51話 ティクティカ体験
客人として来ていたジャムルフィン一行は暇になり寛いでいるとシャオから提案をされる
それにグスタフは乗ってしまい、とある場所に向かう事に
※今更言うのか的な事
各セリフ
敬語がナッツ
違ぇ・つぅわけだ等小さい文字が入るのが熊
なのだ!系女子のルルカ
3人はそれでわかりやすくしているつもりの筈
シュウザーとの闘いが終わって一週間が過ぎた
各族長は急ピッチで国の再建に走り回っているせいで俺たちは変に蚊帳の外になってしまっている、少し顔を出してくれたガーランドとバルトが俺達にこう言っていたことを思い出す
『恩人なのにやることが多くてこれでは・・・すまない』
ガーランドが申し訳なさそうにそう言っていたのだ
『こんなにシュウザーが外交を進めていたとは、多忙過ぎて』
彼の行動力に驚いていた獣王バルト、彼は王っぽさを出すために特注の服を着ていた
ゲイルやチェスターも自分たちの集落に今後の流れについて話し合ったりと大変だとか
俺とグスタフにルッカそしてはテーブルを囲んで椅子に座っている
ルルカはソファーでリラックス中だ
『平和ニャー』
そんな中で平和な種族がいた
そいつは今俺達の宿舎のソファーで横になって寛いでいる
『猫はやる事ないのか?』
ルルカがシャオをなでなですると喉をゴロゴロ鳴らしながら気持ちよさそうに答えた
『猫人族は集落に魔物が入らない様に昔から警備しているのニャー、やることはかわらないニャ』
今日はシャオはお休みらしく警備担当が国の周りの見回りに走り回っているらしい
足が速い種族なので伝令も彼の種族の役目である
だが少しだらしない、昨夜は飲めない酒をやけ酒したんだコイツ
理由は兎人族の族長ラフィーナに軽く振られた事だった
密かに思いを寄せていたシャオだったか彼女に好みのタイプを聞いたところ
『シュウザーみたいに他人の為に一生懸命になれたり優しいのがタイプかな』
そんな事を言われて何故かシュウザーに負けた気がして狼人族の食堂でへこんでいた
シャオはマイペースだしな、昔の俺そっくり
ナッツは昼食後の昼寝をするために部屋で寝ている
他は皆ここにいた
『時間をかけてタイプになるのよシャオ』
ルッカが彼にエールを送ると彼もやる気を出してソファーで横になりつつも笑顔で万歳して答えた
『頑張るニャー』
それにしても本当に今回はかなり疲れたな
まとめるにしても情報量が多すぎてもう
『シルバがてめぇの体を使うわノアから反則的な術貰うわ十天になるわで面白くなってきたな』
グスタフがテーブルで肘をついて俺に視線を送ってきた
人を弄るような目で見てくるが自然にそうなったのだ
面白い話としてグスタフには意識の中でのノアの会話を少し教えていた
彼が気にしているであろうイビルディザスターの話をだ
ノアは俺の記憶を覗いでグスタフをモーガンに凄く似ていると言ったのだ
ただそれだけだったがグスタフはそれだけの話を俺から聞いて少し嬉しそうにしていた
あいつの事だ・・・目指すのだろうな、だが条件がわからない
一先ずイビルハイドだな、明日にはティクティカ遺跡に俺たちは向かう事になっている
途中までは案内としてファルカが来てくれる、明日の朝に出発予定だ
んで俺たちは今日予定がない・・・
まぁ客人みたいなもんだし相手してもらえないとこうなるんだよね基本
『ティクティカ遺跡にはデュラハンがいると聞いてるが』
ランクAの魔物、死の妖精と言われる首無し騎士
出会えば死と言われているらしいがAクラスの魔物は初じゃないか?
俺はシャオに口を開くと彼は上体を起こして答える
『死とは無を意味するから術は全属性に対して弱いニャ、!物理はお勧めしないニャ・・・本当に効かないニャ』
『中位職だと大丈夫なのか?』
ルルカの質問にシャオが能天気な顔をやめて真剣になる
『絶対無理ニャ、Aを馬鹿にするでニャい』
少し彼がにらみを利かせている風に見える
それほどランクAとは違うという事だろう、シャオがこんな顔するとはな
おまけという感じでシャオはグスタフに視線を向けると口を開く
『お前が一番危ないニャ、ランクAは上位職以上が絶対ニャ・・・それくらいの差があるのニャ』
『我慢するよ、たく・・・』
少し不貞腐れた感じにグスタフが吐き捨てるがシャオは笑顔に戻る
『今はそうするニャっ』
グスタフにもシャオの気持ちが伝わっていると思う
いつもニコニコして癒しを与える猫が極度に凄みを見せたのだから
可愛い事に変わりがないがそれほどAの壁はでかいと感じる
『デュラハンはジャンが担当ね』
『おミャーなら目からバンバンで良いと思うニャ!油断しなければ苦戦はしないと思うニャ』
ルッカの言葉にシャオが被せてくるがそこまでシャオが言うのならばそうするしかない
困ったら本気で天銀を堕とすつもりだが第3の道で天銀使うとヤバイ気がする
超殲滅用の技として俺の中の禁技に認定しているのだ
ルッカが自分で作った紅茶を飲んでいる
シャオもそれを見て飲みたいと言い出してルッカが調理場で紅茶を抽出しに行く
グスタフが大きく欠伸をしてからシャオに話しかける
『他にも要注意な魔物はいるのか?』
グスタフの言葉に耳を動かしてシャオが答えた
『ランクB+までいるニャ、真っすぐ寄り道せずに向かう事をお勧めニャ!まぁジャムルフィンがいるなら自身の鍛錬には丁度良い強さニャ』
最後に余計な事を言ったシャオ、丁度良い強さの魔物だから鍛錬できるよとグスタフは即解釈したんだろうなと思わせるくらい嬉しそうな顔をしている、怪しい笑みが俺に向けられる
何を言いたいかわかるよ・・・はぁ・・
『致命傷は一回しか使わないぞ?』
『ありがてぇぜ!』
俺の言葉に満足そうな笑みを浮かべて何度も頷いていた
グスタフにとってはレベル上げに持ってこいと思ったのだ
早く上位職になりたいのだろうな、彼はここに来てからは暇があると直ぐ影を見つめて動かして遊んでいる、術レベルを上げようと空いた時間でコントロールしているのだ
イビルハイドの条件を達成している魔術でも先の事を考えての行動だろう
努力を止めない男だ
ルッカが用意してくれた紅茶をシャオが飲みむと笑顔になった
コップを手前にある小さめの机に置くと口を開いた
『時間があるニャら手前まで行ってみるか?』
『なにぃ!?!?』
グスタフ超元気に反応、その大声に奥に部屋からナッツが起きたらしく眠そうな顔でリビングに来た
まぁあの大声は起きるだろうな
『ここからニャらば馬を使えば1時間くらいニャ、てかシュウザーと戦った神殿の後ろの森ニャ』
あそこがティクティカ遺跡に続くのか、確かに後ろは森だったけど
そうするとグスタフが元気に立ち上がる、俺は溜息が出る
シャオは空気を呼んだらしく紅茶を一気飲みしてから『馬を用意するニャ!』と言って外に消えていった
熱い紅茶を一気にのんだ・・・猫舌って何だろうな
その様子を起きたばかりのナッツは俺とグスタフを交互に見ながら考察していた
『ナッツ、魔物退治だ』
グスタフの言葉にナッツは深い深い溜息をついてから一言だけ・・・
『戦ってないと死ぬ病気でもあるんですか?』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今回はシャオがいるのでルッカにはお留守番&誰かからの伝言がある場合の受け人にするため残した
全員いなくなると困るだろうしな、俺とナッツにグスタフそしてルルカは馬に乗りシャオについてくる
彼は馬に乗らずに四本足で馬と同じ速度を出している、流石は全種族トップの速い猫だ
疲れも感じない
『程度を知るだけだぜ?』
『信じないのだ!』
俺を中央にして右側を馬で走るグスタフがそう言うが本当か?熱が入るんじゃないか?
丁度俺の後ろにいるルルカに即突っ込まれると言い返せないらしく目を泳がせる
左側にいるナッツも馬の上から口を開いた
『まぁ僕も足を引っ張らない程度に強くはなりたいですから・・・』
苦笑いして彼が言い放つが起きたばかりで少しばかり機嫌が悪い気がする
安眠スキル持ちが起きるレベルの大声だったし
馬で走っていると神殿の前にある城下町で虎人族の族長チェスターが部下に木材や石を神殿に向けて運ばせる指示をしていた、そういえば神殿が戦いでボロボロになったんだ
彼は玉座の間の修理なのだろうと俺は予測する
俺達に気付いたチェスターは軽くだが口元で笑みを浮かべて一回頷いた
シャオが走りながらジャンプして手を上げて反応をするとチェスターは作業に戻った
軽い挨拶だろうか?チェスターも頑張ろうとしているな・・・本当にいい方向に向かっている
城下町を抜けようとしている最中にナッツが口を開く
『遺跡の魔物ですか、下調べとしては良いと思いますが』
ナッツが前方に見える神殿を見つめて言った
どんな感じなのかは触れといて損はしないだろう
『昔の様に行くぞナッツ』
『はい!』
いい返事だ、グスタフは危ない時にフォローにしよう
『神殿のある山を迂回するニャ』
シャオは大きく山を外回りに走ると俺達も馬でついていく、俺たちは横に見える神殿を経由して後ろに回り込む形で馬を走らせていた
途中城下町の防壁があったが扉を開けてもらう
するとシャオが後ろを振り向いて俺達に口を開く
『馬はここまでニャ、ここからティクティカの森ニャ』
『本当に神殿の後ろなのだなー』
ルルカそう言うとシャオは門兵である蜥蜴人族の2名に話しかけていた
防壁の上には猫人族の警備であり監視しているシャオの部下が5名ほと森の奥を見つめていた
馬から降りるようにその門兵に言われ俺達は直ぐに降りると門兵は近くにあった馬小屋らしき場所に馬を置きに行った
『ここから歩きニャ、数分で魔物に出会えるニャ』
『そんな魔物いるのですか?』
『舐めたらすぐ怪我するニャ、中位職でもB+に1対1は死ぬニャ!そして昔と変わらず手が殆ど入っていない森ニャ・・・弱くても獰猛なんだニャ』
シャオも腰から細剣を抜いてから扉を開けるように指示していた
俺達4人も武器を手に持つと丁度扉が開いた
『お気を付けくださいシャオ殿』
蜥蜴人族の門兵がそう言うとシャオが労いに一言彼らに言う
『ご苦労様なのニャ!夕刻にはもどるニャ』
彼らに干し肉を上げている、蜥蜴人族達は喜んでいた
2時間か、丁度いいだろうな
そんな奥にはいかない予定だし
シャオが扉の奥に歩き出すと俺達も歩く
奥は直ぐか我が流れており少し大きめの橋がかかっていた
橋の奥を見ると少し道が続くが次第に獣道の様だ・・・
橋を歩くと後ろの門が閉まる
『さぁ体験ニャ、少し歩くと2匹いるニャ』
『おめぇわかるのか?』
『凄いのだ!』
『猫は敏感ニャ!警備は優秀なんだニャー!、一番近いのは橋を渡って約80m先・・・50mくらいで1匹は気づくニャ、あっちも敏感ニャ』
シャオの言葉に笑顔で正面を向き直す、ナッツは少し俺の近くに寄る
ルルカはグスタフの後ろについた
橋から少し進んだところで唐突にシャオが高くジャンプした
俺達の頭上を飛び越えて後方に飛んだのだ
彼はニコッと笑って口を開いた
『気付いたニャ!それでは皆さんガンバニャー』
後ろで大きく手を振って応援をする
そうしているとグスタフも気づいたらしく正面を素早く向く
何かが草をかき分けて走ってくる音がする
『さぁ太古の魔物の住み家ニャ!そこらの魔物とは違うニャー』
その魔物が走って姿を現すと俺達4人は口を広げて驚いた
ナッツが叫ぶ
『エンシャントコング!?』
『ウボォォォォォ!!』
ドラミングしながら向かってくる3m級のゴリラ・・・
真っ黒だが手の爪が猛獣の様に長い、特徴は口からはみ出る程の犬歯だ
『ランクB+の稀な魔物です!絶滅したと聞いてましたが!』
『だから言ったニャ、ここは遥か昔のままの魔物が住んでいるニャー』
『ウボァ!!!』
俺達に近付いたエンシェントゴリラは両手を振り落すが全員後ろに飛んで回避した
魔物の攻撃で地面が抉れている、凄いパワーである
肝心のシャオは橋の手前まで下がっていた、いつの間に・・しかも笑顔だ
『フー!フー!』
『すごい怒ってるのだ!多分あいつの縄張りなのだな』
興奮しているな、ルルカの言う通りかもしれない
グスタフが少し前に出ると軽く笑いながら姿勢を低くしてエンシェントゴリラに狙いをさだめた、一撃目行く気か?
『行くのだグスタフー!』
『行くぜぇ!ウホッたれ野郎ぉ!』
『ウボォォォォ!』
グスタフが走った瞬間俺達3人も走った、先頭がナッツとグスタフ・中衛が俺で後衛にルルカだ
エンシャントゴリラもドラミングをして走ってきた
ティクティカの魔物体験が始まってしまった
『あっ、あいつのドラミングのせいでもう一匹も来るニャ』
『いやぁ!』
ナッツが超嫌がっていた
ナッツ『名前はダサイですが強い魔物だと記録に残ってます!』
グスタフ『名前はダせぇのにな!』
ルルカ『ダサイのだ!』
ジャムルフィン『ダサイな!』
エンシェントゴリラ『!?』