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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第7章 轟く名の者達
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9話 実感できぬ強さ

ルッカ『村に来る魔滝が想定より早く来ると感じたジャンは村の外で退治することに決めたのよ?』

巨大な銀の球体が魔物の群れの中心部分に堕とされた

魔物たちは真上を見上げるがその時にはもう目の前まで天銀が迫っている

地面に直撃した瞬間、世界の終わりを告げるかのように巨大な大爆発が起きた

あまりの威力にソニックブームが発生して超高速で石などの物質が飛んでくる

俺はそれを予見で軽くかわして風圧を耐えている


たまに魔物が飛んでくるが無事じゃないだろう

大きなキノコ雲が空に舞い上がる、デカすぎる・・・村は大丈夫だろうか


前方から砂煙が俺を包み込む、石はまだ飛んでくる・・・それ以外もだ

目を閉じて俺は身を軽く動かしてそれを避けたが予見のお陰だろう


槍を肩に担いで砂煙が収まり視界が晴れるのをただただ待った


時間にして3分ほどか砂煙が晴れるとそのまま前に歩き出した

少し気配を感じるが小さい、運よく生き残ったのだろうか


『それにしても本当に凄い技だな、よく早めで覚えれたのだが』


歩いていると辺りに肉塊と化した魔物の亡骸が転がっている

たまにピクピクして頑張って生きようとしている魔物もいるが無視して進んだ

確かに凄い技だがこれが最強の技とは思わない


テュクテュカ遺跡で見た鬼哭という文字

そしてシルバの記憶の中でヘルトのビビが泣きながら叫んだ言葉


『鬼哭だけは嫌だぁぁぁぁぁぁ!!!』


発狂しながら叫んだその言葉に俺は考える

魔天狼の特殊な技でありそれほどまでに敵を畏怖させるのだ

なればその実態がわかるだろう


奥に行くと生きている魔物も見当たらないが爆発地点の中心に着くと地面が大きく抉れて穴が開いている

隕石が衝突したかのような穴である


『ふむ』


それしか言葉が出ない、どう表現していいかわからないのだ

爆発地点奥まで進むと普通に生きている魔物はいない、そういえば周りに見える森の木々も軽く薙ぎ倒されている


すると奥の方からまだ少し元気な気配を感じて走り出すと最後尾にいた一際大きな気を持ったあの魔物であると知った


『グルォォォォ』


疲れ果てている、とても大きな熊であるが名前は何だろうか

今まで見た熊よりも大きい


ヨロヨロとこちらに歩み寄る巨大な熊だな

殆ど戦える力はない様子である、俺は無言のまま頭部に銀閃眼の通常弾を放つと貫通したらしく前のめりに倒れて言った、終わったな

その後周りを見た見たが生きている魔物に槍でとどめを刺して俺は戻ることにしたのだが途中グスタフ達に出会った


グスタフは満足そうな顔をしているがナッツとルルカは疲れ果てていた

開口一番ナッツが俺に口を開いた


『僕達を殺す気ですか先輩!?』


『殺人的な行為なのだ!』


ルルカが怒っているがナッツに事情を聞いた

此方に向かっている最中空に天銀を確認したのだがあまりにも大きくてこちらにも被害が出ると思いグスタフに穴を掘る様に指示したのだが穴に入ったと同時にありえない爆発が起きて爆風と大量の物質が飛んできたらしいのだ、突っ立っていたら危なかったらしいがそのあと吹き飛んできた魔物がいたので3人で倒して回ったらしい


『100体くらいいたぜ?いやぁいい運動だった』


腕を回しご機嫌よくグスタフが言うがそれが理由か

それなりに戦えたらしいな、怒られなくてよかった

大半はグスタフが暴れて倒したらしい


軽くナッツとルルカに謝るがルルカは頬をまだ膨らませている

俺はグスタフに視線を送って話した


『ルルカを鎮めてくれグスタフ』


『俺かよ?』


納得のいかない顔であるが渋々ルルカの頭を撫でると直ぐに機嫌を戻した

簡単である、悪い事じゃない

ナッツがその様子を見た後周りを見渡してから俺に近付いてきた

小さく頷くと彼は口を開いた


『帰りましょうか』


『ああ、そうしよう』


4人で仲良く来た道を歩いて帰った

帰りにも魔物が出ないか期待を膨らませるグスタフ

その期待も次第に不貞腐れた顔つきとなる、村が見えたのだ


グスタフの横で隠れてナッツが笑っている

もっと戦いたかったのだろうな

村の入り口には父さんやルッカ、他の村人達もいたのだが凄い苦笑いしている


ナッツが走り出して俺の父さんに何かを話している

もしかしてやり過ぎたのだろうかと言う不安に陥るがルッカが俺の頭を撫でながら口を開いた


『お疲れ様、く・・ふふふ』


いきなり背中を向けて笑っている

そんな面白い事しただろうか、落ち着いたルッカは再びこちらを向くと話しかけてきた


『どうやら500以上だったようね、こっからでもバッチシみえたわよ?天銀』


『3千いたよ』


『その数があの一発で終わるんだものねぇ・・・空全体が銀色になるくらいだしポートレアからでも高い場所なら見えるわよあれ』


『そんなか・・・』


『当たり前でしょ、ルーカストアの街にもね』


やれやれ、派手にいったが不味いか・・いやいいだろう

俺はルッカの手を握ると彼女は少し顔が赤くなっていた

少しムラっと来たところで父さんが俺の後ろから肩を叩いて口を開いた


『まさか大津波レベルだとはな』


『父さん』


少し顔を向けてそう口にすると父さんは続けて話しかけてきた


『今日は休め、まだ夕方じゃないがあとはこっちで色々調査する』


父さんは魔物が粛清されたか確認しにレイさんと向かうそうだ

俺は仲間たちと街中を歩いているとナッツが話してきた


『先輩だけでいけたじゃないっすか』


細い目をして見てきた

まぁそうかもしれないがナッツが来ないとこんな作戦も出せなかった

無駄ではないと思うがそののち暇すぎて俺達は特訓をすることになりルッカの隣の広場で行う事にした


ルルカとグスタフが楽しそうに剣で打ち合っている

俺はナッツと体術の訓練がでたやり合っていた、彼にも体術は必要である

隅でルッカもその様子を見ながら本を読んでいる、薬剤師の本だろうか


ナッツと拳の打ち合いはそれなりに加減が必要である、彼は不慣れだ

剣と体術は一心同体といっても過言ではない、隙をつくるためには絶対に必要なスキルだ


突っ込んでくるナッツだが拳が飛んできた瞬間にそのまま掴んで投げ飛ばした


『ゴホッ!?』


地面に背中を打ち付けられて悶えている

少し呼吸ができないようだ、その様子を近付いてしゃがむと一生懸命に話しかけてきた


『それでもっ加減なんですっかー!?』


必死に呼吸しながら話しかけてきた

ナッツのステータスもそれなりに高くなってきてるのだが


・・・・・・・・・・


ナッツ・ランドル(男17歳)流剣士【中位】


☆戦術スキル

剣術【5】  剣の熟練度、恩恵により攻撃力と耐久力が中アップ

体術【5】  体術熟練度、恩恵により耐久力と素早さが中アップ


☆補助スキル

食い意地【大】 食事による体力の回復速度が大アップ

安眠  【大】 どんな状態でも寝ることが出来る

痛覚耐性【大】 痛覚を軽減する

逃げ足 【中】 対象から離れる際の速度が中アップ

恐怖耐性【中】 恐怖状態を少し緩和

我慢  【中】 少し耐久力があがる

集中  【小】 術や技の構築時間を僅かに軽減する


☆技スキル(開示ステータスに表示されない部分)

居合・骨砕き・・流し斬り・トリックソード・十字斬り・唐竹割

神速一閃


・・・・・・・・・・


うん全然大丈夫だと思うステータスだが多分俺が相手なのが悪い


『十天に稽古される気持ちわかります?先輩』


虚ろな目で訴えかけるナッツだがこれが加減である

手を出して彼を起こすと首を回しはじめた

グスタフは上手くルルカと打ち合ってるが2人共楽しそうである


『3000を葬っても余力ありまくりですね』


両手を横に広げてナッツがそう言うがその通りだな

狼気もまだ半分以上残っているし長期戦も可能だろう

実際1万が来ようともいける気がする


『この職の扱いさえ覚えれば楽だろうな』


『でしょうね、本人に自覚があまりないということですか』


『だな』


その場に座るナッツに俺も座った

今日はもういいだろう、ナッツと共にグスタフたちの特訓を見て会話した


『帝国の動きが怪しいって話も馬車で聞きましたが問題はないでしょう』


ふとナッツがそう呟いた

一応ナラ村に向かう馬車内で説明をしたのだが気難しく彼は考えなかった


『そうなんですね』


その言葉だけだった

それは俺の力が帝国の力を上回るという事を感じて悩む事すらしなかったのだろうな


『お前はそう思うか?』


俺の言葉にナッツは静かに頷くと口を開く


『帝国の最強は勿論シュウザーに負けた十天でしょう、なら先輩の方が遥かに上です』


ナッツはパタンと寝そべり空を見上げた

そのまま言葉を続けた


『もし戦争になった瞬間は先輩が先陣切って突っ込むだけで良いです・・・それだけかと思うかもしれませんがそれだけでいいんです、帝国は先輩がどのくらい強いかはわかっていない筈です』


名前はあちらに知られているかもしれないがその力を知ることは出来ないのだろうと言う

だが武人祭で帝国側の人間が観戦していた場合、俺の力の一部は見られているとナッツは予想している

必ずああいったイベントには視察に他国からも入る筈らしいな


『帝国側は欲の塊ですからね』


『やっぱそうか』


『ですよ』


そうらしいな

座って本を見ていたルッカを本を閉じて立ち上がった

そのままこちらに近付くと俺達に言ってきた


『もういいんじゃない?十分特訓したでしょ?』


かれこれ1時間頑張ったしいいな

グスタフ達に声をかけると俺たちは新しくできた温泉に向かう事にした

ルルカとルッカは長風呂である、女はよくそんな入れるなと思いつつも湯船につかっている

丁度他の客もいなくて広く使える寛いでいるとグスタフが口を開いた


『まぁ魔滝は殆どジャフィンにとられたかそれなりに残ってたから楽しかったぜ』


腕を組んで満足そうにそう言う彼にナッツは直ぐに返事をした


『穴掘り助かりましたよグスタフさん』


グスタフが掘ったんだもんな、じゃなきゃミンチだし

俺の天銀のせいで道の使えないくらいの大きなクレーターと化している

他愛のない話をしていると女湯の露天側から声が聞こえた


『先に上がってていいわよー私たちはゆっくりするから』


『わかったー』


ルッカの声に返事をすると一同揃って風呂を出ると着替えて居間のような場所で椅子に座りリラックスした、1時間後女性陣が出て来たが本当に長い

明日はナッツもルルカも帰るらしいから俺は彼らと共に一度ポートレアに向かう事にした

グスタフは暇だからと森で魔物退治に出かける予定だと


俺はナッツを連れて夜食を食べると父さんにも魔滝に詳細をギルドに報告しないといけないらしくそれを俺に頼んだ、ポートレアのギルドでもいいそうだし丁度いい

どうやら本当に魔物は全滅していたと確認できたのだ





明日はナッツとルルカを馬車で連れてのんびりポートレアに向かうとしよう

朝に出発すれば昼過ぎにつくからな




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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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