9話 さよならルルカ ようこそルルカ
幼い時のルルカはお父さんっ子だった
出稼ぎに出るスカーレットの代わりに死ぬ寸前まで彼女と一緒にいた時間が多かったのは父であるトルク・・ルーブルム・ハイ・ルーゼット
最終職は魔法剣士、彼は人並みに力があったわけではない
珍しい魔力欠損症という持病を持っていた、それは体を休めると回復する筈の魔力が人より全く機能しない病気である
魔力というのは人の体に絶対にある、この世界では人の体の機能の手助けもしているのであり魔力がガス欠になると動かなくなるのは危険信号だからだ
ステータスで基本的な身体能力以上の恩恵をスキル等で補っているので魔力でその大部分を制御したりと意外と精細な機能を担っているのだ
だがルルカの父は魔法剣士という一番危険な職になって冒険者時代ではいつも自身の魔力には気を使い戦っていており使い過ぎると当分期間を開けないと直ぐにガス欠となる為効率の悪い冒険者時代を送っていたんだ
それでも彼は冒険者が夢であり魔法剣士からルーンナイトの夢を諦めなかった
彼は最終的には諦めてしまうのだがそれはルルカのアクトが生まれた後数年でルルカが生まれたからだ
2人も子供がいるとなるとトルクとスカーレットどちらかが必ず残らなければならない
トルクは悩まず直ぐに自分が冒険者をやめて子供たちの面倒を見ることにした
スカーレットとは相談したのだが共に家に残ろうと口にした彼女に対してトルクはその意見を拒絶した
才を捨てることは駄目だと
ならば無理に冒険者をしているトルクは直ぐに答えを出したのだ、俺が残ると言った
父の近くで育ったルルカは魔力の回復が衰えた父の姿に悲しんだ
剣の稽古をしているだけでもたまに腕が動かなくなったりとルルカは見て来た
まだ死ぬには若い彼は歳を重ねるごとに魔力の回復が出来なくなり恩恵という過剰な身体能力が肉体ストレスをちゃくちゃくと蓄積させてしまいとうとう父は倒れた
『お父様』
ベットで骨の様に痩せ細って生きてるのが不思議なくらいの父に彼女は悲しそうにそう言った
執事やメイドは一部の者しか傍にいない、ここは彼とスカーレットの寝室だろう
スカーレットは無表情でただじっとトルクを見ているだけだったがルルカの兄であるアクトはずっと泣きっぱなしであり彼の鳴き声がこの場に響き渡っている
『人は限界を超えるとこのようになるのだな』
ベットに横たわる父はルルカの頭を撫でてそう言う
自分の終わりが近いと知った彼の言葉は非常に身内にはきついものだろう
『お前は花だルルカ』
『お父様』
『自分がしたいと思う事を出来るようになってほしいな・・・そして明るく誠実な人でありなさい、決して人に迷惑をかけてはいけないよ』
ルルカはその言葉を穿き違えた
実際トルクは彼女が思うような女性を求めてはいなかっただろうが現実問題ルルカは間違ってそれを飲み込んでしまい人に迷惑をかけぬ様にじっとしたい事を我慢し笑顔を絶やさぬようにし
明るい感じの言葉を口にするようになった
『私はなりたかったよ・・・ルーンナイトに、この持病さえなければいけただろうがそれも無理の様だな・・・後は頼むよスカーレット』
『わかってます』
スカーレットだけが顔色一つ変えずに彼の言葉に返事をする
どうして平常心でいられるか当時のアクトとルルカにはわからないがそれはのち知るだろう
『明るい子になるわお父様』
『そうしなさい、いつかルルカの近くにも信頼できる人たちができるだろう・・・外に出ればきっと見つかるし庭の約束を果たしてね』
現実とは非常だ、人はいつ死ぬかわからない
この言葉を話した後すぐにトルクの目から光が消えたのだ、唐突な死に誰もが驚愕を浮かべて悲しんだ
美味い具合に人は死んだりしない
葬式そして通夜と彼の昔の仲間を集めたのだが当分スカーレットが寝室から出てこようとはしなく全ての行事は執事が動かしていたがルルカとアクトはずっと悲しんだ
通夜で笑って食事をしたり酒をしている人の顔を見ると自分たちも死んだ父さんを悲しませないために彼らの様に笑おうと決意した
ルルカだけは間違った方向にいくとはだれも思ってもいなかった
『今日はお母さまとお出かけなのだ!』
その言葉を聞いたアクトは目を見開いて驚いたのだ
これはいったい何が起きたんだろうかと、だが兄であるアクトは次第にその口調にルルカの気持ちがわからなくなる
『お兄様もたくさん食べないと駄目なのだぞー!?』
一体これは誰なんだろうとアクトはずっと考えた
『悪者はお母さまが全部倒すからこの国は平和なのだ!』
僕の妹はいったいどこにいるんだろうと彼は探した
ルルカの姿をした心の中を
『お兄様何を言ってるのだー?辛気臭い顔なんて似合わないのだ!』
アクトは知った、固めた笑顔でルルカが見えないと
父を想うあまりに過剰な努力によってこのような彼女が完成されたのだ
決して我儘は言わない、誰かの意見に乗っかるだけだが彼女が最後に我儘を言ったのは最近だ
ジャムルフィンの旅にルルカがついていきたいと言った時を思い出せ
『お父さんが・・・お母さまが好きなら同じ道を歩んでもいいって・・・・死ぬ瞬間も、庭の約束を果たしてねって、そんなお母さまに・・・お父様は惹かれたんだよって・・・』
『私は同じ道を目指して駄目なの?・・・今は丁度いいチャンスなのに・・・お父様に約束したの、お母さまみたいになるって』
この言葉に彼女は本性を出していた、いつもの口調は無く本当の彼女がそこにはいたのだ
父さんのために彼女はジャムルフィン達の目の前に現れていたのだ
冷静に見れるような状況じゃない事によって彼女の本性だと気づく事は出来なかったがこれがルルカ
これが最後の我儘、父の為に
『ごめんねグスタフ』
治療室に包帯を巻いて安易ベットで仰向けになっているルルカが部屋に入って来たグスタフにそう告げた
彼女の様子を見て熊は思った、いつものルルカはそこにはいないがいつも俺達を見ていた彼女がそこにいると
『よくやった、守ってやれなくてすまねぇな』
『なんで謝るの?』
グスタフの目には子供っ気がまるで感じない女性がいる気分になる
1人の女性として見ても可笑しくはない雰囲気を出している彼女を見て彼は腕を組んだ
『カバーは大事だ、ちと王蛇の動きについていけなくてな』
『初見だものしょうがないわ』
『だな・・・』
『グスタフは私の事大事に思ってるのかな』
『思ってる』
唐突な言葉にグスタフは即答したのだが彼はその後溜息をついて近くの椅子に座ると考え始めた
横目で見ていたルルカは首を傾げてその様子を伺うが大事だと言われて嫌な気持ちにならなかった
『だが半分お前の思う大事じゃない』
真剣な顔でそう口にした
期待通りの言葉が来てくれたと思ったルルカは静かに彼の言葉を待った
期待していた言葉に不安が募るがそれを気にせずグスタフは口にしたんだ
『俺はお前の親父の様な人間にはなれねぇ、お前の俺に対する感情に甘えが多いのは知っている・・・だからハッキリ言うが俺も父親の代わりをするつもりはねぇ』
ルルカは複雑そうな顔を浮かべる
グスタフには甘えていたルルカだがそれは父が死んだことによって重ねているのだろうとわかっていたのだ、異性に対する甘えにも様々だがルルカの甘えは父の愛情を求めたものだとグスタフは薄々気づいていたのだ
『俺が親父の代わりに慣れたらお前の親父はもういらねぇな?』
『お父様はお父様よ』
『だから無理なんだ、誰も変わりはいねぇ・・・それだけ親父が好きなんならな』
穴埋めは不可能だと言う正直な言葉を口にするがルルカは嫌な気持ちにはならなかった
逆に彼女は自分の父を凄い人だと言われている気がしたのだ
薄く微笑んだ彼女を見たグスタフは足を組んで天井を見上げた、輝魔石が天井に埋め込まれておりそれによってこの部屋が明るくなっている
明かり過ぎず暗すぎず
『俺はずっとお前を見ていた、少しくらい我儘言っても良いんじゃねぇか?前衛したかったんならすればいいじゃねぇか、このチームが自分勝手な集まりだぞ?ナッツは飯屋こだわって食いたいもん食えぇねと頬膨らますしルッカはもうあれは悪魔だ、俺とジャフィンを死ぬまでこき使う気だ・・・』
ルルカは笑った、グスタフもそんな彼女を見て軽く鼻で笑うと話を続ける
『ジャフィンは死にかけてから意外とドス黒いぞ?あいつ容赦なく特訓で殴ってくるからな?しかも笑いながらだぞ?無自覚だと思うが殺す気でくるしチームの方針もたまに話し合う時はあるけど譲らない時は拗ねだすしよ・・ったく』
ルルカが知らない様な違う者の一面もそこにはある
彼女はふと感じたんだ、みんな我儘に生きている・・・と
『お前だけだ・・・我慢してんのは』
ルルカだけが置物の様な存在となっていることに彼女は気づいた
なぜみんなそんな平然と自分のしたい事を口にできるのかと頭をよぎる
考えているといつの間にかグスタフがルルカの横たわる安易ベットの横にいる事に少し驚く
目を丸くしてグスタフを見るルルカに向かって彼が言ったんだ
『俺はお前の我儘を誰よりも受け止める覚悟はある』
ルルカの中で何かが壊れてそれが落ちた、それが何かかは彼女はわからない
そして目の前の男性が言う覚悟は他の者もきっと持ち合わせてるのだろうと思った
人に嫌われていた彼女は億劫になって心を閉ざしていたが次第と今迄が無駄だったのだろうと感じ始めると安易ベットを降りて背伸びをし始めた
そんなルルカの表情は今までで一番軽そうだとグスタフは思った
『私も我儘よ?』
『知ってるさ、今更1人増えたところでなんも変わりはしねぇぜ』
ルルカの頭を撫でながら熊が言う
心地よさそうに彼女はその手を許した、そこは変わらずといったところだろう
今後の彼らの旅も違う意味楽しい旅路となるだろう
『色々聞きたい事はあるけどもまぁいいわ、私の我儘を聞いてほしいんだけどもグスタフに叶えられるかしら』
『あぁん?』
今度はグスタフが首を傾げる
肝心のルルカは今までにはないくらいに綺麗な眼差して今迄自分を見てくれていたグスタフに向けて口を開いた
グスタフはその言葉を聞いて獰猛な笑みを浮かべたのだ
『それが俺の大事だ』
・・・・・・・・・・・・・・・
『ジャムルフィンはルッカ姉さまに振り回されても大好きでいられるのは何故?』
本当のルルカか、まぁ自然に答えるか
『それはお互い本心で話し合えるからだ、そして心から感謝してくれるからだ・・・だから本当に頼られてるって感じさせてくれるんだ、それが信頼関係だしあいつは俺をずっと待ってくれた・・・どう好きかと言われると俺もわからないが俺はそんなルッカが誰よりも必要なんだよ、あいつは俺ならリヴィに勝てると言ってくれたしそれなら勝つしかないから頑張るんだ』
話し合えると風音だけが俺の耳に入る
彼女からの返事は俺の言葉とは違う返答であった
『ふぅん、明後日には帰るわ、だから明日の夜は亡くなった人のために私達が楽しまないと駄目よ?たらこパスタを全員で食べに行くわよ』
とんでもない口調でとんでもない言葉を言ってるぞこの女!?
俺は驚いてグスタフの顔を見るとあいつは笑いを堪えながら俺に向かって頷いてきた
どうやら彼女の仮面は割れた様だな、何もないのにいきなりこんな口調を言うんならそうに違いない
やったなグスタフ
『あっはっはっはっ!』
俺は腹を抱えて笑ってしまった
少し不満そうな顔でルルカが腕を組んで頬を膨らませているが俺は笑いを止めてルルカに一応言っとこうと思い話すことにした
『おかえりルルカ』
少し目を見開いているがやり返せたかな
『今日は私グスタフと寝るの』
今迄生きてきた中で一番凄い言葉を聞いたかもしれん
真顔でグスタフに顔を向けるとあいつもめっちゃ驚いている顔してるんだけど俺に気付いて超高速で首を横に振っている
そんな反応を見てルルカも軽く笑うが今までとは大違いだな
口調が玉に変わるのは見ていたけどあれでも半分程度だったか
これが本当のお前かぁ・・・優しい表情なのに口から出る言葉は破壊力がデカすぎる
『頑張れよグスタフ!』
俺は満面の笑みで熊に向かって親指を立てて上げると何か言いたげな表情で助けを求めている
そんな弄りもここまでにするか
ルルカに視線を戻して俺は口を開く
『まだルッカよりマシだな』
『本当に?ルッカお姉さまを見習って私も頑張るわ』
穏やかな風に彼女の長くて赤い髪がなびく
雰囲気が変わっただけでこんなにも人は美しくなれるんだなと俺は目の前で知る
『全部終わってナッツも帰ってきたら全員でガウガロだぞ?6月頭にナラ村集合で覚えとけよ?』
『ええわかったわ、じゃあ私は先にグスタフのベットに戻るわ』
『あ・・・・ああそうだなルルカ、楽しい夜を』
『ええ、ありがとうジャムルフィン』
軽く俺に手を振るルッカも今までにないな、完璧に女じゃないか
俺はそのまま退散するために歩き出すけどグスタフが非常に遠い目をしている
幼い子供が助けを求めているかのような顔は彼に似合わないが今はそれを遠目で見て俺が楽しもう
俺は少し歩きたくなり遠回りをしながら家に帰ることにした、とはいってもたかが数分である
風が心地よいくらいに暖かく張ると言うには丁度いい
最近色々動きすぎて気づけば一年がたとうとしている
ここまで濃い内容の旅でもこんなにも早く過ぎるなんてな、十分苦しい戦いをしてきた
だがまだ終われない、俺は安心できるまで頑張るしかないようだが挫折はしないだろう
そう思える
家に帰り自分の部屋に戻ろうと2階に上がろうとすると母さんは凄いにやけている
『どうしたの母さん?』
首を傾げてそう口にすると奥から父さんも現れてニヤニヤし始めた
『流石息子だなっ』
父さんがなんか言ってるけど絡まれたら面倒だと思い作り笑いしてその場を去って自分の部屋に入った
暗くした覚えはないけど部屋は暗い、母さんが消してくれたのかな
そのまま背伸びをしながらベッドに入り俺はタオルケットを身体にかぶせようとガサゴソしつつ手を伸ばしたらムニュっと柔らかい感触を感じた
あれこれルッカの胸に似てる
視線を横に移すとやけに膨らんでいるタオルケットだがひっぺがすと当然ルッカだ
お前の胸は何回揉んだと思ってる?十天に不可能はない
『変態』
ルッカの顔は赤かった
どうやら気分が変わり泊まりにきたらしいんだけど少し様子が可笑しい、不思議とご機嫌である
はて?と思いながらも二人でタオルケットをかぶるとルッカが異様にくっついてくる
『何があったのかルッカ?』
『何でもないわよ』
それでも嬉しそうにする理由がわからず俺は疑問を頭に浮かべながら仲良く寝ることにした
翌朝はルッカと共に起きて朝食を済ませると昼から葬式に参道したんだ
泣き崩れている奥さんを見ると心が痛くなるがそれはルッカにルルカそしてグスタフもだ
息子であろう子供はただじっと泣いている母を見つめていたがまだ幼そうだし今起きている状況から実感できないのだろうな
そして村の衛兵が王蛇の糞から遺骨を取りにいったらしくちゃんと探ると二人分の人間の骨が見つかったそうな
夜のうちに衛兵も頑張ったんだな、それはちゃんと火葬して骨壺に納めていたところまでは見ていたがそこから先は故人との付き合いが深いものだけで色々するとのことで一旦解散したんだ
夕方までかかりそんな悲しい気持ちも背負いつつ皆で村の中心街に向かうとルルカが口を開いた
『亡くなった人の分まで村の人達で村を盛り上げるのも大事よ、皆から慕われてたんだなってわかるわ』
『ルルカの言う通りだな、悲しむことは大事だがずっと悲しんでいても何も始まらないしな』
の言葉に賛成の意を示した
ルッカもグスタフも静かに頷く
人生何かあるかわからない、そんな人生に億劫にならずに今できることを全力でやればいいんだ
そうして4人でナラ村の飯屋にて全員でたらこパスタを注文したのだがルルカは3皿も食べるらしく俺とグスタフは驚いてルルカの前に並べられたたらこパスタ3皿を見ていた
『食べ盛りねぇルルカちゃん』
『はいルッカ姉様、いつも我慢していたので』
本当は沢山食べたかったのか、いつも小食アピールをしていたけども実際は沢山食べれるんだな
『食う事は強くなることに繋がるからこれから遠慮すんなよ?』
グスタフが口にするとルルカが直ぐに答えた
『そうするわグスタフ』
熊と会話する時は凄い微笑むなこいつ・・・もう全面的に隠す気が無いですよと言わんばかりの表情だ
ルッカに顔を向けると俺の視線に気づいてニヤニヤして来たけどこれが狙いかお前!
『女はこういう生き物なのよぉ?』
自信満々で口にしているけどルルカがナッツ並みの速さで口にたらこパスタをこきこんでいく
俺達も食べることにしたんだけども凄い美味しそうに食べるルルカに俺の食べる速度も遅くてなた眺めてしまうと言う事になるが見ているだけでも楽しい
『チームの維持費は問題ないしどんどん食べなさいルルカ』
ルッカがそう言うとルルカは口にパスタを含んでいるのでブイサインしてから食べは占めた
『食いたいときにこれから食えよ』
グスタフが言えばルルカは嬉しそうにして彼の目を見て意地でも返事しようと胃に食べ物を押し込めて口を開くんだ
『そうするわグスタフ』
こいつのはちゃんと返事する、そして俺は気になる事をルルカに聞いて見ることにした
『ちゃんとグスタフと寝れたかルルカ』
何故かルッカが凄い目を光らせてグスタフを見始めた
肝心のグスタフは狼狽え始めて答えたんだ、ルルカに言ったのにだ
『俺ぁ1人で寝たぞ!ルルカはルーシーと寝ただろ!』
その言葉に回答された言葉は無残なものだった
『寝たけどもグスタフの部屋言ったらぐっすり寝た他一応私のファーストキスの相手になってもらったわ』
『『はっ?』』
俺とグスタフがシンクロする、ルッカは椅子越しにぴょんぴょん跳ねているが楽しそうだ
ルルカはなんと寝ている時に密かにグスタフに・・・・ブチュッとしていたのだ!
『どうよルッカちゃん!動かない男には先手が必要なのよ!添い寝しても襲おうとしない男もいるけど』
俺をチラチラ見ながら言うが心が痛い、兵舎に泊まりに来た時も添い寝してたけど今思うといつでも襲っていいと言う事だったな、今は問答無用で襲うけどさ
『そうですよねルッカお姉さま!』
女2人が楽しそうに話している最中のグスタフの表情には哀愁が漂っていた
時たま見せる笑顔が怖いが何を考えているグスタフ!?
その後至って面白い事は起きず解散後は皆各自の家で寝て次の日は昼前にルルカが帰った
ある意味凄い変化を目の当たりにしたのだがその犠牲は尊くて儚い
グスタフと北門の外側の修理の警備をしながら2人で橋の中央に座っていた
俺達の近くでは3人の村の大工がせっせと破損した壁を直そうとしている
『やったなグスタフ』
『お前そろそろ殺す』
『あだだだだだ!』
俺の頬をつねってくるが痛すぎる
ようやく離してくれたかと思えば彼は溜息をついて寝そべった、その顔つきは不機嫌とは言い難い
口元に笑みが浮かんでいる
ルルカを正したのは間違いなくコイツだろう
『今日は思う存分体術の特訓してやるぞグスタフ』
『ああ・・・そうするか』
そうして夜は楽しく?殴り合ったけどその時のあいつの顔なんだか楽しそうだった
なんだか機嫌がいいと言えば納得も出来よう
こいつの体術を7にすれば俺達のチームも飛躍的に生存能力が上がり戦闘面でも心配は殆ど無いに等しくなる
まぁそうは言っても挑む敵のレベル次第だがインダストリアルのA+の魔物が出てくれば全員でかからないと負けるだろう
それでもこの面子ならそれ以下は問題は無い、ここまできたかと思うと今迄の死にそうな戦いも懐かしく感じる
そしてナッツが帰ってきたのはルルカが村から出て1週間後であった
村に来てから俺達はルルカの事はあえて言わないで置いたんだが会った時の反応を楽しみたかったからだ
ナッツの雰囲気も少し大人びた様子だがクズリに色々なんかされたんだろう
そうして彼もポートレアに戻りひと時の休憩を楽しむ事だろう
気付けば一週間がたちルルカとナッツがナラ村に来て俺達はガウガロに向かう事となる