8話 【父の気持ち②】
父は偉大なり
『・・・・ふっ・・・うっ・・』
足が震える、我ながら情けないくらい体中震える
痛み、激痛に耐えているし力がそんな入らない
父さんは近く迄、近づいてくる
そして槍の石突をトン!と地面に付け話しかける
『冒険するもしないもお前が持っていなければいけない物を教えてやらぬとな』
俺は意識を保つことに必死だ、堪える
『お前はこの先必ず必要になるだろう・・・1人で冒険するつもりか?ナッツ君もくるだろうな、お前にぞっこんだ!ナッツ君がお前の話を自分の事の様に話しているのを見ると嬉しいよ、俺は息子を誇りに思っている・・・人あたりが良いのだろう、だがな』
父さんは槍で俺の肩をトントンと叩く
『お前が主軸になる旅だ・・・お前は背負う気があるのか?もちろんルッカちゃんもきっとついていくだろうな、お前が心配なんだ・・・背負えるか?責任を?共にいつ死ぬかわからないような旅に守り切る自信はあるか?』
俺は口だけは動かせるはずだった
ただ聞いていた、聞かなければいけないと思った
責任か・・・とるような状況を作らないように
俺はしていた・・・・
俺は
逃げていた
いや違う
逃げていたんじゃない
必要ないと思ってそれを必要とせず意識をしていなかった
俺は強くなりたかった
誰よりも・・・・
たまに地方からくる村のヒーローショーを俺はルッカと見ていた幼き思い出を思い出す
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『ねぇジャン・・・あなたも英雄みたいになれそうよね!』
『なれるかなぁ?格好いいよね!』
『カッコよくなくてもいいんじゃない?何かの為に必死になれれば私はその人をヒーローだと思うのっ!』
何かの為に必死に
何かの為に必死に
何か・・・誰か・・・
誰かの為?自分の?自分の為
カッコよくなくても・・・・
俺は必死になったことが・・・あっただろうか・・・・
なんとなくできそうだからやる
とりえあずやってみる、そんな感じだった
槍は誰よりも上手くなりたいと思った
槍さえあれば・・・
そこから何かが生まれると思っていた
誰かに為に?
思い出の中の世界がモノクロで止まる
だが目の前の
人生で一番信用してもいいと思える少女は俺に語りかける
モノクロの世界で少女だけ色を取り戻していく
『ジャンっ!』
俺はその少女を見る
俺は、父さんにボコらた状態の姿になっていた、少女は変わらない
『・・俺は、強くなるきっかけが欲しかった・・・でも』
少女は無言で俺の頭を撫でる、少し少女が3歳くらい成長した気がした
『ジャン!できない事をやり始める事から全てが始まるの!』
できない事から・・・・
『ジャン!やり始めるから何かが見つかるの!』
少女はどんどん俺の今知る・・あいつに近付く
『ジャン!大きな夢は大きくなってからすればいいの!』
少女はルッカ、人一番うるさく俺に色々世話を焼いていた幼馴染だ
ルッカは言う
『できない事に・・・必死になるのもいいかもね!あなたらしいじゃない!私は見とくからさ』
ははっ・・・カッコ悪いじゃないか(笑)
できない事を頑張る・・・か
俺は難しく考えるのをやめようと思う
『でもねジャン、昔の約束は守ってほしいかなぁーとか!』
その瞬間に現実に戻る
まだ心は目標にハマってはいない
ハマリかけている
俺はうつむいた顔を上げ父さんを見る
父さんはギョっとして距離を取ろうとした
俺は魔滝の事を忘れて渾身の一撃を放つ
強者と対峙する時
稀に取得済みの技スキルから派生して技を覚えることがある
俺は頭に流れたその技を瞬時に理解し
バックステップした父さんの着地を狙い突っ込む
『たぁぁぁぁおれろぉぉぉぉぉぉ!!!!!ランサーバスタァァァァァ!!!!』
父さんが俺の攻撃を受け流そうと俺の槍が当たった瞬間
当たった場所からでかい衝撃波が放たれた
デカい音だった
近所迷惑必須である
ルッカちゃんとは丁度良い距離?を置いている主人公ですね