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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第8章 ナッツ
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15話 悩むだけ無駄

ルッカ『真実を知ったナッツ君はそれの為にしなければならない事があり動き出すわ』

次の日ナッツは起きてからやろうと決めていたことがある

まぁ当たり前だが名前を本当の名に変える為に教会に行って手続きをしようと決めていた

ポートレアだと去年のゼリフタル武人祭が行われたポートレア総合闘技場の近くに総合教会と言った全ての神が立ち寄る所として建てられた所があるがそこにいこうと決めていた


『朝ですか』


薄く開けた目をこすって天井を見上げる

カーテンの向こうから朝日と思われる光が隙間からこぼれている

上体を起こすとそう言えばパンツしか履いていない事に気付く、そしてすぐ隣でベティーナがパンツだけで寝ていることに気付く


直ぐに布団を彼女にかけ直してから起こすことにした

肩を叩いて名前を呼ぶと小さく呻きながら目を開けた彼女は少し顔を赤くして再び布団の中に消えていった

今迄弄ってきた分昨夜の夜はお返ししたつもりであったが上手く言ったようだ


『おはようベティー』


彼女の事を愛称で呼ぶことにした彼は少し違和感を感じつつもそう呼んでみた

布団の中でモゾモゾとして手だけをだしてブイサインしているがナッツはどういった意味かは理解していない


『おはようナッツ』


彼もそのナッツと言う名を愛称として使う事にした

今迄良くしてくれていた人は決して言い方を変えないだろうと思っていた

ジャムルフィンやグスタフや他の人達はきっとどうなったとしても彼をナッツと呼ぶ


それでいい、彼は納得する


『起きましょうベティー、お仕事じゃないですか』


ナッツがそう話すと勢い良く布団をめくって起き上がる彼女だが胸が見えている

彼は気を使って顔ごと逸らす、ベティーナが気づいて胸元を隠しつつも起き上がり着替え始めた

ナッツは欠伸をしてベットから起き上がるといつも通りの鎧を装着し始める、鎧と言っても軽装備だが彼らしい服装なのだ


『今日はどうするの?』


着替え終わりにふとベティーナにそう質問されたので彼は彼女に顔を向けて答えた


『教会に行ってきます』


『なるほどね』


『今日で僕の訓練は終わりですがまた来ますね』


『待ってるわ』


そういうと彼女はナッツの頬に軽くキスをして走って部屋を出て言った

無理になったんだろうなと悟ったナッツは恥ずかしい気持ちになりながらも笑ってしまう

ベティーナは寝間着だったので部屋に戻ってメイド姿着替え直さないといけないだろう


ナッツはそのまま朝食に向かう、食堂の扉を開くとルルカがスカーレットと並んで座っていた

何やらルルカがニヤニヤしていてナッツはただならぬ嫌な予感がしていた


『お・・おはようございますスカーレットさん・・にルルカさん』


ナッツが作り笑いをしつつも頭を掻いてテーブル席に座ると奥のドアから料理が運び込まれてきた

スクランブルエッグが好きなナッツはその料理を確認すると嬉しくなった

彼はそういった単純な事で幸せを感じれる男であるから悩みは少ない


『大人の階段』


ボソッとスカーレットさんの声が聞こえてナッツは視線を彼女に移したが肝心のスカーレットさんは斜め上方向を見てニコニコしている

茶化していると気づいたナッツはいつバレたのだろうと考えるがここは彼女の館

何をしても筒抜けなんだろうなと諦めた


『ナッツ!よくやったのだ!次は私の番だな!』


『それ意味よくわかりませんねぇルルカさん!?』


次は私と抜かすルルカに彼はグスタフの心配を何故かした

この状況だからこそわかるがルルカは熊の事が好きなんだなと外から見てもバレバレである

一緒に旅をしていると必ず2人は特訓をしているし仲が良い


戦いでもいい感じでフォローし合っているのだ

ぴったりなコンビだとナッツでもわかっている


『いいからルルカも食べなさい』


『わかったのだお母さま』


そうしてやっと運び込まれた料理を食べ始める、まだスカーレットさんが笑いを堪えているのがわかる

彼女には初々しいと思われているのだろうがその通りだ

2人のそういった関係の出来上がりを見てスカーレットは興奮していた


彼女も女性である、そういった話は大好きである

邪魔もしたくないので見守ることにしたがいかんせん茶化してしまうのだろう


奥のドアからベティーナが水の入ったグラスをナッツに持ってきてくれた

だが彼女の顔は少し赤い、口に力を入れている様な感じだ


『どうぞ』


『あ・うん』


空気を読んで特に触れ合いをしなかったナッツだがそれにスカーレットが溜息をついていた

何かやらかしたかとナッツは洞察を試みようとしたがそれよりも先にスカーレットが口を開いた


『ナッツ君?そこで終わらせては男がすたりますよ?今日は一段と綺麗だよとかやっぱり君は可愛いねとか色々あるんですよ?』


その言葉にナッツとベティーナは少し固まり2人は同じことを考えていた

この人はまだ乙女な心を持っている、そこらへんにいる女子と変わらない

恋バナ大好きなんだ・・・と


ナッツがぎこちなくベティーナを見ると彼女は目を開いて何をする気だと言わんばかりに彼を見ている


『ベティー、今日はあれですね』


『そうね、あれね』


ルルカが笑っているのが見える、何故かスカーレットさんも満足そうに頷いているがいいのか?と疑問になる2人だがこの場を凌いだという事で良しとした

ベティーナがほかのメイドや執事達と食堂の壁際に並ぶ、ナッツはスカーレットさんと話をした


『何故直接僕と戦ってくれたんです』


彼は彼女に対して一番の疑問だ

それを即座にスカーレットは答えた


『絶体絶命の状況でも冷静に動けるかどうかですね、あなたにはその責務を負う必要がある』


『僕が?』


『貴方の御仲間であるジャムルフィンそしてグスタフはバリバリの戦闘です、あなたもそうなる道になったらしいですがそれでも貴方が冒険者チームであるシルバーバレットの知能として動かなければなりません』


『僕にしかできないことだと思っての行動だったんですね』


『そうです、あの2人は脳筋ですよ・・・そのかわり強い、だがそれを上手く発揮させるのは依然としてあなたの仕事です』


納得する他あるまいとナッツもその言葉に頷いた

今まで通りで行くべきだと言うアドバイスに近いだろう

ナッツも開花はしたがまだ千剣の力を扱う十分には発揮できないだろう

出来たとしても今まで通りの役目をする必要がある


『わかりました、全力でサポートに回りたいと思います』


『時には彼らと並んで三位一体といった戦いをしても良いでしょう、その力をナッツ君は手に入れた』


『・・・はい』


やれることが増えたナッツは主軸をサポートに固めて状況によっては作戦を変えようと心に誓った

彼以外にサポートはルルカぐらいしかできないだろう、味方を知っててできる行為だ


『私も頑張るぞナッツ!』


『わかってますよルルカさん』


そうしてスカーレットさんに昨夜の話を聞かせた

何故か俺がもう千剣の職に入っている事はバレていたのは不思議だがそれはあまり考えないことにした、流石のスカーレットさんでもナッツの実の父がクズリ・ニューベイターだと知ると驚いている

食堂で待機している少数のメイド達や執事も目を見開いている


『あのクズリですか、私がまだダークマターになる前に一度戦った事がありますが』


『あるんですか!?』


『ええ』


意外な話を聞いた


『上位職じゃ絶対倒せませんね、当時は私も流石に逃げました・・・笑いたくなるくらい強かったですよ?まぁ今は勝てますが苦労はしそうです・・』


娘の前だからと胸を張って言い切るスカーレット、ルルカもそんな母にたいそう喜んでいる

流石に今のスカーレットさんだと相手が悪いとナッツも思った

スカーレットさんもクズリが天位職デーモンだという事は熟知しているようである

術の同時発動そして反射神経と動体視力を爆発的に高める職であるらしい


『予見持ちじゃないとまず分が悪い』


スカーレットさんの言葉で彼女が予見持ちであることがわかった

どうやら相当レアなスキルなんだろうなとナッツは察した


『今度戦ってみたいですねぇ』


『先ほども言った通り監獄棟にいるので無理かと』


『それはどうかしら』


意味深なセリフを彼女が言うが何をやらかす気だろうとナッツは不安になる

そうして朝食も終わり挨拶を済ませると館の出口までメイド姿のベティーナが送ってくれた

一緒に歩いてるとやけに恥ずかしいがそれは彼女も同じであった、初々しいの一言に尽きる


『ちゃんとあの問題児2人を支えるのよ?』


『頑張りますね』


そうしてナッツは総合教会に足を運んだ

建物の外装も建物内も普通の教会と至って変わらない、受け付けで変更を伝えると金貨3枚とられたがそれで父の名に戻ると考えれば痛手ではなかった


1時間ほど待合室で待ってからシスターに呼ばれてクラスチェンジする水晶部屋で名前の書き換えをしたのだが意外と簡単だった

受付で変更する名前を記入しただけなのだがそれをシスターが水晶部屋で水晶の力を借りて修正するだけだったのだ


・・・・・・・・・


ルッツ・ニューベイター(男17歳)千剣兵【上位】


☆戦術スキル

剣術【6】 剣の熟練度、恩恵により攻撃力と耐久力が中アップ

体術【5】 体術熟練度、恩恵により耐久力と素早さが中アップ

魔術【3】 魔術熟練度、恩恵により魔力量を小アップし・詠唱時間を小短縮

操剣【1】 千剣兵技練度、恩恵により技の威力と精密さが小アップ

技強化   技の威力が小アップ


☆補助スキル

食い意地【大】 食事による体力の回復速度が大アップ

安眠  【大】 どんな状態でも寝ることが出来る

痛覚耐性【大】 痛覚を軽減する

逃げ足 【中】 対象から離れる際の速度が中アップ

恐怖耐性【中】 恐怖状態を少し緩和

我慢  【中】 少し耐久力があがる

集中  【中】 術や技の構築時間を少し短縮する

体力  【中】 少し疲労しにくくなり自身の体力を中アップ

魔力感知【中】 体内の魔力の流れを感じとることが出来る

気配感知【中】 少し生物の気配を察知

忍耐  【中】 少し物理耐性が上がる


☆技スキル(開示ステータスに表示されない部分)

居合・骨砕き・・流し斬り・トリックソード・十字斬り・唐竹割

神速一閃


☆千剣技(開示ステータスに表示されない部分)

ハントハーベン・メッサーシーセン

ヴュンデル・シルト・プファイル

ガンマレイ


☆称号スキル

千剣兵の加護 剣術の熟練度が上がりやすくなり特殊な技を覚えることが出来る

       攻撃力と耐久力が大アップしダメージ自動回復【小】


・・・・・・・・・・


教会の外で自身のステータスを見て喜んだ

その名前を何度も眺めてにやにやしてしまうがしょうがない

彼はそのまま魔物相手にどこまでできるのかも知っておこうかとポートレアのギルトにいこうとしたがそれよりも先にすることがあり中止した


アビーさんの実家でありナッツが今迄住んでいたジェミニの家に向かう事にしたのだ

永くお世話になったアビーさんの両親に挨拶をしなければいけないと思い彼は馬車に乗ってジェミニに向かったのだ


夕方頃には到着して彼は急いで家まで走った

家は街の中心部にあるので意外と立地条件は良い所である

ナッツは今まで住んでいた家を一呼吸してからドアを開けた


『ただいま戻りました』


そう口にして玄関から廊下を抜けてリビングに向かうと2人の老夫婦がソファーで寛いでいた

ナッツの顔を見ると2人は笑顔で迎えた


『おかえりナッツ君、今日はどうしたんだい?』


アゼル・ランドル

アビーさんのお父さんである


『少し男らしくなったねぇナッツ君』


ミシェル・ランドル

アビーさんの母である



『大事な話があるのですがよろしいでしょうか』


彼の言葉を聞くとアゼルさんは不思議そうに首を傾げる

だがミシェルさんはハッとした面持ちを見せた瞬間微笑みながら口を開いてくれた


『座りなさいナッツ君』


『はいミシェルさん』


そうしてソファーの前の椅子に座るナッツ

養子として迎えられたが養子という訳じゃない、彼が本当の親が見つかるまでアビーさんの親がここにいればいいとナッツを迎え入れたのだ、名前も彼の為に一時的なものだといってランドルの名を貰っていた


ナッツは気に入られていた、だがそんな彼の助けになりたいとアビーの親が名乗りをあげたのだ

そうしてそれまで彼はここで暮らしていたのである


ナッツは真剣な面持ちで2人をみる、依然としてアゼルさんは何事かわからず首を傾げるがミシェルさんが洞察が早いのだろう、悟ったと言わんばかりの言葉をナッツに送った


『おめでとうナッツ君』


僅かに涙を浮かべながらミシェルがそう告げた、まだ何も話していないのに理解をするとはとナッツは女性というのは時には恐ろしいなと感じて苦笑いした、状況を理解していないアゼルさんの為にナッツは話した


『僕の本当の名前がわかりました、そして僕の父に会えました』


心臓発作でも起きるくらいの勢いでアゼルは驚き出すが妻のミシェルに落ち着かせられてからナッツはランドル夫婦に説明をした

人にこれを何度も説明するのは大変だけどもナッツは苦とも思わななった

本当の自分を知ってもらえる話なのだから、話し終えるとアゼルさんはにこやかにナッツに口を開いた


『我らの役目も終わるな』


『時間を作って顔を見せに来ます、とりあえず僕は冒険者として動こうと思います』


彼はこの家を出ると決めた、冒険者として当分生きてお金を溜めようと決意したのだ

その人生に2人は止める事は出来ない、送り出さなければいけないとわかっていた


『親っていいものでしょ?ナッツ君』


ミシェルが彼に微笑みながら話しかけた

当然彼が答える言葉は一つしかなかった


『はい!今日最後ここで過ごしたいと思います』


するとアゼルが笑顔で答えた


『そうしてくれナッツ君、君を祝おうじゃないか』


挨拶だけして去る気は彼には無かった

今日と言う日まで家を提供してくれそして一時的ではあるが名前を貸してくれたこの夫婦と今日は最後の夜を過ごした


そうして彼は1人で始めることを次の日から始めた

ランドル夫婦に別れを告げてから彼は先ずは宿を探したがそんな難しくなかった

ロザリーという去年に泊まったことがある宿屋に泊まることにしたのだ

1泊銀貨5枚とお手頃でありナッツの財布にも優しい、だがこの時彼は宿を素通りして冒険者ギルドに向かう事にした


1人で頑張ることに決めた彼だが彼にはまだすべきことがある

母親に会いに行かなければならない

だがベルテット帝国となると遥か北の国になるので片道一週間はくだらないだろう

実行するにしても大変であることは必須、そのまえに自分の力がどの程度なのか知る必要があった

ギルドにつくと彼は依頼掲示板を眺めた、彼の冒険者ランクはCの為にそこまで良い依頼はないがランクがBだからとそれの依頼をするつもりもない、彼は無理を決してしない


『ん~グランドパンサー3頭ですか・・・丁度いいですね』


そうして彼はその依頼を受付で登録して近くの森に出かけた

殆ど1人で森に出かけるといった行為をしない彼だが今回は大丈夫な様な気がして1人で来てしまう

理屈じゃない自信をもっていたのだがそれは彼らしくもないと思える


『やっぱり先輩とか呼んだ方よかったですかねぇ』


そう囁くも森の中に入る

魔物がいるとは思えない豊かな森なのだが見た目に騙されてはいけない


『ん』


ナッツはとある方向を見つめながら腰から剣を抜いた

軽く首を回すと茂みの奥からグランドパンサーが1頭出て来たのだ


『グルル』


少し大きめであったため少し驚いたナッツだがそれも一瞬であった

ナッツは直ぐに地面を力強く蹴ると加速技をせずにグランドパンサーに襲い掛かった

だが流石の魔物も獣でありナッツの突発的ともいえる行動を瞬時に反応してグランドパンサーも襲い掛かるがそれはナッツの思うツボである


『プファイル』


ナッツの背中辺りから一瞬で紫色の矢が5発出現しそれはグランドパンサーを撃ち抜いた

本当に矢のように細いのだが貫通力は矢とは比べ物にならないくらいであった


『ギャン!』


5本の矢を全てグランドパンサーの体を貫通すると走りを止めてその場に崩れ去っていく

だがナッツは走り続けていたためにそのまま剣を振って首を飛ばした

完全に死んだことを確認すると彼は爪と牙をを剥ぎ取って袋に入れて再び歩き出した


『なんか術が使えるようになった気分です』


そう言いながら剣を指先で操作しながら残り2頭を探す

ナッツは正面で剣を浮かせて進む事数分で2体目のグランドパンサーに出会った

先ほどの獲物と違い小柄だが凶暴性はそれ以上らしい

ナッツを見た瞬間に飛び込んできた


『ハンドハーベン』


浮かせた剣を魔物に剣先を向けて撃ち出した

その攻撃をみてグランドパンサーはスレスレで避けるが直ぐに屈折して方向を変えて横っ腹を貫いた

力が出ずに血を流して倒れているグランドパンサーにナッツが近づく

剣を手に戻してトドメに心臓を一刺しして終わらせた


剥ぎ取りが終わると残り1頭を探して歩く

剣を器用に操るがはたからみれば魔術師のようにも見えるかもしれない

ナッツの正面で剣が浮いているのだからしょうがない、そんな技が使える職はあるにはあるが戦闘職じゃないのである


残り1頭は探すまで時間がかかったが千剣技無しで普通に倒した

前よりも全体的に能力が上がった為に出会って即一撃で終わらせることが出来た


『前より遥かに戦いやすいですね』


そうして今日の依頼を達成して森を出ようとした際に一際近くに何かの気配感じた

ナッツは何の気配かはわからないが魔物だという事だけはわかる


その方向に姿勢を低くして近付くと茂みの奥にゴブリン3体、ハイゴブリン1体にゴブリンキングがいた


多勢に無勢かと思われるがナッツは考えがあるらしく隠れながら自身の剣をゴブリンキングに向けた、そして口元に笑みを浮かべると口を開いた


『ヴュンデル』


ナッツの剣から紫色の光線がゴブリンキングの頭部を撃ち抜いた

そうはいっても首をぶっ飛ばしたわけではなく物理的な攻撃のため

ゴブリンキングは後方に倒れて脳震盪を起こしていた


『ギャギャ?!』


『ゴフ!?』


ハイゴブリンもゴブリンもナッツに視線を向けて襲いかかってきた、ナッツは直ぐに走り出すと先頭のハイゴブリンの攻撃に備えた


振り下ろしてきた棍棒を斜めに受け流してから体を回転させて剣を振り首を切り飛ばす、受け流しは彼の得意技である


そしてゴブリン程度は敵じゃない

彼らの持つ小さい短剣を弾きながらひと刺ししながらトドメを刺すと直ぐにナッツはゴブリンキングに視線を向けた


『そろそろだと思ってました』


なんとか立ち上がろうと震える体に力を入れて上体を起こしたゴブリンキング

それをナッツは指を指して口を開く


『メッサーシーセン』


ナッツの正面から紫色の短剣が3本現れるとそれはゴブリンキングに真っ直ぐ飛んでいった

胴体に刺さると再び倒れ、その隙にナッツはジャンプしてゴブリンキングの首に剣を突き刺した

大量の血を流して痙攣を起こしたゴブリンキングだが直ぐに動かなくなり息絶える


意外とやれるもんだなと感心しつつ彼らの剥ぎ取りも済ませて大人しくポートレアのギルドにかえることにした


『報酬は追加込みで金貨8枚です!』


受付嬢がギルドで元気よくそう口にした

チームでやれば山分けになるが1人となると総取りである

どうやらゴブリンキングが一番値がよくて金貨4枚の価値があったらしい、だが時価に近いためゴブリンキングはランクBでも価格は低い部類である


『ありがとうございます』


お金を受け取ったナッツはテーブルに座った

フライドポテトを食べながら報酬を財布袋に入れてゆったりし始める

次にすることはとりあえず宿だ、ロザリーにしようと決めていたので時間になったらいこうと思っていた

彼は悩んでいた、母親に会うためにどうやって帝国に向かおうかと


馬車の乗り継ぎで黒馬に乗って1週間以上、普通の馬だと予想がつかない

テーブルに座り悩みに悩んでいると後ろから肩を叩かれた

誰だろうかと振り返るとそこにはなんとジャムルフィン


そしてタツタカとゾロアが立っていた

何で?といった考えが頭を駆け巡る最中、ジャムルフィンはニヤニヤしながらナッツにこう告げたのだ




『最速便ベルテット帝国に1泊2日の旅はいかがかなナッツ』


次にタツタカが鼻を高くして胸を張った

その光景にナッツは乾いた様な笑いが込み上げた

この時ナッツが確信を持ったのだ、ジャムルフィンはクズリとナッツの関係を知り監獄棟に連れていった事を




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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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