる
そして俺とグスタフは全速力で北門へ行ったのだ
ルーシー『弱い物イジメ』
グスタフ『なんで!?』