26話 獣王謁見の地へ
ルルカ『獅子族を獅子人族に修正するのだ!』
グスタフ『その人ってつく理由はなんだ』
ナッツ『知能を持って2足歩行を主にする種族ですよ』
グスタフ『簡単じゃねぇか』
ナッツ(わからなかったじゃん・・・)
『できたぞ!』
ガーランドが8種族の同意書をまとめて上に掲げた
そこには先ほど到着した猿人族のベベルも来ていた
彼は完成された状態で持ってきてくれたので到着後すぐに8枚が集まった
『ワシも国の一大事となると恐ろしいが見逃す訳にはいかんのでのう』
猿人族ベベル、全ての族長の中で最年長である
約300歳、今年中には次の族長を選ぶらしいがこれを乗り越えないとそれもできない可能性がある
『一応遺言書は部下に渡してこちらに来た、先が短い老いぼれじゃ・・・多少恐怖心も楽じゃ』
まぁ反対の意思を持って獣王に合うんだ、どうなるかわからないからな
止める為に向かうのだから彼には恐ろしいと思える事なのだろう
『そろそろ向かう準備をしよう』
深呼吸をしながら彼が答えるとバルトが直ぐ口を開く
『お前はどっしり構えていろ、何が起きても落ち着けよ・・・な』
『わ・・わかっている』
少しガーランドが動揺した様子でそう答えた
バウもシルフィーもベベルもシャオも自分たちの種族の精鋭が到着して説明をしている所だ
バルトは部下に説明は終わっている様で彼の部下5名は腕を組んで命令を待っている
各種族から5名の精鋭を選ぶことにしていた
今いる種族は狼人族・熊人族・鳥人族・猫人族・猛牛人族・猿人族の6種族
30名の精鋭に6人の族長、そして俺達3名の計39名
ルルカ&ルッカはこの狼人族の集落で雷狼と待機だ
バウは俺達に近付いて来て確認の為に口を開く
『止める場合になった時は頼むぞ、ジャムルフィンよ』
『わかった、未知数な相手だがやってみよう』
俺達は獣王シュウザーに会った事が無い
話ではどんな姿か聞くが本当にそんなでかいのか
『強さが体に表れるってぇのは猛獣系らしいな』
グスタフの言う通りかもしれない
基本大きさは強さの表れだ、バウの身長もちゃんと測っていないのだが2m以上は楽勝に越えている
彼強いんじゃないのか?それでもバウは俺に任せると言っていた
多分俺の方がいいんだろうな
『あの能力爆発技でギリギリか・・・』
『ですが槍術が上がったのでもしかしたら五分の戦いかもしれません、絶対に長引かせてはなりません』
俺の言葉にナッツが返す、今ならわからないな
『無理しちゃ駄目よジャン』
ルッカがそう言ってくるので俺は何か安心させるような事を言わなければならないのだろう
考えた答えがこれだった
『これが終わったら一緒に寝よう』
『それどこかで聞いたセリフよ』
クスリとルッカが笑うとルルカを連れてクローディアさんのもとに向かうべく食堂を出る
多分ケインの家だろうな、ルルカも食堂を出る前にグスタフとナッツに何か言っていたが
食堂を一度出て全員でいつでも謁見に迎えるように狼人族の集落の広場に集まっていた
そこには他の狼人族の民の見に来ていた
彼らも何が起きるかはわかっているらしい、重い空気をしている
ガーランドは立ちながら目を閉じて静かにしている
決心でもつけているのだろうか
『今回はデカいのはお前に譲るか、他の邪魔者がいたら対処しとくぜ』
グスタフが俺の目の前に来てそう言い放つ
その役目は彼に任せることにしよう、気兼ねなく獣王と戦える
戦う事態にならない事を全員で祈るしかないな
『判断はバルトさんに任せましたが2人と頑張って頭働かせますね』
『頼むナッツ』
3人で何かを話そうとしても殆ど俺たちはその場の状況で動くタイプだ
『言って細けぇ事は決める』
これだよ、グスタフがそう言っている
わかっていたからいいが
『熊のおっさん!反対派で手強いのは誰だ』
グスタフの声にバウは考える様子も見せずに即答した
『虎人族と蜥蜴人族だ、勿論だが獅子人族もだ』
『あんたはどう考えてるんだ?』
『俺は虎野郎をやる、お前は蜥蜴人族を対処しろ・・・獅子人族はガーランドとシャオのとこで対応する、シルフィーは鼠人族だ』
『あいよ』
2人の会話もまとまった様だ
反対側ではナッツは鳥人族の精鋭と話していた
『やはり来ますよねファルカさん』
『当たり前だ、俺は鳥人族最強の戦闘員であり衛兵長だ・・・出遅れるなよ?ナッツ』
『シルフィーさんの武があなたという事ですね』
『いかにも』
紳士らしく一礼をしてファルカという鳥人族の衛兵長はそう答えた
彼は・・・鷲か
鳥人族は色々な種類の鳥で溢れているのだ、鳥の種類は多い
シルフィーはシマエナガと言う白い鳥種らしい
武の象徴か・・・鷲にはお似合いだな
『他の4名の精鋭は鳶種だ、戦いの為に生まれた我が種・・・ここで使う時がきたか』
彼の羽毛から腕が出て来た、やっぱり羽毛の中で腕組してるんだな
ファルカは部下から槍を受け取っていた
彼も槍を武器に戦うのだろう、他の4名は刀という珍しい武器だ
『我が家系の槍である残槍黒鵙だ、純正のエイジ鉄でできた我が友である』
穂(刃)の部分銀色に黒色が斑模様で入っている槍だ
穂が緩やかなジグザグ形状になっている、突かれたとしたらその部分がズタズタにされそうだ
俺の槍より恰好い・・・いや俺の紫林檎の方が見た目はいいぞ!
武器のランクはそっちが上だけどな!!!
そして気配感知でもわかっていたのだがこのファルカ凄まじく強い
『時間だ!向かおう』
ふとガーランドの声が響いた、彼は閉じた目を開いていた
その声で一斉に馬に乗り出したので俺達も乗る
『戦わなければそれが一番だ!だがもし最悪な状況になったら・・・言われた種族を抑えてもらう』
バルトの言葉で族長達が頷く
最悪な状況の場合はまとめよう
鼠人族に鳥人族とを
蜥蜴人族にグスタフと猿人族を
虎人族は熊人族を
亀人族はこの場合は降りると口約したので大丈夫だ
彼は嘘はつかないとガーランド達が言う
そして獅子族が狼人族とナッツ
獣王シュウザーが俺だ
バルトの予想ではあちらも数は少ないだろうというのと精鋭を連れている可能性は低い
理由はわからないが彼はそう力強くそう言ったのだ
『行くぞ!!!』
ガーランドの声で一斉に馬が走り出す
向かう場所が獣王シュウザーがいる場所
獣王の神殿だ、小さな山を削り作った丘の上
ガーランドから俺は聞いた
昔は別の名称だった
いや・・・それが正しい名称なのだ
とある獣王が退位後にその名称は毛嫌われて名前を変えたのだ
その名称の由来を彼は静かに話した
5000年前、シルバが獣王に君臨した時の光景を名にしたものであった
玉座に座るシルバを称え狼人族がその丘を埋め尽くす光景は圧巻であった
そして丘がシルバの狼気により銀色で染まったという伝承があったと言う
獣王の神殿の本当の名は
銀色の丘
グスタフ『だから銀色の丘なのか』
ナッツ『唄の作り方は謎ですねぇ』