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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第6章 5000年の想いと国を賭けた聖戦
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37話 国を賭けた聖戦⑥ 希望を信じて戦う者達

ガーランド『どんくらい時間稼ぐするのだ?』

ナッツ『考えてない!』

『ニャーーー!!!』


『フッ!!!』


シャオが細剣を握りしめてとびかかるとシュウザーは思い切り吸った息を吐いて彼を吹き飛ばした

猫人族の身長は人族よりも小さい、シャオが一番大きい方であるが彼は130㎝あるかも怪しい

シャオの部下5名は100㎝すらあるかわからないくらいの身長だ、そんな小柄な体格はシュウザーの吐く息だけで吹き飛ぶのだ


シャオと部下たちが後方に飛ぶ


『なんでニャー!!』


『対格差を考えろシャオ』


シュウザーがそう吐き捨てると彼の足に痛みが走る

下を向いた


『化け物めが!』


鳥人族の衛兵長ファルカの槍がシュウザーの太ももに刺さっていた

だがあまりにも強靭な筋肉により深手を負わなかったシュウザーは彼を攻撃しようと剣を振りかぶろうとしたら前方からチェスターが拳で殴ってきた、彼の拳がシュウザーの胸部を殴りつけた


『グオッ?』


『やけくそだぁぁぁ!!』


チェスターが大声で叫ぶ、シュウザーは直ぐにフェルカを蹴り上げた

直ぐにチェスタの顔面を全力で殴ると突進しようとしていたバルトに吹き飛んでいき2人仲良く飛んでいく


シュウザーは地面を掴んで砕いた

彼の手には砕けた石が握られていたがそれを勢いよく投げると彼に襲い掛かろうとしていたガーランドや他種族の部下に命中してそのまま倒れていく


ナッツとグスタフは石を投げるタイミングに合わせて全力でシュウザーに飛び掛かっていたのだが突然シュウザーが口を閉じ頬を膨らませた


『え!?』


『なんだぁ!?』


その瞬間シュウザーは声を発した


『プッ!』


瞬間的に息を吐いて圧縮された空気の球を放ったのだ

肉眼でも見えるほどの空気の塊、こんな芸当も彼はやってのけた


狙いは空中に飛んでいたナッツだった


『く!!』


ナッツは必死に受け流そうとしたのだが剣に触れた時に剣を通り抜けた

飛んでくる物体は空気

受け流すことは出来ない


グスタフの横にいたナッツが彼の視界からすぐに消えた

後方の壁に何かがぶつかる音が聞こえたがグスタフは見る暇もない


『てめぇ!!!』


『貴様はもう闘気が無いであろう!!!さがれ!』


グスタフは何か来ると思い緊張が走った

自然と身を低くしてシュウザーに突っ込むとグスタフは右手に闘気を溜めていた

その様子に少し驚くシュウザーであるが彼も同じく右腕に闘気を込めた


『よかろう!本物を見せてやる!鬼無双!』


『鬼無双ぉ!!』


最後の力を振り絞ったグスタフの渾身の鬼無双

シュウザーも同じ技を使用したのだ、勿論グスタフのより遥かに大きいが彼は臆せずそのままシュウザーの鬼無双とぶつかる

残念だが拮抗すらしないまますぐに押し負けてグスタフは体全身でシュウザーの鬼無双を受けてしまい地面を転がりながら一番後ろまで吹っ飛んでいた


動かない・・・死んだのだろうか、だが彼のタフさは筋金入りだし死にはしないだろう

シュウザーが向かってきた獅子人族の兵を斬った後に口を開いた


『いつまで続ける気だ?貴様等の勝機は無いぞ?』


その言葉を聞いても立ち上がる者達がいる

弱々しく皆立ち上がった

ガーランド・チェスターにバルトそしてシャオ

ナッツとグスタフは立ち上がろうとしているが上手く力が入らない様子だ


ナッツの怪我の具合が悪そうである、彼に頭部から血が流れだして髪の毛を赤く染め上げていた


『ナッツ・・・』


『グスタ・・フさん・・』


そんな声を掛け合っている時に後方の扉が開いた

その部屋の者全てが視線を送るとそこにはシルフィーと部下2名がいたのだ

どうして戻ってきたのだと考えるのだがそこまで考えている余裕は全員なかった



あるのはただ1人

シュウザー


『何故戻ってきたシルフィー?貴様もここを最後にするのか?』


シュウザーの言葉を無視してシルフィーは無言で扉から飛んだ

彼女は向かった先は倒れているバウである


着地してから依然動かない彼に声をかけていた


『・・・バウ?』


シルフィーの声に反応はしない、何度も声をかけてもゆすっても何をしてもだ

彼女の目から涙が零れる

シュウザーがそんなやり取りをみて口を開く


『まだ生きてはいるがもう戦えぬであろうな、馬鹿みたいに向かってくる熊めが』


『シュウザー!』


シルフィーが彼に襲い掛かった、武器も持たずに飛び立ち彼に向かった

その光景にシュウザーは困惑した、彼女がシュウザーを殴る

細い腕で何度も顔を殴るが彼には効いていない


『よせ・・・』


シュウザーの言葉も無視して殴り続ける

まるで子供がじゃれているかのように見えるその状況に皆は彼女を助けようと立ち上がるが足に力が入らない、ダメージを受けすぎてまともに歩けないのだ


シルフィーの部下も彼女に続いて剣で攻撃するが軽く手ではたかれて地面に落ちていく


『目障りだ!殺されたいのかシルフィー!』


『キャ!!』


彼女を軽く叩いて階段下まで吹き飛ぶと1人動き出した者がいた

倒れていた筈なのにシルフィーの悲鳴にビクンと体を反応させた

思い切りその獣は立ち上がり鬼の様な顔でシュウザーを睨みつけて大声をだした


『俺に女に何してんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』


地面を踏みつぶしながらシュウザーに走っていく

シュウザーはとても驚いていた、何故動ける?何故走れると?

隙を作ってしまいシュウザーはバウのぶちかましにより玉座の後ろの壁に押し込まれた

凄まじい音をだして壁が砕けた


『ぐお!!虫の息の癖にどこにそんな余力を』


『俺の女ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』


壁にめり込んだシュウザーに追い打ちで鬼無双を繰り出して顔面を殴る

まるで巨人が戦っているかのような様子に皆あっけにとられていた

何度も殴るバウだが全ての攻撃を両腕でガードしておりシュウザーは足を上げてバウを蹴り飛ばした

飛ばされた方向にシルフィーがいたため足で踏ん張る

地面を抉りながらであるがギリギリ彼女の手前で止まった


『ぐ・・シルフィー!!』


バウは後ろに向いて彼女を抱き起す

意識があるらしく怪我も重大ではなかった


『シルフィー、さがっていろ・・・』


『まだ動けるのね・・・でも無理し過ぎよ?』


深い溜息が玉座から聞こえた

シュウザーが首を傾げて口を開く


『やれやれ、俺はキューピットか?ふざけるのもいい加減にしろ』


グルルルと喉を鳴らし獲物を狙う獣の様な顔をするシュウザー

そうしていると扉からまた現れる者がいた


『くそ!怖いけど!怖いけどやるしかないっチ!あとでガーランド達に謝ればいいいッチ!』


『地獄絵図とはこの事か・・・く・・・・』


チュリオとゲイルだ、彼らの部下もすぐ後ろにいた

膝をついていたガーランドが目を大きく開いて口を開いた


『ゲイルにチュリオ・・・』


『・・・ごねんッチ・・・ガーランド、過呼吸になりそうっチ・・・』


『生きてたら、やることが増えるな』


チュリオとゲイルがそう言いながら武器を構えた

ゲイルが大剣、チュリオが鞭であった

ガーランドが立ち上がる、バルトもチェスターもバウもファルカもシャオもシルフィーもだ


8種族の族長がシュウザーの前に歩き出し階段の手前で止まった

いがみ合いにより分裂していた種族が今協力して本当の敵を前にし並んだ

ファルカが口を開く


『シルフィー様、我にお任せを』


『そうね・・戦いはあなたに任せるわ』


ファルカはシルフィーに軽く頷くと彼女は後ろに下がる

続いてガーランドが口を開いた


『チェスターにゲイルそしてチュリオよ、生きてたら宴会でもしよう』


その言葉にゲイル・チュリオ・チェスターが答えた


『謝罪したらバウと酒を飲んでみたいな、どこまで俺についてこれるか心配だが』


『来たけど何していいかわからないっチ!』


『くっそが・・・こうなるなんてなぁ』


シャオがジャンプしながら口を開く


『終わったらみんなで仲直りするニャ!仕方ない事なのニャ・・・』


『まぁ騙されていたんだぞ?仕方ないさ、これから共に頑張ればいい』


『まぁ、まだ信じられねぇが・・・先ずはこの状況だな』


シャオとバルトの言葉にチェスターが返事をするがその通りだ

この場に全員がかかっても勝てるとは思えないくらいの強さである

それほどまでに獣王シュウザーは強い


彼は十天の第7位なのだから単純に考えると世界で7番目に強いのだ

こんな獣王は記録には無い、シルバに届くかもしれない強さであるが実際そのシルバがどの程度強いかも伝説上の獣王なので皆知らないのだ


シュウザーが玉座より前にでて彼らを見やる

1人ずつ見定めていたがチュリオ以外は真剣な目で獣王を見つめていた


『これが・・・・・ふ、面白い光景だ・・だが勝てる見込みは無いぞ?希望の小僧はじきに死ぬ』



『先輩は戻ってきますよ!!』


そう言ってナッツがよろよろと前に歩いてきた

彼は歩きながら続けざまに言う


『先輩が戻ってくるまでお前を抑える、それしか希望がないんだ』


その瞬間シュウザーは威圧を放った

それにより突風が巻き起こり部屋にいる者全員が足が動かなくなった

ガーランド達は驚きのあまりに固まってしまう

これがガウガロ最強の獣王が為せる重圧であった


『ぐ・・・おお!!くそったれぇ・・・』


バウだけは少し動けるらしいが他の族長は苦しい顔をしていた


『これが差だ、俺には赤子の相手にしか見えんのだが?それでもくるのか?』


声も出せない、グスタフもあまりの威圧に膝をついて悪態をつく


『せめて上級職になってれば・・・くそが!!』


歯を食いしばり立とうとするが体中震えて立てない

他の族長もこの威圧を解こうとするがバウ以外無理であった

その状況を見てシュウザーが2本の剣を構えて言い放つ


『俺の野望成就の為にここで終わらせてやろう』


彼が姿勢を低くして突っ込もうとしている時に全員が思った

このままでは確実に全員死んでしまう

俺達は時間稼ぎすらまともにできないのかと悔しい気持ちになっていた


『くたばれ』


シュウザーが言葉を発した瞬間に彼は雷に飲み込まれた

頭上から天井を貫いて雷が落ちてきた、いきなりの出来事にシュウザーも反応出来ずに雷に飲み込まれてしまう


『ぐあぁぁぁぁ!』


砂煙が再び舞う、シュウザーの威圧が消えたが彼はどうなったのだろうか

そう皆が心の中で思っていたが舞い上がる砂煙が玉座から吹き込む突風によって空中に舞い上がった

シュウザーは生きていた、彼の吐いた息で砂煙が消えたのだ


『ぐ・・・何者だ』


扉が勢いよく吹き飛んできた

その扉はシュウザーに向かって飛んでいくのだが彼はそれを剣で真っ二つにして後方の壁に激突した

扉はもうない、無いと言うよりも何かによって破壊された感じだ


その正体は直ぐにわかった


『ほう?ここまで強い獣王は見たことがないが・・・貴様がシュウザーか』


『お前は・・・まさか・・・何故・・・』


シュウザーが在りえないと思うような言葉を発した

破壊された扉からシュウザーの倍大きな獣がこの部屋に入って来た

ゆっくりと一歩ずつ踏みしめる様な感じで、シュウザーよりも更に大きい存在

10mもある巨大な灰色狼の姿を見た者達は口を大きく開いて驚きを見せる

シャオが失禁してしまいチュリオが気絶して倒れた

その姿をみたガーランドが涙を流して口を開いたのだ




『あぁ・・・ゼファー様』


『久しいぞ、ガーランド・・・少しお前ら邪魔だから下がっておれ』



シャオ『よかったニャ!下半身の服は着ないから濡れなかったニャ』

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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