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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
11章 鉄仮面少女は獣に安らぎを求めて言葉を待つ
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10話 価値に欲を出す者

俺達はルルカが手配してくれてナラ村に来てくれた馬車に乗ると全員で一度ガウガロに向かうべくルーカストアのミューリアに馬車を進めた

俺にグスタフとナッツとルルカそしてルッカもいるがフルメンバーである

馬車内での出来事もとても興味深いものが今起きているのだが・・・


ナッツが真顔でルルカを見つめているんだ


『どうしたのナッツ、私に何かついてるの?』


『こんなに変わったんですかぁルルカさん、確かに無理していることろは薄々気づいていましたがビックリですよぉ』


どうやらナッツもルルカが無理をしていた事は気づいていたらしいな

彼の反応を持てルルカが楽しそうに笑っているがグスタフとルッカは顔を横にして笑っているだけである

彼らのそんな反応を見たナッツは内緒にされていたと知ると自然と苦笑いになる


『なるほど・・・でも前衛が2人になったのは気が楽になりますね』


ナッツもそれには賛成らしくルルカに再び顔を向けると続けて言った


『頼みますよルルカさん』


『大丈夫よナッツ、意外と私もやれるんですから』


微笑むルッカの口調は誰かに似ていると思ったがこれはスカーレットさんだ

今迄ははきはきと大きな声で話していたのだが現在は優しい声で元気を前に出している

カエルの子は変えるというわけか・・・面白いなぁ


『私はガウガロについたら森で薬草取りたいから1人借りるわよ?』


ちゃっかり自分のしたい事をいってるルッカだがあっちには良質で高価な薬草があるので稼ぎ時という事でゼルさんが連れてってくれって言ったんだ

ルッカのお父様のお願いならば!俺の株をもっと上げないとな


『1人だと何かあった時に困るので2人ですね、グスタフさんとルルカさんペアで良いと思いますよ』


ナッツがそう口にするとグスタフもルルカも小さく頷いた

その後の話では俺とナッツでガウガロの状況を見たりして困っていたら助けようと思うけどシュウザーがいて困る事は殆ど無いな、あいつ強いもん


『バウが気になるがどうなってると思う』


ふと俺が気になる事を口にするとルルカが笑いながら答えたんだ


『まだヒヨってるんじゃないのかな、凄い純粋でしょうあの族長さんは』


『違ぇねぇな!だがシルフィーもそんなあいつの気持ちわかってて待ってそうだし・・あれ?こいつぁ昔のジャフィンみてぇだな!』


グスタフが俺に超笑顔で煽ってくる

わざとらしい笑顔だが目が開いているし俺の反応を待っているんだけどナッツが笑うまいと少し堪えてるのも釈然としない・・がここは諦めて答えるか


『昔だし良いだろー?今はグスタフの番だろ』


『!?!?』


グスタフが笑顔が突如雲行きが怪しくなる

その瞬間にルッカが腹を抱えて笑ったんだ、まさか返されるなんて熊も思ってなかったろう?

俺は見事なカウンターを返せた気分になり腕を組んで笑顔となる

グヌヌと凄い悔しそうな顔をしている中でルルカが口を開いた


『意外とグスタフも慣れない事には億劫だからしょうがないわ、私は待つわよ』


ナッツが凄い遠い目でルルカを見てからゆっくりとその視線をグスタフに移す

グスタフはそんなナッツの表情を見て額に汗を流すが珍しくナッツが口にしそうな言葉を恐れているのだろうが面白い


『言われましたねグスタフさん』


『ルーカストアまで徒歩な』


『いやぁ!』


こいつらもいつも通りか、1日ではミューリアに辿り着かないので程よい街でゆっくりする事となった

依然として商業的な建物が多くて色々な物資を運んでいる馬車が多いのだが殆どガウガロでの物資なんだとナッツが言っていた


どうやらルーカストアはガウガロとの貿易に頼らざる負えないらしく慣れてしまえば意地でも友好を切りたがらないと、それだけあそこの品は良質なのである



ルルカとルッカは買い出しという事で勿論グスタフが連れていかれた


『グスタフは勿論食てくれるよね』


ルルカにそう言われていたんだが満更でもなさそうな面持ちで彼女らについていった

俺とナッツは散歩だ、特に予定はない・・・だがだ!!!

こいつと歩くと本当に目立つ


18本のエイジ鉄で出来た高そうな剣を周りに纏わせて歩く姿はどこかの神様かよと俺も思うくらいだ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ルッツ・ニューベイター(男18歳)千剣兵【上位】


☆戦術スキル

剣術【7】 剣の熟練度、恩恵により攻撃力と耐久力が大アップ

体術【5】 体術熟練度、恩恵により耐久力と素早さが中アップ

魔術【4】 魔術熟練度、恩恵により魔力量を中アップし・詠唱時間を中短縮

操剣【4】 千剣兵技練度、恩恵により技の威力と精密さが中アップ

技強化   技の威力が小アップ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ナッツのステータスは変わらずだったが体術は上がる予定だと歩きながら話してても凄い目で見る街の人や冒険者の声が耳に入る


『銀狼がルーカストアに来たのか、それに隣の奴は』


『聞いたことあるぞ・・・剣を複数浮遊させる奴は千剣のナッツらしい』


『ゼリフタルのトップの冒険者が一体なにしにきたのか、まさか大変な事が起きるから援軍に・・』




なんだか不安にさせているな、しゃあなしか

2人で歩いているとたまに声をかけられるがそれは俺にじゃない・・・ナッツだ

しかも若い女性たちでありキャッキャと黄色い声を発しながらあいつに握手を求めてくる


『千剣のナッツさんですよね!握手良いですか』


『それくらいならいいですけど僕はそんなにされるような人じゃないですよ?』


そう言いながらも苦笑いしながら握手をすれば女性たちが喜ぶ

何故こんなにもナッツが人気なのだろうかと不思議に思い握手を求められるたびに一応1人ずつ聞いて見たんだけども理由は簡単にわかったんだ


シルバーバレットはゼリフタルでも1番かもしれないと言われるくらいの冒険者チームなのはこの国でも口コミや魔石連絡で流れていたらしくそのメンバーも細かくバレている、それに関しては冒険者の情報網は凄いのは知っていたし良いんだけどもナッツに関してはクズリというベルテット歴代最強の大将軍の息子でもあり俺の様に珍しい英雄職である千剣の2つの情報が有力だったがその中でも一番気さくな人で好青年そして前衛を1人で頑張る若手君として女性陣の人気を掴んでいたんだ


『お前・・・なんだか最近イケイケじゃないか?』


『何言ってるんですか先輩!』


少し慌てる姿も見ていて楽しい


『少しは楽しめよ』


『とはいっても見られるのは慣れてますがキャッキャ言われるのはまだ不馴れなんですよ』


外見は本当に人から好かれそうな雰囲気持ってるし今はこうなっていても仕方ないと思うがな

二人歩きながらそんな話をしていると商店街に着いたらしく焼おにぎりの屋台があったから俺達は2つずつ紙袋に入れてもらい買ったんだ


近くの椅子に座り焼おにぎりを食べるけどナッツの18本の剣は浮いている、周りの視線を気にせずにたま話し込んだ


『それにしてもこんな美味しくて変わった食べ物誰が発明したんですかね』


美味しい食べ物には大変関心を持つ俺の後輩だが彼の為に教えることにした



『ヘルトのビビだよ』


あれ?そういえば何で俺知ってるんだ

俺は考え込んでしまいふと頭をかいてしまう

そんな情報は聞いたこともないし何故俺がそう答えたのかもわからない


『悩まなくていいんですよ、シルバさんの記憶ですね先輩』


横を見ると真剣な顔をしたナッツがいる

ああそうか…これはあいつの記憶から俺が言ったんだ


『自分の口から言っといてなんだがまさかビビが』


『でしょうね、他に何か浮かびましたか?』


ナッツが俺の顔を覗きこんでくるが前にも似た言葉を頭の中がよぎっていたことに気が付いた



『僕は米をこの世界に教えてやるのさ!イッツ!日本食万歳!』


ビビの声で頭に再生されたがシルバが直接聞いた言葉なのだろうなこのセリフ

ビビの記憶はないのでそういう事になる


『ビビが米を世に知らせた見たいな記憶があるな』


『発明さんだったんですかね?でも彼はタツタカさんより幼い印象ですけど』


『多分タツタカと同じ手数でものをいわすタイプの筈だ、あいつも異世界人だしそこにあるのがビビの主食である米だろう』


ナッツの眉が少し動いたが可笑しいことをいったつもりはない


直ぐに彼は最後の焼おにぎりを口に含むと俺も最後の一つを口に放り投げた

醤油が効いてて本当に美味しいぞこれ


『ご馳走様でした』


『ご馳走様です』


紙袋は近くの後見捨て場に捨てて再び歩き出した

商店街は客寄せしようと大声で自信のある屋台の料理や道具を売ろうと頑張っている

活気でみなぎるその道を歩み、ナッツは口を開いた


『武人祭はみんな出るんですよね、僕は一般枠で出場する予定ですけど』


ナッツがもう少しで始まる武人祭について話してきた

そういえばそれに関してはベリト副将・・・いや違うな、今彼は第4将校だった筈だ

ノートン大将軍の副将を離れて自らの軍を持った有望な人だ


『グスタフとナッツの一般枠は用意してくれるらしいから安心しろ』


『その言い方だと僕がベルテットに帰省中会ってますね?』


『まぁな、キャメルも凄い成長だったな』


『あいつは影で努力しますから・・・まぁ席を用意してくれるならあとでお礼を言いに行きますよ』


『そうしろ』


少し嬉しそうな顔を浮かべるナッツ

今回の武人祭は一際面白くなりそうだ、バニアルドは前と違って強いだろうな

あいつは中位職だったグスタフに油断をしてしまいその一瞬を逆手に取られて負けてしまったんだ、バニアルドが最初から本気で言ってればグスタフに勝ち目は無かったが今回その油断は絶対あいつは見せない


グスタフとの再戦を目標としているだろうに・・考えるだけで楽しい


『先輩・・・あれ・・・』


ナッツがとある方向に視線を向けると俺も同じ方向に顔を向けた

ルーカストアの兵士がぞろぞろと正面から走ってくる、警備兵とは違い立派な鎧を纏っているが何かあったのだろうかと思い道を譲ろうと横に移動したのだがその兵士たちはなんと俺達の前に立ち止まり胸に手を当てて口を開いたんだよ


『ゼリフタル冒険者シルバーバレットの銀狼のジャムルフィン殿と千剣のナッツ殿ですね、ルーカストアに入った事はすでに国の上にも話が入っており旅の目的が気になるとの事で我らの国王が気にしておりますゆえよろしければどのような目的か教えていただけると光栄です』


話が早過ぎる、俺は驚いてしまい渇いた笑いを浮かべるとナッツは微笑みながら俺に話しかけてきた


『他国の冒険者がここに来るだけならいいのですが僕たちはゼリフタルで特別な存在になってしまっているのでもしかしたらその情報は他国にもうちの国王が話しているかもしれませんね、となるとここにその存在が来ただけでも少し気になるのでしょう・・・何があるんだと』


『そうか・・安心させないといけないのか』


『ええ』


まぁここは俺達の国じゃないし正直に言えばいいだろう

返事を待つ兵士達も顔が固いけど俺達は悪い事をしに来たわけじゃないからちゃんと伝えることにした


『ガウガロに顔を出したくて来たのですがルーカストアは通過するために来ております、どうしてるか気になって遊びに行くだけです』


その言葉に兵士の顔がほころぶ、顔を出すだけという理由に緊張した面持ちは一気に消えた


『左様でしたか、ルーカストアでの道中で何かありましたら直ちに私らルーカストア兵にお伝えください』


『わかりました、ご足労かけます』


『いえ、それではこれで』


そう答えると彼らは軽く会釈をしてこの場から去っていった

自分の国を守る兵士なんだし当然の事をしているんだろうが大変だな、俺達が国に入って来ただけで事情聴取ってものお疲れさんと言いたいが本当に迷惑をかけに来たわけじゃない


『帰るか』


俺の言葉にナッツが答える


『ですね、夜食の時間になりますから』


泊まる宿に向かい全員で夜食を食べてからルッカと同部屋なので2人でベットに寝そべりつつ軽い会話をしてちゃんと襲った

最近胸が大きくなったと感じました

寝るまでずっと揉んでたら流石に叩かれたけどな、まぁ次の日にはちゃんとミューリアについてまた一泊なんだけども今日は皆で森に向かう事にした、理由はルーカストアの薬草もルッカがいくらか欲しいという事でグスタフを上手く炊きつけたんだ


森に行けるし依頼も出来るよってな、当然熊は乗り気になり全員でミューリアの冒険者ギルドにむかったんだけども視線がヤバかった


『銀狼の御帰りだぁ・・・』


ギルド内の冒険者がふとそう言うけども俺達のホームはここじゃないぞ?

まぁ軽くランクCであるグランドパンサー3頭の討伐を受注して森に向かうと俺はルッカと一緒のペアになり他の3人に依頼を遂行するように頼むと心置きなく了承してくれた


ルッカと木の近くにある薬草を集めながら彼女の大きい袋に詰め込むのだが帰ったら乾燥させて店で売れる状態にするらしい


『ジャンと旅にして手に入れた薬草が本当に稼ぎよくてさ、お荷物感半端ないけど助かってるわ』


『別に迷惑じゃないぞ?にしても結構稼ぎになるのか?』


『当たり前よ!?ガウガロの薬草をお父さんがポートレアで屋台出して売った時は即売よ即売!かなりの高価なもんなんだから』


どうやらガウガロにある者全てが宝みたいだな

あれでゼルさんもほくほくしていたんだろうしそりゃルッカを連れて行かせたがる

チームのお金はルッカに任せてるし管理職みたいな位置で助かっているから逆に助かっているのだ

頼るし頼られるがバランスよく出来ているのだろうと俺は思っている


『あんま取り過ぎるとガウガロの分も無くなるから1キロくらいでいいかしら』


『そろそろかなり取っただろ?』


『そうね、これで満足しましょ!』


とてもご機嫌なルッカだが彼女からしてみればそこらじゅうにお金が転がっているように見えている

俺にはただの草にしか見えないんだけどな!


ルッカが横を向くがそこには小動物であるリスが俺達の様子を伺っている

平和な森と思いたくなる光景だが魔物はいるんだ


『近くに魔物はいるの?』


『2匹ゴブリンが後方20mくらいにいる』


『いるんだったらいいなさい』


軽く頬をつねられるが彼女の顔は笑っている

だが後方の気はこちらに来る気配はなくて周りをうろうろしているみたいだし変に刺激しない様にひっそりしとこうと思う


『まぁぁぁぁぁてぇぇぇぇぇぇゴラァァァァァァ!!』


『ギャインギャイン!!』


なんだか遠くでやまびこが聞こえるが・・・

俺とルッカは静かに立ち上がり空を見上げるが苦笑いしか出ない


『グランドパンサーって猫よね?』


ルッカの問いに俺は静かに答えた


『確かそうだと思っている』


多分グスタフが暴走しているのだろうけど心配無さそうだな

俺はルッカの持つ荷物を背負ってハルバートも持つと両手が塞がるけど戦いになったとしても問題は無い

、目から沢山撃つ!それだけである


『ありがとね』


そう言われながらも俺達はグスタフの気を頼りに森を探すと意外と直ぐに見つかったけどナッツが疲れ切った顔をしている

どうやら1頭逃げたらしく追いかけまわしたんだと彼が言うが走ると思わなかったらしく息切れしたんだとか


『まぁグスタフさんが仕留めたからいいんですけど』


『ナッツも良く走ったわ、グスタフに任せとけばよかったけど』


背伸びをしてナッツの頭をヨシヨシするルルカは慰めようとしているのか

肝心のナッツは溜息をついている


『みんな助かるわ』


ルッカがそう言いながら俺が持っている袋一杯に詰まった薬草を見た

薬剤師の遠出は意外と酷らしく出殆どが戦闘能力が乏しい為こういった環境があるルッカはある意味恵まれているだろう

遠出して得られた薬草は自分の国で高く売れるんだ、人件費は自分のみで他国からの注文とかではない

仲介料も無いので自分の懐に入る資金は多い


『さぁて今日はもう帰ろうぜ』


グスタフが背伸びをしながらミューリアの方角へと歩くとルルカもそれについて行く


『待ってグスタフ、手を繋いで歩きましょ』


『はぁ!?』


戦闘で変わったコントをしているけれどもそんな彼らの後ろを俺達はついていった

最終的にルルカは手を繋いでもらい機嫌がいい

ギルドに戻り金貨4枚報酬としてもらうが今回はそこそこ少なめだな・・・

宿に戻り全員近くにある銭湯で体を洗ってから夜食にしたが今日は特訓は休みという事で俺はルッカとお外にお出かけする事にした

ナッツは誘ったけども今日は寝たい気分という事で明日に向かって先に熟睡し始めた

走った疲労があるんだろうか


グスタフとルルカは暢気にカードゲームで白熱していたので誘うのはやめておいたんだ


外をルッカと歩くとナッツがいなくても視線が少しだけこちらに向けられる

理由としてはハルバートだな、見た目だけでかなり高価な武器だと素人目でもわかるんだ

貴族っぽい人が通り過ぎる時は感心したかのような声を上げてハルバートを見るくらいだもん


『金貨2億個の武器ってなんだか武器として見て良いのかわからないわね』


肩に担ぐハルバートを見てそう口にする彼女は苦笑いしている

ここはミューリアでも商店街というよりかは物流関係の建物が多い、2人でそんな景色を見て散歩をしているんだけども夜だから日中よりも明かりで綺麗な景色へと変貌を遂げていた


『綺麗ねぇ』


ハルバートは左手で肩にかけている状態だけども反対の右手はちゃんとルッカの手を握っている

普通に歩いてひと時のデートの様な時間を味わっていても変な奴はどこでも現れるものだ

仲良くルッカと共に小腹が空いたという事で夜ではあるがまだ人が多い事もあり屋台が多いエリアに移動しようとしたのだが冒険者4人に囲まれてしまう


周りの者達も何事かとヒソヒソし出すけど俺とルッカは深い溜息をついた


『その職抑えてよ?簡単に人なんて殺せる力あるんだから』


『わかってるよ、でも俺みて交戦的とか珍しいな』


ルッカとそんな話をしたのだが敵意が微妙に感じるんだ

一旦ルッカの手を離して何が目的なのか彼らの言葉を待ったんだけども一向に話しかけてこようとしないんだ


しびれを切らした俺は面倒ごとは嫌なので一気に威圧を放った


『どけ雑魚風情が』


言おうとした気が無いんだけどもそんな言葉を言いながら彼らを威圧すると4人共膝をついてその場に四つん這いになる

彼らだけじゃなく与圧で周りの者達も怯えた顔になっているけどもこの場は我慢してもらいたい


『正直に言えば殺さん、少しでもごまかしがあれば首を刎ねるがなんの目的で俺の前に立ったんだ?』


一番近い冒険者の奴にハルバートを突きつけて口を開くとその男は怯えながらも口を割った


『その武器が欲しいと言う人に雇われて・・その、取ってこれたら金貨100枚ずるくれると』


正直でよろしい、ルッカの溜息がまた聞こえて彼女に顔を向けると呆れた顔をしている

どうして奪えると思ったのか俺は理解が出来ない

遠くからルーカストア兵がぞろぞろと鬼の形相で走ってきているが誰かが通報したんだろうね

まぁとりあえず聞く事聞いとこう


『これ金貨2億個の品だぞ?足りないだろそれ』


『へぇ!?・・・金貨・・2億個?』


周りの冒険者も野次馬も怯えていたがその恐怖すら忘れるくらいに驚き始めた


『純粋なインダストリアルゴールドだけで出来てるんだ、当たり前だろ?んで俺を狙うとなるとそれなりの覚悟はあるな?国の存亡にかかわるんだけども?ガウガロも俺の味方するしゼリフタルも俺の味方するんだけどもこの一件でお前らの国は友好条約から破国されてもいいのか?お前らのボスは誰だ?』


ナッツには相手の敵意を削ぎたいならば国の関係を口にすればいいと教わった

軽く死刑になる行いを知ることになると伝えれば12割抑止に繋がると言われたが12割はいき過ぎだぞ?

こっちは吹っ掛けられた身なので安全だ、まぁ俺を言われて顔が真っ青だが効果てきめんだな


『銀狼殿!どうかこの場は私らに・・』


威圧の外からルーカストア兵が必死に問いかけて来たので俺は直ぐに威圧を解いた

気付けば兵士はなんと100人相当も集まっていてなんだか凄い事件の中心に俺は言るんじゃないかと錯覚しそうになる

だが兵士たちは即刻俺の周りで四つん這いになっている冒険者4人と捉えながら怒号をまき散らしていた


『誰に喧嘩売ってるんだ貴様らぁ!国を亡ぼす気か!』


『十天の第7位だぞ!お前らが背伸びしても絶対勝てないだぞ!』


『警備棟じゃ話にならん!国の存亡にかかわるから軍事塔に連れて行き全部吐かせよ!』


なんだか大事なんだけども少し俺も驚く

半泣きで連れていかれる冒険者4人を見ていたらルッカが後ろから口を開いた


『あんたは動く兵器なんだから下手に暴れたら駄目よ?国の今後が変わるんだから』


『そうらしいから気を付けて動くよ』


『偉い偉い』


後ろから頭を撫でられていると目の前に兵士の中でも一際偉い風貌の男が会釈をしてきた

体がガッチリしており兵士というよりかは騎士だ、階級も高そうだな

顔つきも男前だし多分リーダーだろうな


『私が変わって謝罪いたします、どうか何が起きたか教えていただければ光栄です』


しっかりした人だなという印象が俺の頭に浮かんだ

そんな事はどうでもいいと思うけど彼に事情を細かく説明すると最後の方では苦い顔をして頭を下げて来たんだ


『申し訳ありません、こちらで調査いたしますので銀狼殿たちはそのままガウガロの旅へ向かいください・・・今日は休んでから明日たつと思われますが再びルーカストアに来た際には事の結果は必ず兵士から伝える様致しますので』


きっちりしているな、周りを見ると野次馬であろう人々も俺の威圧で疲れて尻もちをついている

やり過ぎたと思い少し反省しないとな・・・


『冒険者全てがあなたの事を知っているとは限らないのですが・・まぁでも普通は知っていても可笑しくはない人なんですけどねぇ、ご足労かけます』


彼は再び会釈をすると兵士や冒険者4人を連れてどこかに言ってしまう

それにしてもこんな堂々と道の真ん中でよくやるよな・・驚くよ

裏道に来た時に狙ったりとかあるだろうにと考えているとルッカが口を開いた


『・・・帰りましょ』


『そうだな』


宿に戻り前に商店街でカツサンドを買って帰った

部屋に戻るとハルバートを壁にかけて2人で小さいテーブルにある2つの椅子に座ってカツサンドを頬張り始めたのだが肉汁が美味い、意味は伝わりにくいかもしれないが肉厚を感じる


こうはいっても俺は美食屋じゃないから素人の言葉だけどな


『美味しいわねこれ』


ルッカも口に合う様で何よりだ

時間も夜の22時だしそろそろ寝ようかと思い明かりを消してからルッカにとあることを話したんだ


『そういえば宿の外に6人ほどこっち見張ってる馬鹿いるぞ?』


『へぇ!?なんで?』


暗いけども俺の夜目で彼女の顔はわかる

そのまま深い溜息をついてベットにボスンと仰向けに倒れるとルッカは続けて話す


『さっきの連中の残りぃ?』


だろうな、なんだか友好的な気を感じない

窓はカーテンで閉まっているため外の様子は見えないがハッキリとわかる、普通の気配感知はそういった感情を感じ取ることはほぼ不可能に近いけども俺の気配感知はそこらへんなんとか感じれるんだ

これは職のおかげか?


『だろうな、一応グスタフを読んできてくれ・・・宿の中にはいないから大丈夫だ』


『わかりましたー』


暗い部屋のまま手探りで入口までルッカが行くとドアを見つけて隣の部屋であるグスタフの部屋に向かった

ほんの少ししたらグスタフとルルカが来たのだが入る時にやはり言われたんだ


『暗ぇぞ?』


『あらぁ?楽しそうな事してたのかしら?』


グスタフは良いがルルカの言葉には否定を申し上げたい

そこはルッカがちゃんと違うと言ってくれた、その後簡単に事情を説明するとルルカの案でそれぞれ部屋で待機していた方が良いとなったんだ、だがグスタフはルルカを1人にするのは心配らしくて彼の部屋にルルカを待機させることにした


そしてナッツは勿論グスタフに無理やり起こしてもらったが廊下で顔を見た時の彼の表情は超不機嫌だ

ブスっとしているけども仕方がない


全員で宿の2階の廊下で話し合い全員が情報を共有出来たところでいったん解散になった

グスタフの顔が楽しそうだけども暴れる気だろか?


俺とルッカは部屋に戻ると開口一番彼女に話をした


『ルッカは寝てていいぞ、なんかあったら俺達が対処するから』


『安心して寝とくわ、監視だけならいいんだけどねぇ』


『それならいいんだが今日ここをたつと知っていれば必ず今日くるだろうな』


『はぁ~、了解・・・』


タオルケットを羽織って溜息をついたルッカはなんと本当にそのまま寝てしまった

緊張感がないというよりも何とかしてくれるって感じだろうしこれは何とかしないとな

そうして俺は窓際に椅子を置いて暫く気を観察するが・・9人?増えたか


宿を取り囲んでいるようだがそれにしても気から感じ取れるのはたいしたことのない強さばかりだ

上位職は2人ほどいるけど上位職で俺達を何とかできると思っているのだろうか

だが油断は駄目だ、ベルテット帝国のSランク冒険者ゴーゴンとの闘いみたいに危ない戦いになる事も考えられる


ちゃんと相手を見て戦えばそんな事は無いとあいついっていたな・・・元気かなゴーゴン

時間は24時過ぎて日付が変わる・・・俺は各仲間に部屋の入り口付近にいろと言っている

その理由は連絡網である


俺は部屋のドアを開けて廊下にむけて口を開いた


『9人、宿周り・・・侵入気配なし』


すると小さいノックがグスタフの部屋とナッツの部屋から1回聞こえた

こういう事である

一応動きがあれば直ぐにこんな感じで連絡し合う事にしているけどもどこまで通じるか

数十分後13人になるとまた俺はドアを少し開けて口を開いたんだ


『13人宿周り、侵入気配なし・・・だが3人裏手から近付きつつある』


コン・・と音が鳴る


あれ??!?!?!?!足りないぞ!?!?!

どこの部屋が・・・あ





ナッツゥ、お前寝たのか・・・・




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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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