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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
14章 ディロア大決戦 涙を流す勇者に黒騎士は決意し、少女は想う
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77話 決戦 恥をかかぬ為にチームは頑張る

チーム『マイペース』

俺、マルス、アビゲイル、アレン、エイミー


チーム『強癖』

アルセリア、タツタカ、ナッツ、アリス


適当な名前を付けて俺達は部位報酬金額で争う事になった

負けた者は夜食時で恥をかく事になるが男はパンツ一丁で、女性はバニーガールの衣装で飯という屈辱だがエイミーだけはバニーガールなりた~いと逆に乗り気でいるけども俺達は負けたくはない

なるなら勝手になってくれ・・・エイミー・・・・

既にゴブリン4体の牙を収納して俺が担いている大きな皮袋の中に入れたが袋が大きい

まぁ大物を見つければ問題ないだろうしいいか


川沿いを上流に歩きながら進むが川が大きい、向こう岸迄渡る前に流されそうだしそれなりに深い

森を歩くには効率が悪い、足場が悪いと言うよりも獣道が多いのだ

ならば比較的に足場が整った川の近くで魔物を見つけた方が良い、しかも魔物は水辺に集まるし一石二鳥だ

俺は後ろを守り、先頭はマルスとアビゲイルだ・・・エイミーは真ん中だな


『見違えたな』


俺の言葉で皆振り返る

どういう意味でいったのかマルスは聞きたがっていたので俺は見たまんまの事をもう一度彼らに聞こえるように歩きながら話したのである


『初めてアビゲイルやアレンにアリスを見た時は無垢そうな新人冒険者の目だったが今は違う、まぁ冒険者が体験する前に引退するような大きな事に参加したんだ、色々見て色々感じて色々覚悟を決めた奴だけが見せる目を持ち始めてる感じかな・・・』


極限まで彼らは奮闘した、報酬はないが一番大事なものを手に入れたのは金では得られない覚悟である

上辺だけじゃなくやらなければならないという間違った綺麗さを払拭した決意を彼らは知ったんだ

きっとカレジリージョンはここから予想もつかない成長を遂げると俺は思っている

突然出て来たグランドパンサー、ランクはCだが1頭

アビゲイルは飛び込んでくる魔物を地面を滑りながら腹部を槍で突くと正面からアレンが両断するという連携攻撃を見せて来たが綺麗だ、迷いがない

考えて動いたと言うより勝手に彼らはこうした方がいいだろうと体に身を任せたような素早さ

それを上位職になれば十分に活かされる


アビゲイルは立ち上がると川を見つめながら口を開いたんだ


『こんなこと言うのはジャムルフィンさんに悪いとは思うのですが・・・』


『気にはしない』


『・・・あなたが国を守るために何万という兵士を犠牲に得た国の相続がいかに大きな事か僕達は表面上でしかわかりませんでした、仕方ない判断だったんだなと・・・でもそれがどんなに桁外れな選択かは今ならわかります、それが出来るからあなたはこんなにも強いのですね』


あの時に良い策はあれしかなかった、全力で天銀を龍に落とす事のみ

次の隙など絶対ないと思って俺は仲間達を犠牲に皆吹き飛ばして殺した、龍を倒した英雄となれば聞こえがいいが実際は汚い


『俺達は国で一番のチームをマルスさんと目指すぜ』


アレンは剣を肩に担いでニヘラと笑う、マルスは2人の容姿を見てクスリと笑みを浮かべるとグランドパンサーの爪を剥ぎ取って俺に投げて来たので俺はキャッチして皮袋に入れて次なる敵を探そうとした


『みんな~下流からなんか突っ込んでくるわね~』


エイミーが告げるが俺も気に放っていた

来た道から何かが全速力でこちらに近付いているんだがアレンとアビゲイルは直ぐに俺の前に出るとエイミーは俺の横で2人に向かってスピードアップの術をかける

アビゲイルはエイミーの前で彼女を隠すようにして槍を構えるがそうしていると向かってくる正体に俺は気づいたんだ

阿修羅猪だ、だがサイズは小さい感じの気だな


皆のそれを告げるとアレンは苦笑いをしているがアビゲイルもそうだ、彼等の最初のトラウマである阿修羅猪だがサイズも多分小さいと告げると少しだけ安堵しているけども阿修羅は小さくても暴れん坊だ


『阿修羅猪は目を合わせた奴に突っ込んでくるからな!』


俺はそう告げるとマルス達は初めて知ったらしくて非常に驚いていたんだ

するとアレンが少し前に出始めるがどうやら最初の囮をする意欲があるらしい

彼は俺達に背中を向けて親指を立てるがやる気は十分、大丈夫だろう


『頼むよアレン』


『だぜ!』


マルスに鼓舞されて首を回すアレンだが数秒後、下流から川沿いを沿うようにして阿修羅猪が襲い掛かって来たのである

サイズは小さい、全長2m半ほどだがきっと下流から歩いてきた俺達の匂いに釣られて急いできたんだろう

皆武器を握りしめながら待ち構えるとアレンは阿修羅猪を凝視し始めたんだ

決して目を逸らすことなく俺を見ろと言わんばかりの大袈裟な視線に気づいた阿修羅猪はギロッと目つきを変えて僅かに角度を変えたが明らかにアレンにその体をブチかまそうとしていたのだ


思惑通りだったアレンは小走りに前に出るがこれは歩幅を合わせている

ギリギリで避ける為のタイミング合わせだと誰もが理解できるだろう、その回避で何を彼がするのかで俺達の行動も決まる

最初の1人目が重要なのだ


『ブギィィィィィィィ!』


『美味しそうなお肉!』


エイミーだけ緊張感のない言葉を口にするがアレンの耳には届いてないだろう

彼は迫りくる阿修羅猪に激突する瞬間に素早く体を右にズラしながら回転し、阿修羅猪の左目を軽く斬った

目というのは情報としては大部分を占める大事な部位であり僅かに斬られたとしても眼球のダメージは大きい

甲高い声で鳴く阿修羅猪はそれでも止まらないが止まらない事は誰もが知っている


俺はエイミーを抱き抱えて先に避けるが前にいたアビアビとマルスは左右に避けながら阿修羅猪の前足の付け根を狙って攻撃したんだが上手くいったようで阿修羅が前のめりに倒れたんだ

砂利を飛ばしながら転倒する変わった光景にアレンは口を開いた


『流石に力が入らなければ走れないな!』


彼は直ぐに阿修羅猪の背後に近付くが一定の距離は保っている

理由としては後ろ足で馬のように蹴りあげる事も阿修羅猪はするからだ

蹴られたら重症間違いなし、アレンは立ち上がろうと必死に前足に力を入れている阿修羅の頭部を狙って斬った目の死角から高く跳躍すると剣を振り上げながら闘気を込めていた

マルスやアビアビは気をそらそうと阿修羅の目の前でジリジリと距離を積めるが直ぐにアレンは剣を振り落として幹竹割りをぶちこんだのだ

敵の頭蓋を叩き割る剣技だが阿修羅には有効である

頭部から鮮血がしぶくとアレンは直ぐに飛び退く


『ビギィィィ!』


血を頭からダラダラ流して白目を剥いても阿修羅猪は誰もいない場所に走り出したが驚いたよ、筋肉を斬っていたと思ったがそれでも突進をしたんだからな

奴はそのまま大きな木にぶつかると木を薙ぎ倒した

流石の突進力だがマジでこいつは好き勝手走らせると痛い目をみる


『まだかよぉ!?』


アレンは驚きながらマルスの近くに歩み寄ると今度はアビアビが口を開いた


『ランクB+は流石にまだだろうね』


『こえー』


木を倒して振りかえる阿修羅猪にはきっと意識はない

多分感覚を頼りに走っているに違いないんだよ、鼻を動かしているがこれはどう見ても俺達の匂いで方向を決めている

目が片方無くても問題なさそうな魔物だけど問題なのはそのしつこさと暴れまくる面倒くささ

確実にダメージを与えた筈なのにアレンとアビゲイルそしてマルスは修羅猪の突進を何度も避けつつ機会を伺っている、勿論俺はエイミーを守りながら森の近くでなるべく阿修羅と目が合わないように彼女と視線を気にして戦いを見守っているよ


『ブギィィィィィ!』


『うおっ!!とぉ!!!』


ギリギリ突進を避けたアレンはただ避けるだけじゃなく、ついでに側面を斬ったりして相手のダメージを徐々に蓄積させるがアビゲイルもマルスも手段は同じ、避けながら斬る、突く

皮一枚でもいいのである、確実にそれがダメージへと変わっていく

すると阿修羅猪は変わった行動をとったんだが足を止めて川に顔を近づけると勢いよく水を飲み始めた

驚いたよ、疲れるんだなコイツ・・・小さいから体力がないのか?

にしてもマルス達も初めて見る光景に目を開いて驚いている


『小さくてもランクB+だからね』


『わかってますさぁマルスさん!無理しないで持久戦で行きましょう!』


アレンがそう答えたがそれでいいだろう、B+のランクを即倒せる事は難しい為に安定した持久戦に持ち込むしかないのだ

その方が彼等にとって事故を防げる、無理してごり押しでトドメを刺そうとする方が今は危険


彼等にはまだ早いからな、だがアレン達は伸びる兆しがかなりある

やり通すと言う強い意思を持っているからな、俺としてはかなりゼリフタルで勝手に注目しているチームだが他にもあるんだよ、俺は阿修羅猪と交戦している3人を見ながら考えたんだけどもカールとミミリーの2人しかいないエーデルリッターも確かに強い、それよりもバニアルドが天位職になれば彼のいるタイガーランペイジがどう変化するかが凄い気になるよ

あいつ何になるんだろうか・・・そのうち聞いてみたいけども今は結婚して夫婦生活を重視しているし復帰はまだいつになるかわからんな


そうしていると阿修羅猪に狙われたアビゲイルが地面から砂利を掴むとそれを突進してくる敵の顔面にぶつけて避けたんだ

古風だがいい作戦だ


『ブギィ!』


ゴンっと大きな音を立てて大きな岩にぶつかった

多分アビに砂利をぶつけられて目を閉じたのだろう、頭部から血を噴き出しながらも振り返るが残った右目は薄目に近いし視界は良好とは言えない筈だ

しかも前半でアレンの唐竹割を頭部に食らっているんだしダメージも相当だと思うがそこまで深く頭部をかち割ることが出来なかったんだろうな

それでも今できる満足な動きを彼らは出せれている、負ける事は無いだろう


『鬼突』


そこでアビゲイルが動き出していた、阿修羅猪の見えない左目という死角から側頭部に向けて技を放ったがこの鬼突というのは硬い物質もそれなりに貫通させることができる技だ、普通の突きに貫通性能が備わっただけだが阿修羅猪には有効だろう

彼の槍が阿修羅猪の側頭部を貫き、反対側に刃を通す


(貫通したな)


『やるじゃんアビちゃん!』


エイミーはガッツポーズしている

直ぐにアビゲイルはその場から離れるがそれと同時に阿修羅猪が甲高い鳴き声を上げて暴れ出したのだ

その様子にアビゲイルとアレンは苦笑いしているが距離は一定に保っている


『本当にしぶとい・・・』


『いつ死ぬかわかんないねアレン』


2人はいつでも避けれるようにしているが彼等の後ろからマルスが歩み寄る

彼はアレン達に様子を見ようと伝えると3人で下がり始めたんだ、多分だけども時期に死ぬと悟ったのだろう

べらぼうにその場で暴れる様子はそう捉えても可笑しくはないだろう、一番危ないのは暴れる獣に近付く事だが予期せぬ攻撃に怪我をするからだよ

今阿修羅猪がまさにそうだ、一度様子を見て落ち着いたら再戦すればいい


『今のうちに休んで』


『『はい』』


マルスの言葉にアレンとアビゲイルは元気よく返事をする、そうして数十秒後だが

それまでかなり暴れていた阿修羅猪がパタリと動きを止めてマルス達を見つめ始めた

3人は直ぐに身構えるが互いに動きはない、阿修羅猪が動きを止めるのは俺達にとっては安心できる

死んでくれ・・・


マルスは2人の前に出ると双剣を構えながらジリジリと歩み寄る

まだ阿修羅猪の気はあるがマルスも感じているだろう、でも動かない

互いの距離が3m程迄近付くと途端に阿修羅猪の気は一気に消えて横にバタンと倒れた

死んだのだが本当に唐突過ぎる、それにはアレン達も同じく思っていたようで苦笑いしていたよ


『いきなり気が消えたが本当にこいつ一瞬で死ぬな』


『でもよく倒せたねぇ』


『個体サイズが小さいのもあったな、俺達が初めて倒したサイズの方がデカかったし恐ろしかったよ』


『だねアレン』


アビゲイルとアレンはホッと胸を撫でおろしつつも仲良く会話をしている

マルスはニコニコしながら阿修羅猪の犬歯を2つ剥ぎ取り、ついでに無事な毛皮部分を剥ぐと俺の持つ皮袋に中に詰め始めたよ


『どうだった?』


マルスが笑顔で俺に話しかけて来た

今コイツは今が一番楽しいだろうな、本当に仲間に恵まれているよお前

カレジリージョンが1人になったのにこうしてまたチームに入りたいと言う理由じゃなく、マルスと共に進みたいという理由でアレンとアリスそしてアビゲイルは彼の前に現れたのである

そしてアルセリアを拾ってバランスの良いチームに仕上がり、あとは時間をかけて煮込むだけのチーム

見ていて本当に面白いよマルス


『安定してると思うぞ?俺が言うのもあれだけども』


『君が言うから彼らもやる気出るんだよ』


マルスと振り返るとアレン達に顔を向けたが彼等もこちらを見てニコニコしている

どんどん見違えるなぁ・・・

俺達はその後、グランドパンサー2頭とハイゴブリンを討伐して部位を剥ぎ取り皮袋に入れるが今日はそれなりに魔物はいる様である、あと1時間だがそろそろ下流を下りながらテレポートで来た場所に戻ろうと思い皆にそれを言うと直ぐに彼らは同意してくれたんで川をなぞるようにして戻り始めたんだ

皆で他愛のない話をしていると遠くの空から巨大な炎が空に向けて飛んでいくのが分かるがあれはタツタカのフレアだな


『何と戦ってるんだろうねぇ~』


エイミーが俺に話しかけるがここからなど超感知の範囲外だ、遠いんだよな

だけどもマルス達もそれを使う程の相手が現れたんだと感じているらしくて少し危機感を感じ始めている

もしかしたら大物を討伐しているかもしれないからな、俺達は負けたら罰ゲームだし俺も不安だよ


『あの人も規格外ですよねぇ、ヘルトかぁ』


アビゲイルが空に伸びる業火の柱を見ながらそう呟いていた

少しするとトロールも出て来たのだがそれはマルスが一瞬で片付けて犬歯を剥ぎ取って俺の持つ袋に入れてくる

エイミーは遠足気分ではあるがちゃんと戦う者達に補助的な術を唱えて戦いやすくしているので比較的危なげなく皆は戦えている、こう見ていると補助職も結構重要なんだなと思っちゃうよ

川沿いを歩いているけども勿論川の中にも魔物はいるが中に入ってまで倒す必要はない、俺もあまり体験は無いが川にいる魔物は非常に少ないし穏やかなので川に入っても襲ってくることはないんだよ

だからランク的な階級もない、一部を除いてだがな


『そういやアビはなんの上位職目指すんだ?』


前を歩くアレンとアビゲイルが話しているけども聞き耳を立ててみるか


『ん~、職全書見て最近悩んでいたけども僕は鬼の子がいいかな』


変わった上位職だな!?鬼突を覚えているしあとは・・・確かだが鬼走り恐慌という奇妙な技を覚えればあとは体術を意識した戦いをするだけで行けるとは思うがあの技覚えている槍職って殆どいない気がするなぁ

俺はあんま技覚えてないから何とも言えないけどもさ、技で挫折しそうな気がするがアビゲイルも変わった職を選んだものだな・・・


『鬼全力疾走って覚えるの大変そうだよな』


『鬼走り恐慌だよ・・・アレン・・・』


『あ・・・あはは』


マルスが俺の横で笑いを堪えている、この2人の会話は面白いなぁ

どんな技かも俺は知らないけども一度その技を目に焼き付けてから意識した戦い方をすれば覚えやすい筈だがそれを覚えている知り合いはアポスでもいなかったらしいな、マルスが横で話してくれたよ

でもこの槍職の鬼の子は槍職では珍しく筋力の底上げスキルがあるらしき攻撃力はぴか一だとか書いていたんだってさ

俺がインダストリアルで手に入れた分厚いあの本でその職の存在が見つかったんだけどもなんとかなるんじゃないかな!適当な考えで俺は自分でまとめた


『アレンはどうするの?』


『俺は花鳥風月だぜ!目指せ天位職の月下美人!』


でかい野望だぞそれ、花鳥風月は超困難な剣士上位職であり全体的な戦術スキル条件がまるで天位職だと勘違いするくらいの条件なんだよな

アレンの夢にマルスも苦笑いしているが知っていたようだな

ゼリフタルで花鳥風月なんて歴史では昔の大将軍のなんたら?名前忘れたな・・・1人しかいなかっただろう

だがしかし、超強いと聞いている

クズリというベルテット帝国の悪魔的な大将軍は現在に存在するが昔にもいたんだよなこの国に

本当に名前が出てこないなぁ・・・生まれてから負けたことが無いと言われていたらしいけども俺は学生時代殆ど寝ていたし覚えてないんだよぉ


(今更後悔したくなったな)


上位職が頂点だった時代でのゼリフタルの最強剣士だったらしいが名前はあとでルッカに聞いておくか

それにしてもそれの更に先の月下美人か、俺が手に入れた本にはこれしか書いてなかったな


一振りで美を飾る君


(意味わからんかったな・・・)


でも無理かどうかは誰にも分らない、アレン頑張れよ?

こうして俺達は時間となり集合場所であるちょっとした開けた場所に行くとまだタツタカ達はいない

俺はテレポートで来るんじゃないかと思っていたがどうやらマルスはこっそり彼にはテレポート禁止を告げてくれていたらしい

そうでもしないとギリギリまで魔物を討伐して時間に転移とかされるしな、そう考えるとたまったもんじゃない

皆でその場で腰を下ろして待とうとしたら丁度タツタカ達が戻って来たんだ


『ん?』


マルスがそんな声を出しているがその声の出した意味を俺も少し分かった気がする

タツタカが肩を小さくしてアルセリアの隣を歩いている、ナッツとアリスは苦笑いしてるんだけども何かあったらしい

ナッツに聞いて見ると王様カエルを見つけて討伐しようとしたんだが深くにもタツタカが足を滑られて王様カエルの長い舌で巻き取られて飲み込まれたんだとさ、前のナッツと同じ状況だが慌てたタツタカは飲み込まれる前に慌ててしまい、フレアを撃ったんだと言う


先ほどのフレアはタツタカが飲み込まれていたんだな・・・面白い

んでだ、王様カエルは完全に灰となって貴重な頭部の王冠の形をした角も消えたんだっさ

あれは報酬としてかなり高価なんだけどもそれすら灰と化したんだからそりゃ・・・・


『超火力を無暗に使うなベルトめ』


『ヘルトですぅ!』


『うるさい!』


『ひぃ!』


完全にアルセリアにタジタジなタツタカだがそれをエイミーは優しく頭をヨシヨシしている

となると彼らの討伐も幸先悪かったようだなと思うと不思議と笑みがこぼれる、マルスも俺を見てニヤニヤしているけどもまだ決まったわけじゃない

アリスはアレンと仲良く話しているがこいつらは幼馴染同士だし仲がいいのは当たり前だ

こうして俺達はタツタカのテレポートで一度冒険者ギルドに行こうかとしたがアレンがアリスと月下美人の天位職の話をしているとそれにアルセリアが反応したのだ


『知り合いに月下美人はいる』


全員がその言葉にアルセリアを見た、マジ!?見てみたいな!

だが俺よりも先にマルスが見てみたいなと言うと彼女は複雑そうな顔を浮かべて答えたんだ


『多分二度と会う事は無い、あいつは国を潰していることをわかっていない』


少し聞くのは不味かったようだ、直ぐにナッツが話を変えようとするとそれにアビゲイルが乗り始める

アビは鬼走り恐慌の覚え方が知りたいと口にするとそれに答えたのは意外にもナッツである


『それガウガロの虎人族族長のチェスターが覚えてますよ?』


驚いたよ、あいつが覚えているのか・・・

その話を超真剣に聞き始めたアビゲイルの顔を見たナッツは後に引けなくなり、頭を掻きながら彼にちゃんと答えたんだよ


『覚えたいならば一度ガウガロのその族長に会うのが近道だよ、知らない技を勝手な想像で意識しても無理だし知っていた方が遥かに覚えは早い』


その言葉を聞いたアビゲイルはマルスに向けて目を輝かせながら何かを無言で訴え始めるがその無言の意味を悟ったマルスはそのまま俺に顔を向けて来た

まるで俺に許可を求めているかのようなその眼差し、なんで俺なんだろうか・・・・


『勝手にいけばいいだろマルス・・・俺は関係ないぞ?』


『でも言って警戒されるよりもジャムルフィン君の友達ですって言った方が入れそうだし』


『確かに今のガウガロは再建中だし特定の客人以外は歓迎する暇はないな、カール達もいったしお前も試しにカレジリージョンで行ってみな』


『そうする』


マルスは微笑みながら返事をするとアビゲイルも嬉しそうにガッツポーズをする

まぁ勝手にいけばいいと思うんだけどもそんなに俺の名が必要なのだろうか?わからん


『確かに私もかなり興味がある、遥か昔はガウガロにいたのだ・・・先祖の故郷に足を運びたい』


アルセリアも行きたいと言う


『私も言ってみたい!ジャムルフィンさん達が救った獣族の国ですよね!獅子人族とか見た事ないし!あと猫人族とか!色々!』


ゼリフタルに獣族は少しだけいるけども獅子人族や鳥人族はまぁ見ない

となるとカレジリージョンは行く事に決まりそうだけども俺はとりあえず一言だけ彼らに伝えることにしたんだ


『シュウザーにあっておけ、多分良い事聞けると思う』


そう伝えてから俺達はタツタカのテレポートでディロア王国中心都市ザイルポルトの冒険者ギルドの前に転移した

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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