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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
13章 番外編 それぞれの生活
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36話 銀狼と熊

『あはははは!どうだい?アポスの冒険者事情も将来性が大事なんだよ』


これはブール公爵の笑い声である、現在彼の館の応接室にて談話をしているんだよ

今日俺はなんとグスタフと共にアポスのブール公爵の元に訪れているんだなこれが

俺だけ行くのもあれだしグスタフの家に行って暇なら一緒に行って変わった活動してみないかというと二つ返事で彼は獰猛な笑みを浮かべてついてきてくれた


グスタフの影馬が本気を出すと本当に早い、俺の銀彗星よりじゃないけども何もかもを置き去りにするくらいの速度を出すので移動がスイスイ進むけどもアポスに辿り着いたのは夕刻であり、まぁ5時間かな

途中ポートレアで水分を取って小休憩をとったが既にカールとミミリーがガウガロから戻ってきておりポートレアのギルドで話を少し聞いたのだがかなり有意義な時間を過ごしたらしくシュウザーは強かったと笑いながら答えてくれていた


勝てなかったらしい

でもカールは清々しい顔で言っていたのを今でも覚えている


『上という力を感じるのは大事だ、俺も貴様の後ろにいるのを忘れるな?追いついてやるぞ化け物め』


ガウガロを心底2人は気に入ったらしくまた行きたいと話していた

んで夕刻ついて今迄の報告も兼ねてここに来たのだが黒龍戦での話をしたがその時の公爵の顔は切なそうであった


メイドが応接室に入ってくるとその手には俺とグスタフ分のオレンジジュースを持って手前のテーブルに置いてくれた

有難く俺達は飲み物を飲んでテーブルに置くとブール公爵が話し出した


『悲しい事だ、私の街の勇敢な者達が無くなるというのは』


溜息を漏らして無理やり笑みを見せる公爵の感情に偽りはない

そんな彼が続けて話したんだ


『君の前でこういう言い方は申し訳ないと思うが正直に言おう、マルス君だけでも生き残った事・・・私は嬉しい』


『何故ですか?』


『誰も経験出来ない絶対的な武器を持った者が街の顔になれば良い刺激になる、だから私はチーム再興に力を入れる彼に援助金を少し送ったんだ』


驚いた、確かにブール公爵は先を見越しての投資を惜しまないがそこでマルスに着目したか

彼の言う申し訳ない言葉というのは俺があいつと仲が良いって知ってるからだな、物みたいに言う事を許してくれという訳だが俺は気にしていない

逆にマルスに決めてくれたことに俺は嬉しく思っている

ブール公爵の経験できない事って黒龍戦か、まぁ言い難いか


『公爵さんよぉ?あんたマルスに何を見たんだぁ?』


首を傾げながら言うグスタフはなんだか少しゴロツキみたいだ

少しブール公爵がビクンと一度震えたしやっぱ見た目怖いよな、熊だし!

一度咳払いした公爵は腕を組んで教えてくれた


『将来性は当たり前だが彼はこのアポスで誰よりも人当たりが言い、そんな彼が街で一番となれば冒険者の質も変わるだろう・・・人は上を基準に行動が変わる、馬鹿が上ならそこば馬鹿だらけになるし知的な奴ならば周りも知的に変わり始めるだろうがマルス君の武器は違う、努力という可能性を周りに見せる事が出来ると思い私は彼を今も観察しているが・・・知っているかい?新生カレジリージョンは一気に強くなってきているぞ?エルフ族の上位弓職が介入したのだ』


『!?!?』


俺とグスタフは驚いて逆に俺達がビクンと体を一度動かした

エルフって絶滅したんだろ?えぇ・・しかも不遇な弓職か、でも一気に強くなったと言ったしそのエルフ只者じゃないという事か


『たった数日で有名になったエルフ族の女性の名はアルセリア・リース・ヴェルミナントと言い二つ名は聖弓姫セイキュウキアルセリアだ、とても強いらしいぞ?』


俺とグスタフは顔を合わせて同時に伏せて考えた

カレジリージョンにそのエルフ族介入か、他にもメンバーは揃えたみたいな感じだけども早いなあいつ

しかも凄いスピードで成長と遂げていると?面白いし見に行きたいな

多分隣にいるグスタフもそう思っているだろう


その後の話だとマルスが活動し始めてから既に1か月経過しているらしくその話題で持ちきりなんだとか

俺達の村になんでその情報が来ないんだよぉ・・・田舎か、そうなのか!?


『まぁ今日はチームで森に行っているだろうしあとでギルドに向かって見るといいさ、私もチームを見に行ったけども期待できると思うよ?しかもエルフ族の女性はかなりの美貌だったし道行く人が振り返るのも無理はないくらいだ』


『おいジャフィン』


グスタフが口元に笑みを浮かべている、こいつ見たがっている

彼には行こうと伝えると腕を組んで機嫌よくなる、そうして談話も終わり貴族の仕事は明日頼まれたので俺達は一度ブール公爵の館を出ることにした、

その際入り口では公爵の次男であるケヴィン・ムール・ヴェロニカ男爵に会い少し楽しく話をして外に出るとグスタフは影馬を直ぐに影から出して乗り込みながら俺に話しかけて来た


『どこに行くかわかってんな?』


『ったくわかってるよグスタフ、ギルドだろ?』


『ヘヘッ、荒しに行くんじゃねぇぞ?』


『お前が言うと上段に聞こえないぞ?』


『うっ・・・うるせぇ殴るぞ』


『痛いからやめて!!!』


本当に痛いから嫌だ、魔天狼なのに特訓で殴られても凄い痛いから泣きたくなる

正真正銘俺は獣としてグスタフの職が見ているらしくこいつの魔物特攻が俺にかなり効く

体術の訓練は前よりも俺にとって過酷だよほんと・・・はぁ

黒龍戦から時間も経過して今は10月、熱いという季節は終わりを告げて秋が訪れている

俺は暑さとか寒さとか耐性があるから関係ないけどもグスタフは今の気温が快適だとギルドに向かっている最中話しかけて来た


『来週はバニアルドの結婚式だぜ?忘れんなよ?』


『覚えてるよ、不思議だよな・・・冒険者は普段着とか』


『まぁ白い目で見られねぇような振る舞いだけはしねぇようにしないとな』


『ああ』


その通り!来週はバニアルドの結婚式!楽しみである

グスタフの言う通り粗相のない様にしなければバニアルドにも悪いから頑張るか

んで俺達はそのご自慢の速度で街中を颯爽と駆け抜けて冒険者ギルドの前まで行くけども入口付近の段差を登ったところで中の声が俺の耳に入って来た


『俺が街で一番のチームなんだよ、逆らう気か!』


『お前なんか誰も認めてなんか無いぞ!誰がお前の言う事なんか聞くか!』


『このガキが!』


『アレン逃げて!』


何やら波乱だな、誰かが威張っている様だがマルスじゃないなこの声

てかマルスがあんな言葉を声を荒げて言うなんて生涯絶対ないだろうなぁ、どこの面倒な冒険者だよ

何かが壊れる音とかガラスが割れる音が聞こえるのでグスタフに顔を向けるとどうやら気づいているらしく目を細めてこちらを見て小さく頷いてくれた


『お前なんかマルスさんの押元にも及ばないぞ!リーダーの悪口なんか俺が許さないぞ!』


その言葉で俺は自然と体が動いた、左手に握るハルバートに力を入れて入り口前の段差を一気に飛び越えて大きな扉を蹴り破った

するとギルド内の光景が俺の視界にあらわになる、周りの丸テーブルが滅茶苦茶であり冒険者も多くはない、きっと依頼を請け負って森に出かけているのだろう


受付付近には職員が驚いた顔でこちらを見ているが彼らだけじゃなく全員が俺を見て目を見開いて固まっていた

辺りに散らばる椅子や倒れたテーブル、その中央付近で冒険者に胸倉を掴まれて顔に痣をつけた若い冒険者が苦しそうな顔を浮かべている

2人の近くには術士っぽい女の子がいる、泣いているけどもやられている冒険者の仲間だろうが・・・

他の冒険者は壁際に張り付いてアワアワしている


『あ・・・ま・・』


声を荒げていたであろう冒険者は驚きながら掴んでいた手を離してボコっていた若い男を地面に落とすと顔を真っ青にして後ずさりし始めるけども俺はハルバートを肩にかけて声をかけることにしたんだ

先ほどの会話でもわかる、お前は俺の友人の仲間を虐めた


『俺の友人のチームだが貴様覚悟は出来ているか?』


言葉の後にシルバ・シルヴァを発動して辺り一面を銀色の風を発生させる

狼の遠吠えの様な音が響き渡ると俺は首を傾げて中央の男に近付いていくとその男は震えながら床に尻もちついて受付のカウンターまで下がっていくがもう下がることは出来まい


『違うんだ!これはこいつが!こいつが生意気なことを言うから』


『何を言ったんだ?お前が俺の大事な友人の悪口を言って反論したのを生意気だと?』


『ヒィ!!お前ら!助けろ!』


彼は仲間であろう近くにいた冒険者にそう口を開いても無駄である

彼らは固まったまま動けないし完全に金縛り状態だからな・・・弱すぎだろぉ・・たく

グスタフは面白そうだと言わんばかりに堂々と中に入ってくるとこの光景を壁際で見ていた冒険者が口を大にして言い放った


『銀狼と首狩りだぁ!マルスの古い友人だぞぉ!』


まぁそうだな

一旦怯える冒険者から目を離して床に転がっていたマルスの仲間であろう者にグレンツェントヒールを賭けるとその男は驚いた様子で発光する自身の体を見つめていた

光が消えると彼の痣も消えて完全回復したがそれと同時に魔術師の女性も彼に近付いて手を差し伸べたのである


『アレン大丈夫!?我慢しろってあれほどマルスさんに言われたじゃない』


『でも俺のリーダーを馬鹿にされて黙ってられる程俺は我慢強くない!』


いい仲間に出会えたな、マルス

さてどうしようか・・・グスタフが既に受付のカウンター付近で尻もちついている冒険者に近付いてしゃがみ込んでいるけども凄い睨みながら顔を覗き込んでいる、それも数センチの距離で


『ああ・ひ・・・助けてくれ』


泣いてるぞグスタフ、まだ何もしてないのにだ

とりあえず俺はアレンという奴に声をかけることにしよう、シルバシルヴァを解いてから丁度立ち上がったマルスの仲間と思われる冒険者の肩を右手て軽く叩いて言ってみる


『大丈夫か?』


『あ・・ああ!ありがとうございました』


しっかりしてそうだ、元気な男だと思うがきっとマルスの悪口を聞いていても立ってもいられず言い返したのだろうな


『ありがとうございました』


女の方もそう言いながら深く頭を下げた

俺は笑顔を見せると奥の方でグスタフが何やらやらかし始めた


『選べ屑・・・首をねじ切られるか噛み砕かれるか、俺達の友人の仲間ぁ傷つけられて黙ってると思うか?』


『ヒィィエェェェェェェ!!』


恐怖を感じて股間が少し濡れだしているけどもひ弱すぎる

こいつが自称街一番か、溜息が出るが今後の為に俺から言うか・・・熊だと酷だしな

俺はアレンから離れるとグスタフの元に歩き出し怯える冒険者に視線を向けて口を開く


『街一番?こんなんで怯えててか?マルスはこれの何十倍も恐ろしい敵と戦ったぞ?しかも信頼し夢を持った仲間を全員失ってもなおあいつは武器を持ってボロボロ泣きながら龍に挑んだ・・・死んだ仲間を思いながら立ち向かったんだ、お前が言う資格はない臆病者が』


『すすすすいませんでした』


『俺はこの街であいつとマリアンヌが顔だと思っている、お前如きがなれるわけない、アレンに謝れ!』


『すいませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!』


ボロボロ泣きながらアレンの方に体を向けて全力の土下座を見せる冒険者

グスタフは軽く舌打ちをすると立ち上がり土下座する冒険者を背にして言い放つ


『今日は帰れ、まっとうに冒険者やるんだなおめぇら・・・次見たら本気で殺す』


光の速さで問題のチームはギルドから退散していった

自称するだけあってその速度は早かったけども威張る程のもんでもないか

一難去って周りの冒険者はホッと胸を撫でおろすとギルド職員が荒れたテーブルなどを戻し始めた

それは職員たちに任せて俺はアレンと魔術師の女性で横の軽食屋であるカウンター席に座って話をすることにした


グスタフは先ほどの台風の様な光景の後なのに心地よくグラスに入った麦茶を飲んでいる

会話には極力参加しないって感じだな、仕方ない

マルスの仲間であろう2人にも俺の奢りで注文したオレンジジュースが届くと男女ともにそれを一気に飲み干してからゴトンとグラスをカウンターに置くとアレンという男は話し始めた


『さ‥さ先ほどは本当にありがとうの極みです、俺私はマルスさんのカレジリージョンのメンバーであるアレンと言うんです』


おいおい体が強張って言葉が言葉じゃないぞ?緊張しているのか?


『私もカレジリージョンのメンバーである魔術師のアリスと言います、先ほどはありがとうございました』


この子は普通だ!多分アレンは緊張してるんだ!心配しなくていいよ俺は普通の冒険者!だと思う

まぁ俺がそう思うだけで彼から見たら俺は目上すぎるのかなぁと考えたりもしている

んで先ほどの事をアリスから聞くけども今日はチームの休暇らしくて暇でここにきたけどもさっきの面倒な冒険者がアレン達がいる事を分かっててわざとマルスの悪口を聞こえるように言って茶化してきたらしい


性格悪いなさっきの冒険者


『マルスさんの悪口を聞いてアレンが起こりながら訂正しろっていってああなったんです』


アリスがそう言って締めくくる

分かりやすい

休暇だし他のメンバーも来ているだろうと思ったけども今日はいなかったらしい

マルスはシャルロットとデートかな?


『どこにでもうるせぇ野郎はいるが我慢してたら調子づく野郎はいる、いい機会になったろうし当分はお前らを避けるだろうさ』


グスタフがいつの間にか頼んでいたのかわからないカツサンドを食べながらそう言う

そうかもしれない、何もしてこないならば面白がる奴はいると思うし殺気の冒険者は確実にその部類

それを言うのがグスタフという事もありアレンとアリスは少し彼を見て息を飲んでいる


怖いんだなグスタフが、俺は顔を外に向けて笑いを堪えていると続けてあいつが言ったんだ


『だがそのうち馬鹿から口を叩けないくらいお前ぇが強くなりゃいい、誰でも惨めな時期はあるがそれを認めてこそ先が見えること忘れんな』


熊にしては、いやグスタフはそういうこと言えるからな・・・俺は言えないな

アレンは納得した様で静かに頷く

ついでに焼きおにぎりを2つずる4人分注文するがこれも俺の奢りだ、アレンとアリスはとても喜んでくれているが出て来た焼きおにぎりを食べながら今迄の冒険者活動を聞いて見たんだがチーム結成で突如として阿修羅猪と戦う羽目になったらしく凄い怖かったとさ


『くふふ・・・チーム作って早速Bプラスに挑むとぁ狂ってるぜ、俺達も最初は苦戦してたなぁ』


『そうだなグスタフ、お前あれの特殊個体に吹き飛ばされて飛んでいったな』


『はっはっは!超痛かったぜ!』


懐かしい思い出だ、あの魔物死ぬまで走り続けるから手数でそれを防ぐしかないんだよね

そのことについては2人共驚いていたが俺達にもそんな時期があるって予想しにくかったんだってさ

ちゃんとあるよと伝えるとちょっと自信がついたみたいで笑みを浮かべてくれた


『銀狼さんと会えたのは凄い嬉しいです!シルバーバレットの人ってどういう人かなとマルスさんに聞いてたんですけども聞いてた通り楽しそうなチームですね』


『そうよねアレン、マルスさんの顔の広さ凄いけども流石Sランクだわ』


アレンとアリスはマルスを慕っているらしいけどもそれは俺から聞いていても嬉しい

あいつは強い、武人祭に照れる位なんだし当然!今年はバニアルドと戦って負けたけども個人の実力は国でも名前は上がるだろうし

グスタフはエルフの話をし始めたんだけども本当にいるらしくなんとトランテスタ大陸から来たと言うのだ


あそこ白狐いるよな?いまあれはそこに帰れたのだろうか

にしてもエルフもそこで生きながらえていたとなると不吉な大陸って意味合いはすでにないのか?

いずれにしてもそのうち見てみたいなと思っている


『マルスは俺の大事な友人だ、優しいけども落ち込むと語尾にうんうん言い出すからそん時は支えてやってくれ、あいつも上に立つって初めてだし大変だと思う』


『わかりました!』


『はい!』


アレンとアリスは元気よく返事をしてくれた

そこから再び冒険者活動の話を聞いたけどもアレンが楽しそうに話してくれた

どうやら戦い方も固まって今じゃランクCを主体に依頼をこなしているらしいけども早いな!

まぁ上位職2人に中位職3人と標準的なチーム編成だし慣れれば容易いだろう、そのうちマルスも天位職になるだろうけども黒龍戦では上がらなかったのかな?確かあいつ今双剣レベル7だし行ける気がするんだけどもさ


それを聞いて見ると体術レベルがあと1上がれば『パニッシャー』という双剣の天位職になれるらしいので最近の森での戦闘は双剣を使いながら体術を器用に使って敵を吹き飛ばしているんだとか

気になるエルフの女性は公爵から聞いたけどもアルセリア、彼女はとても素早くて近接から遠距離まで対応できしかも全体攻撃の弓技が豊富で殲滅力がダンチだ!ってアレンが力説してくれる


知らなかった、てかこの国に弓の上位職がそうしてるか今まで聞いたことないし当たり前か

弓職は不遇と聞くけどもちゃんと成長すればかなり強い職なんだと俺は勉強になった


アレン達が焼きおにぎりを平らげるとご馳走様でしたと律儀にお礼をしてくれる

んでエルフの女性に会ってみたいというとどうやらマルスの実家の客室を借りて生活していると聞いて俺とグスタフは驚いた

カレジリージョンに所属するまでは野宿当たり前そして魔物は倒して焼いて食っていたんだとか

女性なのに野性的である、更に興味が出るけどもエルフって肉食うんだな!


『マルスには村に来いって言ってくれ、ジャムルフィンが寂しがってるって言えば来ると思うからさ』


そうアレンに言うと彼は元気よく頷いて返事をしてくれた

肝心のあいつがいないのは残念だけども押し掛ける訳にもいかず俺達2人は仕方なく席を立ちあがり一度宿をとって明日に控えようとアレン達に別れの言葉を告げて歩き出そうとした


『?』


ふと変った気配を感じた

グスタフは首を傾げて俺を見ると直ぐに俺が見ている視線の先を見た、ギルドの入り口だ

本当に変った気だ、綺麗な感じ・・・色が感じるって変な言い方だけどもなんだかそう思えるんだ

一瞬人なのかと勘違いしたくなるほどに

グスタフの感知には捉えられていない気もするけども隠密?グスタフが気づかない?ふむ


何の気かは直ぐにわかった、その気配はどんどんこのギルドに近付いてきておりその大きなドアを開いた

するとどうだろうか、ルッカでも敵わないであろう美しい女性が目の前に現れたが、背が低い!!!

でもこんな美人俺は見た事なくて驚いたけどもグスタフは自分の耳を触りながら何かを俺に伝えようとしている


耳?見てみよう・・・あっ!長い!エルフ!!!

目の前の女性は目を細めてこちらを見つめると唐突に手に持っていた弓に矢を引いてこちらに向けて来た

いきなりですか!?なんで!?と俺は少し狼狽えるとアレンとアリスが軽食屋のカウンターから血相を変えて飛んできたのだ


『アルセリア!この人悪い人じゃないから!』


『そうよアルセリアちゃん!マルスさんの超友人で国で一番強い銀狼のジャムルフィンさんと親友の首狩りグスタフさんよ』


なんだか俺が勘違いされているのかわからないけども超友人というのは間違いではない

だがしかし、国で一番という言葉に目の前のアルセリアは眉をピクリと動かして不敵な笑みを浮かべた


『くふふ、嫌な予感だぜぇ』


グスタフ楽しそう、血の気野郎めっ

建物内の冒険者達も何事だと椅子から体をひねって此方に視線を向ける

受付嬢も背伸びをしながら様子を見ているけども何も起きないでほしい

だけども期待通りにはいかないもんだ、アルセリアというエルフの女性を初めて見れた俺達は感動と共に無慈悲な言葉を貰ったんだ


『私はエルフ族のアルセリア・リース・ヴェルミナント、この国最強の弓使いである・・・マルスの言っていた友人のジャムルフィンとはお前か、丁度いい・・・その魔天狼という力を私が見定めてやろう』


俺狙いかよぉ!腕試しに使う気か、溜息が出る

するとテーブルで飲み物を飲んで寛いでいた冒険者が一気に湧き出して声を出した


『聖弓姫アルセリアちゃんと銀狼の戦いか!?こりゃ生涯見れないぞぉ!』


『頑張れアルセリア様!』


『エルフ美女と最強の狼の喧嘩だぁ!』


その声にグスタフは笑いを堪えながら俺から離れはじめたけどもお前が離れると俺は断りにくくなる

一応彼女に聞いて見るか


『その・・・さ!喧嘩は良くないよね!』


『喧嘩ではない、決闘だ』


同じだろ!同じだろ!

という事でどこの冒険者ギルドにでもある地下の訓練場に俺は彼女に連行される

他の冒険者達も面白がって客席に座ってみようとワラワラ入ってくるけども先ほどまでそんなギルド内にいなかったろ、呼んで来たな?

床は土を固めた感じであり円状、直径50mか・・・広い

壁の上が客席って感じだし天井は意外と高く輝魔石で辺りを照らしてくれている

当然リング内には俺とアルセリアが立っているのだが最善席にいるグスタフの横にアレンとアリスが両手で頭を抑えながらこちらを見守っている


なんで君達がやっちまった感みせてるのかが気になるけども今はいい

やるしかないか

それにしてもこのアルセリアというエルフの女性は美しいだけじゃなく先ほどよりも気配が大きくなっている

強いな、上位職の中ならば確実に強い・・・どんな動きそしてどんな技を使ってくるか

一応俺が完全回復治癒癒術が使えることを行くと彼女は笑みを浮かべて言い放った


『即死じゃなければいいという訳だな、有難い』


『そう言う事なの!?マルスの仲間でしょ!?血の気多くない君!?』


『私はこの国で名を轟かせるからな、これくらいやってのけるさ』


肩を落として深い溜息を漏らす、ジャッジはいないから今いつ開始しても可笑しくないだろう

俺の予見はまだ反応無し、まだ敵意も感じないから大丈夫だけどもアルセリアをフォローするかのような言葉をアレンとアリスが客席から言ってきた


『すいませんジャムルフィンさん!一度お手合わせしてあげてください!』


『すいませんジャムルフィンさん!あとで謝りますから!』


なるほど問題児ね、このエルフ問題児なんだね!

チーム内に1人いる・・・いやいないだろ、そうしていると彼女は笑みを浮かべて弓に矢をセットし始めたけどもその一連の動作が予想以上に早い、筒状の矢入れを頑丈な紐で背中にかけてるんだけどもそこから矢を抜いて退く迄が秒もかかっていない・・・あんなに速く引けるもんなのか


(弓って凄いんだな)


そう思っていると突然アルセリアの気配が大きくなり敵意が俺の体に伝わった

始まる、そう思った矢先に予見スキルが・・・俺の股間に伝わる


(ふぁっ!!?!?!?!??!?)


エグい、残酷すぎる非道である

初手から男の宝刀を狙うとはこのエルフの美女は凄まじいと思いながら評価を上げた

客席の冒険者も固唾を飲んで見守る最中、アルセリア・リース・ヴェルミナントの声で決闘が始まったのである


『弓という極意見せてやろう最強!』


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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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