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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第6章 5000年の想いと国を賭けた聖戦
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8話 狼人族の集落

ケイン『なんとかしてーね』

俺たちは狼人族の集落へと辿り着く

大きな大樹を使い木の上に家があったり木に螺旋階段を作り移動しやすくしている

勿論下にも家があり木々の間には川も流れている


ガーランドに案内されて大樹の螺旋階段を登り彼の家に着く、他の家より少し大きい

中に入ると奥からケインを抱えた狼人族の女性が出て来た

ケインが酷く甘えている、多分だが

彼女が口を開いた


『私はクローディア・ザシュール・メルヘルムと言います、息子を助けてくださり本当にありがとうございます』


クローディアはそう言いお辞儀をすると俺も軽く頭を下げる

その様子を少し伺った後にケインの父ガーランドが口を開く


『客人よ、奥に行こう』


『わかった』


俺たちはそのまま奥の布を捲り上げて広めの部屋に向かう

そこには他の狼人族の者も座っていた

ガーランドに座るように指示されて俺たちは絨毯の上に座る

狼人族が4名に他の種族もいた

ケインの母クローディアに父のガーランド、そして年老いた狼人族が1人に若いのが1人

まぁケインは数に入れないことにした、理由は無い

ガーランドが口を開く


『熊人族のバウと鳥人族のシルフィーだ』


そう言うと彼らは口を開いた


『ほう・・彼がお前の息子をか』


熊人族のバウは軽く笑いかけながらそう言う


『あらあら人族にしては若いわねぇ!久しぶりに見たけどさ・・・にしてもあなたがゼファーちゃんの言っていた魔天狼の職を継ぐ者なのねぇ・・』


ゼファー・・・ちゃん?肝が据わっているな・・・

鳥人族のシルフィーは女性らしいな、2人とも種族長らしい

グスタフはいつもと違って大人しいが彼は口を開いた


『話じゃ人族との関りは昔から持たない様にしてたってぇ聞いたが』


彼が言い放つと熊人族のバウが返事をした


『それは深くは関わらないと言う意味だ、そんな閉鎖的な国ではない』


彼は目の前にあった干し肉を取り口元に運んでいる

そうしていると鳥人族のシルフィーもそろって口を開く


『こちらは普通の付き合いなら構わないのよ?でも大昔の出来事が邪魔して距離感が掴めないだけなの、ただ今の獣王は負の連鎖を終わらせれると思って人族と戦争をしようとしてるのよ・・・もうバルファニアは無いのにねぇ』


彼女は皿に乗ったミミズを食べている、鳥だからか

美味しそうにそれを食べまくる

ケインは母親の座っている絨毯で膝枕をしてもらい気持ちよさそうだ

久しぶりの親子の再開だ、こちらは緊迫した話だけど


ガーランドは中央に歩きながら話す


『今迄は同じ過ちを犯さない為に先代の獣王達は人族には下手に関わらずにあちら側には敵対の意思は無い主旨を少しずつ伝えていたのだ、大昔の溝はそう簡単には埋まらないし人族の歴史でも我々の印象は悪いだろうな・・だが』


彼は部屋の中央で俺たちに振り向き口を開く


『直ぐに帰る訳ではないのはわかっている、雷帝様が言っていたしな』


俺は真剣な目で彼に言ったのだ


『ガウガロの歴史を教えてください』


ガーランドは軽く深呼吸をすると中央に座り会話を始めた


『人族にこれを話すのは初めてだが彼には言わねばならぬだろう』


『いいのかよガーランド』


途中熊人族のバウが言うとガーランドが彼に頷く

バウは渋々了承してくれたようだった

ガーランドが部屋の者を見回して静かに口を開く


『かつて戦争が起きる前のガウガロはとても平和だったと聞く、その象徴が我が狼人族から輩出された歴代最強と言われる獣王であるシルバ・シルヴァ様そして』


一息ついてから彼は続けて話す


『当時の隣国の王女であったノア様、ノア・ローランド・ルル・バルファニア第2王女の2人である』


ふむ、そこまで俺たちは情報を掴んでいた

だが確かな情報を掴んでいるのは少しだけなのだ

アバドンでの王女の墓と2人の関係だ

その他は記述で掴んだ情報なのでここで明確にしなければならない


『いいかな?』


少し考えているとガーランドが俺を見てそう言う

俺は頷くと彼はそのまま話を続けた


『2人は仲睦まじき関係だったのだが俺がシルバ様の血を受け継いでいるとなると別の狼人族の女との子なのだろう・・・ノア様は人族であるしな、それでも当時のガウガロの者も彼女に信頼を寄せるくらいの人柄だったと聞く』


まぁそうだよな、狼人族と人間で子供とか無理そうだし

彼は目の前の木のコップに入っていた水を飲み、口を開く


『どういった出会いかは誰もわからぬが数年間2人は誰から見ても夫婦に見えるほどだったと語り継がれていたのだが』


座っているガーランドが目を細めて真剣な顔つきになる


『隣国との友好条約が結ばれるかもしれない可能性が出て来た時だ、突如ノア様はシルバ様を突き放して国に帰ったのだ・・・様子が変だったと聞いているのだがそれ以降ノア様はガウガロを訪れなかった』


王女と獣王があんな関係だったのだ

それを理由にガウガロと当時のバルファニアの距離が縮まってきていたのであろうこその友好関係が生まれそうになったのだろうな

それは理解できる話だ

彼は地面を見つめている

どういった心情なのかは俺にはわからないがまずは聞くしかないだろう


『ノア様が離れたことにシルバ様が嘆いている時にバルファニアに潜んでいた我が一族からの情報が入ったのだ、彼女が・・・処刑されたと』


『おいそれは・・・』


グスタフがそう言いながら立ち上がりそうになるが俺はそれを手で制止させる

すると彼も納得がいかない様な顔で座りなおした

その様子をガーランドは見て話しなおした


『その情報と同時にバルファニアから宣戦布告されたのだ、それに対してシルバ様は初めて人前で怒りを見せたらしい・・・優しく温厚な方と聞いていたが』


ガーランドは立ち上がり腕を組む

一息ついてから口を開いた


『シルバ様は自分のせいでノア様が死んだと思ったのだ、当時の状況は詳しくはわからぬ・・・が』


『王権争いに巻き込まれて、ですね?』


俺がそう言うとガーランドは頷いて答えた


『俺もそう信じている、語り継がれてきたのだ・・・彼女は裏切るようなお方じゃないとな』


ガーランドの言葉の後に熊人族のバウの口を開いた


『俺の種族でもそう語り継がれている、裏切るにしては不自然だったと』


バウは懐から干し肉を取り出し食べ始める

その様子をシルフィーが眉をしかめながら見る

彼女は溜息をつくと話し出した


『そこから狼人族は他の種族からは裏切りを生んだ一族として言われ始めたのよね、ガーランドは単純に先祖の屈辱を晴らしたいのよね』


『そうだ、決してシルバ様はそのような事もするわけがない・・・風向きが変わると簡単に感情の矛先を変える馬鹿種族共めが』


ガーランドは拳を力強く握りしめている

顔は怒りに満ちていた


『当時シルバ様を慕っていた種族がある、熊人族・鳥人族に猫人族だ・・・そしてガウガロにいる他の種族だが』


彼は壁に近付いて背中をつけて再び口を開いた


『・・・蜥蜴人族に虎人族・・・鼠人族と亀人族そして獅子族だ』


『意見が対立している感じで分けて言ったろう?』


グスタフが口に笑みを浮かべてそう彼に問う

ガーランドはその通りだとすぐに答えたのだ


シルバを慕っていた所属を含めて4種族

現在の獣王に従う者が最後に言った5種族だろう

彼は少し考えて良い直す


『だが獣王に怯えて従う種族もいると思うがな、力ある者につくのは不思議な事じゃない』


まぁ気持ちはわからなくもないがそれなら止めないのだろうか

普通なら戦争は極力避ける様にするのだが

俺にはそこらへん人間とガウガロの価値観がわからないでいると鳥人族のシルフィーが口を開いた


『彼らは信じてるのよ今の獣王を、戦争になっても大丈夫だろうってね』


『愚かな・・・昔はシルバ殿がいたから勝ったのだ、他の獣王では無理だ』


熊人族のバウも最後にそう言う

ガーランドが再び中央に戻り座ると会話の続きを始めた


『話がそれたな、バルファニアの兵力は桁違いだったのだがその兵力差でも戦争は勝ったのだ・・・シルバ様が強すぎたからだ!』


『どのくらいの違いだったんです?』


ルッカがそう言うと年老いた狼人族の1人が初めて口を開いた


『バルファニア帝国24万とガウガロ国9万だ』


『うわぁ・・・』


ナッツが信じられないと言わんばかりの反応を見せた

俺たち全員がそう思っている言葉であった

在りえない、シルバがその穴埋めを出来たというのか

それほどまでに・・・魔天狼は強いのか


そのまま年老いた狼人族は話を続けたのだ


『シルバ様は敵を薙ぎ倒して帝国まで単騎で突っ込んでバルファニアの王族を全て殺しつくしたとワシは聞いている・・・そして帝国は徐々に衰退していき滅んだ』


『全て?』


『さようじゃ・・・無傷で帰還なさったと先祖代々語り継がれておるぞぉ?』


俺の言葉にすぐ返事が来た

次元が違う話だ、とても頭が追い付けない

理に叶ってない内容過ぎる・・・


1人で国を亡ぼすのか


だが俺は少し冷静になって考えると在りえる話かも?などと信じてしまいそうになる

理由はある、俺だけしか体験していない事だ


俺は彼に意識の中で会ったことがある、その時感じた銀の意思のシルバはリヴィより遥かに強大な力を感じたのだ

俺だけが納得ができる話かもしれない


『そのシルバさんは最後はどうなったのですか?』


ナッツがそう口にすると全ての者が俯いて口を堅く閉ざした

無言だ、まるで隠していると自分から言っている様なものだ

そこで1人動き出した者がいた


『教えてやろう』


ガーランドだ

彼は顔を上げてそう答えた




グスタフ『流石にやべぇな国滅ぼすって・・・』



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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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