39話 教会本部信仰戦 侵入
グスタフは嬉しそうに左手でゾンゲルの手首を掴むがその不気味すぎる表情にゾンゲルは寒気を感じてその掴んで手を振りほどこうと腕を引こうとしたが
動かないのだ
人の力じゃないと思いながらゾンゲルが想像したのは違うものだ
人に掴まれているというよりも別の生物にその手を握られている気がしてならない
(!?!?)
ゾンゲルは目を見開いてその正体を知る
熊だ、彼は一瞬熊帝の姿をグスタフと垂らし合わせてしまう
『何が見えたかぁ』
グスタフの声にゾンゲルはビクンと体を震わせる、人を相手にしている気がしないと感じ額に汗を流すがその時には勝敗は殆ど決まったも当然であった
熊に掴まれることはあの銀狼のジャムルフィンでも決してされたくない行為であり、ゼリフタルの冒険者でもそれを誰でも知っているのだ
誰でもこう口にするだろう
熊に絶対に掴まれたら駄目だ
その意味が現実となる
ゾンゲルはフワッと体が浮いたことに気付いた、自身も筋肉質でありそれなりに体重は重いと知っているのに目の前の熊は嬉しそうな顔を維持したまま軽く彼を持ち上げたのだ
ありえないくらいの握力と馬鹿力に驚いている暇はない、直ぐに掴まれた右手に持つ大剣を離して開いている左手で掴むと熊の左腕に突き刺そうとする。
だがしかしそうしようとすると掴まれた腕を軽く動かして突きは空を切る、バランスが崩れてしまい当たらないのだ
『貴様っ!』
ゾンゲルは掴まれた状態のままそう愚痴の様に口にすると熊の腹部に蹴りこむがダメージを与えた感じが一切しない、ゴツンと硬い物を無理やり蹴った感じに近い
(石かこいつの肉体は!?)
苦虫を噛んだ様な顔を浮かべた瞬間、グスタフの右手が彼の目で捉えきれない程に動いた
何をしたのか目を開いて固まるゾンゲルは自身の左腕に激痛が走る
ゾンゲルは視線をその痛みの方向に向けると自身の左腕が切断されていた事に気付いたのだがそれと同時に彼の腕から鮮血が生々しく地面に滴り落ちる
『上位職らしいが天位職との差って悲しいくらいあんだよ』
『ヒッ・・・!』
ゾンゲルは熊の言葉に体を小さくした、それでも抵抗しようと持ち上げられている状態から何度もグスタフの体に蹴りを入れるがタフ過ぎてゾンゲルの体力が先に尽きそうになる
あまりにも実力差がある事に気付いた時には遅すぎた、彼が天位職だという情報は誰もこの国では
上位職同士ならば自信に分がある、ゾンゲルはそう思っていた
確かに彼は上位職の中ではかなりの腕を持った男だがそれは上位職の中ではトップレベルというだけの話であり、天位職とまともに戦えばどうなるかは彼も知っている
天位職のリルラにコテンパンにされているからである
熊から放たれるおぞましい威圧は彼女以上だと思い最後の抵抗を見せようとして足に闘気を込め始めるがそれに気づいたグスタフは全力で彼を振り回し始める
『ぐぁぁぁぁぁ!』
視界がグルグルと回るとどうしようも出来ない
熊が玩具で遊んでいるかのようにブンブンと振り回すと抵抗という抵抗が出来ないのだ
そのままグスタフはゾンゲルを掴んだまま上に振り上げると口元に笑みを浮かべて口を開いた
『ずっと寝てろ!!!』
彼は全力で地面にゾンゲルを叩きつけた、まるで隕石が落ちたかの如く地面を砕いてめり込むゾンゲルは口を半開きにしたまま二度と吸う事の出来ない息を吸おうと必死に藻掻くが無理である
熊の全力によって地面に叩きつけられた彼は肺挫傷になった、両方の肺を潰されたゾンゲルは肺が握りつぶされた感じを覚えると同時に口から全ての酸素を無意識に吐き出す
『・・あ・・ま・・な・職・・・』
僅かに残った空気を使い彼は口を開くが何を言いたいのかは誰もわからないだろう
だが馬に乗ったグスタフは大剣を肩に担いでニヘラと笑うとその質問に答えた
『天位職イビルディザスターの首狩りグスタフだ、芸達者だがここで終わりだ』
グスタフは馬を立ち上がらせると両前足を使ってズドンとゾンゲルの胸部に蹄を落とした
馬の全体重を乗せたその攻撃は人が絶えるのは酷というだろうが熊はそれをトドメに使った
声にならない声でゾンゲルは潰れる胸部の激痛に痙攣を起こすと直ぐに動きを止めたが明らかに即死に近い状態である
残忍な殺し方だと思うが術も技も出来るだけ節約する為でもあり、いちいち降りてトドメを刺すよりかは馬でのしかかる攻撃の方が手っ取り早いと思ったのだ
大の字で朽ち果てたゾンゲルの胸部はべこリとへこみ、悲惨な状態であるがそれを少しだけ見たグスタフは直ぐに視線を教会の金色の扉に向けて口を開いたのだ
『行くぞ』
ここまで後方がカールやミミリーそして騎馬兵達が抑えてくれたので被害はないに等しい
『待ってましたー、行きましょ』
ルルカは彼の横を通りグスタフよりも先に教会に向かって馬を走らせると彼も慌てて彼女を追いかける騎馬兵も前に進み教会の頑丈そうな扉を通って内部に侵入する事に成功した
最後尾のカールは直ぐに馬から降りてその扉を閉めると内側から鍵をかけた、かなり頑丈だと見受けられる扉はそうそう破壊されることは無いだろう
しかもこの扉は僅かに魔力障壁の効果を持っているようであり術での破壊は困難だとカールは感じた
大聖堂の様な強大な部屋に着いた彼らは馬を止めて辺りを見渡す
この部屋全てが約4千の騎馬兵で埋まると全員は周りを見渡した
『単純な作りだな』
グスタフは囁いた
四方が150m程の部屋であり一番奥まで両脇に扉が沢山ある、一番奥には階段があり登れば突き当り左右に道がありその先は奥に続く通路へとなっているがきっとあの先が本部の中心部に続くと皆は睨んだ
『教会本部なのに祈りを捧げる石造が無いわね』
ルルカの言う通り、祈りを捧げに来る場所では無さそうだ
だが天井付近の壁はステンドグラスなどで美しい建物を彩る
誰もがその財でモノを言わせた建物に目を奪われていると最後尾のカールとミミリーが先頭集団に近付いて来た、硬く閉ざした扉は外の教団兵が何としてでもこじ開けようとドンドン叩いているがそうそう壊れる事は無いだろう
『2階吹き抜けの先に通路が2つだが単純の筈だ、別れる事はしない方がいい』
カールはそう告げる、ただでさえ5千いた味方が今や4千弱と少ない
バラけてしまえば各個撃破されることを危惧したカールはこのままの人数で一気に行く事を進めるとグスタフは同じ考えだった模様であり、2階奥の通路を見ながら頷いた
『このまま一気に行く、カールとミミリーも先頭だ』
『では後ろの方は私達騎馬兵で』
ディロア国屈指の精鋭で固めた騎馬兵、彼らの中にも旅団長は1名いるので後方の事は彼に任せる事にしてグスタフとルルカにカールそしてミミリーは先を急ぐことにした
『何が来ても可笑しくねぇ、きっと面倒な野郎もいる・・・』
『そうだな』
『まぁ何が来ても別に問題ないよ』
グスタフの言葉にカールとミミリーがそう口にした
きっとそこ答えはインダストリアルでの事を思い出しているのだろう、最強最悪の存在のSランクレベルのとある者に出会ったからだろう
あんな奴以上なんて見る事は無いだろうという考えが彼らには強みでもある
だがそれでも強者はこの世界に存在しており彼らは誰が来ても武器を手に戦う覚悟は誰よりも持っている自負はある
『じゃぁ行きましょう?みんなあんま術とか技使ってないわよね?』
ルルカが首を傾げて言うとカールとミミリーは微笑みながら頷く
大丈夫そうだと感じたグスタフは先に馬を走らせて正面の階段を登り始める、緩やかな階段であるために馬でも容易に駆け上る事が可能であった
突き当りを右に曲がり直ぐに左に曲がると真っすぐ進む通路に出たがそこまで言った瞬間どこからともなく大きな声が聞こえた
『侵入者が入った!信仰を信じる者は信仰の名のもとに罰を与えよ』
それは建物内に設置された連絡魔石であったが音量が大きい
誰の声かはわからないがかまわず4人は先頭を走り出すとカールが苦笑いを浮かべながらこう口にしたのだ
『罰を与えれる・・・か』
『あらぁ?天罰勝負でもする気かしらカール?』
『ルルカ嬢、炊き起こさないでくれ』
天罰者カールとなった彼はルルカニ苦笑いを送って答える
確かに罰を与えると言うのは彼の専売特許に近いであろう
ミミリーがクスクスを笑いながらその光景を楽しんでいた、先に進むと何度も教団剣兵が行く道を塞いでいたが4人が前に居れば通路を守る敵500程度は簡単に突破できるのだ
『ヴィスターフィン!!』
カールが叫ぶと彼の背中から2色の腕が出現する、赤い腕は邪悪な手、青い手は優しい女性の手
その2つの腕はカールの背中から伸びると前方の敵兵に向けて襲い掛かる
『ぐぬぁぁぁぁぁぁぁ!』
『何だこれは!?』
2つの腕は拳をグーにして前線を強引に押しこむ、瓦解した瞬間にミミリーは馬を走らせたまま床に降りると敵が隙を見せた隙に双剣を両手に持って低い姿勢で襲い掛かった
教団兵も応戦しようと剣を振り落とすが彼女はそれを綺麗に避けて周りの敵の首筋を斬りながら奥まで進んだ
ジグザクに敵の中を移動しながら斬るミミリーに翻弄されていると直ぐグスタフとカールやルルカが馬で敵を吹き飛ばしながらも近くの敵を自身の武器で斬りつける
カールに敵のヘルファイアが飛んでくるが彼は真剣な顔を浮かばながらも首を軽く横に曲げてそれを避ける
敵のヘルファイアは覚えたての様に熱光線が小さい覚えただけの様な状態ともいえよう
『避けるだと!!??』
ヘルファイアを放った魔導兵は驚いて後ずさるがそうしている間にカールは彼を攻撃範囲内に捉えると剣を振り下ろしながら言い放つ
『ちゃんと鍛錬しろ!!』
『ぐぇ!!!』
カールは魔導士の頭部はたたっ斬る
血しぶきが舞うが彼は構わず横から襲い掛かる剣兵の攻撃を弾き返してから胸部に剣を刺して仕留める
グスタフは敵が降る剣をモノともせず剣ごと大剣で吹き飛ばして道をこじ開けていく
直ぐ後ろからは騎馬兵で術が使える者は奥の方にファイアバレットを放ってグスタフ達が進みやすくしてくれる
『ありがてぇ、まぁ国屈指の騎士だもんな』
『恐れ入ります!』
グスタフは労う言葉をかけてから直ぐに目の前の敵をバッタバッタと大剣を振って教団兵を倒しながら道を開けていく
数人の騎馬隊がやられてしまったがそれでも気にせず彼らはこの場の敵を全滅させた
全ての敵兵が倒れているのを見ながら静かなこの場に先に口を開いたのはミミリーだ
『さっさと進もうよ、もう16時だよ』
近くの壁にかけられている時計を見て彼女は言う、時間が惜しいのだ
今日中にここを落としたい彼らは教団本部の中心部分まで行かなければならない、そこに騎馬兵の一部が持っている大量の爆圧魔石を設置して起動させるのだ。この本部を破壊するだけの大量の危険物指定された爆発魔石だある
彼らの目標はこの建物内の中心にそれをセットし起動させて逃げるということだ
それをするには必ず邪魔するであろう門番的存在を倒さなければならない
それにいち早く気づいたのはグスタフである、彼は通路の奥に視線を向けながら口を開く
『やべぇ奴の気を感じるぞ、どうやら俺達を待っているらしい・・・遊ぶ気満々だってよぉ』
グスタフが超感知持ちであり、魔物の心という超スキルによって魔物の心を読める
だが今彼が言い放った言葉には引っかかる事を皆が知る、何故敵の心を読んだのかと?
それは人間でも魔族でもない
敵は魔物だと言う事である
誰もが彼の言葉を信じた、熊がヤバいというくらいの猛者がいる奴が必ずここの主であると
『行きましょ、覚悟は出来ているのよね?』
ルルカが言うとカールとミミリーは自身を顔に浮かべて答える
『虫でも何でも来い』
『虫は嫌』
グスタフは失笑しながら彼らと前を進んだ
食堂らしき場所を通る時は少数の敵兵が待ち構えていたがそれをことごとく粉砕し先に進むがおかしな点に気付いた
本部内に敵が少ない、しかも奥に進むほど既に倒れている敵兵がわんさかいるのだ
グスタフはふと思い出す、そういえばタツタカが先に侵入していても可笑しくないからだ
手土産に敵を倒してくれたのだろうと考え心の中で感謝するとそのまま先に進む、すると再び教団兵の防御網が通路の前に現れる、あと少しで敵の本部の中心というのにとグスタフは舌打ちをする
正面を先には大きな扉がありそこが行き止まりとなるがこの敵が最後の砦となるだろうとその苛立ちを抑える
敵の数は通路を埋め尽くし500はいるだろうがその先頭には腕を組んでこちらを見据える者がいた
彼だけは玩具の様な仮面をしており重騎兵らしき黒い鎧を装着しているが首にかかるマントは教団のシンボルである黒の色である
彼の腰には片手剣がある、グスタフ達は馬を止めるとその者は口を開いたのである
『ふはははは!この前は銀狼に吹き飛ばされたが次はそうはいかんぞ!このエレガントでビューティフルな俺様がお前らの為にここを墓にしてやろう!』
(なんだこいつぁ?)
(なにこいつ?)
(こやつはいったい)
(キモッ)
4人は遠い目で彼を見つめた
不思議とテンションの高い彼は我が物顔をするかのように顎を上げて4人を見つめている
仮面をしていてもそうだろうと感じているがそんな彼が腰から立派な剣を抜くとそれを4人に向けて再び言い放つ
『さぁ行くぞ!信仰幹部を倒したらしいが俺をあいつらと一緒にするとデンジャラスなディスティニーが待ち受けるぞ!』
よくわからない言い方に多少狼狽える4人だがそうしている間に目の前の男が速攻を仕掛けてくる
(速い!)
カールはそう感じながらも近付く彼の目の前に即座に移動すると剣を振る
それに合わせるかのように教団兵のリーダーと思わしき男はカールの剣に自身の剣をぶつけた
金属音が響き渡ると同時に男の後ろからワラワラと敵兵が怒号と共に敵兵が押し寄せて乱戦と化していく
カールの相手はこのリーダー格の男となったのだがなんと2人の力の差は互角、互角と言っても単純な力であるがそれでも押し返せない程の力にカールは目を見開いて瞬時に後ろに下がる
教団兵のリーダーも後ろに下がるが後ろに飛ぶと同時にファイアバレットを1発カールに放つがそれは容易く避けられる
『流石銀狼のフレンド共だ、だが!』
男は瞬時に剣を構えると8体の分身を作り突っ込ませながら大声で叫んだ
『濁流斬!』
8体全てが男の姿となり物体と化してカールに襲い掛かる
多勢攻撃であるがその全ての攻撃はどれも受けても致命傷となりえる、カールはツッコんでくる分身を床を踏んで跳躍してキリモミ回転しながら切り刻んだ
着地と同時に正面を見るがまだ2人残っておりその2体は既にカールを仕留めようと剣を振り落としている最中である
(面倒な)
カールはそう思いながらも床を踏み抜いて2体の攻撃を避けるとそのまま本体である男の目の前まで走り抜けた
避けられるとわかっていたかのように彼はタイミングを見計らって横殴りに剣を振るとカールはそれを剣で受けて外に流しながら体を回転させて回し蹴りをした
『うおっ!』
素の声で男は驚くが体を仰け反ってそれを避けた
『隙だぞ!』
カールは直ぐに正面を向くと剣を男の仰け反った腹部に刺そうと突くが男は仰け反った状態から後方に2階バク転をすると宙返りをした、着地と同時に彼はヘルファイアを撃つがカールは体を横にずらして避けると断罪を放つ
断罪とは遠くからでも認識した対象にその場の斬撃を転送し攻撃する事が出来る技である
50m離れていても剣を振ればその動きに合わせて対象の目の前の同じ斬撃が発生するのだ
カールは断罪で斜めに剣を振るが男に奇跡が起きた
足を挫いてしゃがんだのだ、それによって彼は断罪を受けることが無く避ける形となるが頭上にいきなり発生した斬撃に驚きを顔に浮かべて後ろに下がる
『なっ!?ジーザス!貴様遠くからでも剣撃が届くのかっ』
『運のいい奴め・・・』
歯痒い思いをカールは感じながらも運の良さに助けられた彼に何度も断罪を放つが一度見てしまえば彼も学習したようであり無尽蔵にその動きに合わせて避ける
それでも適応能力が高すぎるのだ、馬鹿なようで実力は有していることに認めざる負えないカールは悔しい思いで彼の評価を1段階上げた
周りではグスタフやミミリーそしてルルカが武器で敵を薙ぎ倒しているがそんな最中で一際変わった戦いをするカールとその男は互いに剣を構えて5メートルの距離で構えだす
男は肩で息をしている様だがカールはまだ体力がある分、疲れを見せていない
ディロア騎馬隊2人がその男に剣を向けて襲い掛かるが彼はそれを跳躍して避けてから一振りで首を斬って着地した
首のない騎馬兵2人はそのまま馬から落馬する、瞬時に国の精鋭を倒す実力を見てカールは早急に仕留めないといけないと思い、オータイルを放った
天罰職であるネメシスの特殊技、剣のふと振りで無数の斬撃を飛ばすこの技は剣技でいう真空斬を複数放つ技
その光景に一瞬驚く男だが舌打ちをすると駆け出し避けたり剣で弾き返したりしてカールの目恩前まで迫った
(なに!?!?)
危なっかしい回避方法だがそれでも無傷でここまで辿り着いたことに驚きを隠せないでいた
『もらっぱ!!』
男は噛んだ
一瞬それに気を取られたカールはガードに専念し突き出してきた彼の剣を上に弾くが直ぐに真下から蹴りが飛んでくる
だがカールは自身の特性を活かして避けずにその蹴りを体で受けた
彼は補助スキルの物理盾によってダメージが半減するからだ
蹴ったのに微動だにしないカールに男は驚くがその隙にカールは渾身の一撃を与えんと剣を横に振った、確実に斬れるタイミングであったが蹴った足でカールの腹部を蹴って離れて回避を試みた男は玩具のような仮面を斬られただけで済んだのだ
顔を抑えて後ろに下がる彼に視線を向けて剣を構えたカールは本気でやらないと面倒な相手だと感じ始める、力の温存を考えて動いていたカールはそれではこの者に勝てても時間ばかり過ぎていくだろうと察し、一気にケリをつけようと考えた
目の前の男からはポタポタと手で抑えた顔から血が滴り落ちるがその姿にカールはやはりかと言うような顔で彼に話しかけた
『褐色、やはり魔族か』
『今更隠す必要もあるまいか、強きナイトめ』
顔を抑えていた男はその手を離す
堂々とその姿を現した顔に近くで教団兵と戦うグスタフ達もその姿を見る
魔族の者はしかめっ面をして溜め息を漏らす
カールは彼に興味を持ち始めた、理由はわからないが戦いながら強くなっているような彼に敬意を払うことにしたのだ
『私の名は天罰者カール、貴様ほど強い魔族ははじめてだ』
『俺様に傷をつけたこと後悔させてやろうぞ、名はオーズー・ライオットだ!!未来の大魔将軍になるべく馳せ参じた者であるぞ!さぁエンドにしてやる!』