表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第6章 5000年の想いと国を賭けた聖戦
197/757

46話 オズワルドが愛した子 シュウザー・アングラード

ナッツ『父の為の復讐に動くシュウザーを止めることが出来るか』

『・・・父さん』



父の夢と復讐に走っていた獣王は自分を大事に育てた偉大な父を思い出した、いつもシュウザーや母の事を大切にしてくれていた父を

顔を抑えてシュウザーが泣く


『小さい時に、俺は遠くからガーランド達が遊ぶ姿を見て羨ましかった・・・俺にはそれが許されなかった!自由に友達を作れないなんて・・俺にはガトだけだった、だが迷惑がかかると思ってガトにもラフィーナとも会わない様にした・・・俺は一人だった、一緒に遊びたかった…』


『シュウザー・・・おめぇ』



バウが下を向き肩を震わせていた

シルフィーも悲しそうな顔で彼を見る

その様子を彼の母ベレッタが優しく頭を撫でる


『もう一人じゃないのよ?一緒にオズワルドが夢見た時代を見ましょう?あの人の墓で言いましょう?シュウザーが夢を叶えたって』


大きい彼の頭を抱きながらベレッタは言う

ガトもラフィーナも彼に近付いて声をかけた


『シュウザー、また遊ぼう』


『ねぇシュウザー・・・もう十分頑張ったわ、優しいあの頃に戻って』


その様子にチェスターもガーランドも皆膝をついて涙を浮かべた

在りもしない事実にとらわれいがみ合う時代にあった悲しい家族

本当の恨みを持った獣王、優しく思いやりを持った小さき時代のシュウザー


父の為の復讐に動いた彼は半ば強引ではあるがガウガロを正すことになった

それを動かした原因は父の死であるが、死んでいなくても心優しい彼は獣王になって父の夢を叶えたであろう


『シュウザー・・・終わりだ』


俺が彼にそう言うと手を地面につけたまま口を開いた


『イドプラント!!!』


『何!?』


俺の足から多数の触手が現れて体を縛り付ける

油断していた

物凄い数の触手に俺は動けないが引き千切るくらいの力はある

シュウザーが最後の力を振り絞って立ち上がり口を開いた


『5秒抑えれば十分だ!!!』


彼はその言葉の後、呻き声のような叫びを放ちながらジャジャラに襲い掛かった・・誰も彼の行動に反応出来なかった

大量に血を流してシュウザーは最後の抵抗を見せた


『こいつだけは許さない!獣王の癖に何もしなかったジャジャラだけは許さない!』


『許してくれぇシュウザァ!』


爪を伸ばしてジャジャラに走り出すとジャジャラは両手を前に出して悲鳴をあげた

俺は間に合わない!誰も止められない!!

ガーランドやバウそしてファルカが飛び出すがそれも無理だ


『父さんを許して!!』


ジャジャラの前に1人の獅子人族の兵士が両腕を広げて飛び出してきた

シュウザーは彼の手前で振り降ろした爪を止めてしまった


その若い兵は大きく怯えながら口を開く


『こんな父さんだけど・・・母が死んでからは父さん1人で必死で僕を育ててくれたんだ、獣王としては不器用な人だった・・・でも僕にとってたった一人の家族なんだ・・お願いしますシュウザー様、どうか父さんを許してください・・・償いは僕と父さんでします、お願いします・・どうか』


『ヘンリー・・・』


ジャジャラは若い兵士にそう呟く

シュウザーの前で土下座をして床に頭を擦り付けるジャジャラの息子ヘンリー

大粒の涙を流すその様子にシュウザーが動揺した


『貴様・・・』


『馬鹿な父でも僕にとっては大事な家族なんです・・・父はあの事を悔やんでいました、シュウザー様お願いします・・僕の父さんを殺さないで』





シュウザーは




『……なんでだよ』



腕をおろした

そんな悲痛な叫びをする彼に手を出せなかった


シュウザーの声だけがこの部屋に響き渡る


『くそ…くそぉ!』



彼らも家族がいた、子供が

シュウザーの目には幼き頃の自分を思い出した


【誰か!僕の父さんが怪我しています!助けてください!】


その悲痛な叫びは自分が幼かったころに瓜二つであったのだ

同じ苦しみを彼にもと思うことが出来なかった



まだ彼には幼き頃のシュウザーが黒く染まった心の隅に座っていた、他人に優しくなれる彼がまだ生きていた


『お願いしますシュウザー様・・・僕の父さんを何卒・・・』


シュウザーは伸ばした爪を引っ込めてゆっくり後ろに下がると両膝をついた

彼は地面に手をつき泣き崩れた


『シュウザー様、ありがとうございます・・ありがとうございます・・・』


ジャジャラの息子が涙を流して感謝を送る

俺は触手から解放されたが向かわなくても良さそうだ


シュウザーのもとにラフィーナにガトそしてベレッタが近づいた


『シュウザー、お帰り』 ガトが彼の手を握り口にした

『今度遊びましょう?』 ラフィーナが彼の頭を撫でて言う






『シュウザー、頑張ったわね・・流石オズワルドの子よ』


母の言葉でシュウザーは天井を見上げて泣いた


『父さん・・・父さん』


獣王がただひたすら泣いた

彼にはもう戦う意思は無かった

シュウザーの脳裏には何が浮かんでいるのだろうか

父の記憶を思い出しているのだろうか、十分に甘える事も出来ずに死んでしまったオズワルド・アングラード

彼の息子は彼の夢を叶えた





【シュウザー、俺は見たかったな・・・俺の夢・・叶えたかった・・】


彼の息子が叶えた

止まっていたガウガロだったがそれと同時に隠れていた彼の本当の心が顔を出した、心優しい思いやりのある子供の頃のシュウザーが今息を吹き返した



シュウザーのもとに他の族長も駆け寄るとチェスターが口を開いた


『あとは任せろやシュウザー』


『父の願い必ず叶えよう』


ゲイルもそう言って彼に軽く頭を下げた

そんな彼の周りとは別にゼファーがジャジャラに口を開く


『さて?ナッツからだいたいは聞いたが貴様のすることはわかるな?全て真実を全種族に貴様が公開するのだ・・・罪を償うならば自分から話すべきぞ?』


その言葉にジャジャラは体を丸めて小さく答えた


『はい、雷帝様・・・全ての種族を集めて自白します・・・』


遠くでナッツとグスタフが大粒の涙で泣いている

なに感動してんだ・・・・


気が付くと何故かルルカもいる

いつからいたんだろうか、ルッカの後ろで同じく泣いている


『ルルカちゃんはシュウザーが昔話始めた時に来たわよ』


ルッカがそう言うと目を真っ赤にして泣いているルルカが口を開く


『シュウザー可哀そうなのだぁぁぁ!父の為に頑張ったのだぁぁぁ!』


おいおい泣くだけ泣きにきたのかよ?

俺は大きく深呼吸してからシュウザーに近付いて術を唱えた


『グレンツェントヒール』


最上級である回復術を彼にかけるとみるみる傷が治っていく

実際シュウザーは重症で動いていたのだ、いつ死んでも可笑しくなかった


回復する彼の様子に一同驚く


『ねぇジャン!!!それ何!!!何!!!』


『先輩!!!それ何ですか!!!!どこで覚えたんですか!』


『それは最上級の回復術なのだぞ!どうしたのだ!』


ルッカにナッツそしてルルカが驚いている

シュウザーも・・ていうかこの場の全員が驚いているので俺は軽く説明した


『ノアが俺にくれたんだこれ・・・』


『ええええええええええええええええええええ!?』


全族長が驚くがお前らシルバと会ってるだろ?

慣れてないのか?

シュウザーが起き上がり彼は俺に近付いてきた

彼は構えることもせずにそんな彼を見ていた


『俺の負けだ、ジャムルフィンよ』


その瞬間に彼の体が発光した

いきなりの変化に俺は驚くがその光が俺に流れ込んできた


『先輩!』


『おい!』


ナッツとグスタフが大声でそう言うが何ともない

体が光るがなんだかこんな感じのどこかで・・・あ

ケインから加護貰った時と同じだ


発光が終わると俺の体のある部分が光った

俺の右手の甲には【7】という数字が浮かび上がった


ルッカが慌てて口を開く


『ジャン!?あんたもしかして!ステータス見せなさい!』


『ジャムルフィンよ!もしやお主!』


ガーランドも血相を変えて走ってきた

俺は自分のステータスを開示してみた


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ジャムルフィン・フォースター・セブンス(男18)武銀帝狼眼ブギンテイローガン




☆戦術スキル

槍術  【8】 槍の熟練度、恩恵により素早さが大アップ

銀の意思【7】 全ての身体能力が大アップ

体術  【6】 体術熟練度、恩恵により耐久力と素早さが中アップ

十天  【7】 全ての身体能力が中アップする

銀閃眼     特殊な銀弾を使うことが出来る

????


☆補助スキル

千里眼      遥か遠くの景色を見ることが出来る

俊足       速度が特大アップ

予見       相手の行動を感じ取ることが出来る

威圧   【大】 恐怖無効未取得の対象を確実に恐怖状態にする

我慢   【大】 耐久力が大アップ

痛覚耐性 【大】 痛覚を大軽減

努力の極み【中】 熟練度補正により上昇率が中アップ

気配感知 【中】 それなりに生物の気配を察知

魔力感知 【中】 体内の魔力の流れを感じとることが出来る

運    【中】 少し運がいい


☆称号スキル

賢者の加護【大】 消費する魔力・闘気を半分にし構築時間を軽減する

狼王の加護【中】 全ての身体能力が中アップ・呪い耐性が少し上がる

生還者  【大】 素早さが大アップ

解放者  【銀】 身体能力が大アップ

武人   【槍】 槍の熟練度が上がりやすくなり、恐怖無効

十天   【七】 第7位の称号・熱気・冷気耐性


☆技スキル(ステータスに表示されない部分)

狼撃破・銀の爪・残歩・シルバーバスター・シルバーダンス

銀超乱・銀彗星・銀狼乱舞・銀帝次元槍

グレンツェントヒール【光】


☆特殊技(ステータスに表示されない部分)

通常弾・強化弾・連射弾・狙撃弾・散弾(ステータスに表示されない部分)



・・・・・・・・・・・・・・・・・・



『ふあああああああああああああああ!!!!』


全員驚いている

父さん・・・母さん



俺はどうやらセブンスになりました


ナッツ『うわぁぁぁぁ!』

グスタフ『おまっ!?』

ルッカ『もう驚かないわ・・・うん』

ルルカ『お母さまに渡すのだ!!』


ジャムルフィン『なんで!?』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ