31話 十天の第7位 シュウザー・アングラード・セブンス
チェスター&鼠人族族長『どうしようか』
『俺は貴様らの感情を表に出してやろうとしたのだぞ?』
シュウザーがそう言いながらニヤリと笑う
その瞬間にゲイルがガーランドに問いかけた
決心がついたのか・・・頼みごとをしたのだ
『・・・ガーランド、すぐ解消される問題じゃない・・・だが長い年月をかけて謝罪をする、我が一族を助けてくれ・・・こうなるなんて思わなかったんだすまない・・・俺は先祖のためにと持たぬ感情を持ち始めそして奮い立ってしまった』
『ゲイル』
『軽率だった・・言い訳だが過去にこだわった人生であった・・昔の為に動いた結果こうなるのか・・・』
『こいゲイル、俺たちはお前を軽率に扱わない』
ゲイルがその言葉に涙を流すとか彼の部下も口を開く
『ゲイル様、あなたに従います・・・ガーランド殿でしたら無下にしたりしないでしょう』
『そうですぞゲイル様、仲間も説得すれば納得してくれますぞ!』
そう言いだす部下にゲイルは口を開いた
『お前らはいいのか?今まで過去が原因で距離をとってしまった種族達と手を取り合う気があるのか』
ゲイルの言葉は無駄な者だった
彼の部下が直ぐに返事をする
『私たちはあなたの意思そのものです、実際ガーランド殿も助けようとしてるじゃないですか』
『決断しろと言われたら私どもはガーランド殿に着く覚悟はあります』
『・・・俺だけが遅れていたのか』
ゲイルは涙を拭いて弱々しい面持ちでガーランドを見た
族長に相応しくないようなか弱い様子でだ
先ほどまでは堂々とした威圧を放っていた蜥蜴人の族長がこんなにも変わった
『俺はまだ死ぬわけにはいかない、虫が良い話なのは重々承知だ・・・助けてくれガーランド』
その声を聞いたガーランドは彼を掴み後ろに移動させる
ゲイルは俺たちの近くで目を丸くして固まっていたがすぐにガーランドを見る
そんなガーランドが口を開く
『今日から同志だ、そこにいれば殺されずに済む』
『・・・・』
ゲイルは言葉にならない様だ、彼の部下もゲイルの近くで彼を守る
その様子を見て虎人族のチェスターは大声で叫ぶ
『ゲイル!てめぇ・・・』
『チェスター様、もうやめましょう・・・今は過去なんてこだわっている時ではありません』
『私たちがあなたを逃がすための殿の覚悟は出来ています』
『おめぇら・・・だがあいつらの一族のせいでガウガロは・・』
チェスターはまだ折れないらしいが俺はそれでも動かないシュウザーに不信感を覚えた
殺さない?いや最終的に全員の選択を聞いてからだろうと思った
一番後ろにいた俺は無言で前に歩き出した・・・その行動にグスタフもナッツも
そしてシャオ達も何を始めるのかと横を通る俺を見てきた
『人族か』
シュウザーが呟く、俺は階段の前で止まる
そのまま口を開いた
『シルバ・シルヴァ!』
銀色の狼気が俺の体から放出されて風が巻き起こる
その風は狼の遠吠えの如き音を出し、その狼気は狼の等に俺の周りで暴れまわる
そこにいる全ての者が異様な光景に固まってしまう
『・・・貴様、それは一体・・なんだ!!』
シュウザーが驚く玉座から立つと俺はそのまま彼に答えた
『言い忘れていた、俺はジュムルフィン・フォースターだ・・職は魔天狼の道を歩む者、シルバの為にこの国を守るためにここに来た・・彼は裏切者じゃないぞシュウザー』
『シルバ!?』
『シルバだと!』
そんな声が聞こえるが俺はシュウザーの反応だけを見ていた
彼は目を見開いて俺を見ていた、彼の持つ両手の剣が震えていた
怯え?違うな・・・強者がそんな事するはずない
『凄いニャあ!あんな闘気初めてみたニャ!やばいニャ!』
『あらまぁ!初めて見たけど彼もシュウザーと同じ強さの様ね』
シャオとシルフィーの声だった
俺は直ぐにシルバシルヴァを解除した、10秒ちょい使っちゃった
使用できるのは残り50秒か
俺はそのまま驚いていたバルトやガーランド達にも声をかけた
『あとは任せろ・・・、ナッツ!グスタフ!』
『はぁでかいなぁ』
『まぁ生きてりゃうまい飯食うか』
俺の声で2人も前に出て来た、と言うよりすでにもう後ろにいたのだ
用意が早くていい・・ここからは俺たちの番だろう、希望を持たせるのだ
『ガッハッハッハ!!!愉快だ!愉快だぞ人族!いや・・ジャムルフィン』
腹を抱えて笑い出すシュウザーだが彼は落ち着くと直ぐに信じられない言葉を発した
『世界最強の職にしてはまだ寂しい闘気だな!だが俺と同じ高さに立つ者か』
『そうだ、お前の企みは何だシュウザー!』
『知りたいのか?面白い物を見れた事だし良いだろう、表上だけは教えよう』
彼は地面に刺した2つの剣を抜いた
全ての者に緊張が走る、バウ達熊人族に鳥族の衛兵長ファルカ達も前に出て構えだした
バルトはゲイルの前に立ち彼を守るような位置につく
するとゲイルはバルトに声をかけた
『バルトお主』
『過去にこだわるなんて面倒なもん捨てて新しく始めよう、お前の部下はもう準備出来ている・・戦闘になったらゲイルを連れて逃げろよ?』
『承知しましたバルト様』
ゲイルの部下が彼の言葉に返事をするとゲイルの腕を両方から2人か掴む
残りの3人は正面でゲイルを守る形だ、その様子にゲイルも少し戸惑っているが今は逃がすことが優先だ
『未来のために死ぬ覚悟も出来ておるか、素晴らしいぞガーランドよ・・・それに比べてこちらの種族は獅子人族や虎人族が武の象徴の癖に怯えておるわ!』
シュウザーがそう言うとガーランドにバウ。そしてバルト
彼らの部下たちも前に出て来た
シュウザーがその様子を見て首を曲げて骨を鳴らして口を開いた
『よかろう、ここで終わらせたいようだな?臆病者の種族はそこで見ていろ!!なっただけの族長共めが!』
鼠人族や虎人族そして獅子人族を見て彼が言う
獅子人族約50名は固まって動けずにいる
そしてシュウザーは俺たちに視線を向き直して言い放った
『先ずは貴様等の為の聖戦を始めるとしよう!俺を止めれるか!?十天の俺を!貴様らを葬ったのち裏切ったゲイル諸共殺しつくしてくれるわ!!!!!』
『獣化モードォォォォ!!!』
バウがそう叫ぶと筋肉が膨張して着ていた鎧が壊れて大きくなった
3mあるだろう巨躯になった彼はもはやただの猛獣、4本足でシュウザーを睨みつけた
バルトも同じことをしたのだろう、彼も大きくなり来ていた服が破けてただの獣と化した
角が更にデカくなる、彼も4本足になる
『シルフィー!ゲイルを外に連れていけぇ!!!』
ガーランドの声でシルフィーは慌ててゲイルを誘導して外に逃がそうとするとシュウザーが動き出した
『逃がさんぞ?ゲイル』
彼が足に力を入れようとしたタイミングで俺はシルバシルヴァを発動して銀彗星で音速を越えた加速をしてシルバーバスターを彼の顔面にぶつけた
『ぐお!!!!』
シュウザーは爆発に巻き込まれて玉座を倒しながら後ろの壁に激突した
壁にめり込んでも彼はそのまま俺を見つめていた
ゆっくりと壁から出てきて歩いてきて俺に口を開く
『話など面倒!聖戦の始まりだ、死にたい奴からかかってこい!十天の力見せてくれようぞ!!!』
その声と共に覚悟を決めた者たちは彼に走りだした
グスタフ『始まるぜぇぇぇぇぇ!!!!』