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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第10章 時代の成長期
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15話 弱きを踏みつける者に鉄槌を

『うわぁぁぁぁ熊だぁぁぁぁぁ』


『ひるむなぁ!戦ぇ!』


俺達はアレクやメリルと合流して向かうべき場所へと走り出していた

前方の敵はナッツとグスタフがボコボコに蹴散らしながら道を開けてくれるし俺達は彼らが開けたその道を突き進んでいた


抵抗をやめた魔族兵もいればこのように戦意を喪失しない奴もいる


『ヴュンデル』


ナッツは武器庫からくすねた剣を使い・・・12本の・・うむ

こいつ何本操れるんだよ!?ここまで多いとヤバくないか!?


ナッツの頭上に展開された12本の剣が前方の多くの魔族兵に向けて紫色の光線を飛ばすと命中した敵は遠くに吹き飛ばされていく

集落の中央を真っすぐ突き進み山の洞窟の前に位置する建物であるキャスバル邸に向かう

魔族兵は悲痛な叫びをあげてナッツやグスタフに吹き飛ばされていく


『しゃあ!』


『がふっ!』


グスタフが目の前の魔族兵を真っ二つにするとその様子を恐ろしく思えた他の魔族兵が後ずさる

獰猛な笑みを浮かべる熊は大剣で肩を叩きながら前に歩くと魔族達は一歩・・また一歩と後ろに下がる


『死にてぇ奴からこいや』


そう言いながらグスタフが道をこじ開ける為に走り出すと魔族兵の悲痛な叫びが聞こえた


『こいって言ってたのになんで向かってくるんだぁぁぁぁ!』


『助けてくれぇぇぇぇ!』


グスタフに斬られながらもそのような言葉を吐き捨てて倒れていく

ナッツは12本の剣を敵に飛ばして突き刺しながら堂々と歩きながら俺達が進む道をこじ開ける


『真っすぐ進むと分かれ道があるので右に行ってください!』


俺の隣にいるアレクが口を開くとグスタフとナッツが元気よく返事をして再び正面の敵を蹴散らし始めた

ルルカとメリルは後ろから迫りくる敵に向かってファイショットを効率よく放って距離を開けてくれているし大丈夫だろう、そういう俺も後方の敵に銀閃眼の連射をたまに撃ちまくると魔族は怯え始める


『なんだぁこいつは!?』


『純潔な上級魔族なのに歯がたたねぇ!』


そんな声を聞かずしてルルカが元気よく口を開いた


『ファイアショット!』


魔族兵はその術を防ごうとするが熟練度がそれなりに高いルルカなのでガードしても意味なく魔族兵は燃えながら吹き飛んでいく

メリルも同族だというのに攻撃するという事は覚悟を決めたんだろうと俺は彼女を信じることにした

敵を倒しながら突き進むとアレクに言われた通り分かれ道が現れたので迷わず右に進んだ


ここにきてからだいたい300は倒したと思うが敵の勢いはおさまる事も無く行けども行けども敵で溢れている


右に曲がり暫く戦闘しながら進むと両脇に木材質の建物がずらりと立ち並ぶ地区へと辿り着いたがここは家っぽい感じがする

その建物の中からも魔族兵がゾロゾロ集まると変わった魔族兵も目の前に現れる


その姿を見たグスタフとナッツはその者に視線を向けて警戒をあらわにした


『俺はアルエッタだ!ここまでよく来たな人間風情が』


不敵な笑みを浮かべてその手に持つ長めの剣を俺達に向けてくる

こいつは少し強そうだ

魔族兵もその声に安堵を浮かべて円を描く形で囲み始めた、その中にはあのアルエッタもいるがまだ怪しい笑いを浮かべてこちらを睨んでいる


するとナッツが前に歩き出して口を開いた


『グスタフさん、良い思いしたんですから順番ですよね』


『ケッ!だな・・任せたぜナッツ』


グスタフが彼に微笑みかけると一歩下がる

そして12本の剣をアルエッタに向けると多少そいつが目を見開いてその光景を凝視していた


『な・・・剣が?浮いて?なんで?』


前屈みでその様子を伺うが不思議がって当然である、自らの武器を浮かせるとか聞いたことは無いんだ

そんな彼の感情など関係なしでナッツは直ぐに走り出した

戦いに無駄なものを捨てた彼に彼の言葉は届かない、アルエッタが向かい来るナッツに悩んでいた

あの人間に意識を向ければいいのかそれとも12本の剣を警戒すればいいのか・・・


判断が出来ないんだ

どれが敵なのかまったく見当がつかないんだ


『くそぉ!ファイアバースト!』


前方放出系の炎術か!賢い!確かに何を狙えばいいのかわからないならそれが一番だ

だがナッツに襲い掛かる爆炎は彼のシルトという技で防がれてしまう、しかも12本という本数の多さでナッツの前方で回転した剣はより大きな盾と化している


その大きな盾にファイアバーストの全てを防がれたアルエッタは驚愕を顔に浮かべた


『なんだそれぁ!?』


目が飛び出しそうなほど驚いているがその時間も長くはない

術の効果が切れると直ぐにナッツがシルトを解除して間合いを詰めた

バツの悪い顔を浮かべるアルエッタがナッツと剣を交わらせて鍔迫り合うと彼らの頭上からナッツの12本の剣がアルエッタに剣先を向ける


『マジ!?』


驚きを口にしたアルエッタは直ぐにナッツの剣を弾いて後方に下がるが間一髪である

12本の剣は先ほどまで奴がいた場所に落ちていき深く地面に突き刺さったのだ、あのまま鍔迫り合っていたら串刺しだったのだ

意外にやる様だが離れた瞬間にナッツは自分の持つ剣を彼に向けて口を開いていた


『ヴュンデル!』


紫色の光線がアルエッタに襲い掛かるがその光線を彼は真っ二つに斬り裂き再びナッツに襲い掛かる


『手が痺れる・・・』


そう吐き捨ててナッツに走るアルエッタ、紫色の光線を斬った時に重みを腕に感じたのだろう

地面から12本の剣が抜かれると奴の周りにまとわりついた、その光景にアルエッタは足を止める

囲まれている状態、逃げ場はないのだ


『くっ・・・下等な人間めが』


額に汗を流して周りの剣を見回している

腕を前に伸ばすナッツはそのまま答えた


『貫け』


その言葉でアルエッタの周りに展開された剣は彼に襲い掛かる

苦しい顔をしながら1本1本を弾いて応戦してるがそれも永くは続かない、1本1本丁寧に攻撃してくるわけじゃないのだ、俺も見ていて気付いたけど最初は1本ずつで安心させているが徐々に本数を2本そして3本に増やす


簡単に考えよう、アルエッタが持つ剣1本じゃ到底無理

だからこそタイマンという状況では中途半端な実力を持った奴はナッツには勝てない


『ぐぉ!』


背中を刺されても必死に他の剣を弾いていくアルエッタも頑張るがその怪我から徐々に彼の動きは鈍くなってくる


『がはっ!』


すでに彼の体には4本の剣が突き刺さっている

こうなると万全な状態とは到底言い難い・・・すでに勝負は決していた

罵声を口にしながら弾く力があるのは称賛に値するけどもその隙にナッツは終わりを告げる言葉を口にした


『プファイル』


大きな矢が直進して魔族兵でも一際格好が偉そうなアルエッタに直撃すると貫通して奥にいる魔族諸共ダメージを与えた


自分の胴体に空いた風穴を眺めたアルエッタは体を震わせながらナッツに視線を向けると手に持った剣を地面に突き刺した

降参に似た行為だろうと俺は思った、その光景にグスタフは鼻で笑い密かな称賛をナッツに送る


『くっ・・・なんだよ、てめぇ・・ら』


そう口にして彼は前のめりに倒れるとアレクとメリルがその光景に驚いて口を開いた


『うわぁ・・・』


『とてつもないな、十天の仲間と言うのは』


その声にナッツは振り向いてニヘラと笑うと直ぐに俺達を囲んでいる魔族兵に視線を向けて睨んだ

先ほどの戦いを見ていたであろう彼らはゾッとした、あの12本の剣が襲ってくると思うと迂闊に動けないんだろうな

俺もこいつとはあんま戦いたくはないと思う


『メッサーシーセン』


9本の短剣が魔族兵を貫く、それを合図にナッツが歩き出すと魔族兵は慌てふためきながら逃げ出すが逃がす訳にはいかない

俺は銀閃眼の連射をあたり一面に撃ちまくると力なく魔族兵がその場に倒れていく

そんな光景にメリルは術を撃つという行動を忘れて蹂躙されていく同族をただただ茫然と見つめていた

アレクは肩を強張らせてメリルの後ろに隠れているが怖いのか?


『アレク大丈夫か?』


声をかけてみるとノソッとメリルの背中から顔を出して作り笑いを浮かべて頷いた

まぁ・・大丈夫だな!


そのまま敵を殲滅しつつ進むがかれこれ400は倒しまくった筈

それでも敵の勢いはおさまる気配はないから俺はグスタフとナッツに声をかけた


『下がれ、交代だ』


2人は手を止めて俺を見て来たので続けて話したんだ


『ルルカから魔力回復剤を1つ飲んでおけ、そろそろ枯渇するだろう?』


『まぁあと50くらいいけたかもなぁ』


『確かに少し疲れを感じますが僕は大丈夫ですけど』


グスタフは闘気を消費して戦っているがナッツは違う

彼は1つの技を継続させながら戦っているからだ、ハンドハーベンという剣を操る技

自身の闘気を1回しか消費していないのである、その12本の剣を巧みに動かして敵を攻撃しているのでこいつは気疲れしかしていないだろう


俺の後輩は長期戦ができるのだ、瞬発的な破壊力はグスタフが圧倒的だが今起きている長期的な盤面を見るとナッツが有効に動けているか


『グスタフ達は休んでジャムルフィンに任せるのだ!』


ルルカは懐から魔力回復剤を2つ出すがナッツは結構ですと言い断る

だがグスタフが小瓶の液体を飲んで後ろに下がると俺は前に出て

ただただ銀閃眼を連射して前に突き進んだ


『人間風情がここまで来ギャ!』


なんか強そうな奴が前に出て来たけどかまわず撃ち抜いた

どうして無暗に前に出て来たのだろう、自己紹介が出来るとでも思ったのだろうか


『あぁ・・ビル小隊長が雑魚みたいに・・・』


アレクが口にするが俺にとっては周りにいる魔族兵と何ら変わりがない

メリルも乾いた笑いを受けている


俺は先陣をきりあとの者達は後ろで色々やっていてほしい

だがふと少し敵を掃討していると気づいたことがある


どんどん魔族兵の数が少なくなってきている

見るからに半分以下・・・俺達を追う後方の魔族兵はほとんどおらず前方から向かってくる者のみ

そんな倒しただろうか?といっても殆ど俺の銀閃眼の連射弾で蹴散らしたからなぁ

ナッツやグスタフが倒したのを合せると約500は多く見積もっても良いか・・・多いかな


俺は槍で敵を貫きつつ前を歩きながらナッツ達に話しかけた


『少なくなったな!どうしてだと思う?』


ナッツに話しかけた筈なのにそれとは別な人物が答えた


『侵入者は貴様等だけではないという事だ、兵力を分断しおって』


俺達の進行方向からだが耳が良いな、その声で魔族兵が道を開き始める

これは良い獲物が来る予感がバンバンしてくる

俺は槍を肩にかけて正面に視線を送ると魔族が横に避けて作った道から1人の魔族兵が現れた


兵士というより騎士だな、階級が高そうである

少し巨躯であるがグスタフと同じくらいだろうその者は大剣を俺に向けて再び口を開いた


『この先にはいかせることは出来ぬ、人間がよくここまできたものだが?』


なんだか首を傾げている、明らかに馬鹿にした態度だ

少しカチンとくるけど俺も煽り返すことにしようか


『お前らが弱いからだぞ、弱すぎてつまらないんだがお前も弱そうだし死にたくないなら帰って良いぞ?』


目の前の魔族が怒りに満ちるけどこいつら本当に沸点低すぎない?プライドが高すぎて余計に挑発に乗りやすいのか・・・まぁいいか


『生意気な人間風情が・・・キャスバル魔将軍の副将であるこのアムルタがおま・・・』


最後まで言い切る前に俺はアムルタという魔族の顔面スレスレを速度増しさせた銀閃眼の通常弾を放った

当然速度に狼気を込めたのでこいつが反応できるわけがない

アムルタは撃たれたという感覚はあるらしく目を大きく見開いて俺を見ているけど反応出来なかったらしいな・・・


『次は当てるぞ?言ったよな?弱いからここまで来たんだと』


『貴様何者だ』


真剣な表情になるアムルタに俺は右手の甲に狼気を込めて十天の数字を見せた

すると驚愕だらけな表情を見せてくれたが効果は絶大だ、周りの魔族兵も俺の正体に恐怖を顔に出す

俺は一歩歩いてアムルタに口を開いた


『十天第7位の銀狼のジャムルフィンだ、悪いがキャスバルを殺すために来たからお前は邪魔だ、死ね!』


『くっ!?』


俺はその声を聞いて狼狽えた瞬間に銀彗星で一気に走り出した

こいつはシルバシルヴァを発動しなくても大丈夫だし逆に勿体ない

ギリギリ反応して腰の剣を抜いたことは褒めてやろう・・・だが最初から抜いておくべきだった

抜刀の速度も未熟、俺は剣で攻撃される前に奴の腹部を思いっきり殴りつけた


『ガハッ!?!?』


苦痛を顔に浮かべているがそのまま俺は拳を押し込んで奥にある頑丈そうな建物に吹き飛ばした

大きな音を立てて壁を破壊して屋内に倒れた彼は歯を食いしばって立ち上がるが遅すぎる


『遅いぞノロマ』


銀彗星で更に加速して顔を持ち上げる前に彼に槍を向けて口を開く


『銀の爪』


3つの爪が槍の先端に現れるとアムルタの左腕を吹き飛ばしながら俺は彼の後方に着地した

苦痛な声を上げるがそれでも体をひねって横殴りの剣撃をするが俺は懐に入りそれを避けると奴の横っ腹を蹴り上げた


『グフッ!』


再び吹き飛んだアムルタは魔族兵の集団に吹き飛ぶと部下たちを巻き添えながら地面に倒れていく

それでも彼は立ちあがる、俺はゆっくりと歩いて踏ん張る彼に口を開いたんだ


『悪いが魔族の村からの依頼でお前らが邪魔なんだとさ、だから死んでくれ・・・弱いものをいたぶるお前みたいな奴が俺は嫌いだ』


本音である、何故手を差し伸べないのか?犠牲にしようとするのか理解ができない

それは俺の言葉を聞いていたナッツ達も疑問だある事であるが理解に苦しむのだ

何故?踏みつけた行為しかできない


『強者のために道を作るのが弱者だ、貴様にはわからぬだろうな』


とんでもない返答を貰うが直ぐに答えさせてもらった


『それでこの程度か?それでこの弱さか?弱者を犠牲にした力とはこんなにもたいしたことないのか』


アムルタが悔しそうな顔をしているが同情は出来ない

すると唐突に立ち上がった彼は俺に襲い掛かってくる


『濁流斬!!』


8体の分身が俺に襲い掛かるが俺はそれを避けつつ彼に間合いを詰めた

いちいち弾いていたら最悪相手に隙を作ることになるから時と場合である

だがただ放ったわけじゃない様でありアムルタも技を出した時にはその分身に追従して襲い掛かっていたのだ


だが魔族の気はだいたい把握したし俺の予見があるから問題ない


『人間如きが十天なぞ!上級戦闘魔族のこの俺が!』


やる気は十分らしい

リーチが長い俺の槍で奴の剣をついて弾くと体を回転させて顔面を蹴りつけた

鈍い声を出して顔を抑えるけど彼のそれは隙じゃない、予見が避けろと俺に言い聞かせているので後ろに下がった瞬間アムルタの剣が襲い掛かってきたけど危なかった


気配で斬りつけて来たんだろうな、副将の名だけはあるか

アムルタと距離をとると彼は顔を持ち上げてこちらを睨みつけてくる


『おのれ・・・』


『弱い者を踏みつけて得た力は最高か?』


『五月蠅い!弱い体で生まれた者は強者のために動くのが普通だ!普通に生かしてもらっているだけ有難いと思うのが普通だ!』


とんでもないな・・・たく

そんな暴君染みた制度の癖にここまでしか強くないのか?それは普通に鍛錬していれば辿り着ける力なんじゃないのか?お前らは何を見落としているんだ?


考えなくてもわかる

背負うという意味を穿き違えた行為、俺にとっては軽すぎる

小石程度の物を背負って何が強さだ


『真空斬!』


アムルタが放つ技を俺は左手で作った銀の爪で払いのけた、槍じゃなくても発動できる技はいくらでもある


『くっ・・・』


直ぐに彼は剣を構えて突っ込んでくるがこの島で戦った物の中では一番早いか

だが予見スキル持ちの俺にはどんな速さも意味がない、多段という不慣れな攻撃さえなければな

立ち止まる俺に近付いた彼は俺に向かって剣を振り下ろして来るが瞬時に体を横にずらして避けてから槍を短く持って奴の左太ももを貫いた


痛みに顔を歪めるが構わず剣を横に振って攻撃を仕掛けるが喰らいたくないので槍を抜いて宙返りをしながら後方に避けたがそれだけじゃない


『狼撃破』


槍の先端から銀色の狼を作り出しアムルタに飛ばしたが体を転倒させて間一髪避けた

なかなかやるなコイツ

だが彼の顔は苦しそうだ、長居は出来ない


『最後にお前の敗因を教えてやろう』


『なんだと・・・』


『銀超乱』


俺の頭上に20を超える銀狼を構成して待機させた

この銀超乱は爆発属性の銀狼だが最近使い方を覚えたから今それを実行させている

任意で動かすことが可能なのだ、俺の上空で多くの銀狼がアムルタに威嚇をしておりその光景を彼は怪我した足を引きづって後ろに下がり始めた


『自らが高位な存在だと思ってまともな鍛錬をしてこなかった事と俺を舐めた事だ』


『これが・・十天か』


『穿て』


『!?!?』


上空から連射の如くアムルタに隕石の様に突っ込む銀超乱で構築された銀狼が順番に敵に発射される

アムルタのいる地面に着弾すると爆発が巻き起こりナッツやグスタフそしてルルカなど全員身を屈めて爆風から耐えている


直ぐに技が鳴りやむと砂煙が消えていき無残にも体中ボロボロでアムルタがそこに倒れていたのだ

彼に近付くが息はない、もう死んでいる様だ


周りの魔族兵も100はいない、もう兵力も残りわずかか

俺は背伸びをして槍を回転させてから肩にかけてグスタフ達も元に戻ると軽く微笑んでくれている

まぁ多少強い奴なんだなと感じたがいい運動になったな


『もう少しでキャスバル様のいる建物につきます』


アレクが俺に口を開くので俺は口元に笑みを浮かべて頷く


『十天とは恐ろしいな、伝えられた通り出会ったら絶対に逃げねばならんなこれじゃ』


苦笑いしながらメリルが言うので彼女と少し話をしたんだ


『でも味方だ、大丈夫だ・・・お前は今後バハラとイチャイチャできるぞ?』


『馬鹿を言うでない!』


少し赤くなっているが面白いな魔族も

グスタフが周りの魔族兵に睨みを効かせているいるけどそれをしなくても彼らはもう立ち向かってこないと思う

自分たちの上官が倒されたんだ、キャスバルは強いと思うが期待は薄いと薄々感じてるんじゃないか?

それだけ魔族では十天という存在とは絶望の形なんだろうなと思う


『流石ジャムルフィンなのだ!だがお母さまが一番なのだ』


『・・・ああ知ってるよ』


流石に勝てる気がしないよ、自分の母を引き合いに出すところは母親っ子だな

俺は苦笑いしながら頭を掻いているとナッツが俺の肩を叩いて向かうべき道に顔を向けたのだ

そうだな、いかなくてはいけない

住宅街のような道だったけどここは少し広場みたいな構造になっている、だが奥を見ると大きな建物が見えておりその奥には絶壁が視界に入って来た


建物の影に隠れて洞窟がある筈だ


俺達は邪魔をしない魔族を無視して皆で歩き始めた

カール達もそのうち合流するだろう、残るはキャスバル魔将軍のみ


『存分に暴れてこいや、俺達は建物の入り口で守ってやるよ』


グスタフが俺の胸を小突いて話しかけてきた

ありがとな・・・いい所をもらうけど

まぁでもグスタフも良い戦いが出来たんじゃないかなか、リュゼルとの戦いで意味のある勝ち方と言えばいいのだろうか、それを結果として得られている気がした


正しい道に導けたんだし満足していると思う


『俺は行くから頼むぞみんな』


全員が返事をするとアレクとメリルが続けて口を開いた


『僕達も覚悟は出来ています、これを最後に良い街に出来るならば最悪な決断を認めましょう』


『人間に助けてもらうなんて生涯ないだろうね、でも初めて人を信じれる気がするな・・頼むぞ十天』


それが言えれば十分だ


『待っとけ』


俺は走ってその建物に向かったのだ

ニヴァが住むバングーの街のためにも・・・魔族のために動くのだ

そんな言葉をゼリフタルで言っても誰も信じないだろうけど俺達には意味がある

弱きを守るは強い者の宿命、それを魔族にも教える為に見せないとな


正しい生き方を









キャスバル魔将軍副将アムルタ、銀超乱により敗北


・・・・・・・・・・・・・・・・・・







『あの魔族の大将じゃ無理だな・・十天の者か、久しぶりに本気を出せそうだ』


『あらまぁ!十天さん!?楽しそうねぇ・・そろそろ』











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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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