19話 【魔滝戦その⑦】リヴィの欲
ジャフィン『助かるのかな?』
グスタフ『諦めるか・・・』
ナッツ『どうなるんでしょうか』
グスタフが俺を見て深く頷く、何を言いたいかわかる
だから俺は同じく
深く頷いた、そして
フスタフは左手を後ろに向け、グーパーグーパーと手を握ったり開いたりしていた
これは本当の最悪の状況でしかしないように言われた合図だ
防壁の男が狼煙をあげる
色は【紫】だ
とても濃い紫だった、意味はある
【討伐不可、村を捨てて全力で逃げろ】
大袈裟かもしれない、そうかもしれないが
用心とか念の為とかじゃない、少し手も対応が遅れると全滅すると感じたのだ
グスタフがため息を漏らす
『・・・なぁ?お前の事大嫌いだがよ』
『なんだグスタフ』
『・・・最後くらい半端なとこ無しでいこうや』
俺は意味が分からなかった、死ぬ?いや逃げれるか?逃がしてくれる?
俺たちは震えている
『グスタフ・・・俺は真剣なつもりだ』
『・・・わかってねぇだけか、くそったれ』
グスタフが大剣を構えた
俺は少し考えてしまう
何を伝えたかったのか?
どんな答えが欲しかったのか?
父さんがいっていた【責任】に近い事なのか・・・
おれが悩んでいてもあいつは歩いてくる
今ならはっきりと・・・見えてきた
腰から黒いマントだ、ふくらはぎまでのだ
足は獣の足だ、爪・・・?いや、草食動物のような足だ
銀色のアーマーを着込み・・・その上から赤いボロボロの布?を羽織っている
顔は・・・・あれは、突然の出来事で動物の名前が思い出せない
もし生き延びで普通にその動物に会えたなら俺は確実にトラウマになる
帰ってきてそういえば食ったな、ナッツがガッツいてた
そう、羊だった
黒に赤が混じった曲がりくねった角がついている
手は普通に人間の手に近い感じだ
考えているとその得体のしれない羊は森から正門まで残り半分の距離にいた
俺はナッツに言う
『ナッツ、他の連中を門の中に誘導しろ・・・静かにだ、そして村の人間を逃がせ』
『ですが・・・先輩』
『行け』
ナッツはしぶしぶといった感じで後ろの連中を誘導しているが何人か残っていた
戦うらしい、焼け石に水に思えるが
正直少し心に余裕ができた
俺とグスタフは構え、残った4人も構えた
そうすると声が聞こえた
『・・・・メェー・・・・』
可愛いなんてお世辞でも言えない声だ
太く恐ろしい声、声というか殆ど空気が混じった感じだ
そいつは俺たちの近くに来て
立ち止まった
『・・・・はぁ、ここにもいらっしゃらないのか』
俺たちの目の前で腕を組み、周りを見渡し・・・そいつは口を開いた
何だろうこの感じ、少しほっとしてしまっている
何故だ?理由は?
『・・・この国じゃないのですかねぇ』
ああそうか、わかった
こいつは俺たち、うん
眼中にないのだ、いるけどそれで?みたいな雰囲気だ
そう思ってしまい希望が見えるが軽く砕かれる
『・・こんな村にもそれなりにできる人間は少しおられるのですねぇ、いやぁ素晴らしい』
そいつは俺たちに向かってパチパチを拍手はしてきた、笑顔だ
俺たちは動けない、汗しか流れないが
グスタフは震えに抵抗しようとしていた
『・・・おや?恐怖耐性が無いんですね?震えてますよ?』
そういって奴はグスタフに近付く
『申し訳ない、まぁとりあえず自己紹介しましょうか・・・小さき【欲】の子らよ』
欲の・・・子・・・ら
奴はその場で紳士の様にお辞儀をして俺たちに言い放つ
『吾輩の名はリヴィ、昔は欲のリヴィと言われていましたが・・・100年も隠居生活してなので知ってる人もいないでしょうねぇ』
そういいながらその化け物、リヴィは腕を組んで俺たちを交互に見る
ここまでの会話で何を企んでいるか俺にはわからない
多分グスタフもさぐっているいる筈、わからな過ぎるのだ
リヴィは俺に近付く、間合いだが攻撃はしないほうがいい
そう思う
俺の両肩をトントンと叩きながら言う
『少し遊びたくて魔物でゲームしましたが楽しかったですか?』
ゲームか・・・俺は笑いたくなった
そんな感覚なのかこいつにとっては
正門が閉まる音が聞こえた、ナッツ・・・頼むぞ
その瞬間、このリヴィが恐ろしい顔で笑う
やばい、何か気に触れたか・・・?
だめか?だめなのか?
『まぁいいでしょう、もう戦いは終わりですよ?私の負けです』
そうしてリヴィは万歳して手をヒラヒラさせる
グスタフが少しため息が漏れた、俺もだよ
俺はこいつを前に思う、人間とはなんて・・・・とても
小さい生き物なのか
力がある?世界の魔物と比べて?いやいや
知識?少しあるかもしれない、生き残る為に必要だし
そう色々考えてしまうが、俺たちは広い世界を今知った
グスタフが勇気を振り絞りリヴィに話しかけた
『なぁ・・・あんた』
その会話を続けようとした瞬間リヴィが割り込む
『ああ!そうでした!貴方達の自己紹介がまだですね!』
自己紹介?するのか今・・・
そしてリヴィは口を開く
『喋らなくてもいいですよ?勝手に見ますから』
勝手に見ます?何をだ?俺とグスタフは困惑している
後ろの4人もだ
そしてリヴィは左手を前に出して言った
『・・・サーチ』
その瞬間に唐突にフォッと風が吹いたのだ、どこかで感じた風であった
思い出せない、この状況では思い出すなんて行為無理だ
だがつい最近だ
そしてリヴィは顎に手を乗せて喋りだす
『君はグスタフ君か・・・それで君は・・・・』
奴が俺を見た瞬間、目を細めた
俺は何を見られている?何をされている?
まさかステータスを見ている?確かにそんなスキルはあるが細かく見えるのか?
リヴィはその細めた目で笑った、ニヤニヤと
奴の肩が笑う、俺たちは緊張が走る
空気が変わったのだ
俺たちは勘違いをしていた、やってしまった
話なんてしなければよかったと思った
俺たちも・・・でも誰が食い止める?時間稼ぎは?村の人は
だが時間は待てない、奴が言った言葉、それは
『・・・やっぱり少し遊びましょう、なぁに心配いりません・・・』
そしてリヴィは腰につけていた片手剣を持つ、言葉は続く
『楽しくなかったら殺しますのでっ』
ニヘッと笑い奴は襲い掛かってきた
その瞬間奴は姿勢を低くして俺とグスタフの隙間を突き抜けた
見えなかった訳じゃない、目で追ってしまった
リヴィは俺たちの後ろの4人に狙いを定める
4人が構える
1人が剣で受けようとし、2人が側面からの攻撃をするように行動をしようとしていたのだが
リヴィはガードしようとした1人を剣ごと斬った、力業だ
飛び切り太い腕じゃないが胆力が凄い異常だ
俺とグスタフも動き出した、会話はない
無心で感じて行動している
斬られた仲間は助からないだろう
そしてすぐにリヴィは側面から攻撃しようとした2人の剣の攻撃をはじき返す
2人同時に振った剣だぞ?どうやってガードした?
そして俺たちもリヴィのもとに辿り着く、側面から攻撃した2人の中の1人がリヴィの回し蹴りを喰らい
正門まで吹き飛ばされる、正門に当たり・・・ドカッと大きい音がする
もう動いてない
グスタフが斬りかかる、リビィはそれを左手で掴み止める
とんでもない事を平気でする奴だ、恐ろしい
『太刀筋に不満無し、心意気も多少良し・・・ですが』
グスタフの目の前でリヴィが消えたと思ったら座っている
奴は足払いをしてグスタフを転倒させる
転倒しそうになり堪えるが、リヴィがグスタフの腹筋に向かって拳で殴る
グスタフが声にならない声で数メートル吹っ飛び苦しがる
『でも・・・場数が無さすぎて足腰が弱い、勿体ないですねぇ』
『くそっ・・た・・れが・・うぅ』
だが大剣は離さないグスタフは凄いと思った、立ち上がろうとしている
リヴィはそのままバク転をしてその先にいる残った仲間に襲い掛かった
『ひぃっ!!いやだぁぁぁぁぁぁ!』
恐怖でもう戦闘意欲はない状態だ、グスタフが子供扱いだもんな
だが逃げることはできない
リヴィは怯えたそいつの首を斬った、仲間がガードするよりも早くだ
俺は全力で連撃を放つが軽くリヴィの剣でさばかれた
止まらずに距離を取って居合突をする、これ以上ないくらい力を込めた
リヴィはこれも軽く弾く、そして口を開く
『相当鍛錬したのでしょう?良いものを持っている』
そうして奴が俺の視界から消えた
そして後ろから誰かが囁いた
『とっても、良い物を持っている』
俺の体に剣が貫通した
まるで遊んでいるようですね




