1話 シルバーバレット
最近知った事実
グラ〇ルにも十天がある(知らなかった)
ナッツ『』
これは帝国の一件をジャムルフィン達が奮闘している頃の事
いつものように雷帝ゼーブル・ファーはアバドンの森の最奥にある中心部の広場にて石柱を守る形で地面に寝そべっていた
周りには彼の部下であろう雷狼が20体以上ゆったりとしている
ゼファーはシルバに言われた通り彼女が目覚めた時の約束を果たす為、この石柱の奥で眠るノア王女を守っていた
そんな日常に異常事態が訪れた
ふと彼は顔を持ち上げて森の奥を目を細めて睨みつける
何かが近づいている、彼の気配感知は人族の比じゃなくアバドンに入った時点で気配を感じることが出来る
重い腰を持ち上げると周りの雷狼も何事かと彼に視線を送る
バッハがゆっくりとゼファーの前に歩き出す、それは指示を待つ態勢といったものだ
ゼファーがバッハに真剣な面持ちで指示を出した
『バッハ・・・トーヴェンにシューベルンよ!我の後ろに全ての雷狼を移動させよ』
バッハを含む3体の雷狼はひと吠えすると全ての雷狼は急ぎ足でゼファーの背後に隠れる形で移動した
何かが近づいている、だがこの気配は初めてじゃないとゼファーは悟っている
ビリビリと体を放電させ始めたゼファーを見てバッハも異常な光景だと感じてここにやってくる存在に大きな警戒をし始めた
皆も同じ面持ち、あの偉大な存在が放電するほどの存在が来ている
自らのテリトリーを守るために最悪全員でかかる事も辞さない意志をゼファーは感じると彼らに口を開いた
『下手に動くと死ぬぞ?お前らは絶対に手を出すでない』
真っすぐこちらに向かってくる気配にゼファーはその存在が現れるであろう方角に顔を向き直した
『まさか・・・勘弁してくれ』
何故か頭を垂れるゼファーにバッハは内心困惑していた
放電しているのにもかかわらず緊張感を感じられないのだ、どんな者が現れるのであろうかと考えを深くしていくとその時間は無く間もなくそれは奥から現れる
『来るぞ、お前らはもう少し下がっておれ』
ゼファーは立ち上がるとバチバチと体中放電で音を出しながら森の奥を睨みつける
そこまでくると流石のバッハやトーヴェンそしてシューベルンといった雷狼でのトップ3に悪寒が走った
だが彼らに狼狽えは体に出さない、低く重い唸り声を小さく口から吐き出す
『久しぶりですね、名は雷帝ゼーブル・ファーと聞いておりますが』
1人の黒い魔導服を来た女性が堂々と森の奥から歩いてきた
たった1人、だがゼファーはその1人に見覚えがあった
『スカーレットか、何用だ?』
いつでも全身の雷化できるように身構えている様子に近付くスカーレットは微笑んだ
何を企んでここに来た?ゼファーの頭は戦いに来たわけじゃない事はわかっている筈なのに酷く警戒していた
昔彼女に追いかけまわされた思い出がよぎる
殺そうと思えば殺せた、だが頭の可笑しい表情を浮かべて追いかけてくる彼女に不思議な恐怖を覚えて逃げざる負えなかった
ゼファーは半狂乱で襲ってきた昔のスカーレットが微妙に怖かったのだ
理屈の無い戦闘はさせるようになったゼファーだがそれでも追いかけまわされるという訳のわからない事態に困惑したのだ
『ダークマターのスカーレット、あなたを追いかけまわした時はネクロマンサーでしたが私に手を出さなかったとこに感謝します雷帝よ』
深々と頭を下げた彼女にゼファーは放電を解いた、何をしに来たか薄々気づいたのである
戦闘じゃない事は確実でありそうなれば彼女は情報の共有を求めてきたのだろうと理解した
ゼファーは一息つくとその場に座り込み毛をいまだに逆立てて威嚇し続けている部下たちに口を開いた
『いい加減落ち着けうぬら・・・我の顔を汚す気か?』
酷く警戒していたバッハたちは萎縮してしまい耳を垂らしてその場に座り込んだ
久々に怒られたと思い気持ちが沈んだのだろうがゼファーは構わずスカーレットに顔を向き直した
『我は無駄な争いは好まぬ、今は自慢できる力もない・・・貴様も次なる者達に期待を寄せているのだろう?我の様に』
ニヘラと彼は口元に笑みを浮かべて言い放った
名を轟かせようと思えば今以上に彼女は出来る存在だと知っているがそれをしないでジャムルフィン達に手を貸すという事は単純に見る側に回ったという事である
スカーレットは彼の問いに口元を隠して笑って誤魔化した、ゼファーはそれを図星と知る
部下達は唸る事はやめても姿勢を低くしてずっと彼女に意識を向けているのだが完全に警戒を解く事はまだできないのだろう
『知識を福とする存在の貴方と話したい事がありましてね・・・ためになると思うのですが、私には千剣という英雄職の情報があります』
『なんだと?』
スカーレットは良い反応だと思い静かに笑った
ゼファーも英雄職については名しか知らない千剣、マーギアやヘルトは今のゼファーにはどんな能力かもそれなりにわかっているが千剣という昔から謎が多かった名に興奮をあらわにした
『良い反応です、そのうちあなたは出会うでしょう・・・不可思議な力を持ったその者を前に至福を感じる筈です』
ゼファーは悟った、いつか出会う?・・・それは銀狼の仲間から出た筈だと予想したのだ
誰だと彼は考えた
グスタフ?在りえぬ!
こやつの娘・・?いや奴はルーンナイトになると言っていた!
ナッツ?
ゼファーは深く考えた、今までそこまで働かせなかった知能を全力で動かした
だが必ずスカーレットが世話をしている誰か、しかも自分に関連した者
娘ならば言い方を変える筈・・・ならば?
ナッツ?
『ふはっ・・』
雷帝ゼーブル・ファーは笑った
捨て置けぬ時代だと思うとたまらなく毎日が愛おしい
最強の職と出会いそして最強職の先祖と出会えるし想い人とも会える、英雄職のヘルトにも会いそして千剣という今迄誰も知らなかった存在に出会える
『お話ししましょう』
ゼファーは迷わずに答えた
『良いだろう』
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『ちとルーシーと母さんがどっちも体調崩してよぉ・・・はぁ』
俺はグスタフとナラ村の森の中を歩いていた
彼は酷く残念がっているが帝国での件で動けなかったのは身内の看病があったためにそちらに専念した様だ
仕方がない
グスタフは深い溜息を吐くと同時に森の奥からゴブリンが2体現れる
可笑しな鳴き声を出してボロボロの短剣を手に嬉しそうにこちらに襲い掛かってくるが分が悪いとわからないのだろうか、ゴブリンだしそこまでの知能は無いのかもしれない
俺は少し後ろに下がってグスタフに視線を送ると彼は一息ついて走り出した
大剣は抜かずに真っすぐ
『ギャギャ!?』
ゴブリンは臆することなく向かってくるグスタフに驚いた
臆する事なんて絶対しない熊の様なグスタフは不敵な笑みを浮かべるとウップンを晴らすかのように口を開いたのだ
『お前らでも満足できねぇぜ!!』
どうやら行けなかった事を悔いているらしい
後ろから眺めているがゴブリン2匹が素手でボコボコにされているが弱い者いじめに見える
満足できるような魔物もここらにはいない為俺たちはその後村に帰りルッカの家に向かった
俺が玄関のドアをノックすると出て来たのは何故かルルカ
元気な顔で彼女が口を開いた
『待ってたのだ!行くのだ!』
実はスカーレットさんが長い外出の為にルルカはルッカの家に3日お泊まりすることにしたのだが軽く言えばプチお泊まり会である
今は2日目だし明日には帰ると言っていた
今日はナラ村の飯屋という食堂で皆連れて飯でも食おうと俺が誘ったのだ
『ルルカちゃんが出てどうするのー!』
奥からルッカの声が聞こえる
勝手に出て来たのかよ・・・・
そうして俺にグスタフとルルカそしてルッカの4人で村の中心にある食堂に足を運ぶとやはりそこにはルッカのお友達が前回同様に働いていたので俺たちの姿を見て笑顔で対応してくれた
『いらっしゃい!今度は団体様ねぇ』
『リアナも働き慣れた感じね』
『まぁねー!んじゃ5人用の席しかないからそこに案内するね』
『ありがと』
ルッカのお友達であるリアナは直ぐ右側にある丸いテーブルに俺達を案内するとグラスに入った水を律儀に持ってきてくれた、普段はしないのだろうがサービスなのだろうなと思う
『んじゃ決まったら読んでねジャムルフィン君』
『わかった』
そう言って彼女は調理場の奥に消えていく
ルルカがニコニコしながら店のメニューを広げて料理を選んでいる
グスタフはどうやら決まった様子であり一切メニューを見ようとはしないしルッカも決まっている感じがする
多分たらこパスタだろうな・・・まっ俺もだけど
周りのお客さんを見るが村の者もいれば多分だが外から来た人もそれなりに見受けられる
何か仕事でも見つけて来たのだろうかと考えているとルルカが決まったらしく挙手して口を開いた
『たらこパスタ!』
『あらルルカちゃん同じね?私もよ?』
『3人か・・・』
なるほど・・・で?グスタフは?
皆の視線が彼に集まるとグスタフは鼻を高くして答えた
『親子丼特盛だ』
量で攻めるか、お前らしい
料理が来るまでの間は今後の話し合いを進めることになったのだがそこで皆のステータスを確認することにしたのだが意外と知らない所で成長していることに俺は驚いた
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ジャムルフィン・フォースター・セブンス(男19)武銀帝狼眼
☆戦術スキル
槍術 【8】 槍の熟練度、恩恵により素早さが大アップ
銀の意思【7】 全ての身体能力が大アップ
体術 【7】 体術熟練度、恩恵により耐久力と素早さが大アップ
基礎術 【槍】 技の威力が小アップ
十天 【七】 全ての身体能力が中アップする
銀閃眼 特殊な銀弾を使うことが出来る
☆補助スキル
千里眼 遥か遠くの景色を見ることが出来る
俊足 速度が特大アップ
予見 相手の行動を感じ取ることが出来る
威圧 【大】 恐怖無効未取得の対象を確実に恐怖状態にする
我慢 【大】 耐久力が大アップ
痛覚耐性 【大】 痛覚を大軽減
努力の極み【大】 熟練度補正により上昇率が大アップ
気配感知 【中】 それなりに生物の気配を察知
魔力感知 【中】 体内の魔力の流れを感じとることが出来る
運 【中】 少し運がいい
美食 【小】 好物に限り体力の回復を僅かにできる
☆称号スキル
賢者の加護【大】 消費する魔力・闘気を半分にし構築時間を軽減する
狼王の加護【大】 全ての身体能力が大アップ・呪い無効
生還者 【大】 素早さが大アップ
解放者 【銀】 身体能力が大アップ
武人 【槍】 槍の熟練度が上がりやすくなり、恐怖無効
十天 【七】 第7位の称号・熱気・冷気耐性
☆技スキル(開示ステータスに表示されない部分)
狼撃破・銀の爪・残歩・シルバーバスター・シルバーダンス
銀超乱・銀彗星・銀狼乱舞・銀帝次元槍
グレンツェントヒール【光】
☆特殊技(開示ステータスに表示されない部分)
通常弾・強化弾・連射弾・狙撃弾・散弾
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グスタフ・ザイツェルン(18)イビルハイド【上位】
☆戦術スキル
剣術【7】剣術熟練度、恩恵により攻撃力・耐久力が大アップ
体術【6】体術熟練度、恩恵により耐久力と素早さが中アップ
魔術【6】魔術熟練度、恩恵により魔力量を中アップし・詠唱時間を中軽減する
技強化 技の威力が小アップ
溜め短縮 技や術の発動までの溜め時間を半減させる
魔力タンク 自身の魔力量を大アップさせる
戦感 【小】 反射神経・動体視力が小アップ
☆補助スキル
根性 【大】 致命的な攻撃でも耐えることが出来る
我慢 【大】 耐久力が大アップ
威圧 【大】 相手を確実に恐怖状態にする
恐怖耐性 【大】 恐怖状態に非常になりずらい
気配感知 【大】 生物の気配を広い範囲で察知
痛覚耐性 【中】 痛覚を少し軽減する
魔力感知 【中】 体内の魔力の流れを感じとることが出来る
努力の極み【中】 鍛錬によるレベル上昇率が中アップ
観察眼 【中】 視力が中アップ
☆称号スキル
ゴブリンキラー ゴブリン族に対し攻撃力が上がる
人形キラー 眷属化した対象に対し攻撃力が上がる
グリズリーキラー グリズリー系に対し攻撃力が上がる
喧嘩師 技スキル以外の攻撃力を大アップ
☆技スキル(開示ステータスに表示されない部分)
居合・骨砕き・脳天唐竹割・パワーブレイク・
共鳴斬・真空斬
鬼無双(拳)・連拳断(拳)
ナックルバスター(拳)
シャドーボール(黒)・シャドーショット(黒)
ダークボム(黒)・ディザスターハンド(黒)
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ルルカ・ルーブルム・ハイ・ルーゼット(女16)魔法剣士【中位】
☆戦術スキル
剣術【6】 剣術熟練度、恩恵により攻撃力・耐久力が中アップ
魔術【5】 魔術熟練度、恩恵により魔力量を中アップし・詠唱時間を中軽減する
体術【5】 体術熟練度、恩恵により耐久力と素早さが中アップ
☆補助スキル
観察眼 【中】 視力が中アップ
魔力感知【中】 体内の魔力の流れを感じとることが出来る
自動回復【中】 体力・魔力が少し回復していく
痛覚耐性【中】 僅かに痛覚を軽減する
集中 【中】 術や技の構築時間を少し軽減する
気配感知【小】 生物の気配を僅かに察知
恐怖耐性【小】 恐怖状態を僅かに緩和
☆技スキル(開示ステータスに表示されない部分)
居合・流し斬り・十字斬り・唐竹割
アクアショット(水)・アクアヒール(水)・ガードアップ(水)
ファイアショット(火)ファイアバレット(火)・パワーアップ(火)
ファイアーバースト(火)・ヘルファイア(火)
シャドーボール(黒)カッター(風)
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『地獄の特訓を生き抜いたのだ~』
テーブルにペタリとふせぎこんでルルカが力無しに言う
かなり上がっているが付きっきりで特訓でもされていたのだろうとは皆直ぐに分かった
ルーンナイト条件は下記である
ルーンナイト【上位】
剣術7
魔術6
魔力感知【大】
集中【中】
それを確認するとグスタフが口を開いた
『インダストリアル迄十分間に合うだろうな、あの館の特訓じゃないと確実に半年以上かかるし』
ギリギリの戦いを人形とする特訓は1年分の死線を詰め込むことが出来る特訓である
生きるか死ぬかの戦いを前提に人形と戦う為にスキルレベルが上がりやすいのだ
人形に攻撃されても激痛を感じるだけなのだから死ぬことは無い
今回の遠出はルルカは意地でも行きたい為に死ぬ気で頑張ると豪語したのだが理由はいたって簡単だった
『グスタフも良くのだろ!私も行くのだ!』
俺とルッカは微笑むとグスタフは溜息をついてルルカに答える
『無理すんなよ?休むことも訓練だ』
『わかっているのだ!』
笑顔で答えたルルカだが帰ってから再びあの特訓が始まるのだろう
今スカーレットさんは外出中と先ほども言った様に1週間くらい家を空けている状態
一先ず料理が運ばれてくるまで俺は予定を皆に再確認した
『昨日も話したがインダストリアルには2か月後・・・どれだけ長い旅かは未定だが覚悟はしておいてくれ、次はディロア王国でのタツタカの件だがこれも国規模の大きな戦いになるから各自それまでにできるだけ今の職を理解できるように鍛錬してくれ』
インダストリアルに行く目的は皆に話してある
そこには特殊な鋼材であるインダストリアルゴールドという大変貴重なもんもあるのだ
最寄りの鍛冶屋に聞いて見ると1㎏の相場は金貨50枚とヤバイ
『そこまでは船で行くしかないがそれは一か月に一度しか出ないインダストリアル行きの船に乗ることにしよう』
インダストリアルの船が月に一度ある
その目的とは船着き場付近の鉱山での採掘であるが奥までいくことはできないとルルカが情報を持ってきてくれた、理由としては島の奥には馬鹿みたいに強い魔物しかおらず良い鉱石を取れないとの事で炭鉱夫は皆近場で作業をすると聞いた、岸部には魔物はさほど現れないがインダストリアルドールドは取れない
だが上質な鋼材が豊富なために炭鉱夫はやめられないって事らしい
『現地調達できる魔物の肉とかあれば1か月なんで楽なんだがなぁ、まぁいるだろ』
グスタフは楽に考えた
もし閻魔蠍みたいに食欲がそそらない魔物ばかりならジリ貧になる、まぁ楽に考えるしかない様だ
調べる術は無いし奥までいって戻ってきたものは少ない聞くが生存者を探すことも頭の片隅に置いておこう
どんな魔物がいるかは重要だ
食料にできるならしなければ次の1か月後の便まで生きれる気がしない
危なすぎる為今回もルッカはお留守番決定であるがなにやらついていきたそうな顔をしている
『そんな顔しても駄目だぞ?』
『ぶー』
少し彼女がすねたが可愛い、昼だが我慢しよう
料理が運ばれると俺たちは食べ始める、たらこパスタは偉大である
皆目の前にある料理に夢中で話すことを忘れてしまい口一杯に美味しい料理を含んで食べ始めた
インダストリアルだが俺は月に2回出てるように交渉する事も視野に入れている、ただの迎えの船であるがその場合時間制限で探索をしなければならなくなる
それは吉と出るかは今だとわからない
だいたい2週間後で説得すれば行けそうな気もしなくもないが・・・
『それにしてもナッツも凄いのだ~、千剣なのだ~』
料理を口に含みつつもルルカがそう話した
彼は大きく成長を遂げたに違いない、誰が見ても強くなったと言わざる負えないのだ
そう考えると俺たちの冒険者チームは大きく戦力が鰻登りになったと確信できる
『ナッツ君も今はやることがあるでしょうし落ち着けば顔を出してくれるでしょ』
ルッカの言う通り今はあいつのペースを優先したいと俺も願っていた
そんな最中でもナッツは鍛錬はしている筈だろう事は俺が一番わかっている
『そうしよう』
俺はそう告げるとグスタフも同調してくれた
『だなぁ、戦ってみてぇな』
『グスタフはいつも通りね』
ルッカが苦笑いして彼も見やる
フンと鼻を鳴らしてグスタフは親子丼をせっせと口にかきこんでいると俺たちの背後から見覚えのある声が聞こえた
『僕は大丈夫ですよ先輩?』
俺達全員がその声に驚き飯屋の入り口に視線を向けた
皆口を半開きで彼を見ているがナッツがそこに立っていたのである、ルルカが口からボロリとウインナーを落とすがそれでもナッツを見つめ続けていた
『ナッツ・・・おめぇその剣』
口に含んでいた料理を一気に押し込んだグスタフはナッツに話しかけた
俺も彼と同じ質問をしたかったんだが何故ナッツの周りには剣が4本浮遊しているのだろうか
均等なバランスで彼の背後で並んでいる剣はいったい何なんだと俺は首を傾げたがそれは千剣の特技としか説明がつかない
彼は頭を掻いて笑いながら答えた
『僕は牛丼大盛でお願いします』