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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
13章 番外編 それぞれの生活
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40話 千剣物語 友のために

最初の商品からラストスパートですか!?

先代皇帝陛下ってエステリーゼさんのお父さんですよ!

なんでここに王族の宝物庫から漁ったかのような防具が出てきたんだろう


その商品は一奥の扉から現れた仮面が手にもって商品と共に登場してきましたが本物ならえらいこっちゃですよこれ


(あ…あり得ないことが現実に)


乾いた笑みをフードの奥で浮かべると司会進行の二人が口を開く


『まずは?』


『桃金貨10枚からいきましょう』


(やっぱり僕は貧乏なんだ)


なんですか桃金貨って?ととぼけたくなります

先輩連れてこないと買えないなぁ

ですがその商品あとで押収する予定ですから今は泳がせますか


『18』


(ひぇ……)


挙手しながら低い声で答える者がいた

僕無理、桁の違いに倒れそうになりますよ


『19』


『21』


『23』


王族のコレクションですから値打ちも当たり前か

にしてもいつ盗んだんでしょう?明らかに内部犯いますよね王宮に

するとこの商品は少しふくよかそうな体格の者桃金貨25枚で落札しました

次もビックリ商品でした!


転移石ですね!しかも2つ!使いきりタイプですがこれは高そうですよ


『金貨300枚から行きましょう!』


(ひぇー!)


可笑しい、僕は裕福だ

だけどそう思えない


(残り金貨15枚)


泣いても良いでしょうか?何しに来たんでしょう僕

いやいや違いますよ公爵の悪事を表に出すために来たんです

それだけなら僕が動かなくても父さんが勝手に裁くのですから僕の出る幕は普通ありません


ですが種族という言葉に違和感を覚えたんです

知らなければいけない事が起きていると思ったから

杞憂だったならば何も買わずに帰ることになって無駄に頑張らなくてもいいでしょう


転移石は桃金貨8枚にて落札

そういえば落札者は席を立って係りのものに案内されて行ってますが手続き等ですねこれ


『次はマジカルキノコです!』


はい覚醒剤、しかも1キロタイプと多いしお値段も最初は金貨500枚

僕はただただ傍観するしかなかったですね・・・貧乏ですから・・・はい

そこからオークションが右の垂れ幕から順番に現れ、売れても売れなくても左の垂れ幕に仮面を被った者に運ばれていく


んで時間も1時間を過ぎた後に最後の商品になったらしく司会進行をしていた2人のボルテージが無駄に上がっていきます

さぁて何が出るんでしょうかね、待っているとステージ上の2人が元気よく口を開いた


『次はこのオークションの目玉であります!どうぞ!』


ああなるほど、不思議と感情が落ち着いてますけども普通ならば僕は怒る場面だと思います

現れた商品というのは少し大きめの檻に入って獣族であり種族は鳥人族に猛牛人族そして兎人族

彼らはボロボロの服を着ており両手は鎖がグルグル巻きにされて首には鎖がついており先端には錘ですね

兎人族は悲しそうな表情で俯き、猛牛人族は椅子に座る者達を警戒し強く睨みつけているが元気そうだと思います・・・女性は兎人族だけですか、ふむ


(鳥人族は衰弱していますねあれ)


少し危ない状態でしょう、パッと見なんだか体が痩せ細っているので満足に飯を食べていないと予想します

獣族が商品というのは見ていて不快過ぎますよ、だから冷静でいられるのかもしれない

会場は少しどよめきと同時に小さな歓声が聞こえる、腐っている・・・心が

ふと兎人族が顔を盛り上げると一直線に僕に顔を向けてきますけども僕はあなたの種族の特徴を知ってます、あなたかなり耳良いですからね・・・知ってますよ


『助けますから今は我慢してください』


僕は口元まで迫らないと聞こえないくらいの声量でそう呟くと彼女は目を見開いて固まった

確実に僕の声が聞こえましたね?少し微笑みをフードの中で見せると兎人族の女性は少し泣きそうな顔を見せたんですけども商品としてステージにいる彼らのオークションは無情にも始まるんです


『3名セットで先ずは桃金貨30枚から行きましょう!』


『さぁ獣族の商品は今後お目に出来ないかもしれませんよ!兎人族の毛皮は冷気無効!鳥人族の羽は風圧無効そして猛牛人族の角は万能な漢方薬であり折っても数日で生え変わるんですよ!』


驚いた、そんな情報初めて聞いたんですけども本当なんですかね

そうだとしても越えちゃいけない一線を越えた行為に僕は許すなんて無理なのですけども今は僕も我慢です


『50!』


『55!』


聞きたくもない数字が耳に入ってくる

そうして最終的にこの商品を勝ち取ったのは木の仮面をした鎧の男、裏路地で盗み聞ぎした時にいた人ですね・・・この人を追う必要がありますが果たして大丈夫なんでしょうか


『よし、たいぶ金はかかったが』


彼は立ち上がり傭兵に連れられながらそう口にしていた

桃金貨80枚で落札したんですからね、普通手が届きませんから

そうしているとステージにいた司会進行の仮面を被った2人は客席の僕達に深いお辞儀をしてから小さく透き通る声でオークションの終わりを告げた


『これにて裏帝国のオークションを終わります、皆さま次回もよろしくお願いしますよ?』


その声と同時に椅子に座っていた者達が静かに立ち上がり入口に体を向け始める

僕は椅子に座ったまま係に運ばれる檻の中に入った3名を見つめたんですけども兎人族の女性はずっと僕を見ていました


『ガウガロに返す』


先ほどと同じくらい微かな声量でそう囁くと彼女は再び俯いた

そういった感情なのかはわかりませんけどもそろそろ動く必要がありますね

僕は立ち上がり背伸びをすると後ろから肩を叩かれる、びっくりして振り返ると傭兵が2名目を細めて僕を見ておりバレたのかと内心焦っていると別の言葉が飛んできました


『お客さんよぉ、そろそろ帰ってくんねぇか』


『警備も楽じゃないんだよ』


僕に向かって言う言葉に疑問を感じる、確かに警備は楽じゃない・・・けれども

楽ですよね?僕に気付いていないんですから、しかもこの人たちは雰囲気や仕草的にそんな強くないですねぇ、上位職でもなさそうですし


『帰ります』


わざと低い声でそう答えると入口に体を向けて僕はゆっくり歩き出した、気配感知に集中しますね

ステージ横の垂れ幕の向こうの気配が少ないのがわかります、そして今このオークション会場内には僕と先ほどの傭兵2人、彼らは僕が帰ると思い既に視線をステージに向けて歩き出しておりよじ登ってステージに登ると一度僕を見てから奥のドアに消えていった


その時僕は入口に手をかけていたので神速一閃で一直線に檻が消えた垂れ幕に入っていった

何故この技を使ったかというと奥に消えた傭兵が再び戻って来そうだったからです、運よく僕が垂れ幕の中に入ったと同時にモップを持って再びステージに現れた2人を垂れ幕の隙間から覗いて確認


(危なかったですけども僕が帰るまでずっとみてればいいのに)


警備も楽じゃないのはあなた方のレベルの低さですよ


『ふぅ』


一息ついて両脇木箱だらけの部屋だと確認すると檻と落札者が消えたであろう奥にあるドアの先に歩き出します、ここにはいませんね・・・監視は


(このローブ気配小さくできますから気配感知【中】じゃ僕を感知するのは無理ですね)


気配感知【大】で集中しないと僕の気配は今気づけないんです、特殊なローブですから

皆の前で気配の小ささで気づかれないのかと思うかもしれませんが見えている者に対して気配感知を意識する人はそうそういませんよ、人は目で見えるだけで警戒していると勘違いしますからね


(ざるです)


そう思いながら扉を少しだけ開けて中を覗くと設営会場の裏口になっている

普通に洞窟じゃないっすかぁ・・・つまりこの穴の奥なんですよね

そこに傭兵が5人あたりを警戒しており先ほどの司会進行の2名が獣族を落札した者に何か話している

肝心な獣族3名は既に檻に入ったまま荷台に積まれて馬2頭に繋がれているので輸送準備完了という訳ですけども準備速いですね、檻は布で隠されており中に何が入っているかわからない状態ですけども獣族達の気が先ほどよりも小さい・・・まるで眠らされたかのように


いや眠らされたんでしょう


松明の量が少ないのですけど薄暗いですけども傭兵がそれなりにして迂闊に出れません


(追いつくしかないですか)


一旦扉を閉めて僕は木箱の影に隠れて少し待ちました

すると4つの気配が奥に消えていくのを察知しそれが木の仮面の者だと予想を立てます、先輩みたいに気配で誰かってわかりませんから予想でしかないですけども数的に正解だと思う

すると傭兵らしき気配はこの部屋に入ってきてステージのある方向に疲れた打の愚痴をこぼしながらオークション会場に向かって聞く


緊張しそうになるますが小さく深呼吸しながら再び僕は奥の扉を静かに開いて神速一閃で一気に駆け抜けます、司会進行だった2人が扉に背を向けて金勘定をしていたのでバレずに距離を取る事に成功!


(ざるです)


またそう思いながら後ろの警戒もしないくらいに進むと僕は走った

追いつかないとどうしようもないからです


静か過ぎて静かに歩いても僕の足音が辺りに響くくらい無音、聞こえる音と言えば天井から水滴が地面に落ちる音くらいでしょうね


『神速一閃』


再び加速してから小走りに歩くと奥の方から車輪の音が聞こえますけども追いついたらしいです

安堵を浮かべてこの音がこの一定のまま聞こえなくならない様に進みますが目を凝らすと荷台に檻を詰んだ馬車の後方部分がうっすら見えます

どうやらビンゴです、このままバレずにいきたいですね


『今ならば助けれますけどもそれだけじゃねぇ。木の仮面の男は荷台に乗って馬を引いているでしょう』


気配でなんとなくわかります

助けようと思えば今助けれますがまだ駄目です

本当のタイミングは目的地ですからね、それまで僕は冷静に尾行しなければいけません

数十分すると洞窟が徐々に小さくなり終わり・・・なんとバルギルの街の橋のしたについたのです普通に街の人が渡る大きな橋の下に出ると僕は振り向いて見たんですけどカモフラージュですこれ

中からだと小さい洞窟なんですが外から見ると壁ですね、なるほど

しかもこの橋は舌に川が流れているのですが箸を覆いつくす程の川のサイズじゃなく馬2頭がギリギリ横並びで歩ける道があるんですよ・・


時刻は何時だろうか、時計わすれちゃった・・でも深夜だというのは間違いない筈

そのまま坂道を登り大通りを優雅に進む馬車の後ろに僕は堂々とぴったりくっついて進みますけども馭者として馬を引く木の仮面の男からは死角ですから見えません、布で隠した檻で見えませんからフードは息苦しいですけども脱ぐと隠密性の効果が薄れるかもと危惧した僕は仕方なくそのまま馬車のあとを追う


そうして辿り着いた先はアデル公爵の館!バルギルの端に位置する豪華な建物だ

五爵の第1位である階級ですから警備兵とかも彼に疑いがあっても取り調べは権力で何とかできるでしょうし一筋縄ではいかない貴族です、まぁゴリ押しできる僕の父さんなら簡単でしょうけどね


館の門に進む馬車から離れて物陰から様子を伺いますが馬車は立ち止まることなく門番によって開かれた門を入り館に入っていく


僕は夜ということで脇の方から鉄格子を飛び越えて侵入すると手入れされた花壇地帯で身を低くしながら進むと追いかけていた馬車は館の裏側に向かって領内の道を進んでいると気づく


(表からは流石に入れないとなると館の一部の者しか知らない事なんでしょう)


全員がグルなら表から行くはず

しないとなるとそういうことです


『!?』


ふと頭上に気配がして顔を上げると高く跳躍して剣を振り下ろす男がいた

多分見回りの雇われでしょうが目が悪者にしか見えない

雇う者もちゃんと選んでいるんですね


『この時間は大人の秘密だ』


そう囁いて笑みを浮かべ、剣を振り落とす彼よりも早く腰の片手剣を抜いて首を切り飛ばした

ドサリと力無げに花壇の中で息絶えた見回りを見ながら剣を腰に納めて僕は口を開いた


『大振り過ぎて子供かと思いました』


直ぐ視線を馬車に移すと同時に静かに外側から迂回するようにして追いかけますが先ほどみたいな隠密だけ上手い見回りがいないとも限らないので最低限警戒して進みますが心配なく館の裏側まで行くと小屋の様な建物に馬車は入っていく


殆ど馬小屋にしかみえませんが館から少し遠い


(へんな所に馬小屋なんてあるんですね)


そう思いながら馬小屋まで近づいて入っていった入り口から中の様子をみるとそこにはアデル公爵がおり、内心僕は驚きましたよ

木の仮面の男は仮面を外してから檻に被せた布をとると口を開いたのです


『何事もなく』


『でかしたぞリュウゼン』


リュウゼン?聞いたことがある、でも思い出せませんね

二人だけじゃなく暗い部屋の奥には他にも人がいる

5人か、彼らは傭兵っぽいですがたいして強くない


彼らは檻の中の鳥人族と兎人族そして猛牛人族を無理やり起こすとリュウゼンが懐から鍵を出して開け、3人を外に出す

暴れたらいけないから傭兵らしき5人は武器を獣族に向けながら警戒をしている


『歩け』


リュウゼンはそう口にするとアデル公爵と共に更に奥に行く

3人の中で猛牛人族だけは敵意を剥き出しにするが少しすると兎人族に耳元で何か話し込まれ大人しく歩き出した

僕は奥に向かう彼らの後を追ったんですけどもリュウゼンが奥の壁に積まれた大量の藁を掻き出す様にして払うとなんと地面に大きな木の蓋がありそこを開けると地下に向かう階段がある


(また地下ぁ)


苦笑いしたくなりますよ


『降りる、逆らうならばここで死ぬことになるぞ?貴様らは買われたのだ』


アデル公爵の口から放たれた言葉権利という言葉を無視した貴族らしくもない言葉に耳を疑いますね

まぁ彼は貴族の資格すらない汚れ物ですから淘汰されるでしょう

獣族の3名は険しい顔をしながら頷いている、するとアデル公爵が前を歩きその後ろにリュウゼン

獣族の後ろを5人の傭兵が監視しながら中に入っていきます、僕も行きますか


『周りに気配はありませんね』


一応まだバレていないので大丈夫そうですけども先ほどみたいな奇襲をかけられるかもしれないので念のため警戒はしていたんですけども心配なかったです

夜だし僕が侵入してるなんてわかりずらいでしょうしそのまま地下の階段に消えた彼らをゆっくりと追いますか

どうせ単純な道の筈です、仕掛けがあったら面倒ですけどね

馬小屋の中に入ると上から地下に行くための階段を見下ろしたんですけども石材加工の階段だ

壁も切り抜いた四角い石を綺麗にはめて作ったんですねこれ、頑丈そうだ

僕は足音を立てずに降りることにしました、だって響くの確実ですから


(でもあっちは足音凄いし僕が立ててもバレなさそうですねぇ、でも・・・)


一応注意しときます

違う足音が分かる者がいるかどうか定かじゃないんで

どうみても傭兵は大したことなく、手強そうなのはリュウゼンのみ

フル装備ならば問題ないんですけど今は体に隠し持っている5本の短剣しか・・・


(現場で目撃しないと意味はないでしょうしそこが戦う場になりそうですね)


結局僕は戦う事になるのは確定です、現場で公爵に問いたださなければ意味が無いのです

理由あっても捌きますけどね、悪いですけどもあの人の権力は僕には通用しないんですよ

そうして下まで降りると階段の終わりが見えて来た、ふとその先が松明の様な明かりで照らされたのですけども誰かが明かりをつけたんだと直ぐにわかります

奥まで行ったことを確認して僕も階段を降り切るとそこはとても広い部屋となってました

余りの光景に僕は固まってしまう


(なんだこれは・・・)


檻の上に檻が乗っている状態で2段となって僕の両脇に展開されてますけどもその中にはここに今連れてこられた獣族以外にも多数いるんですよ

鼠人族も獅子人族など狼人族以外がそこにはいました

皆弱々しい感じで俯いていますが眠っている様でもあります、僕には気づいていないですね


(よく見ると人間も、ボロボロの服を着た女性やら男の子もいる・・・何故)


しかもあまり見るに堪えない檻もあったのであります

明らかに息絶えた獣族もおり痩せ細った兎人族が見える・・・性別が分からないくらい細くミイラの様に

僕は前に歩きながら周りを見渡し思ったんです


(こんな胸糞は見ていて不愉快です)


すると奥の方で声が聞こえたんで壁側にある檻の外側に移動して進むことにしました

真っすぐ行くとモロバレですから

丁度檻の中の者も寝ているようですから大丈夫でしょう


『!?』


ふと違和感を覚えた僕は通過しようとした檻に目を向けたんですけども魔物がいたんです

しかもゴブ・・・リン?なんですかこれは!?ハイゴブリンでもゴブリンキングでもない!

見た事のない種類ですよ、ですがゴブリンに間違いない筈

身長は2mちょっとでしょうか、緑色の体に鼻は少し潰れているのが特徴的ですがそれがゴブリンです

ですけども目がパッチリ丸く見えるのは不思議です・・・瞼が

彼は檻の中で手枷をつけて大人しくしてますが真っすぐ僕を見ている、起きてるんです


(なんなんだこれは・・・新種の魔物なのか?明らかに・・・でも)


僕は思いました、こいつは強いと

でも檻の中だし今は切り替えて檻を通ってこの部屋の奥に行くとその声がハッキリと聞こえ始めます


『獣族の素材は高級な素材となる、新しい商売の商品として私に貢献できること喜ぶが良い』


アデル公爵が笑いながら言う言葉がこの部屋に響く

それでも檻の中の者達は起きない、寝ているのだけども危険が迫らない限り起きないとかあるんですかね?そこらへんファルカさんに聞いとけばよかったですねぇ


『公爵、これがバレたら死罪確実ですよ』


リュウゼンの声ですけども彼は善人ではありません、れっきとした悪人

僕は檻と壁の隙間から一番奥の様子を見ますけども鉄のベットがそこにあり彼らはそれを囲むようにして話し込んでいた、既に先ほど連れてこられた獣族は直ぐ近くの檻に3名とも一緒に入れられているけども窮屈そうでもあります、猛牛人族が少し大きいからです


『だまれリュウゼン、貴様ももう逃げられんぞ?ガウガロ以外に住んでいる獣族を手に入れるには闇市しかないのだぞ?実際貴様も良い思いをしているではないか』


『・・・く』


アデルが不敵な笑みを見せながらそう言うとリュウゼンは複雑そうな面持ちを見せた

鉄のベット付近の床には少し赤い液体が渇いた状態で染み付いているんですけどももしかしてここでこの不敬な者は獣族の肉体の一部を切り取っていたのですかね?奥の壁には棚がいくつかありその中には頑丈そうなベルトが見えるし大きな包丁もあります


(・・・こいつら)


僕はもう我慢できなかった

ローブに隠した短剣を5つ外して直ぐにハンドハーベンを発動すると同時に即座に傭兵5人に向けて剣先を向け

飛ばした

腐っても冒険者だったのでしょうね、闘気の流れを感じた傭兵の彼らは僕がいる場所に振り向きながら剣を構えますがそれと同時に僕の操った短剣5本は傭兵の胸部に深く突き刺さった


『グェ』


『ガッ』


そんな悲痛な叫びをしても許しませんけどね

いきなりの出来事にアデル公爵とリュウゼンは驚き後ろに後ずさりして膝をつきつつ倒れた傭兵を見て僕を最後に見る

一応フードは被ったままにしたいですけども脱ぎますか、じゃないとリュウゼンには勝てそうにないですから

慣れない服を着て戦うのは好みません僕


『貴様つけて来たのか!?帝国の密偵か!?』


リュウゼンがそう口に済ますが違いますね


『おいリュウゼン!こやつを殺せ!見られて逃げられても問題はないが用心に越したことは無い』


アデルは少し落ち着いたようで一息つくと奥の壁際まで下がって微笑みだした

余裕ですけども貴方の武器はここには無いんですよね、ですがリュウゼンはやる気の様です

この檻で囲まれた大きな部屋の中でです


肝心のリュウゼンは真剣な顔を僕に見せながら腰につけていた片手剣をゆっくりと抜いて僕に向けて来た

檻に入れられた先ほどの獣族3名は不安そうな顔で僕を見つめているけども心配はしなくて結構です

こいつなんかよりも小屋い奴と何回も戦いましたから

僕も腰の剣を抜くとリュウゼンは目を大きく開けて驚き後退し始めた、僕が分かるようですねこれ

リュウゼンの反応をみたアデル公爵は何事だと思い彼に荒げた声をかける


『戦う前から何を怯えている!さっさとやらぬか!お前も昔は名を連ねた冒険者の1人であろう!』


『馬鹿を言うな!あの剣はデュリトリオンだ!!!あれを持っているのはニューベイター家の者だという事だぞ!!お前なんかよりも権力が上なんだぞ!!!』


『馬鹿な!?』


2人共驚いていますけどもバレたなら仕方ない!とでも言いますかでも正直このローブは忍ぶ用ですからバレたら脱いだ方が良い

僕はローブを脱ぎ捨てると同時に短剣を再度操り傭兵に刺さった5本を抜いて自身の頭上に移動させてその剣先をリュウゼンに向けて待機させる

すると彼は苦虫を噛んだ様な顔を見せながら腰を下ろして構えだす


『どうも、正直がっかりですよアデル公爵・・・5爵の頂点のあなたがこんな馬鹿をしているなんで思いませんでしたが今回は揉み消しは無理です』


『ルッツ・・・ニューベイター、若様だと!?!?』


アデルは額に汗を流し始めるけども諦めた様子はなく彼は僕を指差しながらリュウゼンに命令し始めた


『リュウゼン!死罪を避けるには殺すしかないのだ!それしかもう術はないぞ!』


『貴様本当に言っているのか!?ニューベイター家だぞ!!!クズリに地獄を見せられるぞ!』


『死人に口なしだ!』


2人共焦りを見せている、僕はその間技を何でも放てるように闘気を込めているけども彼らは気づいていませんね

どうするかで意識が十分に戦いに向いていないんです

2人の言い合いを無視した僕は檻に入れられた3名に向かって笑顔で話しかけた


『僕はガウガロの獣王と友人ですのであなた方とここに居る獣族は僕が責任を持って国に返します、今ガウガロは平和に満ちていますから猛牛人族の獣王バルトさんも喜んであなた方を受け入れる筈です』


そう口にすると檻の中の猛牛人族は驚きながら口を開いてくれました


『まさか本当にガウガロに戻すというのか?』


『嫌なら解放のみにしますよ?行きたいならばガウガロ迄送ります』


すると3名は目に光を灯し始めた

彼らだけじゃなく今迄寝ていたと思われた他の獣族も動き始め鉄格子部分を両手で握りしめながら僕を見つめ始めた

一同揃って同じ行動をとる光景に流石のアデル公爵とリュウゼンもどうしていいか判断に悩み困惑を見せ始めます


僕は1歩ずつ彼らに近付きながら商談的に話しかけました、ちゃんと僕の頭上の短剣は彼らに向けていますのでいきなりの奇襲でも返り討ちに出来ます


『檻で一生を過ごすかここで死ぬか選んでください』


僕の覚悟は既にあなた達よりも早く決まっています

抵抗するならば殺すほかありませんが今の僕は加減など出来そうにもありません

檻の中で一生をと言った手前でこんなこと言いたくないんですけど・・・











僕はあなた方を生かす気はありません


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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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