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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第6章 5000年の想いと国を賭けた聖戦
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50話 新生ガウガロの誕生

ナッツとグスタフをおいて3人で狼人族の療養所に向かう

場所はガーランドの家の大樹の下であった、近い

入口にベベルの部下らしき者達数名がいたが彼らは俺を見ると道を避けてドアを開けてくれた

何だか待遇が良い、1人の猿人族に案内されて彼の場所にいく

強い鮫の部屋に入りしきりを越えるとベベルがベットの中で横になっていた

傍には他数名の猿人族の者がいるが身内っぽい感じがする


『少し出ていなさい』


『わかったよ父さん』


やはり身内か、彼らは俺達に軽く頭を下げるとそそくさとドアから出て行った

俺とルッカそしてルルカが椅子に座ると彼は深い溜息をつく

上半身だけ起こすと口を開いた


『無理をし過ぎた様だ、暫く動けぬ』


俺を脱出させる際、彼は魔力が尽きかけた状態でテレポートをしたらしい

代わりに命を使って術を発動したことにより体の負荷が大きく安静状態が一か月続くと言われたと彼が話す、そこまでしてもらったことに俺は少し申し訳ない気持ちになったがベベルは気にしている様子じゃなかった、それよりも・・・


『良い方向に向かってくれてよかった、ワシが生きている間に昔のガウガロが見れるのじゃな』


ニッコリと微笑みかけた、彼も望んでいた

ガウガロのあるべき姿を

彼にしかできない仕事を全力で、命を懸けてしてくれたベベル

それによって死ななくても良い命が救われたのだ、シュウザーにとっては不満ではあると思うが


『頼みがある、全種族の集会で話すシュウザーの事だが』


ベベルはシュウザーの件についてバルトに頼みをすることにしたのだ

彼の予想では今迄の事実そして一連の関係者の処遇もそこで決まる事だろう、そしてシュウザーも勿論出席するはずと、彼は俺に伝言を寄越した・・・バルトに向けてのだ

ベベルも外にいた部下から次の獣王がバルトであり集会の進行や事件の対応をするだろうとガーランドの伝言を貰っていたらしい


実際処遇は族長同士で集まって決めるのが筋なのでその件は明日全種族の族長が集まり話し合うとか色々内容が濃い伝言を聞いたとか


『頼むぞ人族の英雄よ、これが一番良い・・・』


『わかりました』




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



三日後、俺たちはガウガロ国の中央広場に来ていた


『凄い数ですね』


ただの草原だが広い、全種族がそこに数えきれないほど詰め寄ったのだ

あまりの密集度にナッツがそう口に出てしまった、

でも各種族毎の場所で集まっている、全種族が混じって集まっている訳じゃない

正面には大きな演壇がありその手前には各族長達13種族の席があった

だが誰も座ってはいないようだ、まぁバルトの周りにいるのだからな

演壇が広い、15m程の幅はあるようだが複数人乗る予定だろうか?


俺達は演壇エンダンの裏側の椅子に座っている、なんだか客席みたいな感じだ

階段があるがバルトが階段の手前で少し緊張していた


『大丈夫か?バルト』


『多少緊張はする、ちゃんと上手くいくかどうかだけがな』


そう言いながら彼は階段を登り3mくらいの高さのある演壇に登った

バルトが演壇に登り、詰め寄った全種族に顔を出す

一気に静まりかえると彼はマイクスタンドに拡声術が埋めこまれた魔石に向かって口を開く


『皆の者、ガウガロが5000年の時を超えて進む時がきた、全てを話そう』


俺とナッツにグスタフ、ルッカとルルカは彼の背中を演壇の下の席で見守りながら話を聞いていた

途中前獣王のジャジャラが息子と共に演壇に上がり真実を話す場面もあった

その時は会場は驚きで静まりかえるくらいであった、号泣しながらジャジャラが演壇の上で深く頭を下げていた


ここで全てを話したのだ、昔の事件は嘘で固められた事だった

証拠は獣王の書に記録が記されておりバルトがそれを手に持って掲げたのだ

一部の獅子人族が王権欲しさにこのような結果になっていた事

今でも一部の者が真実を隠すために動いていた事、ジャジャラもその1人であった

獅子人族の長老会が黒幕だった事も全部ジャジャラが話した

本当は裏切りなんかじゃなく俺たちは勝手に巻き込まれただけの存在だったことを


それには目を見開いて固まる者や膝をついてしまう者、泣き出す者もいた

ジャジャラと息子は演壇の上にいるままバルトが次にいく


『それを正した者がいる、獅子人族であるシュウザー・アングラード・エイス、十天の第8位であり・・・この真実を暴く為に孤独に奮闘した我が国の偉大な名誉獣王である』


そしてここからだった

バルトが深く深呼吸をして彼の人生を会場の皆に伝えた

一人っ子で生まれたシュウザーを

父に愛されたシュウザー

母に愛されたシュウザー

母を支えたシュウザーを


父を亡くしたシュウザーをだ


『彼は嘘の過去によって父を失うことになった、村八分ではあるが間接的に彼の父は殺されたと見てもいいと思う、助けようと思えば十分間に合った』


獅子人族の者達は全員耳を垂らして彼の言葉を聞いている

それは罪悪感からだろうか、後悔の念だろうかは俺にはわからない

彼の人生に泣いている者も多くいた、獣王になる前の彼の物語である


大好きな父の為に夢を叶えようと頑張ったシュウザー

大好きな母を支えようと奮闘したシュウザー

復讐をしようとした悲しき王


獅子人族がそれにより多く亡くなった事実も話した

復讐を誓った彼の手によって、新しいガウガロに獅子人族は必要ないと

彼の考えのもとに、起きた一連の騒動を全て包み隠さず話した


だがバルトは最後に強く拳を握りしめて口を開いた


『だが彼はどんな獣王よりもやらなければならない事をやったのだ!』


隣のルッカもルルカも静かにバルトを見守る

俺達の近くを誰かが横切り演壇に上がっていく

手錠がついてある・・・あれは獅子人族の長老会と一部の者たち、狼人族の兵に背中を押されて彼らは演壇に上がった


死にそうな顔で演壇の上にいる彼らも往生際が悪い事にはならなかった


『全て・・・事実だ、隠し通せると思った・・・』


シュウザーは己の身を使ってこのような結果を出すことが出来た

不器用過ぎるが強引にも彼はやってのけた

各種族からの凄まじい罵声が飛び交う中バルトが大声を上げた


『静まれ!』


その言葉で少しだけ静かになるがまだ少し五月蠅い

なにやら石が長老会達に投げ込まれているがそれも止めていた

そうしてバルトは彼らの処遇をこの場で決めた

他の族長も演壇に上がるが本当に丈夫な演壇だ・・・


虎人族のチェスターが腕を組んでマイクの前に立ち進行を始めた


『こいつらの処罰だが全族長で決めた、大昔から続いた嘘を軽く済ませる思うか?今迄そう思ってきた者やシュウザーにも納得がいく処罰を考えた、最初は一部の族長で全員五千年の禁固刑だと討論したが』


五千年!?死んでるだろう?簡単に言うと死ぬまで投獄だな

最初は処罰の方針はこの集会後と予定したがバルトが集会までに決めないと全員多忙になり手がつけれなくなるといった点で間に合わせたらしい

呼吸を整えてチェスターが続けて言う


『長老会は五千年の禁固刑、前獣王ジャジャラや一部の関係者は30年の禁固刑だ・・・実際長老会に怯えて動いていた点が鳥人族のファルカの調査で多い事が判明したがそれでも罪人扱いだ、長老会は面会無し!他は条件付きで在りだ、長老会も今日で解散だ!!また作ったら許さねぇぞ?』


『我々もしがらみに取り付かれた種族であったが真実を知った今これからの付き合いを考えねばならぬ!蜥蜴人族族長としてこれからのガウガロに貢献すると誓う!』


『虎人族族長としても今後シュウザーみたいな悲劇を起こさねぇ為に少しずつ改善する予定だ』


『これから遅れた分頑張る事を謝罪として努力するっチ』

ゲイルやチェスターそしてチュリオがマイクの近くでそう言うと謝罪の言葉を述べて深く頭を下げた


頭を上げるとゲイルが口を開いた


『これからは真実をオオヤケにした偉大な獣王の為に動くのが条理である!二度と繰り返してはならないことだ!』


そんな言葉を演壇の上で力説していた、彼らが終わると3人は深くお辞儀をして演壇の隅に寄った

するとずっと俺達の近くにいた銀色に染まったガーランドが演壇に現れた


その姿に皆騒然としたが彼は静かに話した


『嬉しい事だ、ゲイルもチェスターもチュリオも騙されただけであるのに健気にも謝罪をするとはな』


軽く笑うと彼は続けて口を開いた


『難しく考えずゆこう、俺も馬鹿である・・・共に飲み食いして色々知ろうじゃないか』


『ガーランド、お主酒は飲めないのじゃないのか?』


ゲイルがふと突っ込むとチェスターもそれに乗る


『なに飲める振りしてんだぁ?バウから酒弱いのは聞いたぞぉ

?』


ニヤニヤと笑いながらチェスターがガーランドの肩を叩くとガーランドが少し顔を赤くする


『わっチは飲めるっチよ?』


『何!?チュリオが!?』


ガーランドが驚いている、これもバルトの提案だった

軽く雑談しろってリハーサルで言っていたのだ

いがみ合っていた者同士が心から話し合って笑っている姿を皆に見てほしかったのだろう


『おいーゲイル!今度飲もうぜ!』


『バウは飲めるらしいな?俺についてこれるのか?』


『はぁー!?二日酔いにしてやろうか!』


バウとゲイルがそんな話をして和んでいる

俺達が見ていても前まで睨み合っていた者同士とは思えない雰囲気であった

拡声術でその会話は大きく聞かれているので会場で笑うものも多くいた

本当にいい感じだと思う


チェスターがマイクに向かって話した


『いきなりは難しいのはわかってる、少しずつお互いを知ろう』


チェスターがバルト以外を演壇から降ろしていた、バルトの耳元で何か話すと彼も降りた

少し賑やかだった雰囲気が静まり返るとバルトは最後の進行を始めた


『では最後の処罰者になるが、獅子人族19名を殺害したことで罪人として拘留されていた獣王シュウザーの処罰の前に彼には演壇に上がって話してもらう・・・シュウザーいいか?』


4m以上の巨大な獣王が演壇に上がる

彼の姿に口を大きく上げて驚く者達が多かった、彼の手には特注の手錠がついていた

両隣にはガトにラフィーナそして母であるベレッタが付き添っていた


シュウザーが現れただけで会場は静かになり風の音しかしなかった

そんな中彼がマイクの前に立つと静かに話し始めたのだ


『・・・俺は死ぬほど獅子人族が憎い』


ガウガロの時間は5000年前に止まった

それを変えようと一番考えた獣王シュウザーアングラードは今罪人として演壇に立つ

彼を直視できる獅子人族はほぼいない、耳を垂らしてウツムいていた


『作った嘘の感情で俺の大事な父さんが死んだ、父の誕生日にだ・・・助かる命を見捨てられた』


彼の横にいるガトが背伸びをして彼の背中をさすっていた


『最後まで父はガウガロの平和を夢見て死んだ』


シュウザーも正面だけを見ている、特に何かを見る訳でもなくただ真っすぐ


『幼き頃・・・無駄ないがみ合いのせいで俺は友達と遊べなかった、他の種族とも自由に遊びたかっただけだ・・・シルフィーやシャオそしてガーランド達をみて俺は羨ましいと思った、この国には自由がなかった』


皆彼の目を見つめて真剣に話を聞いていた、悲しそうな顔をして皆彼だけを

シュウザー・・・君は本当は優しい子だったんだ


『父の為に夢を叶えようと頑張った、孤独だったが母さんがずっと支えてくれた・・・永い間続いた溝を戻すには大きく動くしかなかった、脅していたゲイルやチュリオ・・チェスターには申し訳ないと思っている』


彼は最後の最後に踏みとどまってくれた、大事なものを思い出したんだ


『父の夢を叶えて最後には獅子人族を全員殺すと復讐を誓った、だが・・・』


君の父オズワルドの夢より大事なものは自分だったんだと気づいてくれた


『父の大事な息子でいようと俺は選んだ』


肩を震わせ涙を流しながら彼は気持ちを伝えた

ベレッタもシュウザーの大きな手を握った


『終わりにしよう、俺の父さんが夢見たガウガロを始めよう・・・そして明日は父さんの誕生日だ』


今後この国は大きく変わると俺は信じている

何かあったら助ける予定だが必要なさそうな気がする


『都合がいい話だが共にガウガロ新生を望むのならば俺の父さんの墓に花を一輪添えてほしい』


正面を見る事さえできないシュウザーは震えた声で頑張って声を出す


『俺の父さんと同じ夢を持つ者はそうしてほしい、父さんに見てもらいたいんだ』


彼はこれから止まった時間を再び動かすだろう

ガウガロも・・・父が死んだあとの時間も

両膝をついて崩れるシュウザーはボロボロと泣きながら最後に大事な事を言った






『俺は父さんの子でよかった』







その後彼を称えるかのようなコールが響いた

シュウザーという名で、獅子人族以外の種族がだ

そうしてシュウザーの処罰に移った


『約五千年分の功績と殺人だが彼を処罰できる力は今のガウガロにはない!隣国との睨み合いも彼による密かな外交により終結する方向にもなっているのだ!そのような者を罰する力は我らには今無いのだ!』


バルトはシュウザーの前に出てマイクに大声でそう言うと会場はざわついた

彼の言葉にシュウザーもガトやラフィーナやベレッタも理解が出来ない様な顔つきでいた

当初は5年の禁固刑だったがこれは猿人族ベベルの伝言での彼の処罰であった


『シュウザーを獅子人族の集落から永久追放とする!!獅子人族の領地を踏み入れることは許さん!指定された土地で監察に置く!以上である』


ベレッタは泣いていた、息子がそれだけで済んだことを

実際ここで彼を牢獄した方が獣族に疑問を持たれるとベベルが言ったのだ

彼は自国の問題と隣国との問題を解決に導く行為をしていたのが大きい

獅子人族から遠ざけるだけで納得する者が多いと、牙を向ける対象から離すのだ

そうすれば問題は起きないし彼の功績を表立って刑を軽くしてもいいんじゃないかと言う


人族とは少し違う感じか


『シュウザー!新しい家の引っ越し手伝うよ!』


『新しい家の周りにお母さんの為に畑作らないとね!』


ガトとラフィーナが泣いて演壇を降りるシュウザーにそう口を開いていた

ドワーフ族に頼んで新しいシュウザーの家を作るらしいな、よかったな!

天井は高く作ってもらえ?


バルトはその後シュウザーの推薦と各族長の同意で自身が次の獣王になる事を宣言した

20年交代で連続して同じ種族が王にならない事も観衆に伝えた


歴史が大きく誓うので教育現場の修正も今後取り入れるとの事だ

シュウザーが提案した政策が全て行われる方針で全員に報告する

これは全族長で取り組まなければいけない


これから大変だニャと演壇の下で警備みたいなことしてるシャオが言った

演壇にはバルトだけが残り彼は口を開いた


『全員でガウガロを再建しよう!そう思うものは手を上げい!』


そう言うと会場内が一斉に大声と共に腕を上げた

誰もが見たかった光景に最後は拍手で締めくくられた


演壇最前列でベベルが車椅子でその様子をニコニコ見ていた


・・・・・・・・・・・



オズワルドの誕生日、彼の墓には会場そのままの数が押し寄せる事態となった

昔は森であったが今はシュウザーが木を薙ぎ倒したらしく綺麗に整備されていた

道の奥には丸い石に父の名が刻まれた墓があった、墓の前には形が崩れたミートパイが置かれていた

多分作ったのは・・・・


オズワルドの墓は数えきれないほどの花で埋め尽くされた

1人ずつ花を添えると一礼をしていくのだ

獅子人族は皆ボロボロ泣きながら墓にすがり謝っていた

皆シュウザーの様な苦しみを味わうのが怖かったのだ


それは夜まで続いた、最後の参列者は獅子人族の者であった

彼を見たシュウザーは目を見開いて驚いた

その獅子人族の手には皿に乗った鹿肉が乗っていた、それを彼はミートパイの横に添えたのだ

シュウザーが驚きに口を開く


『クルーガー』


『やぁシュウザー、本当に大きくなったね…恨んでいるだろう俺を』


『お主は唯一恨んでいない、俺は気づいていた・・・父さんの大好きな鹿肉を毎年誕生日の夜ひっそりお供えに来ていたのを、そして毎週必ず家の前に肉を置いていたことをな・・母さんが美味しいと言って食べていたよ』


『やはり気づくよな、そうだよな・・・それでも・・・俺は助けてやれなかったんだよシュウザー』


墓の前で膝をついてすすり泣く彼はオズワルドが死んでからシュウザーの家にこっそりおすそ分けをしていたのだ、そしてオズワルドが大好きだった鹿肉を墓に置いて

彼の墓を見つめながらシュウザーと会話を続けた


『僕も償わなければいけないんだよシュウザー・・・』


『お前はちゃんと俺にあげたくてもあげれないと言う感じで話したではないか、お前にもまだ幼い息子や娘がいた筈だ・・・俺も大きくなって気づいたが仕方がない事だ、そしてお前は償いをしようと唯一1人動いた』


食肉店のクルーガーは彼に視線を向けた


『友人と家族を天秤にかけられて俺は毎日悩んでいた、そして俺は友を裏切ったんだ・・・俺が許せないんだよシュウザー』


彼はオズワルドとは古い付き合いであり友であった

そんなクルーガーも村八分が怖くて家族をとってしまった、その犠牲がオズワルドだった

その状況をシュウザーも十分理解していた、彼は死ぬまで毎年来ると言ってこの場を後にした


13種族の族長が墓の前に座るシュウザーを見守っていた

獅子人族の族長はジャジャラの息子ヘンリーがすることになり彼がいた

ヘンリーが責任を持って獅子人族も変えていくと言ってくれた


ベレッタと共に墓の前に座るシュウザーは墓に向かって言う


『父さん、父さんの夢が叶うよ・・・僕はやっと始めれる気がするよ』


族長達が墓に向かって頭を下げた状態になる

俺も深く頭を下げてシュウザーの言葉を聞く


『父さんのために作ったミートパイだよ、頑張って作ったんだ』


『オズワルド、私達のシュウザーはあなたの為に頑張ったのよ?あなたの誕生日がガウガロの新生記念日になるの』


2人は亡き父の墓の前で彼に報告をした

オズワルドが彼を育てた、誰かのために頑張れるシュウザーを

沢山の花に囲まれたオズワルドの墓に向かって口にした




『父さん、誕生日おめでとう・・・父さんにガウガロの思いの詰まった花をプレゼントするよ』





こうしてオズワルドの誕生日がガウガロ新生記念日となった

シュウザーは新しい家が出来るまで不便ではあるが神殿の近くにある留置所で暫く生活してもらう事になった

家が完成したら墓を移動する作業をする、約1か月だとか


留置所は国の中央にあるため比較的どの種族の集落からも来やすい

たまにガトやラフィーナも遊びに行くと言っていた

バルトは獣王として業務が多忙になるがそこは他の族長にも手伝ってもらうから平気だと豪語した

最初はゲイルが手伝っているらしい、彼の種族の説得も順調に進んでいるらしいので時間が出来たのだ


バルトはルーカストア王と会談し領土相談そして友好関係の取り決めや副産物の交易等を行う為に頑張るらしい。シュウザーがやろうとしていたことを引き継ぐのだ、最初はシュウザーも同行させないといけないので留置所を家に隣国を行き来するらしいが留置所って何なんだろうと疑いたくなる感じがしてきた

交易は商売上手なチュリオが国の副産物やドワーフの作った品を隣国に紹介しに行ってから売れそうなものをピックアップして量産の指示を出すそうだ


チュリオいわく


『チッチッチ!ドワーフさんたちの品は人族は欲しがるッチ!量産品は国が欲しがるし良質品は冒険者が求めるッチ!新鮮な野菜も近くの街にはありかもしれないッチでねぇ!隣国に行く時はバウのとこから部下を借りて商品を着せて質の良さをアピールするッチ、ドワーフの品も流しやすくなるかもッチ』


彼に任せて問題ないだろう、鼠人族が交易関係の軸になる

そのドワーフの手伝いは虎人族がやることで決まったらしくドワーフ族がえらく喜んでいた

ガウガロの国の制度はまず教育の方針らしいがもう真実が公になったのですんなりと話し合いは終わったらしい、細かいとこは月一の族長会議で修正するってさ

全ての種族が生き生きと新生ガウガロに向けて歩み出した



オズワルドの誕生日から一気に動き出した

俺達もティクティカに向けての準備が次第に出来て来たのである




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

次回ティクティカ編

ガウガロが大きく変わりゆく中でジャムルフィン達はティクティカに向けて準備を進めたのだ!

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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