65話 時代を見た最強と怒りに満ちた最強
(なんだこれは!?)
目の前の男からは先程までは感じなかった巨大な何かの気の高まりを感じた
それはあまりにも強すぎて小さな瓦礫は突風によって宙を舞う
ゾゲットは見たこともない銀色の風の唸りと銀色の狼の群れがまるでその男を囲むようにしてまとわりつく
今迄ここまで強いと無意識に思える相手がいただろうかとゾゲットは考えた
いない
人の限界とは儚いからこそ強い者に恐れを抱き、ゾゲットを否定した
だが例外が目の前に現れたのだ
その間、タツタカは瀕死のカールを引きずってグスタフの近くにいくと二人に触れてから一瞬で消えたがテレポートだ
今この場には力を振るうだけで時代を作れる実力を持つ者のみとなった
溢れる銀色の狼気の突風に少しバランスを崩して足を後ろに下げるゾゲット
だが足を下げた瞬間、ジャムルフィンが目の前に迫りながらハルバートを全力で振り抜いてきたのだ
『!?!?』
ゾゲットは驚いた、速すぎると
彼のいた場所からこちらまで50メートルもあった筈なのにまるで瞬間移動したかのように一気に迫って来ていたのだが瞬間移動などではないとゾゲットは知る
あまりの速度にジャムルフィンが動いた瞬間、衝撃波が発生したのだ
流石のゾゲットもそんな芸当は不可能、怒りに身を任せたとしてもいい加減過ぎる速度に驚くがそんな、暇などない
シルバ・シルヴァを起動した全力の銀彗星はそれほどまでに常識が通じない
『くっ!?』
ジャムルフィンのハルバートはゾゲットの首を撥ね飛ばす様にして振り抜かれたがゾゲットはそれを間一髪上体を反って回避するとそのまま大鎌を持ったままバク転をして彼も一気に闘気を放出させてからカウンターを狙い大鎌を振り上げて切り裂こうとしたがそれは叶わなかった
ガンと何かが大鎌に当たり、弾かれたのだ
(目から弾だと!?)
ジャムルフィンの銀色の右目から銀閃眼の強化弾がゾゲットの大鎌に当たり彼は仰け反った
不味すぎると思い、闘気を爆発的に高めて体から衝撃波を放つがそれは容易くハルバートのひと振りで斬られたのだ
怒りを買ったかと内心思いながら舌打ちをしたゾゲットはジャムルフィンの続けざまのハルバートの振り落としを大鎌で弾いてから即座に体を回転させて両断しようとするがその時、再び衝撃波が起きるとジャムルフィンはゾゲットの背後からハルバートを振り下ろそうとしていた
(一瞬で後ろだと!?)
身を半回転させ、振り落とされたハルバートを防ぐために大鎌でガードしたゾゲットはそのあまりにも重たい攻撃に武器で押さえきれずに地面に叩きつけられてしまう
『がっ!』
石の床を砕きながら地面に叩きつけられたゾゲット
彼は鬼と戦っているのか人と戦っているのかわからなくなるが明らかに人間である、だが顔は鬼を彷彿させるが如くの怒りに満ちていた
『貴様がぁぁぁぁぁぁ!』
ジャムルフィンは武器で耐えるゾゲットをハルバートで押し付けながら銀閃眼の散弾を放った
炸裂した音が広大な部屋に響き渡るとゾゲットがいた場所が無数の狼気で固めた小さな弾の一斉発射によって深く抉れたが彼はいなかった
全然で避けたからだ
回避すると同時に目の前にまたジャムルフィンが現れてハルバートを大振りで振るがまたしてもゾゲットはそれを大鎌で防ごうとしてしまい、ガードした瞬間に吹き飛んで遠くの壁に背中を叩きつけて亀裂が走る
ゾゲットはあまりにも差のある戦いしかしなかったせいで回避よりも防ぐという無意識な行動をとる羽目となっているのだ
壁に叩きつけられると直ぐにジャムルフィンの連射弾がトドメをささんとして止めることなくそれを撃ち続けた
直ぐにゾゲットは周りを素早く移動して避けるがその先に素早くジャムルフィンが先回りするとハルバートをゾゲットに押し込む
『えぇい!!人間ごときが!!』
ゾゲットは声を荒げながら大鎌で応戦した、大鎌とハルバートが何度も交わる度に大きな金属音と小さな衝撃波が発生した
だがここでゾゲットは僅かな嫌な音を耳に入れた
ミリッ
(なんだ!?)
腕は折れていない
周りに異常はない、異常なのは目の前で仲間を殺されて感情的に鬼と化した人間だけだとゾゲットは一瞬の時でその全てを考えた
だがその音はハルバートと大鎌がぶつかり合う際に聞こえるとわかると彼は自身の大鎌に視線を向けた
その音の正体は大鎌が徐々にヒビが入る音
ジャムルフィンの持つハルバートが頑丈な素材で作られた事を知るとゾゲットは驚くあまりに動きを一瞬鈍らせた
(ありえぬ!ありえぬ!俺の武器は黒花合金が半分以上使われているのだぞ?!……まさか!?!?)
ゾゲットは今知る
ジャムルフィンのハルバートはインダストリアルゴールド、すなわち正式名称である黒花合金しか使用していない実質的に世界最強の戟なのだ
『お前がぁ!!!』
ジャムルフィンの荒い声と共にゾゲットの大鎌が弾かれた
かなり不味いと感じた彼は弾かれた後に追加で飛んできたジャムルフィンの右目からの強化弾を顔を横にじらして避けながら後方に飛び退こうとした
それよりも早く銀狼の銀狼乱舞が飛んできた、ジャムルフィンが目にも止まらぬ速さでハルバートを何度も突くとそれは銀狼の鋭利な爪と化してゾゲットの前方を獣の攻撃で埋め尽くした
(不味い!!!)
ヒビの入った大鎌を持ったまま両手を前にクロスするようにガードしながらも後ろに退いた、だがしかし無傷ではない
ゾゲットの両腕には沢山の爪痕を残し、赤い血を流していた
退くのが遅れていたら傷はもっと深かったかもしれないしそこで負けが決まっていたかもしれないと考えるとゾゲットは間髪入れずに迫るジャムルフィンを見てゾッとした
いるのだ、この時代にも不器用だが強い存在が
『お前がぁ!!!』
『五月雨一文字』
ゾゲットは素早く大鎌を振るとそこから数えきれない程の斬撃がジャムルフィンに押し寄せるがその技を使うためにゾゲットが大鎌を振り終わった直後にはその男が目の前に既にいたのだ
誰もいない対象にめがけて飛んでいく自身の技を見たゾゲットはこの時、知らない世界があったのかと知り、目の前の男を認めた
(こやつは強い!一瞬でも隙を見せれば終わる!)
突きだしてきたハルバートを大鎌で弾いてから直ぐに彼の懐に飛び込むと左手の爪を彼の首を狙って押し込んだ
顔面は弾が飛んでくる危険もあったためにゾゲットは首でいいと判断したがそれも大きな間違いである
『がはっ!!』
ジャムルフィンの首に自分の爪が突き刺さる前に何かが自分の腹部に突き刺さった
それが何なのかは見なくても貫かれた感触で彼は悟った、爪であると
だが人間の彼がそのような鋭利な爪を持つはずがないと痛みを我慢しながら顔を下に向けてその正体を見たのだ
するとジャムルフィンの右手から獣の様な爪が銀色に染まって自身の腹部を深く突き刺している光景を目の当たりにしたのだ
人間の爪ではなくそれは明らかに技の高価による爪、ジャムルフィンの銀の爪であった
一気に腹部から爪を抜き出したジャムルフィンは前屈みになるゾゲットの顔面を蹴って後方に飛ばす
階段の先にある背もたれが破壊されて玉座に突っ込むと玉座を完全に破壊して後ろの壁に激突したのだ
それと同時にジャムルフィンの銀色の風は徐々におさまり、銀狼の姿も消えて静かになったのだがそれは彼がシルバ・シルヴァを一旦解除したからである
『が・・・ありえぬ!』
倒れているゾゲットはゆっくりと立ち上がりながら離す事の無かった右手の大鎌に力を入れる
そうするだけで腹部からは血が噴き出るが今の彼には関係ないだろう
目の前の人間は人間として見てはいけないとゾゲットは知った、だが遅い
彼はギリギリと口元に力を入れて見た事のない力を持つ男を睨んだ、階段の下にいるあいつは何者なのだと何度も考えると彼は自然とその答えを知るために口を開いた
『貴公は誰だ?この俺にここまで深手を負わせるとはな』
『銀狼のジャムルフィンだ、お前は殺す・・・ジワジワと苦痛を感じて死ね』
彼は銀色の右目から銀閃眼の連射弾を放ったがゾゲットはそれを左手の爪で全て弾いて難なく凌いだ
単発で来れば問題ないと思いながら蔑むような目で銀狼のジャムルフィンを見つめた
(先ほどの威圧は感じない、あれは一時的な能力爆発であったか・・・ならば)
彼は危機を脱したと思い、小さく肩で笑う
その様子を苛立ちを覚えて見ているジャムルフィンは銀圧を体から放出させた、あまり使わなかったこの銀狼の特殊な技はいかなる存在でも確実にその動きを鈍くさせて技や術の発動を遅らせるのだ
突如発生した銀色の風を体全体で浴びたゾゲットは全身に鳥肌を感じて一瞬体を強張らせたがそれが隙となる
『ぬっ!?』
直ぐに目の前にジャムルフィンが迫る、確かに速い
だがゾゲットには捉えられる速度であるがそれでも早過ぎるのだ、先ほどよりはマシだがこの状態でも隙をみせるとこのように直ぐに先手を取られてしまう
振りかぶってくるハルバートの大鎌をぶつけて防ぐが何度も同じことは出来ない、徐々に大鎌のヒビが大きくなってきているのだからこの武器が砕ければかなり不利となる
防ぐと直ぐに右目からの銀閃眼が飛んでくるし彼の周りを銀彗星で翻弄しながら四方から攻撃するジャムルフィンの攻撃を捌きながらもゾゲットは苦虫を噛み潰したような表情を見せながらも彼に話しかけた
『人間如きがこの俺に!ゾロアやグスタフだけでなく貴公も同じ高みか!弱い種族の人間がなぜそこまで強くなれた!?』
言い終わると彼は突っ込んで来たジャムルフィンを大鎌を振って吹き飛ばす、だが吹き飛ばした筈なのに彼は直ぐに銀彗星でそのまま突っ込んできてゾゲットの顔面を蹴って吹き飛ばした
流石に吹き飛んだと思ったら巻き戻ししたかのように高速で戻ってくると言う予測は出来る筈がない
またゾゲットは壁に激突すると腹部の怪我に響き、そのまま地面に悶え苦しむ
(こやつは・・・いったいなんなんだ!)
それでも痛みを堪えて立ち上がった彼は今だに睨みつけてくるジャムルフィンに口を開いたのである
『友が死んで悲しむか?』
『お前にはわからないだろうな、地下ダンジョンのここにずっといた様だがそれがわからないうちはお前は薄っぺらな強さでしかない』
『いう・・・ではないか』
ゾゲットは腹部に痛みを堪えて彼に話す
ジャムルフィンの言い方にカチンと来たが感情で動いては痛い目を見るとわかっている彼は心を落ち着かせながら彼の言葉を耳に入れる
『誰かの為に戦う事を知らないお前は俺には勝てない、一生孤独で入ればいい・・・あの世で自身が妥協したことを後悔して死ね!』
再びジャムルフィンがシルバ・シルヴァを発動して銀色の狼気を放出して風を巻き起こす
(くっ!ここで決めねば!!!)
腹部を労わる事を止めたゾゲットは大鎌に闘気を全て流し始めた、長期戦は無駄であると悟る
ゾゲットは銀狼のジャムルフィンが襲い掛かる前に技を発動すべく、その右手に握る大鎌を両手で持つと大きく振りかぶって真下から上に向けて振り上げようとした
そのタイミングは間違っていなかった、彼が技を発動しようとした瞬間にジャムルフィンが突如として目の前まで迫っていたからだ、見てからでは遅かった・・・感覚で動いてよかったとゾゲットは小さく胸を撫でおろしたくなる
銀彗星で一気に迫って来たジャムルフィンはハルバートを全力で振りかぶりながら銀閃眼の強化弾をゾゲットに放った、その攻撃を彼は避けなかった
(がふっ!!!!)
胸部を一瞬で貫通した弾のあとに激しい鈍痛が体中を駆け巡った、心臓から逸れたものの風穴があいたことは致命的である
それでも怯んでしまえば死ぬだろうと知っていた彼は痛みを堪えて歯を食いしばりながら大きく叫んで決着をつけるべく大技を放った
『大地散翔!!!!!!』
真下から振り上げた大鎌、その近くの広範囲の床がまるで噴火のようにゾゲットの前方の地面全てを噴出させた、ただの噴出ではなくほぼ爆発に近いその技でこの部屋の半分が崩壊してしまうがそうしなくては勝てない相手がここに現れたのだ
ゾゲットは口から血を出しながらも自身が放った技によって地面が噴出するとそれに姿を消したジャムルフィンを見て確信した
(とった!!!!)
激しい轟音と瓦礫が前方を覆いつくす最中、彼は口元に笑みを浮かべて囁いた
『楽しいダンスだったぞジャムルフィン』
口を開いて勝利を謳うと直ぐにそれは打ち砕かれる
『やっぱりお前の中身は空だ』
真後ろからの声にゾゲットは驚いて直ぐに振り向くとそこには技によって消えていったジャムルフィンの姿があったのだ、だが彼の頭部からは血が流れておりゾゲットの技をそれなりに受けていた証拠でもある、体中からも沢山の傷があるがそれでもジャムルフィンはゾゲットの技から脱出したのである
彼は予見スキルでどんな攻撃をしてくるかわかる為、銀彗星で逃げ出す用意を最初からしていたのだがそれでも完全に回避は出来ない程にゾゲットの攻撃速度も尋常じゃなく速いのである
避けれるタイミングではなかったと何度も夢だ夢だと焦りを顔に出すゾゲットはハルバートを振りかぶる彼に向けて大鎌を振った
『くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
ゾゲットは久しぶりに汚い言葉を発した、その大釜の振りは自身の怪我など無視した全力
腹部や胸部そして口からの血を流しながらも渾身の力を持ってハルバートにぶつけると彼の分身ともいえる大鎌は砕かれたのだ
まるでガラスが割れるかのように大鎌の割れた刃の欠片が辺りに散らばる、自身が今迄共にしていた大鎌が砕けた様子を口と目を大きく開いて彼は固まった
今迄ずっと共にいてくれた友である大鎌アインザム、孤独な彼は唯一の無言を貫く武器を失いその動きを止めた
『ア・・アインザム』
苦痛を声に出した彼は直ぐに怒りを顔に浮かべて殺意をジャムルフィンに向けた
今迄誰も自分を認めてくれなかったという苦痛を隠れて過ごし、武器と力と共にしたのだ
人間と仲良くなれない、強すぎて
魔族と仲良くなれない、無神経過ぎて
獣族と仲良くなれない、必死にならなかったから
ゾゲット・カルロスは不器用な男であった
誰かと話すという感覚を羨んだ彼は本当の努力を知らない、死ぬ気で頑張ったかと言われると彼は即答しないであろう
ただただ無鉄砲に前から突き進んで心に傷を負った、それを他人のせいにして正当化していたのだ
俺は悪くないと
だが仲良くなりたいと言う心は本当であったが不器用だからそれが難しかった
彼は彼なりに頑張っていた、だが時期が悪過ぎた
『わかったか?誰かの為に死ぬ気になれないお前は強くても薄っぺらだ』
その声と共にジャムルフィンはゾゲットより速く動くと彼の右腕をハルバートで斬り飛ばした
宙に舞う自分の腕を見て再び声がかかる
『損が出来ないお前は強いだけだ、お前より強い奴はまだいる』
その声にジャムルフィンに顔を向けた
ゾゲットは彼の銀色の右目が僅かに光っているのを見て確信した、来る・・・と
もう避ける力は無い彼は一気に体の力がそこで抜け始めた、負けたのだと実感したのだ
ジャムルフィンはゾゲットを睨みつけながらその右目から散弾を近くで撃ち放つ
ゾゲットは炸裂する彼の技が前方の視界を包む瞬間に心で後悔の念を思い出した
(確かに、グスタフやら先ほどの奴らは正面から俺にぶつかって来た・・・皆逃げると言うのに彼らは堂々と立ち向かって色々と声を出して走って来た、俺の言葉をちゃんと聞いていてくれたのだな)
それだけでも彼は今まで感じなかった嬉しさを感じる
逃げなかった理由は自身が守る地下深くの兵器ではなく、彼の知らない何かの為に必死でここまで来たのだと
今迄ゾゲットはその必死さを見せた事は無かった、オーズーの絵本での彼は実話がある
魔滝に襲われた時に村を助けようとした話があるが彼は村人に矢を撃たれた時に逃げ出してしまったのだ
逃げずにそれでも必死になっていれば何かが伝わったかもしれない、拒絶されたからと自分は直ぐに逃げたのである
(こいつはきっと色々な経験をしたのだろう、だからグスタフを助けに勝てるか勝てないかわからない者相手にここまで来たがそれより先にあるやるかやらないかでこいつは動いている、俺にはそれが足りなかった)
彼は戦いの終わりに最後、口を開く
『やはり友達とは最高なんだな』
その声と共に彼は散弾を体全体で受けて吹き飛んでいく、地面を転がりながら壁にぶつかって止まるゾゲットの体中からは大量の血が流れ始めたがあの近い距離で体が爆散しないだけでも流石の強靭さを持ったからだともいえよう
肉体的な強さは確かに最強に名だたる強さであった
瓦礫で埋め尽くされた広大な玉座の部屋でジャムルフィンはシルバ・シルヴァを解除してハルバートを肩に担いだ
それでも警戒は解かずに遠くで動かない敵の姿をズッと目を細めて見つめている
(流石に強かったな)
シルバ・シルヴァを使わなければ勝てない相手、彼はタツタカ達と別れてからいつもの様に数日間ずっと寝っぱなしになったのだ
だから今ここまで戦えるほどまで狼気が回復したのである
国内が静まり戦争の終わりがザントマ国王の国内放送で告げられた時にタツタカ達は戻ってすぐにジャムルフィンがいる南大門のテントに走ったのだ
その時のルルカの女性を捨てたかのような泣いた顔を彼は生涯忘れないだろう
『親友なら助けに行って!!!!グスタフ死んじゃう!!!!!』
悲痛なルルカの叫びに彼は何も考えずにタツタカに戻れと強くいって2人で向かったのだ
ゾロアも重傷、ミミリーもほぼ動けない状態で戦闘出来る者がほぼ全滅して帰って来たことに何がそこにいるのかと彼は考えなかった
ただグスタフが危ないから来ただけという単純で大きな行動を無意識に取った
今その元凶であるこの地下階層の最後の主を彼は倒した、今だに動かないゾゲットの姿を見ながら彼はようやく今冷静に物事を考えれるまで感情が回復していった
『孤独な男か、昔俺も母さんに貰った本であったな・・・黒豹物語っていうゾゲット・カルロスの生涯の話を書いた絵本が』
『それは・・・ほん・・とうか?』
虫神『アインザム(アインザーム)はドイツ語で孤独』
ギガン『そうっすか』