12話 宴会の様な食卓
バウ『酒』
『乾杯だぁ』
『『『先に光あれ!乾杯!』』』
バウが元気よくグラスの酒を掲げるとテーブル席についた獣族達は目の前のグラスに入った飲み物を高らかに掲げ彼に続いた
食堂も満杯だ、狼人族も熊人族も鳥人族そして猫人族の者も大勢いた
40人くらい入りそうな食堂が人で埋め尽くされている
夜食の時間になったら他の種族の者も来たのだ、ただの夜食なのだろうか
テーブル席には俺達が狩りで得たイノシシ肉を使った料理も並んでいる
猪鍋か、野菜もちゃんと入っている
サラダもそうだし何というか沢山種類がある
俺のテーブル席には俺の仲間達だ、隣にルッカとナッツ
正面にグスタフとルルカだ
『さぁジュムルフィンよ!続きダゾォォォ!』
『こら待てバウ』
バウが前の席から走ってくるがガーランドに首根っこを掴まれてしまう
自分より身長が高いバウの首根っこか、バウは2mはあるだろう
ガーランドはグスタフと同じくらいか・・・180くらいだろう
『いいではないか・・・』
『まぁ待て、まずはこの者達の紹介だ』
そう言うとガーランドは立ち上がり口を開く
その言葉をその場にいる全員が彼に視線を向けた
『皆の者!今日は急だが集まってくれて嬉しく思う』
全員静かに彼の言葉を聞く
『今回我が息子を助けてくれた人族の歓迎の食事会でありそしてあの雷帝様からのお言葉を頂いたのだ!それを皆にそのまま伝えよう』
『雷帝様だと・・』
『あの伝説のお方が』
『おお・・雷帝の加護に感謝だ!』
そんな言葉が聞こえる、ゼファーが一体何をどう言ったのだろうか
俺達も気になり彼に視線を送る、再びガーランドは話だした
『貴様たちが変わる時が来た、時代の流れを認めそして魔天狼に選ばれ人族と手を取るが良い・・・そして覚悟を決めよ!時代に飲まれて消えるか・・・新しい時代に為に進むか決断の時だ!』
ガーランドは力強く話し拳を強く握り上に振りかざす
彼の言葉を聞いていた者達も同じく拳を上に掲げた
『無理強いはしない、だがこのまま終われないと思うものは力をかしてほしい!』
掲げた腕を降ろす者はいない
その光景をみて再びガーランドは口を開く
『一旦下げようか・・・』
そう言うと周りから笑い声が聞こえる
多分どう話を持っていくか迷って一旦切り替えようとしたのだろう
ガーランドは頭を掻いて笑っている
『紹介しよう、人族のルッカにルルカそしてナッツとグスタフ』
名前を呼ばれると皆軽く頭を下げる
グスタフがさげるのか・・・さげるのか・・・
『そして最後に雷帝様を苦戦させたと言う男がいる』
『何だと!?!?』
『あの規格外をぉ!』
『見ただけで失神しそうになるのにか・・』
皆驚愕の表情をしていた、そんなに凄いのか
でも苦戦と言ってもゼファーは本気じゃなかった、本気だけど違うのだ
本人には肉体能力のみだと聞いたがそれでも底知れぬ強さを感じたのだ
『ジャムルフィンよ立つが良い』
俺は言われるまま立ち上がると皆が俺を目を丸くして見ていた
ちょっと恥ずかしい、隣のルッカは口を塞いで笑っている
グスタフを見ると目を逸らされた・・・笑っている
『この者はシルバ様しか得られなかった職、摩天狼の道にいる』
『『『ええええええええええええええええええええええええ!!!』』』
何人か目が飛び出している様な感じでテーブルから立ち上がり驚いている
残りはなんか固まっている
その光景をシルフィーやバウそしてケインは笑っていた
『本当だ!だから雷帝様は苦戦したのだ、しかもまだ第2の道でだ』
ガーランドの言葉で周りがざわつきだす
ナッツはなんか隠れて飯を食っている
後で罰だな、グスタフとの特訓だ
『人族代表よ。一言お願いする』
食堂の正面を指さす彼に俺は答える為に恥ずかしいが前にでた
正直こういうスピーチを求められるのは苦手だ
だけど何か言える自信があった、理由はわからない
さっきから体がポカポカしてくる
気持ちいい、ムラムラしてきた
『クシュン』
ルッカがくしゃみしてる
俺は深呼吸するとガーランドに了解を求めることにした
『良いんですか?』
『よい、好きな言葉を』
ルッカが口パクで頑張れと言っているのがわかった
グスタフは真顔だ、こんな時に笑わせようとするな・・・
俺は口を開いた
『意識の中でシルバと話しました、今は職の一部となり俺を助けてくれています・・・』
色々小さな声で何か聞こえるが俺は続けて話すことにした
『ガウガロにケインを届けたら危ない状況と聞き俺たちはこのまま帰る訳にもいきません、ケインの為にもこの状況を何とかするよう協力することにしました』
ガーランドが腕を組んで頷いている
彼が話を続けよというような仕草を見せ俺は口を開くことにした
『まだ介入したばかりですが今のガウガロを変える為の力になろうと思います、ガーランドさんみたいに力強い言葉は言えませんが』
俺は再び深呼吸をしてシルバシルヴァを発動した
ドンッと音を出して食堂に俺の銀色の狼気が風となり部屋を舞う、狼の形をした狼気も俺の周りで動き回っている
その光景に皆口をかけていた
最後に言った
『俺は友人ケインのお願いを断る理由は無い、仲間が困っていたら助けます・・・だから来ました。色々急展開が多いけど協力させてください』
俺が言葉の最後に頭を下げると狼人族の者が1人立ち上がり口を開く
『もう動くしか道は無い、今しかないと覚悟を決めたぞ!』
『まぁ別に人族嫌いじゃないし協力は嬉しいぞ?』
熊人族の者も立ちながらそう口にした
続けて猫人族の若い者も立ちあがった
『戦争はいやニャー』
次々と立ち上がるとガーランドが大きく叫んだ
『極力種族同士の争いを避ける方針で行くぞ!血を流せば何も得られぬ!まずは各種族の説得だ!決して戦うな!危ないと思えば無理をするな!皆の者!ガウガロの為に!』
『『先に光あれ!』』
全員拳を掲げて覚悟を決める
ガウガロに来たら国がこんな状況だ、覚悟は決めていた
もう止めるしかない崖っぷちなのだろう
ケインの為
そしてシルバの為にいっちょ頑張って見るか
ナッツ『ご飯美味しい』