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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
14章 ディロア大決戦 涙を流す勇者に黒騎士は決意し、少女は想う
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61話 地下ダンジョン編 蟻の女王 


『キキキキキキキィィィィ!』


普段は手を出さないと襲い掛かる事は無い鎧蟻が一斉に襲い掛かってくる

数えることが馬鹿らしくなるくらいに前方全てをその黒い不気味な体が波の様に押し寄せるとグスタフ達は息を飲み込んだ


ありえないと


ルルカのデネブ・インパクトは直ぐに彼女の近くから遠くから押し寄せる鎧蟻の波に飛んでいくと中心部分で一気に大爆発して鎧蟻を吹き飛ばした、宙を舞う鎧蟻たちの体は彼女の天術によって体の一部が欠損しており既に息絶えている

1つの術で多くの蟻を倒せたのは良いが明らかに焼け石に水状態、ルルカは舌打ちをしたくなるが彼女はしない

そのあと直ぐにタツタカが体の正面からファイアバレットを連射で先頭集団に撃ち出した

命中したその火術は鎧蟻を激しく燃え上がらせると周りにまでそれが着火してどんどん燃え広がる


『火が弱点か!』


『そのようですがギリギリ倒せなさそうです!』


カールがタツタカと軽く切羽詰まった会話をした

ギリギリというのは倒しきれないと言う事だ、この波の様な蟻の軍勢を極限まで減らせる彼もたいした実力だが今できるだけ数を減らそうとしているのは彼だけじゃない

ルルカも再度デネブ・インパクトを放って奥の鎧蟻たちを爆発に巻き込んで吹き飛ばす


カールはオータイルという一振りで無数の斬撃を発生させるネメシスの特殊技を正面から迫る鎧蟻たちに向けて撃ち放つ、胴体である鎧は無傷ではあるが剥き出しの腹は顔の部分は柔らかいようであり彼のその飛んでくる斬撃に切り刻まれてその場に倒れる

それによってすぐ後ろの鎧蟻達は死んだ同胞の上を踏みつけて怯むことなく近付いてくる


『イビルゲート!!』


グスタフも殲滅用の技を使用した、彼の事情から邪悪な扉が現れるとそれはギシギシと音をたてて開くがその扉の先は暗闇

その扉の先の闇から黒い刃が無数に飛んで鎧蟻達に襲い掛かる


『キィ!?』


『ギュイッ』


『キィィィ!』


正面から刃の連射が飛んできて鳴き声を上げる鎧蟻、グスタフ達の救いと言えばこの蟻達がランクCであること

大抵の術や技を受ければギリギリ死んでくれるランクの魔物なのである

波のような蟻達は距離にして50m先まで近づくとミミリーは双剣を構えて接近戦の準備をしていた

タツタカの連続術によって何とか奥までは視界が見えているがまだ天井が何も見えていない状態

鎧蟻達に意識を向けている彼らは一番後ろの超蟻がいつ動くのかもかなりの不安要素となっている

カチカチと口元の鋏を鳴らしているこの部屋の主はふと一番奥の壁を登り始めたのである


(面倒な)


エイミーを守りながら奥の超蟻が壁をよじ登って闇を生む天井に消えて言ったのである

しかもこの空間も気配が読み取れないという最悪な状況

戦っている間に降ってこられては不味いと思い、ゾロアは上に意識を集中させて皆にこう伝えた


『皆は前だけ集中せよ!俺は天井に登った超蟻を警戒する』


そう言い放った彼は刀を抜いて天井を見上げ、構える


『こんな状況っ!くるぞ!!!!』


カールがオータイルを放つのをやめて武器を力強く構えた

するとタツタカはその場から転移して空中からファイアバレットを降らせる

グスタフもルルカもとうとう目の前まで迫った鎧蟻達に武器で応戦する事を覚悟したが先に動いたのはミミリーである


彼女は先頭の鎧蟻達が飛び込んでくるとそれにあわせて彼女も跳躍してキリモミ回転しながら両手に持つ双剣でその腹の部分を切り刻んで地面に落としていく

着地するとそこは鎧蟻の背中であり、その蟻の背中に乗ったまま腹を刺して後方に跳躍してなんとかその場を凌ぐ


『くっそぉがぁ!!』


グスタフはルルカと背中合わせとなり跳んでくる鎧蟻をギリオンカリバーで両断していくがこの大剣だとこの蟻の鎧を斬ることが出来る

再度その武器の硬さに驚く熊だがそんな暇は今は無い、周りを囲まれた2人は苦笑いしながら会話を交わす


『いちいち飛んでくるのは有難いわねこの蟻』


『まぁな!だが危なくなったら直ぐ言えよ?』


『いつも危ないわよ私』


グスタフの背中に自身の背中をスリスリさせながら微笑む彼女にグスタフは真顔で答えた


『頑張れ』


鎧蟻の習性であるが襲う時には飛び掛かるのである

足元から近づいて噛みつくと言った事をしないのは彼等には大助かりであろうがそれでも多すぎる数にカールも苦戦していた


(数が多すぎるが100は切ったか)


あの津波の様な数を100未満まで減らした、それはタツタカ並びに他の者の術や技のおかげである

正面から飛び掛かってきた鎧蟻の顔面に剣を突き刺して地面に落とすと横から跳んできた別の鎧蟻に向かって回し蹴りをして吹き飛ばす、直ぐに正面から別の鎧蟻が来ると言うなんとも忙しい状況だがそれはミミリーが双剣で切り倒してくれたのだ


『ヤバいよぉ!カールゥ!』


彼女と背中を合わながら周りの鎧蟻達と対峙するとカールはその言葉に反応したのだ


『銀狼と来ればそうだろうがっ!虫神よりはマシだろう!』


『そうだけどもぉ!』



皆自身の手元で精いっぱいだがそんな最中でミミリーはゾロアの背中に隠れながら口を開いた


『みんな~、超蟻はランクA+だけどもそれは強さじゃなくてこの軍隊込みよ!単体だとA程度ってレリックに聞いたことある!』


その言葉に僅かに希望が見えた、だが皆が少し微笑んでから頑張るかと意識を周りの鎧蟻に向けて斬り倒していると最悪な事が起きたのだ

天井からまた何かが降って来た、奥の方に落ちたが皆それが超蟻だと思って一瞬だけ視線を向けたが全然違う個体がそこにいたのである


剣蟻という両前足が鋭利な刃物の蟻である、ランクはB

そのサイズは全長だと成人男性ほどの攻撃型の蟻の魔物がどんどん見えない真上の天井から堕ちて来たのだ


『タツタカ頼むぞ!!!』


ゾロアが叫ぶとタツタカは一段と真剣な顔つきとなりヘルファイアを真上から一気に降らせた

その威力は地面を溶かす程であり触れた蟻は一瞬で超熱光線によって体を貫かれながらも業火によって燃え盛ると周りにも燃え広がる

次第にこの部屋が火の海となるとようやく天井まで見えるようになるが高さは軽く100mもあったのだ


見える訳が無いのだ、ゾロアだけが真上を見上げた

彼でもその光景に顔を引き攣らせるが背中に隠れるエイミーも同じ顔を浮かべるのだ


『真上にフレアを撃てタツタカぁ!!』


ゾロアの声に一度上空からヘルファイアを撃ちまくっていた彼は真上に視線を向けると一瞬固まった

何を見たのか?壁一面が真っ黒いがそれは見えないと言う訳じゃなくその全てが蟻であり中央には超蟻がこちらを監視しているのだ、しかも天井付近の周りには小さい穴が幾度とありその穴から他の鎧蟻や剣蟻が増殖しているのである

倒しても意味がない、増えるだけ


ならば先に親玉を撃つしか意味がないと知ったゾロアはタツタカにフレアを命じたのだ

グスタフやルルカも上に視線を向けるとコントをする暇なんて無いと理解して真剣な面持ちに切り替えて飛び掛かる鎧蟻と増えた剣蟻の振ってくる前足の剣を避けて両断していく


『長くは持たん!!!どんどん落ちてくる!!!』


カールが敵を斬り倒しながら叫ぶとタツタカは真上に向かって全力でフレアを放った

その熱量が放つことでこの部屋全てを真っ赤に赤く照らす出すと天井を業火に包む混んだ

甲高い鳴き声が燃え盛る天井から響き渡る、耳を防ぎたくなるほどの嫌な声に全員は体に力を入れて耐え忍ぶ


ボトボトと火達磨となって落ちてくる蟻を避けて後ろに下がる彼らは近くの蟻を斬りつつも全員で固まり始める

タツタカが皆の近くに戻ると彼が近くに落ちる火達磨の蟻を見ながら口を開いた


『1匹だけ無傷の様です』


『あぁ?』


グスタフが上を見上げる、マジマジと見つめると業火によって燃え盛る天井の中心でまるでモノともしない超蟻がこちらを睨みつけているように見つめていたのだ

直ぐに彼らはこの超蟻が火無効の肉体を持った魔物だと知ると第2波が来ると感じで天井付近の穴に目を向ける

するとどうだろうか、超蟻が鳴くとそこから再び数えきれないほどの鎧蟻と剣蟻が出てくるが大半が燃え盛る天井の熱によって力尽きてボトボトと落ちる


『タツタカ君もう一回撃って!もう一回!』


『ですよねぇ!!!』


ミミリーの声に再びフレアを放つ、ヘルファイアよりも強力でありまるでドラゴンのブレス化の様な術を放つと先ほどよりも天井を業火で包む混んで穴から出て来た蟻達をことごとく燃やし尽くす

彼の魔力は無限なのでこのループに入った途端、皆一旦心を落ち着かせた

数の暴力の最高峰ともいえる魔物の波は魔滝とは比べ物にならない、そう見えるだけかもしれないが彼らにはそう感じたのだ

ゾロアはエイミーを下がらせてから刀を強く振って天井に張り付いている超蟻に剣撃を飛ばす


だが超蟻は当たる寸前で横に移動して避けたのだ


(距離があるから避けられる・・・か)


100mも真上であるから超蟻でも投擲攻撃は避けられるのだ

これが近くならば仕留めていただろうが蟻の女王は簡単には近づいてはくれない

すると超蟻が何か可笑しな行動をし始めた、口元をモグモグと動かすとそこからアクアレーザーを放ってきたのである


ランクA+となれば術も使う事は不思議ではない

その矛先は今斬撃を飛ばしたゾロアに向けられたが彼はそれを左手を前に出すだけで防いだのだ

水の高圧レーザーを手の平で受け止める行為にカールやミミリーにグスタフそしてルルカは口を半開きにして驚いた


(こいつマジでやべぇな)


グスタフは息を飲んだ

一帯はタツタカのフレアによって火達磨となった蟻のおかげて視界は明るいが同時に皆熱い

タツタカもその熱さにサウナに入っているかのような感覚を久しぶりに感じ、勝手に元の世界を僅かに思い出していた


至る所に燃えて焦げている蟻が散乱しており、足場もそれのせいで少ない

このままではただのループになると感じたゾロアはタツタカに連れていけと口にすると彼らはテレポートで天井付近に転移したのである


唐突に現れた2人に超蟻は驚いたかのような仕草を見せるがそれを見せている間にゾロアは刀を握りしめながら口を開く


『貴様に技など勿体ないわ!!!』


力強く鞘から刀を抜刀すると鋭い剣撃は天井に張り付いている超蟻に襲い掛かった

だがこの距離でも女王は避けようとして後ろに素早く動くが避け切る事は出来ずに足を2本斬り落とされてしまう


『キッ!?キキキキィ!!!』


2本足を失った事によりバランスを崩してそのまま地面に落下するとゾロアもタツタカに捕まり、地面に落ちる前に地面に転移して超蟻を真上から舞った

タツタカはそそくさとゾロアから離れるが彼は口元に笑みを浮かべて鞘に刀をしまうとまた姿勢を低くして抜刀の構えを取る


地面に背中から激突するのだけは回避しようとした超蟻は体を半回転させて真下にいるゾロアに向けて両前足の鋭利な刃を向ける

しかしその選択は間違っていた


『燃えて死んだ方がマシだったかもな』


ゾロアは小さく囁くと落ちて来た超蟻に向かって最後の言葉を送った


『一刀』


それは剣術の上位技であり、抜刀して大きな真空斬を近くだけに発生させる技だ

跳びはしないがその威力はエイジ鉄の鎧さえも斬ることが出来る

ゾロアは見えない速度で抜刀して見せると両腕の刃で突き刺そうとしていた超蟻が真っ二つに両断されて地面に大きく激突したのである


緑色の血を流すその女王の亡骸を見たゾロアはゆっくりと刀を鞘に納めて大きく深呼吸をする


『ナイスよゾロアちゃん!』


エイミーが彼の背中をドンと叩くと少しゾロアはよろめいた

直ぐに態勢を立て直すと腕を組んで彼女にこう答える


『流石に面倒な蟻であったが・・・・皆大丈夫か?』


最後の方は全員に向けられた言葉であり彼はグスタフ達を見る

かなり疲弊している様だが所々に切り傷が見受けられるがきっと剣蟻の攻撃を避けた際に受けた者だろうとゾロアは悟った


皆その場に腰を下ろして大きな溜息を漏らす、奥の方では扉が開いた音が聞こえるがそれでも一度休憩しようとグスタフが口を開く

数の暴力という蟻まみれのこの部屋で皆斬っても斬っても減らないという絶望の中でタツタカがいて本当に良かったとしみじみと感じているだろう

魔力の有限で5千という数の蟻達と女王の超蟻、討伐するならば100人以上は絶対に必須であるが次来るものはきっとここで必ず死を迎えると誰もが思った


『こんなんタツタカ抜きじゃ無理だぜぇ!?ジャフィンがいれば速攻銀彗星で飛んで超蟻斬ってくれるだろうがあの高い天井に張り付かれちゃたまんねぇぜ』


『俺もそう思うぞグスタフ』


ゾロアがグスタフと意見が一致すると彼は地面に座る全員に向けて話し始める


『あんなのは規格外だ、超蟻の個々の力はランクA+ではないにしろその特殊な性質からプラスになったのだろうが・・・・』


その言葉のあとをミミリーが大の字に寝そべりながら話した


『あの数を入れてA+なんでしょうねー、パブロフの方がマシ』


彼女の言葉にカールとグスタフそしてルルカが同意した


『うむ』


『だな』


『数は無理よ、今度出会ったら逃げたいわ』


皆俯いて再び溜息を漏らす

そうして一旦感情を落ち着かせると開いた奥に扉に向けて歩き始めた

予想では地下ダンジョンは110階層まで、その奥があれば一度戻る事も視野に入れるとゾロアが口にするが最初からテレポートで行ったり来たり出来るのではと思ったミミリーがゾロアに聞いてみたがそれは最終手段だとその案を押しのけた


遠回しに『甘えるな』と言いたい事に気付いた彼女は苦笑いをする

扉の先には階段があり彼らはそのまま91階層に行く事となったがタツタカとエイミーの考えで一度ここで休憩する事になったのだがそれにはグスタフ達も大賛成であった

直ぐに横になる全員を見たゾロアは一先ず見回り担当となって仮眠をとるタツタカ達を守ることにしたのである


あの数でストレスを一気に感じたのだろう、ゾロアが数分してから横になった彼らを見ると直ぐに寝静まったのである

ここは安全地帯でも何でもない場所であり、いつ魔物が襲ってくるかわからないのにだ

しかも91階層ということは出てくる魔物のランクも馬鹿馬鹿しいランクしか出ない

ランクB+とAの魔物が普通に出現するのだ


『この先はきっと』


小さな声でゾロアは囁いた、100層の主部屋にはSがいる

そうとくれば万全の状態で挑まなくてはいけないので100階層の主部屋に辿り着いたら例え夕方でも十分に体力の回復をしなければならないのである、銀狼がいれはとゾロアは何度も考えるが今ジャムフォンは粘龍ウパル・パールとの戦いで狼気を殆ど使い果たし回復を待つ身なのだ

多少無理をさせてでもタツタカのテレポートで連れてきたいと言う気持ちもあったが動けたとしても地上の居残り組として残ってもらわないと駄目なのでそれも出来ない


歯痒い思いを噛みしめながらも階段の直ぐ傍で寝静まるグスタフ達を見て肩を落とした

彼等も十分に強い、人の中では類を見ない程に彼は認めてはいるのだがそれでもこの地下ダンジョンは予想を遥かに超えるスケールで襲い掛かるのだ


『悩んでますねゾロアさん』


タツタカだ、寝ていなかったのだ


『タツタカ?』


エイミーと寄り添うようにして休んでいた彼は彼女を起こさないように上体を起こすとゾロアと話し始めたのだ


『この人たちが無理ならば誰が来ても無理です、ジャフィンさんの情報があるとはいえ初入場の初見で制覇なんて凄いんですよ?』


『そうだな、もうすぐ終点だ・・・』


『僕が起きてますので寝てくださいゾロアさん』


『俺はまだ大丈夫だぞ?』


『ふざけないでください、頑張っているんですから休むことも大事です』


『・・・・・』


タツタカはゾロアを労った

あまり何かを彼から言われた事が少なかったゾロアは頬杖をつきながら洞窟内の壁に背中をつけると大人しく目を閉じて口を開いた


『甘えよう』


なんだかんだタツタカの言うことは素直に聞くゾロア

彼はいつも寝るのが最後であり、睡眠時間も少なかった

死の精霊神ということもあって継続して動くことは可能だがそれでも生命を持った者に疲労を感じないものは存在しない

ゾロアもそれなりに疲れていたのである


それを気にしていたのはタツタカだったということだ

彼は上体だけ起こしたまま横でスヤスヤ眠るエイミーを一度見てから周りを見始める、暗い


(何も見えないなぁ)


右の手の平から小さな火を灯すとその不安は消え去る

火によって揺らぐ灯火を維持しながら上を見上げるとゴツゴツした岩が無数に張り付いており左右の壁はほぼ岩である

自然が作ったのかそれとも誰かが意図的に作ったかは定かではないが意味があってあるのだけはタツタカでも感じている


(食料もほぼないから時給自足になりそうだな)


グスタフのリュックにはもう米が300グラムほどしかないのだ

全員の1食分だがそれはこれから現れる魔物が食える事を祈るかとタツタカは考えながら一時間この場を見張った


『やべぇ、仮眠って大事だな』


先に起きたのはグスタフだ、いつの間にか直ぐ隣で寝ていたルルカに一度視線を向けて口をへの字にしてから起きていたタツタカに状況の変化はないか聞いていたが何もなかったと聞いていた

グスタフは背伸びをしてからルルカを起こしてカールとミミリーも起こす


タツタカはエイミーとゾロアを起こすがどうやらかなり体が楽になったようで全員の顔色も良い方だ

カールが魔物のランクもAが出始めるから気を付けようと皆に言うと今度はタツタカとグスタフが先頭を歩き始める

エイミーの術で周りを照らしながら進むとこの階層の魔物が目の前に現れたのだがそれは明らかに熊帝だ


熊帝が四足歩行から2足歩行になると彼らを睨みつけながら大きな咆哮を上げる

足元がビリビリと軽い地震となってその凶悪さを表わす様子を見てルルカとミミリーが前に出る

ルルカはかなりデネブ・インパクトを放っていて魔力も半分を切ってしまったがそれでも彼女はミミリーと共に前に出ると牙を剥き出しにしている熊帝を見ながら口を開いたのだ


『隙を作るから頼むわねぇ』


『頼むよー!』


彼女達は超蟻の軍勢と比べれば目の前の熊帝がかなり楽に見えたのだ、だからといって熊帝が弱いわけではない

彼女達は油断はしない、確実な戦い方をしようと決めて熊帝に走りだした




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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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