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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
11章 鉄仮面少女は獣に安らぎを求めて言葉を待つ
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5話 ひび割れる仮面

場所はスカーレット邸訓練場、そこでルルカとグスタフが剣術の訓練をしている

時間は21時と少し遅めだが


『ほっ!』


『甘ぇな!』


ルルカの剣を真上に弾くとグスタフはルルカを押そうとして左手を前に出すがその前に彼女は後ろに飛んで回避する、術ばかり使って支援をしているというイメージが最近大きいとは思うが彼女も剣士なのだ

攻撃を避ける為に動くことはできる


グスタフと距離をとったルルカは剣を両手で握り直すが痺れて上手く握れない


『弾かれると思ったら抵抗せずにその方向に逃がすことも重要だぜ、痺れるだろう』


『ビリビリなのだー』


剣をブンブン振り回しながらそんな事を言う彼女に少し微笑む熊は大剣を肩に担いだ


そんな無邪気な様子を見たグスタフが口元に笑みを浮かた

目の前にいる女が無理をしている、その事は大分前からわかっていた

たまに見せる変わった口調…いやあれが本来のルルカ

今の口調になれてきた彼らはそんな一瞬の変化を逆に変わった口調と認識してしまうくらいにまでなってしまう


『術スキルはお前の母親に上げてもらいな、剣術ならいつでもいいぜ』


そう言いながらルルカの近付くと軽く頭を撫でる

ルーシーと同じでサラサラだなとグスタフは思った

その赤い髪色のストレートは普段は人に触らせることを実は拒むルルカだがグスタフにだけは許している


『まだお前は中位職だが全然やれてる、昔ずっと不安がっていたがやればできるってわかったろ』


大剣を腰におさめて腕を組むグスタフは言う

今彼女に悩みなど何もない、先が見えてきたからだ

このままどこまで行けるかの根気勝負


『グスタフはイビルディザスターなのだなー』


『なるさ、ならねぇと駄目だからな』


『どうしてなのだ?』


ルルカが首を傾げて訴えるがグスタフは一つ意地悪をした

どうしても本当の彼女が気になってしまってなのかもしれないがルルカの問いかけに彼は意地悪という名の約束をしたのだ


『人には秘密ってぇあるんだ、容易く教えらんねぇよ』


『えーグスタフなのにズルイのだー』


『大事な秘密だからな、お前もそれなりのもん教えてくれたら教えるかもな』


そう口にしたグスタフはルルカと距離を置くために背中を向けて歩き出し再び振り返り構えを取ろうとした

ふとグスタフは目を細めた、ルルカが何かを考えていると察したからだ


困った顔をしているがあれは考えている時の顔であり億劫な感情が表に出ているのだ

これ以上の詮索はやめとくかとグスタフは首を回してから再び特訓の続きをしようとした時


『グスタフは迷惑かける女性は嫌いなのか?』


よくわからない質問を投げられたと内心頭を抱えた

どういう意味なのか探りなのかハッキリしないのである

単純に答えるべきかそうじゃないべきか選択に悩むグスタフはそのルルカにとって大事なのだろうと思える言葉に慎重になった


『はぁ』


肩を落として溜め息をつくグスタフが答えだ


『迷惑かけない女ってどこにいるんだ?』


グスタフは首を傾げて言い放つがそれは質問である

あえて自身で考えてみろと投げ返したが地面を見て悩む彼女に聞いておきたい答えでもある、だが彼の質問に対して口を開かない以上はルルカから見ても迷惑をかけない女とはいないのだろう


何を恐れているかがグスタフは知りたい


『お前もいつかは立派な女になるさ、そうな迷惑のかけ方くらい覚えるさ』


ルルカは悩んだ、迷惑のかけ方とな?と

彼女はグスタフだけじゃなく他に皆に嫌われるのを酷く嫌がり今の状態を良しとしている

だがそれは彼らと共に歩むと決めてからの顔じゃなくそれは大好きだった父が亡くなってからだ

父と大事な約束をした彼女はそれを破らぬまいと笑顔を絶やさぬ少女となっていたのだ


『難しいのだー』


『そう思うからそう感じるんだ、色んな感情を相手にぶつけるからこそ分かり合えるんだ・・・俺はジャフィンについていくことを決心した理由がわかるか?』


『友人だからなじゃいのかー?』


グスタフはその場に座り込むとルルカもお行儀よくその場に座り込んだ

その様子を見て熊は笑顔を絶やさぬ彼女にしては上品だなと感じながらも静かに口を開く


『最初のあいつは言いたい事をあんま言わねぇ奴だった、昔からだ・・・だが薄々何を考えてるかぐらい俺もわかっていた・・・だがいちいち察してやるほど俺は甘くはねぇ、人は口で本当に言いたい事を言わなきゃ本心で語り合えねぇ・・・あいつが心から俺に来てほしいと言ったから俺は今こうしてついてきてるんだ・・・リヴィが来る前と来た後のあいつをお前も知ってる筈だな?』


『確かに一回死にそうになってから顔が軽くなったのだ』


『死んでからじゃ遅い、あいつはそれに気づいたんだ・・・億劫になってたから女1人も押し倒せねぇ男だったが今じゃそれは無いようだし』


『ルッカ姉さんなのだな!』


『ああそうさ』


ジャムルフィンの性格が変わる前後はルッカが知っている

それを例にして言えば彼女に伝わりやすいとグスタフは考えたがそれを自分にどう当てはめるかは彼女次第だろう


『本心を前にして話されると俺ぁ嬉しい』


『何でなのだー?面倒じゃないのか』


グスタフは立ち上がると彼女の元に近付いた、ルルカはどうしたのだろうと小さく首を傾げるがふと熊が手を差し伸べてくる

何も意識せずにその手を握ると彼女は立ち上がり目の前のグスタフからとある言葉を聞いた


『信頼されてると思えるからだ、ジャフィンは無理な事を俺に言ったりするが俺を信頼してくれるからだ・・ディロアでの件も俺が十天の第10位と戦うようにお願いしてくれた、国内の鎮圧に関してトップを倒せとな』


『・・・』


ルルカは小さく口を開けて熊の口から放たれる言葉を大人しく聞いているがその手は握ったまま

色々な思想が彼女の脳を動き回るがそれを気にせずグスタフは話し続けた


『今のは迷惑とぁ少し違ぇ話だが・・・本心があるから期待が生まれるんだ、迷惑をかけられるから本当の接し方がそこに生まれるんだ・・・だから俺の野望という名の秘密はジャフィンしか知らねぇ』


ゆっくりとルルカの手を離すと耳打ちをして訓練場の入り口に顔を向けたグスタフ

もう終わりだと彼女に言いたいのだろう、それは十分に伝わっており彼が歩き出すと自然とルルカもその後ろをついていくのだ


ルルカは悲しそうな面持ちでグスタフの背中を見つめた

本当の接し方というのが難しいと思えるからだがそれは先ほどグスタフが言った通り難しく考え過ぎなんだという言葉に微かな興味を秘め始めていた


『グスタフはどんな女性が好きな『全ての感情を出してくれる女だ、笑うし泣くし悲しむし怒るし困らせてくる・・その方が全力で答えれる』』


全てを話し切る前のルルカに言葉を被せた

ふと彼女がついてきていない気がして後ろを振り返ったがルルカは立ち止まってグスタフを遠い目で見ていたのだ

両手を腰につけてその様子を伺うグスタフだが何か今の彼女に触れる言葉でもあると思い反応を待った

悪い言葉にも思われるかもしれない、今のルルカからすれば笑うだけのお前に限界があると思われても可笑しくないのだからだ


そう考えるとグスタフは賭けをしたに等しい言葉だ

ルルカは悩まずに賭けでもある言葉を返した


『どうしてそう思えるの?』


ルルカから放たれた言葉に明るさは無い、少し哀愁が感じられる言い方だがグスタフは今の言葉で隠れていた彼女が出来来たと確信すると安心させるために微笑みながら本心を彼女に伝えた



『遠慮した言葉に答えようとする奴と言いたいこと全てに答えようとする奴のどっちがお前にとっては嬉しいんだ?信頼とはそういう事だし信頼があるから先がある、お前はルーシーやルッカと違って相手を見過ぎるからな・・・俺はちゃんと見てるぞ』


ルルカの鉄の仮面に少しヒビが入った、その拍子に彼女は小さく微笑んだ


『行くぞルルカ』


奥の通路を親指で指して歩き出すグスタフは再び彼女に背中を向けて歩き出すと黙って後ろをついていく

どう感じたかはグスタフにもわからないが徐々に話の内容には隠れたお前をちゃんと受け止める用意はある


そんな言葉を織り交ぜていたことにルルカも気づいている


『はい』


背後からあまり今の彼女からは相応しくない言葉を聞くとグスタフは小さく鼻で笑い口元に笑みを浮かべたがその顔は彼女には見えない

今日はこれ以上は言わなくても良いだろう

グスタフはそう思いそれ以上それに関する言葉を言う事をやめた

妹を持つ熊に取っても学園生活を送るためにポートレアに通っていた昔のルーシーを思い出した

へんに棘がある言葉を何度も聞いた、だけどもそれは強がりであったルーシーを受け止めて今の妹がいる


グスタフは人の事を良く観察し言葉を選ぶのだがこの時彼には気づいていない事がある

自分がなぜここまで彼女の為に頑張るのだろうかと、肉親でもないルルカに


ジャフィンに頼まれたから?それもあるが最終的にその決定はグスタフがした

この時の熊も今踏み入れた場所が今迄は言った事のない意識の世界だとまだ知らない

ルルカを寝室迄送ると再び彼女の頭を撫でるグスタフだが手を離すとルルカはニヘラと笑いながら彼に言ったのである


『またお願いするね』


『・・・あぁ』


軽く手を上げてその場を歩くグスタフだがその顔は嬉しそうである

そうしてルルカは彼の姿が消えるまでその後ろ姿を見守るが決してグスタフは振り返ろうとはしない

今日という日はこれで終わり、振り返れば今彼女が出している感情を見てしまう事になるがそれはルルカのために無粋な事なしないように彼はそのまま立ち去った


女性のすることであるからこそ難しい問題ともいえるが結局のところ正すかどうかは彼女次第なのだ

このままでいたいのか、もしくはただ不安があって出すことが出来ないのか

その答えはグスタフが遠回しに聞いた


他の人を困らせてしまうのではないかという不安をだ

彼女にゆだねよう、グスタフはそう決めた


そしてもしもルルカが戻ろうとキツイしたのならば皆で歓迎しようと彼は決めた



ポートレアでの冒険者活動も数日で終わりその後何事も無くグスタフとジャムルフィンはナラ村に帰ったのだが一つ変わったことがあったのだ


ルルカがナラ村についてきた事であるが何故変わった事かと言ったかというと何故かルルカはグスタフの家にお邪魔したいと言ったのだがそれに対してグスタフはルーシーと仲良くしてくれるならいいという事で了承したのだ、意外と武人祭でも彼女はルーシーと仲良くしているのを見ていたため同年代として親しみやすいのだろう


普段の村での生活をルルカも1週間ほど体験する事になるがそれと同時にベルテット帝国から馬車でゼリフタル王国の防衛都市と言われているタンカーから直ぐ北にあるチャリスという名の街に辿り着いた者がいる


彼の背中だけじゃなく周りは18本の剣が漂う

ナッツ、本名はルッツ・ニューベイターというシルバーバレットのたった1人の前衛

普通の冒険者なら前衛に2人は置くのだが彼は1人だけ、それに見合う力はあるだろう


・・・・・・・・・


ルッツ・ニューベイター(男18歳)千剣兵【上位】


☆戦術スキル

剣術【7】 剣の熟練度、恩恵により攻撃力と耐久力が大アップ

体術【5】 体術熟練度、恩恵により耐久力と素早さが中アップ

魔術【4】 魔術熟練度、恩恵により魔力量を中アップし・詠唱時間を中短縮

操剣【5】 千剣兵技練度、恩恵により技の威力と精密さが中アップ

技強化   技の威力が小アップ


☆補助スキル

食い意地【大】 食事による体力の回復速度が大アップ

安眠  【大】 どんな状態でも寝ることが出来る

痛覚耐性【大】 痛覚を軽減する

逃げ足 【中】 対象から離れる際の速度が中アップ

恐怖耐性【中】 恐怖状態を少し緩和

我慢  【中】 少し耐久力があがる

集中  【中】 術や技の構築時間を少し短縮する

体力  【中】 少し疲労しにくくなり自身の体力を中アップ

魔力感知【中】 体内の魔力の流れを感じとることが出来る

気配感知【中】 少し生物の気配を察知

忍耐  【中】 少し物理耐性が上がる


☆称号スキル

千剣兵の加護 剣術の熟練度が上がりやすくなり特殊な技を覚えることが出来る

       攻撃力と耐久力が大アップしダメージ自動回復【小】

生還者【大】 素早さが大アップ

前衛の加護  術・技の発動速度が僅かに上がる


☆技スキル(開示ステータスに表示されない部分)

居合・骨砕き・・流し斬り・トリックソード・十字斬り・唐竹割

神速一閃


☆千剣技(開示ステータスに表示されない部分)

ハントハーベン・メッサーシーセン

ヴュンデル・シルト・プファイル・ブーゼスクレイパー

ガンマレイ


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ベルテットに帰省していた彼はクズリの特訓で操剣のレベルが上がったのだ

だから今は18本も操れるようになりその剣は全てミスリルで出来た立派に統一された剣

これはミレーユが早急に用意したものであるが見た目も大事という事でナッツにプレゼントしたのだ



夕方にチャリスについた彼は見世物状態で街中を闊歩するがその光景も慣れたもんである

気にせず今日の宿を探すために歩いて1泊を予約して暢気に街を散歩していたのだがやはり彼も冒険者の心を持つ者としてこの街のギルドに足を運ぶことにしたのだ


『ポートレアよりかは小さいですね』


小さいと言っても2階建てであり立派な建物だが自分のホームに慣れてしまったのだ

中に入ると意外と綺麗な作りであることに少々驚くがそれとは別に彼の姿を見た冒険者は先ほどまで酒を浴びていた楽しさから一変して驚愕を顔に出して椅子から立ち上がり少し後ずさりした


誰もがその風貌に見覚えがあるというわけではない・・・聞いたことがあるからだ

冒険者の情報網は計り知れない事は当たり前の事だ

今ナッツを見て驚く彼らはこう思っていた


ポートレアに多くの剣を浮遊させるシルバーバレットの前衛がいると

ジャムルフィンのチームはすでに冒険者で知らぬ者は確実にいないしそのメンバーも全員詳細が詳しく把握されているがその点に関してはタイガーランペイジもエーテルリッターもしかりである


ナッツは横にあるカウンター席に座り軽食を頼んだ


『カツサンドを3つお願いします』


『かしこまりました』


若い感じの店員が爽やかな笑みを浮かべて奥に来てる

ナッツはカツサンドをギルドで食べることが日課となっているので自然と頼んでしまうが理由は単純に大好きだからだ

それだけで十分なのだ


『千剣だろあれ』


『確かベルテットの化け物大将軍の息子だろ?帰省してたんだな』


『初めて見た』


悪い意味とはナッツは捉えない、少し遠回しで父が褒められていると感じがして心地よいのだ

食べている時は足元に剣を横にして山にした状態で休ませているが一応浮かせておいても疲れはしない

だが他の人が気にしてしまうのでそれは考慮して地面に重ねておくようにしているんだ


置いていたとしても異様に積み重ねられた剣は不可思議な光景でもある


『私からのサービスです』


カツサンドが出る前に若い店員がナッツにカフォオレを差し出したがこれはナッツの好物

自分の好きな飲み物まで情報が知れ渡ってるのかと思うと乾いた笑いが出てしまう

頭を掻きながら小さく頷いてナッツはお礼を言った


『大好物です、感謝します』


『でしょうね、お気になさらず』


やはりなとナッツは思いつつも一口カフォオレを飲んだ

視線がものすごく感じるが振り向いたら駄目だろうと思いつつもカツサンドを待つナッツは武人祭の事を考えていた

一般枠からの試験でいこうと考えてはいるが誰かに枠を作ってもらうしかない

そうなるとポートレアにある兵士の詰め所に一度足を運ぶ必要があるので戻り次第時間を作り向かおうと決めた


『カツサンドです』


頬杖をついて考えていたら目の前にカツサンドが3つ出て来た

白い皿に更に紙袋で包まれた彼の好物、幸せそうな顔で彼は口に含んだ

その様子を珍しそうに他の冒険者も見守る中どんどん口にかきこんでいきとうとうカツサンドが3つ彼の胃袋の中に消えてしまった


最後にカフェオレを飲んで満腹感を味わっていると隣に見知らぬ冒険者が座ってきた

ここの冒険者に知り合いはいないがどこかで見たことがある人だと思い隣に座る彼に軽く会釈をすると隣の男は微笑みながら口を開いた


『俺は連撃のリースだ』


ナッツは思い出した、不運な事に去年の武人祭でタツタカと一回戦に当たってしまった冒険者

この人が弱いわけじゃないのである、彼はランクAの冒険者でありゼリフタルの北地方では一番強いと言われるほどの冒険者だが同情したくなるくらいに相手が悪過ぎた


『僕はナッツです、思い出しました・・・去年の大会は不運でしたね。タツタカさんと当たってしまったんですから』


タツタカという名は冒険者でも今じゃメルビュニアの最終兵器として知れ渡っており黒い仮面のタツタカという名もゼリフタルでは有名である

リースは溜息をついて頭を抱えている


『勘弁してくれ、まさか当時彼が無名だったのもあるがあんな力を持っているなんて思わないさ』


『ですよね・・・あれ無理ですよ、伝説のテレポートを何度も魔力消費無しで使うんですから』


『しかも術も突発的で溜め無しとか初見じゃなぁ・・・まぁいつかは当たっているだろうし仕方がない』


不思議と話が弾みナッツは仲良く彼と話した

どうやら連撃のリースは武人祭以降は今年の大会の為に力をつけていたらしいのだが彼の表情を見るとなんだか複雑そうである

そのことに関してナッツが質問してみると答えは単純なものだった


『きっつい情報がここにもきてるさ、カールが伝説の天位職になっただろう?国宝とされるだろうしお前らシルバーバレットも化け物揃いだろう?中位職だったあの首狩りが今じゃ超レア職であるイビルハイドだし銀狼は桁違いに強いし君も千剣兵という伝説の英雄職だろ?去年の武人祭からこの国は一気にレベルが上がって驚くじゃないか・・・俺もレア上位職のブレイカーなのになぁ』


ブレイカーは剣術でも異質な職である

パワーブレイクにマジックブレイクを会得しないとなれない上位職だがマジックブレイクが本当に取得するのが大変だと言われているのだ

ブレイカーとなるとその職の特徴である技があるらしいがナッツは知らない


『僕はまだ千剣になって間もないですけど』


『間もないと言われてもその剣を見れば・・・なぁ』


横目でナッツの後ろで束になっている18本の剣を見ている

あれを浮かして歩く姿を先ほど奥のテーブル席で眺めていたので半端な行動じゃ太刀打ちできないと思った


『僕は出ます、その時はよろしくお願いしますね』


『ああ、頼むよ』


そうしてナッツは宿に戻りベットで休むことにした

彼のいるところからポートレア迄は約1週間、道も複雑なので少し旅路は長いがナッツはゆっくり行こうと決めた

急ぐ必要はないと彼は思い緩やかな帰省を決める

帰れば一先ずベティーナと会ってゆっくりしてからジャムルフィンに報告をするだろう


彼がポートレアに戻る頃には1人の女性が変わりつつあることはまだ知らない



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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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