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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第6章 5000年の想いと国を賭けた聖戦
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42話 獅子の子① 

シュウザーの過去

『シュウザー、友達が出来たようだね』


『うん!そうだよ父さん!亀人族のガトって子さ』


とある獅子人族の集落にある家の中でシュウザーは一人っ子として生まれた

歳は7歳、ケインと同じサイズでありまだ彼が小さい時の頃だった


父の名前はオズワルド・アングラード

集落ではどこにでもいる普通の父であり普通の獅子人族であった


彼はシュウザーの頭を撫でてシュウザーに行った


『どんな友達でも大切にしなさい、周りは少し五月蠅いかもしれないが君は自由に選ぶんだよ』


『でも他のみんなは関りを持つなって・・』


シュウザーの肩を軽く叩いて答えた


『そんなの関係ないさ、シュウザーがしたいことをしなさい・・・他の者は考え過ぎなんだよ』


シュウザーは父の教えに従い集落から流れる陰湿な種族同士のいがみ合いなど気にせずガトを迎えた

シュウザーはガトの訪問に手厚く歓迎した、シュウザーの家は獅子人族の中心から離れていたためあまり他の種族の出入りがわからない場所に家があったのが幸いしたのだろう

これはガトがシュウザーを家に招き入れた後にシュウザー自身が家族を紹介したいとの懇願でガトが彼の家に行った話であった


『シュウザー、この果物美味しいね!』


『だろうガト!僕の母さんが裏庭で栽培した美味しい果実さ!』


テーブルの皿には新鮮な赤い果実、林檎やパインなど乗せられていた

美味しそうに食べるガトにシュウザーもテーブルでお互い美味しそうに食べてる最中

調理場から1人でてきた


『ガト君まだあるからね、喉に詰まらせたら駄目よ?』


『ありがとうございます、ベレッタさん』


ベレッタ・アングラード

シュウザーの母である、彼女は裏庭での果実栽培をしてくらしていた

父であるオズワルドは貯属した肉が無くなりそうになると狩りに出かけるのだ

そんな暮らしをしてシュウザーは暮らしていた、不自由ない家に生まれたのだ


『母さんも食べなよ!母さんの栽培した林檎すっごく真っ赤で美味しいよ!』


『あらあらありがとうねぇ』


ベレッタがリビングのソファーに座りそう口にした


暫くして夕方になる前にガトは家に帰ることにした

シュウザーはガトを玄関まで連れて行くとベレッタも気をつけてねと彼に言う

そのままガトを連れてシュウザーは亀人族の近くの森迄彼を送る

歩いている時に話をした


『ありがとうねシュウザー』


『いいんだよガト!何かあったら言ってね、誰かに虐められそうになったら僕が走っていくよ!』


『大丈夫だよシュウザー、本当にいい親だったね』


『僕の母さんだもん、父さんは狩りで目の前で紹介できなかったけどそのうち!』


『そうするよ』


そうしてガトを送り届けた後シュウザーは家に帰って母であるベレッタとソファーで甘えながら言葉をかわした


『シュウザー、良い友達ねぇ』


『そうだよ!みんななんで嫌うの?母さん?』


『そうねぇ・・・でも』


ベレッタは彼の頭を撫でながら答えた


『あなたは自由に生きるのよ?シュウザー』






その後三日後だろうか

彼のもとに獅子人族の長老会の者達数名が来たのだ

何の用事だろうと父のオズワルドも玄関に足を運ぶ


玄関から少し顔を出してシュウザーはその様子を見ていた


『オズワルド、あまりよろしくない種族と関わっている様だが』


獅子人族の老人がそう言うがオズワルドは不思議そうな顔で彼に答えた


『何かしたのか?国の決まりは守ってる、他の種族とは関わるなと言う絶対的な決まりはない筈だぞ』


オズワルドの言葉に獅子人族長老会の者達は顔を見合わせて頭を傾げた

そうはいっても関りを持つなと言う村の風習があるのだが決まりではない

シュウザーの父が口を開く


『別に昔はもう終わったんだ、好きに他の種族とつるんでも問題あるまい』


『獅子人族の決まりだぞオズワルド、お前はそれを破るのか?』


『1万年先もこの調子で行く気か?決まりは変える為にあるものだ、いつまで古臭い伝統を守るつもりだ?生まれてくる者達にそれを継がせることは無い、彼らは彼らなりの自由の感情で学ぶべきだ』


オズワルドは彼らの前で腕を組んでそう答えた

シュウザーも他の種族との関りは極力持つなと言う変な話は村の方で聞いていたが

子供の彼にはそれの意味がわからなかった


『何が5000年の過去だ、今はそんなの関係ないぞ』


『オズワルド、村の皆の考えをお主は無視するのか?』


『だとしたら皆が間違ってる、新しい命に過去を吹き込むような事は間違いだとな』


『お主の考えはわかった、だがそれでこの村では生きていけないぞオズワルド』


神妙な面持ちで長老がそう言うがオズワルドは首を傾げた

彼らが嫌味ったらしい顔つきで帰ってからはオズワルドは後ろを振り返りシュウザを見ていった


『お前らしく生きろシュウザー、周りに流されるな!どう生きたいかはお前が決めろ』


父のその言葉を今もはっきり覚えている



その後の生活は徐々に変わっていくこととなった

まず最初の始まりは村の様子であった


狩りから戻ったオスワルドはベレッタが用意してくれた夜食を皆で食べながら言い放つ


『皆いつもの様に話しかけてはくれんな、避ける様な雰囲気だ』


溜息を深く着いて彼が言う、焼いた猪の肉を頬張るとバレッタが答えた


『長老会から何か言われたのよきっと、気にすることは無いわ』


オズワルドは苦笑いする、まぁそうだろうと予想はしていたのだ

簡単に言うと嫌がらせだ

村との関係もこじれると言う警告に近いモノだろうとオズワルドは感じた


『父さん・・・』


申し訳ない面持ちでシュウザーは父に声をかけると彼は口に笑みを浮かべて話しかけてくれた


『お前は悪くないさ、大丈夫だ』


その後の嫌がらせの類は続いた

次に合ったのはシュウザーが8歳から入る学び舎への入学を拒まれた事だ

それにはオズワルドも怒って学び舎に抗議をしたが一向に理由を語らなかった


オズワルドが時間を作ってシュウザーを教育することにしたのだ

ベレッタと二人三脚で彼に勉強をさせた


シュウザーは学び舎に入れなかった事には残念だったが父と母

一緒にいれる時間が増えて心底嬉しい気持ちだった


勉強の無い日は森でゴブリン程度の魔物と戦い、シュウザーは父の様に強くなりたいと願った

そんなある時に国の中央にある広場に彼が向かった


気になったのだ、そこは他の種族が沢山いて唯一交流が持てる広場だ

そのような夢の様な場所があると父から勉強の休憩中に聞いた

シュウザーは森で特訓した後にそこに向かった

そして大いに驚いた、色々な種族が遊んでいる・・彼と同じくらいの子達がだ

ボールを使って遊んでる子、追いかけっこしてる子

狼人族や熊人族そして鼠人族や鳥人族といった種族がだ


シュウザーはその様子を見て羨ましかった

遠くからずっと彼らを見ていた、来る日も来る日も

でも彼は話しかけることはできなかった



父に迷惑をかけてしまうと言う別の感情が邪魔をしていた

他の子がシュウザーに怯えるんじゃないかと言う不安もあった

ずっと来る日も来る日も彼は見る事しかできなかった

そんな彼は父の夢を思い出した


『誰もが仲良くなれる国になればいいのにな』


父の言葉を思い出す彼の目には小さきガーランドとシャオやバウそしてシルフィーがボールで遊んでいる姿が映っていた



『なんで僕は遊んじゃダメなの?』


小さく遠くから彼はそう呟いた




獅子人族の村からの距離感や嫌がらせが続いている彼が家に帰ろうと玄関のドアを開ける時に中で声がした


『そんなこと言わないで』


『だが俺があんなことを言ったせいでシュウザーやお前に迷惑をかけてしまっている!俺が出ていけば終わるんだよ』


『あなたが出て言ったらあの子はどうするの?』


『・・・・』


『私は気にしてないから大丈夫よ、あの子のそばにいてあげてオズワルド』


シュウザーは知った

外だけじゃない



自分の家にも少し軋みが生まれていた事に

この瞬間シュウザーの心の隅に影が生まれた

ナッツ『あれ?ガトさんそんなシュウザーと会わなかったって・・』


バルト『隠していたのか・・・』

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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