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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
14章 ディロア大決戦 涙を流す勇者に黒騎士は決意し、少女は想う
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38話 教会本部信仰戦 影帝

教団の本部であるトゥルーゲン教の本拠点、その建物の正面の大広場にて1万の教団兵が通さぬと言わんばかりに盾兵と重騎兵で固めている

そんな鉄壁の構えの彼らに先に突っ込んだのはグスタフである


『道をこじ開ける!ついて来いよぉ!』


馬を走らせて向かうグスタフに教団兵の前線は体を酷く緊張させて待ち構える

彼らは待ち構えるだけ、攻撃をする者は後方に控えているがその者らの攻撃が来る前にグスタフは闘気を困ると不敵な笑みを浮かべながらとある特殊な技を放った


『イビルゲート』


馬をかけるグスタフの頭上からおぞましい扉が現れた

その出現に彼を追いかける騎馬兵は足を止めてしまう程驚きを見せるがそれは教団兵も同じだ

禍々しい扉を前に敵の後方で矢を放とうと弓を引いていた弓兵達は武器を降ろして何が起きているかとその手を止めた

前線で構えていた盾兵も重騎兵も見たことが無い技なのか術なのかわからない存在を前に後ろに下がってしまう


だが既にもう遅いのだ

熊は悪魔の様な微笑みを見せると顔の前に開いた左手を出して一気に閉じた


『開門!!!!』


重低音を響かせてその扉が開かれるとその奥が明らかとなる

真っ黒だったのだ、何もなくあるのは黒という色だけ

そこから出てくるのは何なのか恐怖を覚えた教団兵はそれでも自我を取り戻して腕に力を入れて盾をゴンと音を立てて地面に置くと防御の姿勢を正す


『何が来ても我らはここを守・・・』


兵が最後まで言えなかった

扉の奥から雨の様に黒い刃が教団兵に襲い掛かったのだ、鋭利過ぎる漆黒の刃はサイズとしては短剣程度の大きさしかないがそれでも星の数すらも上回る刃がジャムルフィンの連射弾以上の数と連射で放たれた

突如としてその場は一変し、前線を守る教団兵達はその刃の前にどんどん倒れていく

盾の隙間を通って肉体に刺さるとそれだけではおさまらず、貫通して後ろの者迄も深く突き刺さる

前線の盾兵といっても部分的な瓦解だがそれでもインパクトは凄まじく、防御が意味を成さないと知るや否や無事な盾兵は自らの役目を捨てるかのように後ろに下がろうとした


グスタフが狙った盾兵がいる場所は既に崩壊して後ろの重騎兵迄も巻き込み道を作る

その技の効果は約5秒続いたが漆黒の扉が閉まるとそれは一瞬で粒子となり消え去った

イビルディザスター唯一の殲滅技である


『進め!』


グスタフが大声で指示をすると騎馬兵達は立ち止まっていた事に気付く彼に続いた

ルルカは既にグスタフのすぐ後ろを馬で駆けており熊が切り開いた道に向かってデネブインパクトを撃ち出した

ルルカの頭上に現れた青色の拳サイズの無数の球体が前方の教団兵の頭上に一瞬で移動するとそれはすぐに爆発し彼らを吹き飛ばし重傷を負わせる、近くにいた者は確実にその命を散らしているだろう

天術の威力は術士の中でも随一かもしれないとグスタフは思いながら彼女と並んでこじ開けた中心の道を進んだ


『ひ・・ひるむなぁ!戦えぇ!』


敵からもやる気がある様な声が聞こえるが喝を入れるには乏しい

その声は仲間にはきっと聞こえていない、見た事もないその場に地獄絵図を作り出した技に覚えた教団兵はいとも容易く前線を崩壊させる


グスタフは道を進みながら周りの教団兵を大剣一振りで斬り倒しているが彼の隣では同じくルルカがシャインショットという天術を使って敵を倒して馬を進ませた

ルルカが左腕を前に出すとタツタカの世界でいるビー玉程の青い球体が数十個集まって出現する、その弾達がショットガンの様に弾けるようにして敵に飛び出すとそれに触れた敵兵は小規模な爆発に巻き込まれて苦痛を顔に浮かべて倒れていく

ジャムルフィンの散弾に近い扱いだがこれはそれに爆発属性がついた様な術である、威力としては命を狩ることは困難だが敵の戦意を喪失させるには丁度いい


『あぁぁぁぁぁ腕がぁぁぁぁ!』


爆発で腕をやられてかなりの出血をする教団兵が腕を抑えて両膝をついたり腹部を抑えて倒れる者もいる

低コストの術なので彼女はそれを数回放ちながらグスタフと共に奥に進むとそれに追従して騎馬兵も周りの敵を倒しながら進み始める

1万全てを相手にしている暇はない、ならば中央をゴリ押し突破が最適案だ

まだ両脇には大量の教団兵がいるが追撃をする手が遅い、弓兵の位置まで迫るとようやく我に返ったらしく弓を引いて矢を撃ち始めるがグスタフとルルカは正面から迫る矢を剣で斬って弾き飛ばす

後方から追従する騎馬兵はそんな芸当は難しく少しずつその矢によって体を射貫かれて落馬する者が相次ぐが止まることは出来ない


(面倒だ)


弓兵にまで迫った先頭のグスタフとルルカは正面の弓兵を馬上から斬りつけながら無理やり道をこじ開ける

運よく敵の弓兵は中心部分に固まっていたためにそこを超えると弓の勢いも半分程度となる

それでも矢にやられる騎馬隊はいるが止まればもっと犠牲が出ることを理解した熊は突き進んだ


『そこまでだ!俺は信仰幹部№12のジュゼである!貴様等勝手な真似はさせんぞ!!』


正面から鬼の様な顔をしながら怒りをあらわにする男が現れる

大剣を右手に持ち走ってグスタフに襲い勝ってくるがルルカは少し後ろに下がりその相手をグスタフに譲る

グスタフはようやく骨のある奴が来たかと内心嬉しく感じながらも大剣を手首を使ってクルクル回しながら馬を走らせ近付く


その間ルルカがシャインショットで矢を放つ弓兵を攻撃してくれていることを横目で確認したグスタフは跳躍して剣を振り上げるジュゼに大剣をぶつけた

この時点でグスタフの期待は泡となる、信仰幹部No.12と声高らかに口にした彼の剣が砕けてしまいグスタフはそのまま大剣を振り抜くと奴は肩から斜めに深く斬られてしまい、そのまま受け身すらせず地面に落ちたのだ


虫の息と化したジュゼはパクパクと口を動かして必死にもがくがその時には既にグスタフ達は更に奥に進んでいっていたのだ


(私が手も足もでぬか……)


彼が最後に感じた言葉である

敵の陣で暴れるグスタフ達はそのまま走り出す

大広場を埋め尽くしていた教団兵は今や蛇に食い散らかされたかの様に2つに割れてしまった

その後のグスタフの前に部隊長や師団長クラスの者が襲いかかったのだがそれすら大剣のひと振りにて地面に倒れる


『もう少しよ?』


『わぁってらぁ!』


大きな鉄格子の扉が徐々に近づいてくるがグスタフは敵を斬りながら進むと正面に突如として魔導兵が現れるがどこから湧いたのか、彼らは右腕に魔力を込めはじめるがそれよりも先にルルカのデネブインパクトの構築速度が早く、彼女の天術によって爆発に巻き込まれている


この時教団兵は敵の先頭の男と女に恐怖を覚えた

どうみても普通じゃない強さ、そして信仰幹部を一瞬で倒す光景を目にすると勝手に道を開けてしまい教会本部領地に入る前の鉄格子の扉まで道ができる

グスタフやルルカだけに恐怖をするのは恐怖にはまだ早い

ディロア騎馬兵の最後尾にも何やら可笑しな光景が巻き起こっていたのだ


騎馬兵が吹き飛んだり多くの血飛沫が宙を舞うがそれはカールが素早く馬を近いこなし回りの敵を一掃していたからだ

ミミリーはというと近くの騎馬兵達を援護しながら後に続く形となる

グスタフ達の先頭集団の地獄を過ぎたと思いきや、最後の絶望が最後尾にいた黄色い長い髪をした騎士から受ける


『後ろは見るな!正面を突っ走れ!』


カールが周りの教団兵を斬りながら騎馬兵に告げると彼らは返事をして邪魔な敵だけを斬りながら前に進む

実戦不足である教団兵は恐怖に弱い、得体の知れない騎士とミミリーに歯が立たず向かえば返り討ちになるだけだった


『カール!後ろから追手!』


『何?』


ミミリーの言葉で背後を振り返る、街の方面からゾロゾロと教団騎馬兵がこの広場に入ってきてカール達の退路を断つが初めから逃げる気は毛頭ない、前に進むのみである

街から来た教団兵と言っても数はパッと見で2千程度であり相手をしている暇はない



『トゥルーゲン教の名において倒せ!ひるむなぁ!』


大声で叫びながら馬を走らせてくるがカールは後ろに意識を集中させながら最後尾から騎馬兵を守りつつ前に進む

両脇の教団兵は味方の騎馬兵がある程度倒して進んでくれているがそれでも数人教団兵の剣によって傷を負うと落馬して孤立してしまう者がいる


(すまぬな)


助けている時間なんてない、心の中でカールは謝罪を送りそのまま馬で前を進む

ミミリーは双剣であるため馬上からはリーチが短く攻撃しにくいと思いきや手綱を左手で握ると体を大きく外に向けて右手に握る片方の双剣で敵を斬る

するとカールの横から何者かが飛び込んで来た、その者は玩具の仮面をしている

大半の教団兵は仮面をしていないがそれでも少数は仮面をつけている、おそらく魔族だろうと思いながらもカールは襲い掛かる教団兵の剣を弾き返すとその者は空中で後方回転して地面に着地する


『面倒な奴め、だが貴様等は絶対にここを落とせん!』


歩兵であるその者はカール達のいる最後尾に追いつけぬと見て口を開いた

追撃をするにしても着地をした時には既に馬で正面を走る抜けるカール達に追いつけるはずが無いのだ


落とせないと言う言葉にカールは強者がいると言う理解を示し、正面を向き直す

すると先頭から物凄い音が聞こえたのだ、何か金属物質を破壊したかのような音であるがそれは正面の奥を見れば直ぐにわかったがどうやら教団本部に入る為の大きな鉄格子の扉を何者かが破壊した時の音だ


開かれた先は広大な庭となっており真っすぐとレンガの様な道が教会の建物まで続くが距離にして100mほどあるだろうその道を先頭集団が入っていった

最後尾の者達はひたすら敵を斬りながらも彼らの後に続く
















『私が壊すってグスタフ決めたのにぃ』


ルルカは馬で走りながら頬を膨らませて横にいるグスタフに向けて愚痴を放つ


『悪ぃ悪ぃ!つい雰囲気でたたっ斬っちまった!』


どうやらルルカが壊すはずの鉄格子の扉を彼が壊してしまったのだ

ディザスターハンドでという地面から悪魔の様な巨大な腕を出現させて扉を殴り飛ばしたのだ

庭の奥には扉だってであろう無残な鉄くずが落ちている

グスタフは頭を掻きながら謝すと正面の奥から見える教会の金ぴかの贅沢な扉から教団兵が100人ほど馬に騎乗して向かってくる

ルルカは瞬時に術士がいると悟り直ぐに左腕を前に出してヘルファイアを撃ち出す

赤黒い熱光線が彼女の上げた左手の平から真っすぐ飛んでいく、火術上位であるその術は天位職になってから遥かに威力が増している

いつもより太く、いつもより速度が増したそのヘルファイアは遠くの教会の扉から来た教団兵100人の騎馬隊である先頭の者の体に命中すると超高熱によって貫通し、すぐ後ろにいた別の騎馬兵に当たり燃えさかる


『ぐぁぁぁぁぁぁぁ!』


先頭の者はそのまま顔を苦痛に歪ませて落馬すると後ろの教団兵は燃え盛る自身の体を見て暴れ出す

勿論馬でさえも暑さに驚き乗っていた兵を振り落とす

それでも彼らは止まらない、どうやら外の教団兵よりも経験を積んだものでありそれは精鋭というには足りるだろう


『ひるむな!先頭の2人さえ倒せばいいのだ!』


正面から襲い掛かる教団兵の冷静な声がグスタフの耳にも聞こえた

軽く舌打ちをして馬を少し早く走らせるとそのまま先頭集団の教団騎馬兵の目の前まで迫ると互いに馬を止めて交戦し始めた、熊は1人の剣の突きを体をずらして避け、近くの兵士に大剣を振って首を落とす

それでも他の教団騎馬兵は狼狽えず苦い顔を浮かべながら一斉にグスタフに襲い掛かろうと剣を振り上げるがグスタフは全力で威圧を体から放つ

それによって敵の乗る馬が激しく興奮し始めて教団兵を放り出す様にして落馬させた


『ぐぉっ!』


数人は体を回転させて着地をするが数名はそのまま背中を地面に打って苦痛を顔に浮かべた

だが奥の1人だけは馬も多少驚いただけであり馬上の者は少し険しい顔をするだけであった

落馬した殆どを無視してグスタフは馬をその者に向けて走らせた、落馬した敵はきっとルルカ達が対応してくれるだろうと信じた熊は前だけを見て遅いかかる


扉の前に陣取る他とは違う教団兵は仮面をしておらず普通の人間だった

紫色の単発であるが後ろ髪は少し長めでありゴムで止めてまとめている


『銀狼という者の仲間か・・・』


教会の扉の前にいた教団兵は背中に装着していた大剣を抜いて走り出す

互いに近付いて怒号を上げると互いの剣を振り、気高き音をその場の大きく響かせて唾ぜり合った

力勝負にしかならないその大剣同士のぶつけ合いは直ぐにグスタフが押して敵の大剣を押しのけるが彼は直ぐにグスタフの乗った馬の側面を蹴って距離を取った


あのままバランスを立て直そうとしていたらきっと熊に斬られていたであろう

グスタフは只者じゃないと知る、大剣を彼に向けながら目を細めて口を開く


『てめぇ少しは遊べそうだな』


『遊ばれるのはお前だ、信仰幹部№5であるこのゾンゲルが貴様を倒し・・・レリック教皇様の野望を叶えるのだ!』


骨のある者であると知った熊は小さく笑みを浮かべて彼を見つめた

言い終わった彼は大剣を振って真空斬を放って斬撃を飛ばすがそれをグスタフは軽く大剣で弾いて掻き消すと直ぐにファイアバレットが目の前に迫る


『チッ!』


左手を使い裏拳でそのファイアバレットをあらぬ方向に弾くと剣を振り落とそうとするゾンゲルよりも早く右手に持った大剣を彼の胸部に向けて押し込んだ


『!?!?』


一瞬驚いた顔をするゾンゲルは馬の手綱を左手で握り大きく体を横に倒して難を逃れると上体を起こすと同時にグスタフの剣とぶつけ合う

互いに剣術での交戦となるがその間グスタフは後ろの状態を気にして軽く横目で後方を確認した

味方の騎馬兵は4千まで減った様ではあるが全ての騎馬兵はどうやらこの教会領地に入れたらしく鉄格子のあった大きな扉の付近ではカールとミミリーが通せんぼをしてくれている


『余所見とは余裕だな首狩りが!!!』


(俺の名知ってるんだなぁ)


そう心で言いながら意識をゾンゲルに移すと彼は素早く何度も手に持った大剣を連続してグスタフに突き出した

大剣で突きを高速でするというのは難しい、片手剣ならまだしもそれよりも重さのある威力重視の武器でそれをするとき事はそれほど熟練した者と言えよう

1秒で10回くらいだろうがグスタフはそれを大剣で弾き、体で避けたりとしてスレスレで凌ぐと直ぐ最後の敵のひと突きで左手を使い・・・・・











彼の大剣を握る右腕の手首を握りしめた

ジャムルフィン『あっ・・・』

ナッツ『あっ・・・!』

ルルカ『あらま』

ルッカ『あちゃー』


ゾンゲル『なんだ!掴まれただけだぞ!?!?!?』

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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