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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
13章 番外編 それぞれの生活
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39話 千剣物語 気になる話


『はぁ、そろそろゼリフタルに帰らないと』


僕は今!里帰り中です、そうですポートレアの一件を父さんが買い取ってそこに隠している転移魔石からサッとベルテット帝国に来たんですよ、職権乱用ですよね・・・エステリーゼさんの顔が立たないんじゃないんですかねぇ父さん

今は実家のあるバルギルの街を孤独に歩いているけども大通りを歩くだけでめっちゃ人が見てきますね、しかも道を開けてくれるから罪悪感凄いです

そういえば剣を補充したんです!父さんに・・・おねだりしたらエイジ鉄の立派な剣を揃えてくださり以前の様に30本の剣が僕の頭上で元気よく浮遊してますけども街の人はこれに驚いてるのもあり父さんの息子ってものあるかもしれませんね


『見世物には丁度いい職ですよねぇ』


そう呟きながら街の周辺を無駄にパトロールしているけどもそんな事警備兵がやればいいとわかっていてもヒマなんです

昨日までずっと特訓続きでようやく休暇を貰ったんですけども里帰りするといつも父さんのシゴキというのも疑問を覚えます


(もっと大事に!もっと!息子死にますからあんな特訓!)


心の悲鳴は心に閉じ込めて置きましょう


『お疲れ様です若様』


ばったり出会った帝国兵の群れに一斉にそう声を揃えて言われると僕はいつもの言葉を笑顔で答えます


『ルッツです』


ここでは本命で通してます、ゼリフタルではナッツですけども特に面倒だとは思いません

人が僕を呼ぶ名前なんて自由ですが若様は駄目!恥ずかしいです!

帝国兵はいつも通りだと言わんばかりに微笑みだすと一同揃って僕に頭を下げて来ましたがその中の部隊長らしき肩が一歩僕に近付くと笑顔で話しかけてくれました


『今日は地獄からの生還ですか』


『わかりますか、本当に父さんは加減を知らなくて』


苦笑いをしてそう答えると彼は笑ってくれた、いい人です


『なるほど・・・無理はなさらぬよう、では私たちはこれにて』


『ええ、お疲れ様です』


彼らは颯爽と小走りで僕が来た道に去って来ました、多分ランニングかなぁ

休暇の理由ですけども僕の父さんは現在将校達と決起集会だとか張り切って城にいきました、明日の朝には帰るんですけどもその日僕は帰る日なのでそのまま城に行って父さんとひと時の別れをする予定ですね

一応街中を歩いていると貴族らしき人が手をこねながら挨拶に来り冒険者各位がなんだか綺麗な姿勢で僕が通り過ぎるのをまったりするけども気にしないで普通にしていてほしい


そして里帰りの楽しみは冒険者ギルド近くの飯屋ですよ

まぁギルドの隣ですから近いなんてレベルじゃないですよね

僕はその店を見上げながら笑顔で囁いた


『量と言えばここですね、今日はオムソバです』


そう言いながら30本の浮遊した剣を器用に束ねて背中に移動させると店内に入っていく

少し広めの店ですけども2階建てであり2階部分はここで働く人の家であると思われます

家族で経営って感じですけども店内はギルドが隣だというのに小奇麗であり丸テーブルが多数部屋に置かれており椅子が3つ、3人用のテーブルですね

カウンター席は無し!カウンター席だった感じの空間はありますがそこは軽い厨房となっており手少し大きな鉄板が敷かれ、そこで色々な料理を作っている親父さんがいる


奥の方にも調理場はありますが食器を洗ったり食材の管理とかだろう、仕切りで少ししか見えませんがきっとそうです

お客さんは時間も時間ですしさほどいません、今は昼過ぎですから忙しい時刻は過ぎた後ですから

それでも数人のお客さんはいるようでありその中にいた1組の冒険者3人が僕に気付くと微笑みながら声をかけてくれました


『おお!若様じゃねぇですか、今日も街一番のリュウリュウの飯は美味いぜ』


『若様の行きつけになってから荒くれ物もそうそう来なくなったぜ?』


『流石若様だ』


リュウリュウはこの店の名前です

僕は苦笑いしながら隣の丸テーブルに座りながら30本の剣を操作して全て立てかけると先ほどの言葉に答えた


『ルッツって呼んでくださいよぉ、ゴーレムンの皆さん』


この人たちはこのバルギルを拠点にしている冒険者チームの3人

全員剣士ですけども1人だけ魔法剣士で中衛と変わった面白いチームなんです、しかも魔法剣士の人治癒術持ちであり超有能!バフの術も使えるし遠距離攻撃も覚えていますから万能なんです

結構この街じゃそこそこ有名なんですよね、30代まであと少しのまだまだ動ける人たちなんです


『ルッツ様、今日は何ですかい』


『オムソバ大盛お願いします』


『あいよぉ!』


鉄板でベーコンを焼いていた亭主が元気よく答えてくれた

すると奥の厨房から娘であるネネさんが笑顔でグラスに入った麦茶を持ってきてくれた


『サービスです』


そういいながら僕のテーブルに麦茶を置きますが本当は麦茶じゃなく水なんです

サービスですねこれ、僕がいちょくちょく来るようになって面倒な客が減ったことに対してのだと思いますけども少し申し訳ない気もしますね、ですがお気持ちは断れないので喜んで飲みますよ!!!!


『ありがとうございますネネさん』


そう答えると彼女は微笑みながら奥に消えていく

いつも通りのヤジが隣のテーブルから笑い声と共に聞こえてくる


『麦茶とはいいですなぁ若様!んで今日は地獄の特訓は休みですかい』


呼び方は諦めましょう

麦茶を少量飲んでテーブルに置いてから休みだという事を伝える

そうして軽く会話を楽しんでいると数分で注文したオムソバがやってきて僕は一心不乱に食べ始めた

皿がデカい、満足できる量です


『食い方も豪快だなぁ』


『そういえば今日はチームの休暇ですか?』


隣のテーブルのゴーレムン3人にそう質問するとやはり今日はオフだと言ってくれた

昨日は忙しかったらしくゴブリンキングとゴブリンの徒党の討伐でありそれが終わったと思いきや帰り道でトロール2体と鉢合わせしてしまい無駄に疲れたと言いながら説明してくれた

一昨日は沢山飲んじゃってしまい適度な依頼をこなして帰ろうとした矢先のトロール2体で具合悪くなったんだと苦笑いで言うけどもそれなりに充実している気がします


『そういやレパルドルに最近うちの国は威圧しているらしいな』


『ですね、この前魔族と結託されたばかりで敵国扱いしてしまいますから』


『面倒な隣国だなぁ』


ゴーレムンの者はそう言いながら手に持っていたビールを飲んだのですが夜じゃないのに飲むんですか

今日は休みと言っていたし彼らの自由ですね、酔って悪いことする人たちじゃないので心配は無いでしょう


早食いのせいで僕はオムソバを直ぐ食べると椅子にもたれ掛かりながらふと口にしたんです


『そのうちレパルドルも変わらなければいけない時代が来ますから大丈夫です』


『?』


ゴーレムンの人達は僕の言葉で首を傾げてますがそのうちわかるはずです、少し意地悪ですけど

んで会計も済ませた僕は再び街の通りを歩き出したのですが今日は商店街が活気だってるから通らない方が良いと母さんにも言われてたのでそこは避けます、肉の安売りだってさ

流石に人の渋滞にはハマりたくないので気分を変えて裏路地から迂回しようと道を進んで突き当りの先に何やら気になる声が聞こえて来た


『もっと商品が欲しい、裏取引では高価でもかまわぬ!いたら買え』


『ですがこれ以上増やすといつかはバレます』


丁度曲がり角の先か、僕は浮遊させている剣を全て背後に固めて待機させ

僕は壁に背中を預けた状態でその会話を聞くことにした


『バレぬから大丈夫だ、我は公爵ぞ?揉み消すくらい容易い』


公爵ってことで声に覚えがあると気づきましたがまさかこの無駄に高い声はアデル公爵か?

壁から顔を少しでも出して除きたいけどもそれはやめとこう、

バレたらまずいですからね


(バレないとか言ってこんなとこで話す神経がわからないんですけど)


そう思いながら呼吸を小さくして心を落ち着かせながら曲道の先の会話を聞くことにしたんです

一応気を小さくするやり方はファルカさんに聞いていたのでちょくちょく練習はしていたのですけども本当にこれ有効なんでしょうかね?実感が持てません


『では今日の闇市でのオークションの商品を2体買ってみます』


『いくらかかっても良い、将来を見越した投資である・・・だが皇帝もこの種族の本当の価値を認めぬとは勿体ないおなごよ』


エステリーゼさんか?軽く侮辱罪でひっとらえてもいいかもしれないけどもここで飛び出してもかなりつまらないですねえ

バレてはいないのはわかっているので泳がせて何を企んでいるか見た方がより情報が得られそうですね

にしても商品という言葉と種族という言葉、嫌な予感がしますねぇ・・・奴隷とかそんな類じゃなければいいんですけども先ほどの会話からはまだわかりません

どうつかっているのかさえ


(あっ!こっちにくる)


隠れるところが無いわけじゃないんですけどもゴミ箱で我慢しましょう

少し大きめのゴミ箱を開けると偶然からだったんで30本の剣と共に中に入って蓋をします

臭い!生臭い!ハズレですね

それでも僕は呼吸を小さく心を無心にする気持ちで通り過ぎる足音2人分が聞こえなくなって10分してからゴミ箱から出たんですけども一体何を企んでたんでしょうか


無数の剣を事情でぐるぐる回転させながら腕を組んで考える


『種族という商品があってますね、んで闇市でオークションですかぁ』


調べはついていますよそれ?だって夜食で父さんが話してましたからね

週に1回バレてないと思っている街の地下にある小規模な洞窟で闇市をしているってことをです

入口は裏路地から行ける小さな小屋の中に階段があってそこから下に下がり一本道を通って多少広い道に出ると両脇に禁止させている商品を売りさばく屋台が立ち並んでいるらしいけども小屋の前に酔っぱらいの振りをした警備は1人いるのも知ってます

入る為にはどこで買うかわからない赤く小さな紐上のミサンガですけども丁度家に1つあるんですよね


(楽勝に行きたいですけどもバレたら多勢に無勢、しかも剣は全部持っていけない)


バレますからね

作戦というのは練ることに意味がありますがそこまで練らなくてもいいと感じます

身バレしたくないのは地下の闇市を知る者達も同じ、黒いフードを羽織っていけばいいでしょう

そしてオークション会場は聞きこみで聞くのはやめときます、地雷踏みそうですからね

自力で見つける、これだけが心配ですね

資金は一応金貨50枚くらい持っていきますか、どこかで払わなければいけない時があるでしょう

例えばオークション会場に入る時!


表通りを歩きながら人に当たらない様に剣を全部真上に展開させて歩きますけどもここでも本当見世物ですねぇ、まぁいいですけども

家に帰り軽くご飯を食べながら母さんに色々と事情を説明して情報の共有を試みたのですけどもあそこにはどうやら強い用心棒がいるという噂を聞いたことがあるらしく遠回しに僕を行かせたくない様な言い方をしています


『まぁあの人ならば強い用心棒でも子ども扱いでしょうけども』


母さんはどこまで父さんの力を信用しているんだろう

確かに怖いくらいに強いんですけどね、父さんは遅くなるって聞いたので丁度いいかもしれない

父さんがいれば絶対予定通りにいかないんですよね、ゴリ押ししそうですし知っててお家という事はタイミングを見計らっていると思った方が利口ですね


そういった考えをしながらテーブルに並べられた贅沢すぎる食材を口に運びますが美味しい

時間を見ると19時とそろそろ出ないと駄目ですね


『母さん、気逸らしローブ着ていきますね』


『父さんが温めていた一件よ?本当に1人で行くの?』


母さんが心配そうに首を傾げてきますが変に不安がらせるのもよくない

僕は笑顔で頷くと少し微笑みだしてメイドにそのローブを用意してもらったんですけども少しブカブカ

ならば10本くらい体に張り付けて収納できそうって思いましたけどもダメですね


ハンドハーベンを起動した状態なんで闘気の放出が周りにどう思われるかが博打過ぎます

魔力感知をもった者なんてゴロゴロいるだろうしもしそうならそこでバレます

最小限体に用意してもらった短剣を5本くらい縛っていきますか、腰の剣を合せて6本


(この腰の剣も見られたら絶対不味いですね)


苦笑いしながらローブを羽織って体をその布で隠すとメイドに頼んで背中や側面などに剣を特殊なベストを巻いてそこにはめてもらいましたけども歩きにくい、剣が間接みたいに邪魔をするけどもこれでも小さい剣を選んだつもりです、母さんは座ったりするとモコモコすると思うから短剣ほどの大きさの剣でいいと僕の剣を没収して違う剣を5本用意してくれたんです、これなら座った時でも多少我慢できそうだ


『一応クズリが帰ってきたら伝えとくわよ?』


『かまいません母さん、ですけども』


『?』


僕は念のために母さんには最悪な場合を伝えることにしましょうか


『最悪僕が数人重要人物を殺すかもしれません』


そうして中心街に向かい時刻は20時と丁度いいんですけども表通りから裏通りに向かう人がチラチラと僕の目にうつる、ですが普通の人の様ですけどもこれは僕の間違った固定概念なのだろうか

普通の人に闇はあります、変な人だけがという決まりはない筈です


(となるとあれは闇市に向かう者達ですか)


表通りから焼きおにぎりを1つ頬張りながら堂々と裏通りに歩き出す数名の人を見眺めた

僕も自然を装わないとならないんですけどもそろそろ行っても良さそうとも思ったり?理由といてはずっとここでのんびりしてても余計変かもしれません、黒いローブを羽織ってフードを深く被ってますから何をしていなくても不振ですよね


『行きますか』


僕はそのまま残った焼きおにぎりを口に含むと一気に飲み込んで裏路地に歩き出す

この路地裏は表通りに立ち並ぶ店の裏と言った方が伝えやすいかと思います、そんな店の裏の向かいはきっと店の倉庫に使っているであろう小屋がある

気負いせず堂々とそんな裏路地を歩いていますが5分後奥に見える小屋の前に酒を持った中年の男がドアの横で座り込んでちょびちょび酒を浴びている、ここかな


そのまま不審な行動を見せない為にも歩く速度は変えずにそのまま目的地であろう小屋の前に行くと同時に僕は右腕にかかったフードを少しまくりあげて腕につけた赤いミサンガを見せて教えてもらった合言葉を座り込んで酔っ払っている振りが美味い中年男性に向かって言いました


『光を照らせば影がある』


小屋のドアの横に座り込んでいた男は顔を持ち上げると少し首を傾げながら目を細くして僕を見て来た

ここが正念場と言ってもいいでしょうね、ここで駄目ならば全部だめです

バレたからこいつを気絶させてどこかに隠してもバレて地下の中で1人ずつ調べられるとかありそうで怖い


『ケッ』


不貞腐れたような雰囲気を見せた彼はそのまま再び酒を浴びて僕を無視し始めました

これは入っていいと思ってもいいでしょうね


(返事はしない方が良いか)


そう思いながら正面のドアをゆっくりと開けて中に入る

7畳ほどの物置ですこれ、壁には農民が使いそうな道具が紐で吊るされており1面しかない棚には紐や網など色々な物が置かれていますが奥の壁に向かって僕は歩くとそこだけ布が垂れ下がっている場所を捲って地下に行くであろう暗い階段を見つけた、完全にここだ


後ろから別の気配が感じるけどもぱっぱといかないと駄目そうです


『おりますか』


小声でそう呟くと階段を降りることにした、1歩1歩の意志で出来た階段を踏みしめる音が辺りに響き渡る

少し雰囲気会って面白いなと思ってしまいましたがやる時は真剣にやりますからね?多分


周りは最初壁の様な作りであったんですけども下に降りるにつれて岩場のような状態になる


(中途半端な塗装ですね)


階段だけでした、下に降りると少し広めの1本道に出たんですけども聞いていた通り両脇にぼろい絨毯を敷いてその上に怪しげな商品を撃っていましたよ、中央の道の幅は約3mほどとそこそこ広いらしいですね

これならオークション会場もわかりやすいかもしれません


(入るまでスムーズに来れましたが最初情報なかったら不毛でしたね)


父さんが口を軽くして話しているのを聞いていてよかったです

知らなきゃ情報源を探すために振り回されていたと思う

そしてよく見ると両脇で商品を売る怪しい商人の後ろに小さな洞穴があるけども目を凝らして見てみたら布団が敷いて会って安易的な寝室となっていた、ここで済んでいるというのですか・・・


接客するような声かけもしない、ただ店の前敷いたぼろい絨毯の上に商品を置いて座って間だっているだけ、明かりは岩場に松明で補っている様だ

その商品を中央を歩く者達が吟味しているが全員が顔を隠しているけどもいつの間に仮面やらフードやらかぶったんですかねぇ


(あのおばあさんが売っている商品は麻薬ですか、そりゃ表で売れないですよね)


小さい布袋に詰まった白い粉、見た感じざっと500gとかなり多い!お値段は聞かないとわからないだろうけども予想では金貨100枚以上必要ですねあの量は

すれ違う人たちにあえて触れぬ様に避けながら進むとそれ以外でも凄いのがあった


(あれ熊帝の爪丸ごとじゃないか・・・誰かに倒してもらったのか?)


丸ごととは凄い、勝ちとしては麻薬には敵わないけども僕としては熊帝の爪が綺麗にある事が驚きた

他には教会でしか置いていない魔術の書がちらほらあったりや軍師か使用を許可していない武器である弩などあって驚きました、あとは貴族が持ってそうな大きなダイヤの指輪とかあまり街では見ないものばかりある


盗んだものもあるんですね

そう思いながら周りを目だけで見眺めて奥に進んでいくと聞き覚えのある声が聞こえて来たんです


『絶対そろそろ限界だというのに権力で隠せるわけがない』


(この声は日中裏路地で聞いた声ですね)


商品を眺めて恨んでいる振りをしながら直ぐ隣で木の仮面をした全身銀色の兵士の様な鎧を着た男の声が聞こえる

間違いないですがこの人についていけばよさそうです、ていっても一本道なんですけど

僕の隣で深い溜息を漏らしながらキョロキョロとしている木の仮面の男は奥の方に視線を向けてゆっくりと歩き出したので僕は少し距離をとって追いかける、一応視線を両脇の商品を見ながらがいいかな

備考というのは面白いですね


(バレたら終わりですけども暴れて外に走れば隙はあるでしょうが二度と入るチャンスは亡くなるでしょう)


最初で最後の隠密作戦、グスタフさんがいたらごり押すんだろうなぁ

まぁシルバレで来るのならばこんな事しなくてもいい筈ですけどね、僕は僕のやり方があるんです!

奥に向かうと両脇の露店も少なくなり少し広い空間に出たんですけども天井も高い、そんな僕の目の前にサーカス団が住んでいそうな大きな設営場が現れた、入り口は布ですか・・・先ほどの声の主である木の仮面の男が入口の門番2名に何かを渡して中に入っていく様子が見えた


顔を振らずに目線だけで辺りを見渡すけども傭兵がいますね、こりゃ驚きです

この世界には冒険者ギルドがあれば傭兵ギルドもありますが僕らには関係のない事です、金で兵士を雇うってだけの簡単な説明ですがここでも傭兵は仕事を受け持つんですねぇ


(仕事内容は選ばない系の傭兵は質が悪いんですよね)


入口に2人そして僕が歩く道の途中に点々といますがパッと見積もって10人ほど

そして僕と共に向こうの設営場に向かうだろう客が20人ほどいますが皆立ち止まらずに真っすぐ歩くので止まらず言った方がよさそうだ、傭兵たちの監視の目がギラギラですから少しでも周りと同調しない行動を少しでもすれば心のブラックリストに入って注意深くみられるでしょうね


僕よりも先に辿り着いた客の行動を見たのですけどもそうやら渡しているのは金貨であり20枚ほどだとわかるとホッと胸を撫でおろしたくなりますね、足りなかったら悲しいですよ!貧乏みたいですし


(僕の実家は金持ちだ!)


変な意地を心の中で叫びながら自然とできた列に並んでようやく僕の番、少し心臓の鼓動が早くなりそうになりますが平常心を保つためにゆっくりと静かに深呼吸しすると門番の傭兵から声がかかる


『獄オクじゃ買わなくても入場料をとる、金貨40枚だ』



(ギリギリ!!)


多めに持ってきてよかったよ

肩を落としつつも懐から中の服を見せない様に意識をしながら金貨の入った袋をだして40枚きっちり渡すと耳打ちで中に入れと合図されたのでそのまま無言で中に入る

すると光景が一変した、数十メートル先まで木の椅子が奥まで多く並べられており肝心の奥には小さいステージがあるんですがきっとオークションの商品をあそこで売るんですね

入った瞬間にどのような感じかを悟りましたけども座る椅子を選んでは駄目らしいですこれ

入った順から詰めていく感じだしそのまま立ち止まらずに詰めるような形で椅子に座った


肩が異様に凝ったので軽めに肩を回しながら正面のステージに視線を向けるんですけどもそのステージの奥に2つの扉がある、右側と左側とです


(本当に見世物小屋みたいな建物ですね)


無駄に動く事も駄目だと思い酷いくらいに最低限の動きだけで過ごす様にして10分を過ぎると少しずつ両脇に立てかけられていた松明が消されてステージだけに明かりがある状態になる


始まるんですね

僕は少しワクワクしながらステージを眺めていると奥の扉から2人の顔上部分だけを隠すような仮面を詰めた人間が出てきてステージの前まで来ると彼らは微笑みながら貴族の様な振る舞いを見せて一礼した

あれだけの単純な動きを見ただけでこの2人は身分も高いのだろうとわかる


『今日はお越しいただきありがとうございました』


『ようこそ煉獄オークションへ!絶対の秘密を約束した者に許された者に与えられる商品がこれからあなた方の前に現れるでしょう!』


『それは今後の人生を変える程の者なのかもしれません』


2人が交互に口を開く、すると溜息を漏らす声が聞こえた

この感じは先ほどの木の仮面の鎧野郎ですね、どこにいるのか忘れてました

運よく僕の斜め前にいます・・・やったね!そしていつの間には傭兵が四隅でお客さんたちを1人ずつ順番欲監視しているので本当に変な行動はとれ無さそう・・・てか驚くほどの商品が来て反応してしまったらヤバいだろうな


(果たしてどんな商品が出るのか)


『ではまず最初の1品目!先代帝国陛下のコレクションである忍びローブ!』


僕は心の中で大声を出して驚きましたよ

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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