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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
14章 ディロア大決戦 涙を流す勇者に黒騎士は決意し、少女は想う
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50話 第2の犠牲者 インダストリアルの刑

俺はシルバ・シルヴァを解除してから一息つくとハルバートを担いだ

今体の正面の深く斬られて大量の血を流して倒れているガルドミラがいるがまだ生きはあるが虫の息に近い

地面で必死に呼吸をしようと藻掻く彼の表情は少し満足そうだがそんな彼の勝利を信じていた奥の魔族兵は顔面を真っ青に染めたり両膝をついて意気消沈したりと様々な仕草で絶望を表現している


この南大門に集まっていた左翼軍と右翼軍は勝ったというのに喜ぶ様子はない

ただ静かに息を飲んで見守っているがそれでいい、今五月蠅くしてほしくはないからな



『これが本気か・・・受け取ったぞ、確かにそんな力出されては手も足も出ぬわ、くはは・・はっははは』


起きれた感じで口から血を流しながら笑う彼は大の字で空を見上げている

俺は振り向くとナッツに視線を向けるが彼はそれに気づくと元気に全力疾走して俺の元迄来てくれた

何やら口元に笑みを浮かべて小さく俺に会釈をすると指示を待っている様であり、床に倒れているガルドミラに聞こえる様に後輩に指示を出したんだ


『ナッツ、今すぐこの場にいるこっちの兵を全て下がらせろ・・・南大門の戦争は終わりだ、ネロ大将軍にも伝えてくれ』


『了解しましたが簡単に言う事聞きますかね他の兵士』


『言う事聞かないならば敵にまわるぞと伝えろ、魔物でも魔族でも約束は約束だ・・・撤退する魔族を追い打ちする事もダメだ』


『ネロ大将軍に伝えてきますね、僕達の勝ちで良いのですか?』


ナッツが首を傾げて質問するとそれ言答えたのは倒れているガルドミラだ


『それで良いのだ千剣の卵よ、負けて更に戦うなど恥さらしはせぬ・・・こちらも負けを認めて下がる』


彼はそう口にすると震える左手で懐から小さな赤いガラス玉を取り出すとそれを地面に叩きつけた

するとそのガラス玉の内部に込めて会ったのだろう赤い魔力は空に昇り、空高くで爆発して赤い発光をしたのだ

ガルドミラは呟くように説明してくれたがこれは魔族側の負けを知らせる誰もが一番認めたくはない敗者の合図である


そしてこのガラス玉が使用された際は撤退をすることになっているのである

まだ残っていた数十万の魔族兵達は未だに信じられない様な面持ちでずっとガルドミラ大魔将軍を見つめていたが1人、また1人と南大門に背を向けると森に後退し始めたのである

ようやくそれを見てこちらの兵士達が勝ったのだと実感し、耳が避けそうなくらいの大喝采が響き渡った


俺は五月蠅すぎて耳を塞ぐが地獄耳だと本当に辛い

そんな様子を見てガルドミラは目だけをこっちに向けて小さく笑っていた


(・・・駄目か)


俺はふと予想外過ぎることを頭に浮かべたがそれはやめておこうと雑念を取り払った

するとどんどんディロア兵達が後ろに下がり始めたのだ、ナッツがきちんと伝えてくれたんだと思うけど一先ず今日は終わった、明日があるかはわからないけども一番大事な時を終えた気がしたんだよ

きっと約束を守ってくれるはずだ


『魔族の本当の繁栄を見て見たかったが、今の俺では器じゃないらしい』


結果を出せなければ何も変わらないのが魔族、今が嫌いな魔族はそれなりにいるような事を彼やケトラそして副将のザムエラも遠回しに言っていたんだよ

それが遠のく様な事を俺がしたわけだが出来ればトドメは刺したくは無かった、だが平気で斬れた

自身が本当にそう思っていたのかと自問自答したくなるほどに躊躇いが無かったんだ


ガルドミラに視線を向けて俺は答える


『お前は強かったよ、もう戦いたくはない』


『くふふ・・・その言葉道半ばで朽ちたあの世で同士に自慢しようぞ』


『こっちは退かせる、出来ればもう人族を襲いに来てほしくはないかな』


『そうしたいのは山々だがまだ魔族には時間が足りぬ、しかし当分は襲ってこれぬだろう』


魔族の当分はかなり長い、人間が言う平和もそんな永くは続かないからきっと結構再戦まで時間はたっぷりとあるだろう

魔族の寿命は結構まばらだと聞くが人間よりは遥かに長生きするからな、大丈夫だろう


ナッツは後ろに下がると遠くで兵達に指示をし始めるがそんな彼から目を話して再びガルドミラに顔を向けたんだ

苦しそうに咳き込む彼はふと魔族側に向けて少し顔を動かす、俺も気付いていたがケトラが血相を変えて走ってきたんだ


バカな真似はしないことを祈るが彼は俺には目もくれず一目散に地面に倒れているガルドミラに近付くと彼に話しかける


『帰りましょう大将軍殿』


『悪いが俺は帰る場所が違う、共に散った同士の面倒を見に行かねばいかんからな』


その言葉を耳にしたケトラだが唐突に俺に視線を向けると殺意を膨らませてきたのだ

やるきならとことんやるがそれは場に相応しくない行動だし動かないことを願うしかないようだ


『よせ、人間は約束を守るのに魔族は破るのか?』


ガルドミラの口にした言葉で流石のケトラも下手なことは出来ない

悔しさを浮かべながら地面を殴りつけている

魔族兵は退くというよりは逃げるに近い形で森に戻っているがこの南大門での最高戦力と言っても過言ではないガルドミラが負けたんだ


敵は明日を戦う気力を失ったも同然である

静かに歩きながら副将ザムエラも歩み寄ってくるが彼はケトラと違って悲しそうな表情だ、こいつの大将だもんな

するとザムエラはこちらに向けて口を開いたんだ


『我らは撤退する、だがガルドミラ様は連れていくぞ』


それは俺が決める事じゃない、数本後ろに下がると彼は静かにガルドミラの横にしゃがんで話しかけた


『ガルドミラ様、戻りましょう…我々は負けました』


『のようだなザムエラ…鬼が可愛く見えるほど強かったぞ』


『遠くで拝見しておりました、立派でした』


好かれているな、色々と聞きたいことはあるが一先ずは俺も我慢して彼らに時間を与えることが最も大事だと感じたので俺はただただ血が止まらない大魔将軍の最後だけは見届けるため静かに様子を見ることにしたんだ


彼が死ねばきっと誰かが彼の意思を継ぐだろう

ケトラなのかザムエラかは誰にもわからない先のこと

唯一救いであるのは魔族の上層部には少なからずガルドミラの様に今の魔族のやり方が気に入らないと思っている者もいるということだ


『最初はなんとかできるかもしれぬと思ったがいざ本気で来いと口走ったらこのザマよ…まるで赤子のように蹴散らされたがな』


途中から敵わぬとわかっていたらしい

ケトラが必死で彼の傷口を治そうと治癒術を発動しているがかなり深く斬り裂いたしヒールじゃ少し無理だと思う

それでも多少痛みは治まったようではあるが虫の息であることに変わりはなかった

とうとう殆どの魔族兵も森の方まで弾いてしまい、残るは地面に倒れているガルドミラと必死に手当てをしているケトラそしてザムエラだが少数の魔族兵が数十メートル先でこちらの様子を伺っていたのである


きっと大将が気になるのだろうがそんなとこにいても意味は無い


『慕われているんだな』


俺がそうガルドミラに告げると彼はまんざらでもない感じで答えたのだ


『まぁな、俺達は新しい時代を魔族にも見せるためにここまで来た同志たちである・・・俺が道半ばで死ぬことは残念だが俺ではない別の誰かが今の魔王様を打ち倒して今の悪循環を正す時が訪れるだろう』


『お前らは決まりに従いながら魔王の座を奪う気でいたという事か』


『そうだ・・・俺を倒したことを後悔したか?』


『まぁ長いスパンで考えるとそうだな』


『生きていれば8割近くは思い通りにならぬことばかりだ、残りの2割に俺の夢が無かったという事だ』


先を考えればこいつは生かした方が良かったかもしれんがそれを勝手に決める事は俺には出来ない

俺は頼まれた身であり、そんな大事な判断は・・・

そう感じていると俺の視界に変わった光景が展開されていた、それに気づいたのは俺だけじゃない

近くまでゆっくりと歩み寄っていた魔族兵達も驚いて多少後ろに退いてしまうしザムエラもそこにはいなかった2人を見て口を開けて不可思議な表情を浮かべたのだ


ケトラは首を傾げて背後を振り向くとようやく彼も周りの驚く理由が理解したらしく、その2人に素早く剣を抜いて構え始めたのだ

ガルドミラはそれでも冷静にいきなり現れた2人に倒れた状態から目だけを動かして確認するとケトラに言い放ったのだ


『よせケトラ、こやつらも銀狼と同等の底知れぬ力を感じる・・・最初から負けることが確定した歴史的な大敗北だったのだ』


『そ・・そんな』


そこにいたのは漆黒の騎士ゾロアと仮面を外している状態のタツタカである

俺は彼らがここにいるという意味を直ぐに悟ったがきっと国内での紛争が完全におさまったのである

タツタカはテレポートを何度も使える身であり、ゾロアもいればある程度最短で国を救う事が可能な者達だ


手を出すなと遠回しに口にしたガルドミラ、そう言われなくてもきっと他の者は動けない

何故ならゾロアの鎧の隙間からおぞましい黒い瘴気を漏らしておりその様子を見るだけで只者じゃないと彼らもわかって筈だ

動くだけで死ぬんじゃないかと思うだろうな

ザムエラが息を飲むと僅かに後ろに下がる、そのあと直ぐにタツタカが地面に倒れているガルドミラに近付くと小さく頭を下げてから話しかけたのである


『初めまして、僕は黒い仮面の悪魔タツタカであり十天の第6位のヘルトです』


律儀な挨拶にガルドミラは予想外な笑みを浮かべた彼に向かって小さく笑うと直ぐに反応をした


『レリックが取り逃がしたヘルトの卵はお前であったか、なるほど・・・あ奴程じゃ無理であろうな』


『どういう事でしょうか』


『お前は本物のヘルトという事だ、勇者だからと死なないなんて迷信は無い・・・お前もあのヘルトのように神になれるやもしれぬ』


ガルドミラは何かを知っている様な言葉を発するとタツタカは彼の横に移動してしゃがみこんだ

とても真剣な顔をしているが彼には貴重な情報でもある台詞を耳にした以上は聞くしかあるまい

ゾロアは腕を組んでタツタカの背後に歩き出すとタツタカがガルドミラに話し始める


『教えてください、魔族アードラーという生まれ変わりだと言われて僕は追われる身となりました・・・そのアードラーという者とヘルトとは何なのか僕は知りたい』


ガルドミラは










タツタカに右腕を伸ばすとポンッと頭に手を置いて数回軽く叩いた

普通ならば警戒して避けると思うがタツタカはしなかった、俺でもしないだろうな

今ガルドミラの表情は非常に穏やかだからだが魔族がこんな顔できるのはインダストリアルの者達だけだと思っていた

その表情は平和を願う顔といっても過言じゃない、彼も魔族の平和を願って動いた者でありその為にはこの戦争に勝つしか道は無かった


しかし負けたのだ


『アードラーは魔族ではない、お前の来る前のヘルトの人間であったが奴は強かった・・・知らぬ世界から来た彼の名は二つ名でありワシを意味する』


『本当の名を教えてください』


ガルドミラはタツタカの頭から手を離すと心置きなく答えたんだ


『鷲のフウカ、女勇者であったが彼女は最後の最後に今の魔王様に殺されたのだ・・・魔王様も無傷ではなかったがな』


女か、しかも名前から察するにその勇者もタツタカ同様に異世界から来たような名である

するとガルドミラは話し始めたのだ、その話ではやはりそのフウカという女ヘルトは異世界から来たヘルトであり天命を全うしてからこの世界に来たのだと言う、彼女はタツタカとは違って元の世界に帰ると言う気持ちは無かったらしく、死んだ身でこの世界に来たのだ

彼女は正義感が強く、その頃から魔族との抗争が激しかった時代で剣を持って魔族に立ち向かい


とうとう魔王の元迄辿り着いたが返り討ちにあって幕を閉じたという

彼の話を聞くとガルドミラは結構長生きしているみたいな良い方だ、魔族は軽く300年は生きると聞いてはいるけども彼はもっと長く来ているとわかる


ガルドミラが話した物語は500年前であり、将校ですらなかった

タツタカは重要な事をまだ聞けていない、帰れるのかそうなのかだ

帰れた者がいた事実を聞きたい彼は続けて話した


『僕は帰れると思いますか?』


その質問は間違いだったとガルドミラの言葉でタツタカは知る


















『今までの時代のヘルトは皆死んだ状態でこの世界に来ている、お主の生前は知らぬが今の魔王様を子供の様に弄んだ初代ヘルトもそうである・・・彼は銀狼・・・お主でも無理だ』


ふと俺に視線を向けるが真剣だ、俺でも勝てない奴か

自分でも人で一番強いなんて興味ないよ、普通に過ごせればいい

ガルドミラが言う初代ヘルトとは予想だとシルバと同じ時代にいたであろうビビの事だと俺は予想していたが彼はまだ生きている

確定じゃないがあの赤いローブの十天第2位はきっとそうだ、色々考えているとタツタカが彼の言葉を否定した


『僕は遊んでいたらいきなりこの世界に来たので死んではいませんよ』


『そうか・・ならば勘違いだろうが昔から魔族とヘルトは敵対同士であるからしてヘルトがどんなものであったか魔族界ではおとぎ話で話は残っている、お前以外全員が死んでからこの世界に来た・・・そして皆その時代の魔王様にやられたり十天に倒されたりとしている』


その話をした瞬間、ゾロアが気まずそうに咳込んだ

俺が顔を向けると彼は直ぐに顔を横に向けて気付かない振りをするがこいつ多分・・・今は要らぬ詮索はこいつにする必要はないな

するとガルドミラはケトラとザムエラに頼みごとをしたのだ、タツタカが元の世界に戻れるまでどうか人族を襲う事を止める様に密かに動いていてほしいと


敗者として誠意を見せるためだとわかるが魔王が戦うと言えば戦う羽目にはなる

それでも出来るだけその戦を先延ばしにしてやれと言うのだが理由としてはタツタカがいればまず価値の見込みは無いと直ぐにガルドミラもわかったからである、今負けたばかりの魔族は数十年は軽く戦を仕掛ける事も出来ず、茶化すために南大門にいつもの小規模戦を仕掛ける事も億劫になる時期なのだ


そんな大魔将軍はそこでようやく自身の名をタツタカに伝えると彼はようやく話している魔族がガルドミラ大魔将軍だと知って驚きながらも口を開く


『大魔将軍なのに穏やかな方ですね』


『魔族だから荒いとは勘違いも甚だしいな、俺らとてお前ら同様であり血が大好きなどという生き物ではない・・・俺もそろそろ意識が薄れて来た、平和を願って先に天に召されたあいつらに会いに行くとするか』


彼は大の字で空を見えがると深呼吸したのだ、話し終えて満足した様子を見せるガルドミラは静かに目を閉じた、一先ず魔族大戦という表面上の問題は片付いたのだが魔王がまだ姿を見せていない

あいつを倒さないと意味は無いが俺が倒すべきではなくタツタカだ、ガルドミラの最後にザムエラは泣き叫ぶこともなく涙を流して静かに大魔将軍を見守っていがケトラは認めることが出来ない様であり何度もガルドミラの名を叫んでる


生きていれば色々な感情がそこにある、魔族全てが悪ではない

人間も悪はいるが魔族とどっちが多いといわれてもわからない、だがしかし上の者に限ってそういった弱者を踏みつけるような輩は一際目立つのだ


俺達も魔族が悪者だとは言い難いだろう


『ザムエラ、俺の意思を引き継ぎ弱き魔族を助けろ・・・ケトラはまず大人になれ』


2人は静かに頷いた、するとそこで名を呼ばれていない者が口元に笑みを浮かべながらガルドミラに向けて衝撃的な言葉を送ったのだ


『死ぬには惜しい魔族だがギガン魔将軍同様貴様もインダストリアルに流してやろう』


ゾロアである、ありえない意見にタツタカは口を開けて後ろにいたゾロアに振り向く

ザムエラやケトラも首を傾げてしまい涙も引っ込んでいく、肝心なガルドミラは詩人が死ぬはずだったのにいきなり目を開いて仁王立ちしているゾロアに視線を向けると彼に聞いたんだ


『何をわけのわからぬことを言う、俺は重傷であり直に死ぬ』


『勝者の言う事を聞くのが敗者だ、貴様はまだ使えそうだ』



そう話したゾロアは左手をガルドミラに向けると手の平から白い玉を無数出現させてガルドミラの体内に入っていく

その技の様な術の様な得体の知れない光景が何なのかタツタカが聞いたのだがどうやら今迄倒した敵の魂を取り込んでいたらしく、それを媒体に肉体を回復させるのだと言うのだ

本当は怪我をした時に自分が使うために保管していた魂だと笑みを浮かべて説明したがそうしているとガルドミラの怪我は見る見るうちに治っていき、彼は上体を起こして辺りを見回す


起き上がった大魔将軍にケトラは両膝をついた状態で何度も万歳して喜びを見せるがザムエラは何が起きたか頭が追いついておらずただジッと上官であるガルドミラを見つめていた

俺も内心ホッとしている、こいつが死ぬのは勿体ないしどうせならタツタカに聞こうとしたがタイミング見つけれず挫折するところだった


自身の体を見始めたガルドミラは両手を体の正面に出して見つめながら口を開く


『俺に何を求める?貴様は誰なのだ・・・この治癒力は尋常ではないぞ』


『俺はギュスターヴ・ハデスのゾロア・ス・タークである』


『あの南の大陸を滅ぼした絶王か!?』


『逸話を知っているらしいが別人だ、それに俺を王と呼ぶな・・・死の精霊神であるぞ』


『馬鹿な・・・』


『悪いが事実だ、タツタカよ・・・こいつはインダストリアルに流しても大丈夫だ、少し荒くなってもギガンのようにすぐ慣れて子供と戯れるだろう』


話がついていけない様子のケトラとザムエラだがそれは俺がちゃんと説明したんだ

インダストリアルは昔から真央z苦の島流しの場所として最悪の刑とされていたが理由は虫神がいるし凶悪な魔物が多いからである、いくだけで死ぬがそこで生き残った魔族が小さな家を作りだしてその数を増やし


とうとう村から街まで発展してしまったのだ

キャスバルはそこで贅沢の限りを尽くしたが俺が殺したし今じゃ身分での差別が無い魔族の一部が夢見る世界がそこにあると話すとケトラは腕を組んで頭を傾げると俺に質問して来たんだ


『ガルドミラ様を連れていくのか』


『生きているからいいだろ?それに俺が決めた事じゃないし文句はゾロアとタツタカに言え』


『あの少年はまだ話が出来そうだが隣の化け物は顔を見るのも少し嫌だ』


『我儘言うな馬鹿、死なないで済んだんだぞ?意味があってそこに一時的に身を預かると言う事だ』


『ぐ・・・』


そう話していると俺達の会話中にタツタカはガルドミラの腕を掴んでおりその行動にガルドミラ自身は動揺し始める

彼のそんな落ち着かない様子に少し口元を抑えて笑うタツタカだが口にした言葉はそれとは違う面倒な言葉であった


『ギガン魔将軍は今じゃ子供の世話将軍ですので子供の世話大魔将軍として頑張ってください、そこは銀狼であるジャフィンさんとその仲間達が死を覚悟して迄守った魔族達ですからジャフィンさんを馬鹿にすると元大魔将軍でも街の人にケツ蹴られますよ?』


『待て!?確かに敗者として言う事は聞くが何故俺が子供の保護者のような事をし『テレポート』』


唐突にタツタカとガルドミラは消えるとケトラ達は驚きを顔に浮かべる

初めてヘルトの能力を彼らは見た様であり、本当に魔力が無限と言われるだけの実力だと知る

本当にここからインダストリアル迄飛んだからな、普通ならばテレポートは1日1回程度しか使えないし移動距離は50m先に行ければ御の字だ


するとゾロアは欠伸をしながら背伸びをするとそのまま南大門に歩き出す、気づけば南大門の正面にはまだ警戒のために1万ほどの兵が守りを固めているがそこから馬に乗ったネロ大将軍と英雄3傑のタツヤ達そしていつもの側近騎士達が近づいてきている


そんな様子に残っていた魔族兵はケトラやザムエラが危ないと思ってなのか、こちらに走ってくると彼らを隠す様に前に出ると剣を構えだしたのだが本当に忠誠心強いな


『お前等何してる、無駄に行動すればガルドミラ様の意志に背くぞ!?』


ケトラが魔族兵に言うと返事は直ぐ返って来た


『それでもケトラ様とザムエラ様が死なれてはガルドミラ様の意思を継ぐ者は息絶えてて魔族は終わります!私どもが時間を稼ぐので2人で先に逃げてください』


(慕われてるなぁ)


俺はハルバートを地面に刺して腕を組むとそんな魔族達の様子にウンウンと頷きながらも観察し始めた

ネロ大将軍達がこちらに辿り着く迄は1分ともかからなかった

人間の大将軍を前に魔族兵は彼に剣を向けて警戒し始める、馬上のネロ大将軍はその様子を見てはいるけども反応は見せはしない


彼が降りると直ぐに他の者達も馬を降りて魔族に視線を向けた、何をしに来たのかはわからないが不味い事をしない事を祈るか


ザムエラとケトラは悔しそうな顔をネロ大将軍に向ける

本来倒すべき相手が目の前にいるからだ、俺じゃなくて彼を倒して南大門を陥落させる予定なのは知っているが予想外にも俺がいたからできなかった


ネロ大将軍は手に剣を持ってはいたのだがおもむろにそれをしまうと軽く鼻で笑い

魔族達に言い放ったのである







『帰るが良い、戦う者がしなければいけないのは勝つことよりも生きて帰ることが何よりも至福である』

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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