20話 【魔滝戦その⑨】それぞれの思いと
真剣でも変わらないジャフィン
納得は出来なかった、先輩に行けと言われて正門の剣士達や監視や待機していた村人などの避難
違う人がやればいいと思っていた、なんで僕かはわかっている
僕は途中、村にグランドパンサーが侵入したのを発見し、迎撃した
ランクCの魔物だ、本当に死ぬかと思ったよ・・・上手く流し斬りが最後決まってよかった
その後レナウスさんやルッカさんに合流し、僕は正門での出来事を軽く話す
僕たちは走っていた
正門迄、ルッカさんは怪我人の治療で後方でいるように指示されていたが
その場についた瞬間、皆凍り付いた
理解できなかったよ、あれは先輩・・・なのか
僕の先輩は強くて頼りになる人で優しくて面倒見が良くて
憧れで、たまに何考えてるかわかんない人だけど
一番尊敬していた、そんな人が
もう死んでるかと思った、レナウスさんが吹っ切れて突っ込んでいった
僕は否定していた、先輩が負ける?いや
先輩だって失敗するんだ、でもあんま見たことない
なんでだろう
僕はその魔物が先輩で遊んでいると感じた瞬間
何かが吹っ切れて突っ込んでいた
異常なくらい強かった
戦うのが馬鹿らしくなるくらい、そしたら先輩が立ったんだ
なんで立てるのかわからない、死んでもおかしくない怪我
生きてるのが不思議だった、凄いと思った
でも先輩は・・・・・死ぬ為に突っ込むことを決意していた
僕は止めれなかった、最後・・・・命にかえても肉壁にでもならないと
僕は斬られた、でも浅かった
僕も倒れたけど起きたらもう先輩は、辛かった
置いて逃げろと言われた
僕はね先輩、そんな都合よく考えれない人間なんだ
誰かが困っていたら助けたい
誰かが苦しんでいたら救いたい
単純な人間なんです
守れなかった・・・ルッカさんってこんなにも泣く人だったんだ
先輩は良い人といるんだと思った、でも叶わない
先輩のお母さんがせめてものという感じで泣きながら子守唄を歌った
ルッカさんがとても取り乱している、いいカップルだと思うんだけどなぁ・・
なんだけど・・・・その願いも叶わない・・・
僕は沢山泣いた、あいつを許さない
死んでも追いかけて殺そうと思った・・・・だが
子守唄が終わった瞬間、耳鳴りがした
音が、周りの音が小さく・・・なった、表現は難しいかもしれない
無音に近い・・・だけど急に死んだと思った先輩が口を開いた
『条件が満たされた状態で唄により解放されました、ステータスを変更します・・・職スキルが変更により自身の身体能力が上昇し槍術スキルも完全に使えます』
僕は考えるのをやめてそれを全部聞いていた
何が起きているんだろうか、周りもそんな感じだが
僕は信じられない光景を見たのだ、先輩が・・・・怪我が治っていく
治るのか?あの怪我ですよ?
左足は途中で千切れて・・・片目は潰れて・・・腕も両方機能できないくらいの
だけど奇跡が起きた、そして先輩は立ち上がった
夢なら・・・冷めないで欲しかった
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今は私は夢を見ているのだろう、目の前でジャンが死にそうだった
そんなことありえないと思っていた、彼は強いのよ
中途半端な鍛錬しかしない中位職の人を倒したりもした時もある
村の誇りでもあり、私の一番信頼できる人
なんで?どうして?その状態で逃げろと言うの?
助けてって、私に言わないの?
どうすればいいの?私は
小さい時から一緒だった、色々と意思疎通は出来ていると思っている
だけどたまに何考えてるかわからない時もあったし
無難なとこが多かった、無理をしない人?かな
でも・・・・優しい人だった
頑張る人だった・・・・何であの化け物はジャンのせいにするの?
なんであの化け物はジャンに背負わそうとするの?
ジャンは無い腕で立ち上がった、私はもう何も考えれなかった
引っ張ってでも止めよう、私が逃がして・・・・・
出来るだけ逃がして、助けたかった
腕は無くても大丈夫よ?ご飯くらい食べさせられる
歩けなくてもいいのよ?私が動けるから
口がきけなくてもいいのよ?
あなたの目を見ればわかるから
ジャンは私を振り切って化け物に突っ込んで刺されて
静かに倒れた
あぁ・・・夢だ、早く終わってほしい、そう思いたくなった・・思いたい
でもこんなにも泣いてしまう、夢でいてください
ジャンのお母さんがいた、いつの間に
ジャンのお母さんはずっと名前を呼んでいた
ジャフィン、ジャフィン・・と
彼は最後にごめんなさいと言って体の力が抜けていった
どうなるんだろう、考えるのをやめようと思ったら
ジャンのお母さんが彼の為に子守唄を歌っていた
懐かしい、私も小さい頃にね・・・聞いたことがあるの
ジャンの家でね、教会で部分的にポトロトさんが言っていた時は思い出せなかったけど
思い出した
約束守らないで死ぬの?ジャン?
子守唄が終わったら耳鳴りがし、無音になった
夢が終わるのね・・・よかった
夢ならば起きたら・・・私ジャンに会いに行こう
ギュってしてあげよう、そう思った
そしてジャンは口を開いたの・・・色々喋っている
体も回復していき完全に手足も戻り、目を両方ある
何が起きているのかわからず見ていた
そして彼は最後に立ち上がりながら言ったの
『専用技・・・シルバ・シルヴァを発動、敵を殲滅します』
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俺は何でこうなったのか本当に良くわかってない
夢の中で?走馬燈?死ぬ前に声が聞こえて、そしたらさ
誰かが俺にチャンスをくれたのか?夢じゃなかった
手足を動かした・・・動く!
目を瞬きさせた・・・あるっ!!!!
体をねじってみた・・絶好調!!!!
身体能力・・・・・・超異常!!!!
俺は、後悔して死ぬことが出来なかった様だ
ならばやることは一つだ
俺はもうやりたいことをハッキりやる!
我慢しないで全力で行く!!
俺は自分の状態を見る
風が舞う、とても強い風だ・・・空気が擦れる
その音がどことなく狼の声にも聞こえた
森を抜けようとしているあいつを俺は見た
すっっげぇ目を見開いてこっち見て驚いてる
面白い、そんな顔できんのかお前
勝てるのか?そんなの関係ないね、せっかくの命無駄にするかもだけど
俺は死ぬ生きるを今は考えるのをやめてこいつと戦う
『・・・ジャン?』
ルッカか、迷惑かけたな・・・
『ルッカ、帰ったらお前の飯食いたいな』
そういうとルッカはまた号泣し高速で何度も頷く
『ナッツ、悪いが今は休んでろ』
『わかりました』
顔は真剣だが泣いている、なんか似合うなお前
リヴィを追っかけていた父さんもいた、母さんもだ
母さんの声かあれ、でも途中違う奴だった・・・誰だったんだあいつ
『行ってくるわ・・・』
あいつから殺気が感じない、そうわかる
今の俺には
そういって俺は歩き出す、一歩・・・二歩とゆっくり
『なぁリヴィ、お前には感謝しかできないよ・・・だが何人か死んだ、償ってもらう』
手をパチパチとまっすぐ前に伸ばしながら奴は手を叩く
『何という事でしょうか!!!まさか!あの土壇場とかありえないでしょう!?はっはっは!』
俺たちは歩いてゆっくり、近づく
リヴィも歩きだす、そして続けて言ってきた
『国の英雄ショーじゃないんですから!普通死にますよねぇ!?サーチ!!』
あの風が俺を通り過ぎる、そしてリヴィが何回も進みながらジャンプした
『素晴らしい!!!それを活かす事が!?いやこれからでしょうね・・・その目ならいけるでしょう』
やはり殺気は感じない、互いに距離は20m
『夢はないけどな、たださ・・・この槍を信じて先を見てみたいんだよ、まだ自分の何かを正しただけに過ぎないな、お前も気づいてるだろう?今は何のためにお前に立ち向かってるんだろうな』
腕を組んでリヴィは言う
『まず何がしたいか順番に聞きたいですねぇ』
俺は紫林檎を肩に乗せながら口を開く
『まずお前を倒したらルッカの手作り食って一緒に寝る!そしてグスタフと父さんをボコボコにして村で一番の男になる!ナッツに飯のマナーを教える!そこから始めたい、旅に出たらこの槍で俺はどこまでいけるのか突き進む!今度は守れる力が欲しい!お前を倒す力をつける!』
リヴィは笑っている、幸せそうだ
悪い気分じゃないがこいつは敵だ
距離は10メートル、近い
『最初にしては良いでしょう!小さき夢は育てるのですよ?最初から大きな夢は育たない・・・』
顎に手を当てて奴はまっすぐ俺を見ながら俺と話す
距離5メートル
『あなたは私に勝てると思ってます?』
奴は目と鼻の先だ
俺は言った
『勝つ勝たない関係ない、多分邪魔だ!そんなの・・・全力で行くぞ』
そして最後にリヴィが言う
『もう一度あなたの名前を聞かせてください』
『ジャムルフィン・フォースター、夢の無い新兵だ、初心は大事だぞ!とっても!!!』
『グゥッ!?』
俺がリヴィをぶん殴り吹き飛ばすとこから戦いは始まった
ルッカ『ジャンが立った!ジャンが立った!』
グスタフ『まぁ丁度羊いるし絵になるか』
ナッツ『あの羊でいいんですか!?!!?』