3話 帝剣4傑殲滅戦開始
戦争が始まると決まってジャムルフィン一行は急ぎそれを阻止するために動きます
戦争を仕掛ける?
どうやら帝国側はそこまで腰を入れていたようだな
ふとクズリの様子が可笑しいと皆で彼を見るとクズリは間抜けた様な顔をしていた
こいつがこんな顔するんだなと思っていると彼が囁いた
『結局俺以外腐っていたんだな、情けない』
こいつがいたから帝国は他の国と良いバランスを保っていたんだろうな
彼がいたから極力戦争を避けることが出来たんだ、無駄な戦争をクズリが回避させていた
たった1人の人間がいなくなっただけで内政がボロボロなんて俺も信じられない
彼がどれほど偉大な男だったか俺は理解した
そしてそれを息子の為に捨てた彼を再確認した
今迄見た人間で一番勇気持った偉大な男だと思ったら俺は彼を尊敬の眼差しで見てしまう
するとゾロアが牢をすり抜けてクズリの目の前に現れる
その光景に俺は驚くがそれはタツタカもクズリも同じである、一瞬黒い霧になった気がするが
『クズリよ、俺も頭に自身はあるがここはお前に庭の問題だ・・・お前の案を聞きたい』
ゾロアがクズリの目の前でそう口を開く
確かに帝国の事は彼に任せたほうが良いだろう、クズリが適任だと思う
すると期待通りに彼が口を開いた
『ここにはタツタカだけ残せ、あとはあっちでかき乱せ!そして何としてでもエステリーゼと接触しろ!今の帝国ならジャムルフィンとゾロアが暴れるだけで混乱する筈だ!有能な指揮がいればこんなことにならんからいない証拠だ!暴れるときっとあの泣き虫姫が出てくる!俺が行くまで時間を稼げ!!急げ!』
その言葉のあとにゾロアはタツタカの隣に移動した、やはり一瞬黒い霧になって牢をすり抜けている様だ
タツタカが少し表情が強張っているがまだクズリが怖いらしい
俺はタツタカの腕を握るとゾロアも握った
『それではいきますよ!最後に言葉は!?』
何を言ってるんだろうかタツタカは・・・ゾロアは無さそうだしタツタカも言う気は無いだろう
真剣な目で見つめるクズリに俺は口を開いた
『先に行って暴れてくるぞ?』
俺が最後に監獄棟で見たのはクズリがグスタフに似た獰猛な笑みで俺を見つめていた
・・・・・・・・・・・・・・・
『ふぁ!?』
『なに!?』
ナッツとミレーユの声である
どうやらタツタカはニューベイター家のリビングにテレポートで転移した
そこには丁度母に甘えるナッツの姿があったが彼は顔を赤くして直ぐにミレーユから離れると一度咳払いしていつものナッツに戻った
『先輩!話は聞いていると思いますが事態は急を要します』
急を要する様な甘え方じゃなかったぞと笑いながらツッコみたいがやめとこう
俺は直ぐにミレーユとナッツにクズリとの話を聞かせた、するとホッとしたのかミレーユがソファーに思いっきりもたれ掛かり口を開いた
『あの人が来るまでの辛抱ね、今この街にも兵士で溢れているわ・・・まさかこんな早く動くなんて思いもしなかったのよ』
流石の彼女でもまだ時間があると思っていたのだろう
だが戦争の準備に取り掛かってしまったようなのでそんな悠長な事は言ってられない、
タツタカは再びテレポートでゼリフタルに戻ると俺達は一度ミレーユさんを含めて作戦会議と始めたのだが
ここらには重要な人物はおらずに帝国都市フーバーに皆集まっている様である
クズリの言う通りにするのならば俺とゾロアはそのフーバーで少し騒ぎを起こさなければいけない
『あの人が来るまでどうか時間を稼いでください、一点ではなく各箇所で騒ぎを起こしてエステリーゼちゃんを表に出さないといけません、私達では今この状況では会ってもくれないのだけれども多分ジークの仕業だわ・・・邪魔をさせないために』
ミレーユが俺にそうお願いをしてきた
お願いされてもかき回せとクズリに言われているのでするしかないのだけれども
面会謝絶か・・・なるほどな
『暴れてればそのうちエステリーゼと言う女は表に出るのか?』
『正義感が無駄に強い女性です、何とかしようと自ら顔を出すはず・・・一体誰に似たのやら』
気になる言葉をミレーユが言うが今は良いだろう
ゾロアも不敵な笑みを浮かべて俺を見ているが彼も血の気が多いらしい、最近グスタフと同じ匂いを感じるのだ
間違いじゃないだろうな
ミレーユが口を開く
『クズリに続いて私が指示します、ジークには帝国剣4傑という4人の騎士を従えています・・・暴れるならば彼らを打ち倒した方が良いでしょう』
なんだか格好いい名前が出来てきて俺は胸が躍った、本当はそんなこと口が裂けても言えない
ミレーユが続けて話した
『変更さえなければ各街にその騎士がいます、その情報を教えましょう』
そうしてクズリの妻であるミレーユから俺たちは情報を貰った
帝国都市フーバーに聖騎士バルトニクス
騎士街バリスタには重騎士パラス
北の街ヴァイエルに竜騎士レオナルド
そしてこのバルギルにはルーンナイトのリプリー
この帝国の剣の象徴である4人を倒せばかなりの大打撃になるとミレーユが豪語した
実際戦力的にも彼らは帝国内でも屈指の実力者でありジークの次に力を持っているのと彼女が話すが俺にとってそんなのどうでもいい
楽しめるかどうかだ
そのうちフスタフも来るが彼に4傑の1人でも相手するのは多分厳しいだろう
呼ぶのを忘れていた・・・・俺は帰ったらボコられる可能性が高い・・・覚悟するか
『母さん、僕の先輩なら大丈夫です』
『十天とか連れてくるなんて流石よルッツ、あの人の意志をついてるわね』
ナッツの頭を撫でるミレーユだが褒めるとこだったのだろうか、まぁ久しぶりに会って息子の成長を褒め足りないのだろうと俺もなんか察することが出来る
『ナッツ、今回は親の傍で護衛しろ!そのうちクズリが来る!あいつがきたら対応を頼むぞ!』
『わかりました先輩!』
ナッツが気持ちよく敬礼をしているが俺も真似をしてみた
するとゾロアが俺に視線を向けて作戦を伝えてくれた
『二手だ、俺は今日この街の騎士を倒す、銀狼は明日にはバリスタの騎士を瞬殺してこい!明日俺はヴァイエルの騎士を倒すからお前は撃墜後そのまま帝国都市フーバーに迎え』
時間差攻撃ですか・・・了解だ
俺はゾロアに強く頷くとゾロアは微笑んで俺に手を差し伸べてきた
『最強職と言われた貴様と初めての共同作業だな足は引っ張らん、頼む』
俺はお前がいて心強いと思うがな、俺は彼の手を握ると答えた
『よろしくなゾロア』
そうして俺とゾロアは立ち上がる
槍を強く握ると俺は外に出ようと玄関に向かった
『十天様』
ふと声を賭けられて振り返る
そこには両手を握っているミレーユの姿が見えた、彼女もこの結末がどうなるか気になるのだろう
国だけじゃ止められない事に対して何か思う事はあるのだろう
『どうかお願いします、父の愛した国に戻す手助けを』
深く頭を下げるミレーユに俺は言いたいことを言う事にした
『大事な後輩とクズリのためだ』
俺は玄関を抜けると直ぐに東に向かって銀彗星で吹っ飛ばした
急げば2時間で到着だろうがそれくらい俺の移動速度はずば抜けて速い
建物の屋根を優雅に飛びながらひたすら東に向かった
ゾロア・・・頼むぞ
ルルカ『これから帝国の剣と言われる4人を倒しに行くのだ!』