28話 【アバドンの狼】その② リミッター解除
ジャフィン『さぁドーピングのお時間よ~』
ゼファー『わーい』
『匂いが変わったか・・・本気で行くぞ』
ゼファーの目の色が変わった、青い瞳が俺を睨みつける
『いくぞ・・・銀彗星』
空気の壁を何枚もぶち破りながら一瞬でゼファーの目の前に到達する
お前は低く飛んでいるんだ、途中で止まれない助走をしているのだ
『吹っ飛べ』
『グヌゥ!?』
ゼファーの頬に俺の拳がぶち当たる、本来は槍の技だろうが
槍で来ると思っていたであろうから拳にしたのだ
放つ瞬間に槍を下に投げたのだ、ゼファーは一瞬それを見た
それが駄目だった
俺の拳も音速を越えたのだろうか
また空気の壁を突き破るように白い幕を突き抜けて
彼を吹き飛ばした
この技は音速を越えて強力な攻撃する技なのだろうか
研究が必要だ
『グォォォォォォォ!』
ゼファーは足で地面を抉りながらで踏ん張るが後ろ脚の片方がまだ機能しないため
踏ん張っている途中でバランスを崩し倒れながら飛ばされていく
ギリギリ外側の木に当たる前に勢いが止まり、彼は素早く立ち上がるが
『・・・・これは』
ゼファーの前には50匹の銀の狼が彼めがけて突っ込んでいる
奴を吹き飛ばした後、俺は槍を拾ったのだ
そしてここ技を即放った
もう一つの新技である銀寵乱を続け様に素早く飛ばしていた
当たると爆発が起きる自爆付きの銀狼が50だぞ?嫌だろう
『小癪な!!』
ゼファーが50匹もの銀狼の攻撃を掻い潜り
目の前の邪魔な銀狼を爪で薙ぎ払い爆発を耐えながら消滅させるが
それでいい、それが狙いだ
『本命はあるぞ!』
『!!?』
消えた攻撃から彼が見たのはシルバーダンスだ
俺の技、数秒間だけ傍若無人に対象の周りを駆け抜けながら攻撃する技
それをシルバシルヴァの状態で放ったのだ
でかい
ゼファーと同じくらいの銀狼だ
彼は大きく吠えた、そして前足の爪で攻撃したが避けられたのだ
そしてシルバーダンスはすり抜けながら爪で切り裂き
ゼファーの側面に傷がつく
俺が続けてゼファーを残歩で攻撃して
彼の周りで爆発が起きるがヨロけるだけだ
『なんだこれは!?』
『狼の踊りだ』
すぐにシルバーダンスは方向転換しゼファーに向かうが
ゼファーはシルバーダンスとカキンン!と音を鳴らしながら
交戦しているがもうシルバーダンスが消える頃だ
俺は持てる全てをここで出すことにした
『銀超乱!!!』
『続けざまか』
『一気に行くぞ』
シルバーダンスが消えた瞬間に
ゼファーを50匹の爆発する銀狼を槍で放ち出現させた
全力で狼気を込めたんだ、多少でかい
『これほどとは・・・第二の道でここまでくるのか』
ゼファーはバチバチと体が光りだして放電した
彼も出し惜しみは完全にしないつもりらしい
俺は槍の石突に力を込めながら頭上にジャンプした
『まだ見えてない筈だ!』
ゼファーから俺はまだ見えない!
俺が見えない様に放ったからな
これにかけろ!この後は何も考えてない!
一気に流せ!全ての狼気をここに!
俺は全てをかけてゼファーに立ち向かった
『銀彗星!!!』
上空からパァン!と音を立てて
ノーモーションから俺は一気に音速を越え
空気の壁を何枚もぶち破りながら銀超乱に突っ込む
シルバシルヴァ発動のお陰の超速スピード銀彗星だ
遠くから感じたゼファーの動きを読み取り
自分の技を自動で一気に爆発させる
視界は砂煙で見えない、だがわかる
空中からでも彼の動きが
突き抜けた煙の先にはゼファーがいた。銀超乱が爆発したことにより
一瞬止まってしまっていたのだ
ゼファーと目が合った、彼は驚愕を浮かべていた
その顔を拝めるのが瞬きする程度の時間しかなかった
俺は心の中で祈った
沈め雷帝
『グハァ!!!』
ズドォン!!!!
と大きな音を出してゼファーに命中し、彼は俺の技の威力で地面に深くめり込み
大地が一瞬大きく揺れた
直径10メートルのクレーターができた
その中にゼファーがいる
俺は直ぐにバックステップで離れて様子を見る
ジルバシルヴァは切った、狼気が残量無しで膝をつく
今日は完全に回復し無さそうだな・・・
『・・・みんな倒れているか』
周りを見るとナッツは剣を拾ったのはいいが
安心したのか剣を掴んだまま気絶していた
ルルカは意識を取り戻していたらしくグスタフに支えられて立っている様だ
身長差あるから支えづらそうだ
グスタフはいつの間にか起きていたが
タイミング的に邪魔になると思い参戦しなかったのだろう
俺は祈った
『起きるな・・・頼む・・』
『・・・・・』
ゼファーは立ち上がらない
俺は少し様子を見ようと近づいた瞬間
小さく声が聞こえた
『素晴らしい力だ・・・その力慣れしていない事が幸いしたが』
『う・・・そだろ・・・』
俺は驚き口を開けたままになった
『あり・・え・・ないですの』
ルルカも呟いていた
グスタフも苦笑いだ
そのままゼファーはムクりと立ち上がりこちらに歩いてきた
『・・・丁度後ろ脚に力が戻ったのも良かったな・・・当たった瞬間威力を外側に分散できた、お主・・・その力・・・存分に鍛錬すれば今以上になる』
俺は両膝をついたまま聞いてみた
『倒れなかったのか・・・』
『ギリギリだぞ・・・』
ゼファーの呼吸が荒い、体を上下に動かして体で呼吸する感じだ
そして座りだした
『まぁ足が戻ってなかったら意識が吹っ飛んでいただろうな、流石だ・・・もう満足だ』
そう言うと彼は緑色に光りだして唱えたのだ
『エリアヒール』
この50m四方の空間にいる者が光りだした
そして俺たちの傷は消えていった、こんな術も使えるのか
心底十天は凄いと思った
彼は本気だとしてもだ
彼のちゃんとした戦い方じゃなかったのだろうと今知った
雷を使うならそれに応じた方法で戦うべきだ
気を使い、自分の肉体能力だけでの本気だったのだろう
不慣れな戦い方での本気だったのだと俺は推測する
そんな攻撃をしてこなかった
基本受けてみたかったんだろうな
遊んでいるように見えたのは不慣れな証拠なんだきっと
至って真面目に相手してくれたのだろうなゼファーは
『ジャン!?大丈夫?治った?』
ルッカが俺が立ち上がるのを手伝いながら言葉をかけてくれる
『張り切り過ぎた・・・凄いな・・最弱って化け物だ』
『フフフフッ本当らしいけど嘘にしか聞こえない強さよね』
『ああ、ハハハ』
俺はルッカの笑いに答えるかのように返事をしながら笑う
グスタフも満身創痍だろうな
『ルルカ、大丈夫か?』
『少し大丈夫ですの?』
『意味わかんねぇんだが?』
『わかれですのっ』
グスタフはルルカと軽いコントをしていた
俺は近くの石をナッツに投げて起こした
ゴンっと頭に当たった
『ふぁぁぁぁぁぁぁぁ!!ゼファーさんが追いかけてく・・・あれ?』
『何夢見てんだよ』
こいつ気絶して夢見ていたのか
安眠スキルの効果か?どこでも寝れるもんな
『良い体験ができた、感謝しよう銀狼ジャムルフィンよ』
『ああ、強敵とちゃんと戦えてよかった』
『我もだ』
グスタフがルルカをおぶって近づいてきた
途中声が聞こえた
『ちょ・・グスタフ!恥ずかしいの!やめなの!』
『あぁん!やかましいぞ大人しくおぶられとけよ』
『うぅ~』
ルルカの顔が赤い、恥ずかしいのか
ナッツも立ち上がり体の状態を確認していた
『僕は大丈夫そうです』
『それは良かった』
そしてゼファーが口を開く
『お主等がどう進むか・・・我は見ておくぞ、まぁ出口までは送ろう・・・また来るのであろう?番の女からお前が寝ている時に詳しく聞いたのでな』
ルッカが赤くなるが無視しとこう!
『そうですね』
『その時は・・・クフフフ、伝説と出会えるのだな・・・震えが止まらぬ』
余程嬉しいらしい、尻尾がブンブンなってる
可愛い
俺たちはこうしてゼファーと戦い
一先ずここで今できることが終わったのだ
一度ミューリアに戻ろうと帰り支度を開始した
第4章 【王女と届かぬ子守唄】 完
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ゼファーと戦う1週間前の出来事である
『キャメル君、彼はいつ頃戻るだろうかなぁ・・・泣きそう』
『ベリト副将・・・それは私にも予想が付きません、大きな旅なので』
『ふぅむ、何回かはこちらに戻ると言う話らしいが』
『その戻るのはいつなのかも・・すいません』
『いやいや!御免ね、なんか色々聞いてしまって・・だた』
『はい・・・』
ベリトは困った顔で溜息を吐いた
『俺のせいなんだよねぇ・・・ごめんよキャメル君、ムキになってしまって』
『ジャフィンさんに熱い信頼を副将がしているのは私としても嬉しいです!!』
ベリト副将は腰に手をあてて苦笑いをしつつ答えた
『はぁ~・・・ジャフィン君がいないの知らずに大会に推薦してしまったし・・うぅ』
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次回第5章 【ゼリフタル武人祭】
ケイン『そろそろお家返して!?!?ねぇ!?!』
ゼファー『安心しろ』
ケイン『何がです!?!?』
ゼファー『まぁ任せといて』




