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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
5.5章【太古の記述】
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17話 馬鹿でいい

リヴィ『ガラスハートォ!?』

ジャムルフィン『くそぉぉぉぉぉぉ!!』

『落ち着いたか?』


応接室の隅にあるソファーに俺がもたれ掛かっているとグスタフがそう口にする

中央のテーブルにはスカーレットさん・ルルカ・ルッカ

ナッツにケインそして執事やメイドが多数いた


俺はあの後は服を着替えて暖かくしていた

真冬の大雨だ、そのままだと完全に風邪だ


『大丈夫だ』


俺の言葉でグスタフは黙る

もう応接室に着いた時にはリヴィとの会話はすでに説明していた

今はゆっくりしている、時間は21時くらいだ


『なぁグスタフ』


『なんだ?』


彼が椅子から立ち上がり俺に反応してくれる

それを見つつ俺は彼に聞いてみた


『結果出るまで泥試合、それががお前の生き方だな』


『・・・まぁな』


『なら俺も混ぜてくれ・・・』


そう言うとグスタフは椅子に座り両手を広げて直ぐに下げる

俺は色々考えていた、リヴィが言ったまだ弱いという言葉に


『どこまで強くなればいいんだ』


皆静かに俺の言葉を聞いてくれる

隣にいるルッカも黙って聞いていた

俺は続けて言うことにする


『なんで俺なんだろうな、強くはない・・・けど俺は最強にならなくちゃいけないんだ』


グスタフがテーブルを見つめている

ナッツは真剣に俺の方に視線を向けている

他の者は下を向いているようだった


『倒さないと殺されるのは気づいているさ、だがそれが世界で一番強い奴にだ・・・俺が何したんだ・・』


ルッカが背中をさすってくれているのがわかる

下手に口を開かないでくれて助かる、さすが幼馴染だ


『最強なんてなれるのかわからないけどデカすぎる、俺はそんな夢は持っていなかった・・・強くはなりたいとは思っていたがここまでじゃなかった』


俺は強くなりたいと願っていた

それに嘘はないが限度があった

どこまで強くなれば?

優勝して満足していいだろう?


『俺は誰よりも小さい夢が誰よりも大きい夢になってしまった、他人から見れば笑われるだろうな』


俺は昔から思っていた事がある

普通に考えれば大したことが無い当たり前の事が夢なのだ

そうだよ、本当の夢なんて見ていないんだよ本当は


この職になって強くなれるならなってやる

最初はそうだった、だがそれも時間がたつにつれて感じていたのだ

あいつはまたやってくる、倒さない限り絶対にいつまでも


『俺はただ村で幸せに暮らしたい、一番の夢だ・・・そのために世界で一番にならないと駄目とか・・・でかすぎる』


グスタフがなんだか立ち上がって此方に近付いてくるが俺は会話を続けていた


『考えても慣れるかわからない道だ、あいつに言われたよ・・・弱いって』


言い終わる時にはグスタフが目の前にいた

彼はおもむろにルッカに聞いた


『ルッカ、すまんな!』


『えっ?』


ルッカが反応した瞬間俺は何故かグスタフに全力ビンタされた

くっっっそ痛い

パチィィィィィンと部屋中に響いていた


俺は声も出ないくらい目を見開き痛みに耐えていた

平手って痛いな・・・


『おっ?足りない様だな』


『しょグスタフ何を・・・』


最後まで言うまでに再びパチィィィンとビンタされていた

隣のルッカは目を丸くして凄い見ている

周りの人間も同じくそんな感じで

ふとグスタフは口を開く


『お前将軍に言われたばっかじゃねぇか・・』


『へ・・・』


俺は聞き覚えが無いので黙って彼の言葉を聞くことにした


『戦う奴は馬鹿なくらいが丁度いいってわかりやすい事言ったじゃねぇか?』


そういえばノートン将軍が戦いの場で俺にそう言っていたことを思い出した

将軍は俺にエールを送ってくれていたのだろうか

もしかしたら最初から勝てると思っていなかったのかもしれない

あの人なりの言葉だったのだろう


『強さに細かい理由を求めたら駄目だ、単純で良い!考えてたら前には進めないってな』


俺の頭をワシワシと触りながらグスタフが言う

お前もその類に似た人間だもんな




いや、俺もだったのか?


『将軍に言ったみたいに戦う者はただひたすらに体に任せて理想に向かうだけでいこうや、考え過ぎだっつの・・・俺たち馬鹿が考えてなんかなるか?』


『すまないグスタフ』


『あん?』


『お前はどこまで強くなれるか不安じゃないのか?』


グスタフが首を傾げて俺を見る

その反応は何だろうか・・・何言ってるんだお前と視線で言われている様だ


『馬鹿が先の事なんてわかるかよ、わからねぇから頑張るんじゃねぇか』


その言葉に俺は笑ってしまう、いけるのだろうか?

いやこれを考えるとまたグスタフに叩かれる

無力だと遠回しに言われて俺は傷付いたのだろう


笑えるよ


なんで傷付いたって?今強いと思ってしまってるからだ

まだまだの筈なのにそう言われて心に刺さって


『グスタフ』


『なんだ?』


『すまないがこの先どうなるかわからん、だからついてきてほしい』


彼は苦笑いしながら軽く俺の頬を叩く

ヒリヒリしててそれでも痛いと感じる

彼はそのままテーブルの椅子に座りながら口を開く


『調子狂うぜ、まぁいいさ』


その言葉を聞いて安心した

ナッツにも聞こうと視線を変えるとグスタフが思い出したかの様にまた口を開いた


『ナッツに聞かなくても大丈夫だぞ?こいつは村でお前が死にそうな時に馬鹿みたいにリヴィに突っ込んだんだ、最後までついてくる覚悟は最初から誰よりも持ってるし俺たちと同じ馬鹿だ』


『エッヘン!』


彼の言葉にナッツは胸を張りい良い笑顔で返事をする

そうだよ、こいつは誰が相手でも向かってくんだよな

無謀と言うか何というか、一番覚悟を持っている奴だろ


『私もついていくぞぉ!』


ルルカが挙手しつつそう言う

ルッカは隣で頷いている


考え過ぎなのだろうか?


『考え過ぎか?』


『考えるの無駄じゃねぇか?』


即答されて俺は笑う、そっか

駄目かぁ・・ひたすら頑張るしかないか・・


『すまないな、狼狽えていたよ』


俺は背伸びをしてリラックスさせた

少し落ち着いたことをわかってほしくて言ってみた


『リヴィとあった瞬間に死ぬと思ってな、もっとルッカの胸を揉んどけばよかったとずっと考え・・』


横からパチィィィィンと平手が飛ぶ

痛くて少し俺は泣いてしまう、ルッカの顔が赤い

『本当に変態ねぇ』


顔を真っ赤にして彼女が言う


その光景にケインは残念な目で俺を見つめていた

やめて本当に傷付くから・・・


『大丈夫そうですね、誰でもそう壁を作る時はありますがグスタフさんもそのうちありますよ』


『俺もかぁ?』


スカーレットさんが言うとグスタフが半信半疑で答える


『誰しも一度は通ります、私もですよ?』


『あんたにゃ似合わねぇなあ』


グスタフの言葉にスカーレットさんは軽く笑う

にしてもグスタフにも・・・か?想像できないな

するとルルカが立ち上がりルカーレットさんに言い放ったのだ


『お母様はグスタフを虫扱いしたのだ!私に謝るのだ』


『なんでてめぇなんだよ!?』


グスタフが突っ込むがルルカはプンプンと頬を膨らます

スカーレットさんは笑いながら口を開いた


『私も言葉を選んでいる時じゃなかったので申し訳ないですねぇ、ですが』


少し真剣な目の彼女は続けていった


『我慢を覚えなさい?グスタフさん?感情に動かされ過ぎですよ?気持ちはわかりますが』


『ぬぅ・・・わかった』


いつも通りだななんか

明日から特訓が再開される、銀の意思が1でも上がればいい方だ

できれば槍術がここで8になればアバドンによってクラスチェンジできるが

あれ?アバドンじゃなくても良い気がする、と思ったけど


一応槍術が8になったらルッカに1節目を歌ってもらおう

それで3節目が俺の頭に流れるならいいが駄目なら墓に行かないといけない


なんて面倒なクラスチェンジなんだ・・・

一応ゼファーが全力で墓を守ってくれるけどさ

起きた時に唄も頭に入ってくるかなと思ったけど次のクラスチェンジの為の3節目はわからないままだった


悲しいなぁ、不自由過ぎる・・・


『先輩も大丈夫そうですね、考え過ぎですよ昔の兵士時代のままの雰囲気で動けばいいんですよ』


『まぁそうだな』


ナッツのいう事ももっともだ

あの頃みたいに考え過ぎずにいこう、最近考え過ぎなんだな


『さぁみんな死体の様に寝るのだ!明日は地獄なのだ!』


ルルカがお開きの言葉を言うと俺たちは各部屋に戻る

勿論ルッカは俺の部屋に来た

入ってきて俺がベットに潜っているのを確認するとルッカもベットに入ってくる

そして早々口を開く


『このおっぱい魔人』


『バレたか・・・』


健全な男の子だもんな俺も

この日もちゃんと獣になって揉みしだいた


残り特訓は5日間だ、スカーレットさんの私用もあるからだ

無理を言って国王との会談もしたので仕方がない

この5日間を無駄の無い様に俺たちはがむしゃらに耐えるのみだ


スカーレット『まっ私から見ればみんな虫ね』


グスタフ『・・・・・・』

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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