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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
5.5章【太古の記述】
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16話 俺の杞憂と動揺

リヴィ『偶然ですねぇ』

鳥肌が止まらない、鼓動が脈打つ

寒い筈なのにこの瞬間から体中が熱い


あいつのせいだ、目の前にいる奴の

俺は緊張のあまりに汗がどっと噴き出ていた

額からは汗が流れているのがわかる


今更後悔できない、声をかけてしまったのだ

俺はどうなるのだろうか

そんな事を考えていると彼が口を開いた


『そんな硬くならなくても何もしませんよ、サーチ』


唐突に安心させといてサーチかよ、半信半疑だ

また気味が悪い風が通り過ぎてリヴィは暫く考えている


俺のステータスでも見ているんだろうな


『成長早いですねぇ、予想以上で・・・』


そういいながら俺に一礼をする

こいつ殺気がまるでない・・・そうか

あの時とは違うのだ、今俺はこの道を進まなければいけない


彼が邪魔するはずがない、摩天狼の時にこいつは来る予定だったのだろう

俺は考え過ぎていたのだ


だが蛇に睨まれたカエル状態だ、安心していても体はわかってくれない


『さて・・・』


彼が近くにあったタルに腰かける

俺はまだ槍を構えているが彼は気にもしない


『こんなところで何をしている』


ふと質問をしてみると彼はすぐに答える


『探し物ですがあなたには関係のない事でしょうね』


まぁそれなら無理に聞くのはよそう、それよりもだ


『お前はこの摩天狼を誰よりも知っている、何故だ?何故途中の道を知っていた?』


『憧れですよ』


『憧れ?』


それだけじゃわからない、そう思っていると彼が続けて答えた


『夢の様な存在の摩天狼がどれだけ強かったか知りたいのです、多くの情報はガウガロに行けば分かりますよ?行くのでしょう?全てがわかる筈です』


『全て?』


『そうです』


彼は足をパタパタとさせて背伸びをする

懐から干し肉を取りムシャムシャ食べている

俺から見れは不思議な光景でそれだけでも目をひかれた


『現在のガウガロの獣王の情報はおわかりですかぁ?』


リヴィがおもむろにそういった

俺はその言葉に釣らて目を見開く

彼は知らないのだろうと察し腕を組んで話をした


『まぁ今までで一番頭が悪い獣王ですねぇ、先代が見ていたら泣いています』


『頭が?』


どういう意味だろうか、知性的じゃないって事か・・

とりあえず彼の言葉を静かに聞くことにした


『獅子族であり金獅子と現在は言われている獣王、シュウザー・アングラードです』


『獅子族・・』


獅子か、別名ライオンか

なるほどな・・・獣王というには素敵な種族だ

俺は彼に聞いてみる


『何が駄目なんだ?』


そう聞くと彼はわかりやすく不機嫌な顔になる

その顔になるだけで俺は緊張が走る

が・・俺にその矛先は来ない


『馬鹿なんですよ、力はまぁいいでしょうが知性的じゃないので無駄に人族を挑発しますからねぇ』


『挑発?』


『目先の事しか見えていない獣王、今は昔の様な戦力をガウガロは持っていないと言うのに・・・戦争になったら勝てると思ってるんですかねぇ馬鹿だし考えてないでしょうが』


そう言うとリヴィは立ち上がり手を横に広げた


『まぁやり過ぎたら殺しに行く予定ですがね、ガウガロは無くなって欲しくないので』


こいつが殺しに行く?無くなってほしくない?いやまてよ

リヴィは摩天狼に興味があるんだ

起源である狼人族は少なからず無くなってほしくない筈だ

俺の予想に過ぎないが


『あなたに彼を止められますか?』


『俺が・・・』


彼は俺に近付くが俺はただ見ているだけだった

2m先まで来た時に立ち止まり腰に手を置いて口を開いた


『今の状態だとギリギリ勝てないくらいですかね、その能力爆発技を使っても』


『それでもか・・・』


『はい、獅子族ですからタフネスなんですよぉ!』


色々教えてくれるが俺はこいつを憎んでいる

村の恨みがある

ここでは晴らせない・・・我慢だ


『次の道に行けば普通に勝てるでしょうね、一回の道到達で爆発的に能力が上がりますから』


リヴィは俺の周りをグルグル回りだす

俺は目だけで彼を追う

今は殺す気が無いのはわかるが摩天狼になったらそれはわからない

こいつの考えてることがわからない、なんだ一体・・・


『ガウガロに初代摩天狼の意思があると聞いた、それはどこだ!』


俺の言葉にリヴィは目を丸くしていた

何やら驚いている様だ、不味い事でもいってのか

次の言葉で杞憂だとわかった


『そこまでわかるのならもうすぐです、教えてあげましょう』


彼は回るのをやめて俺の目の前で止まりこちらに向く


『吾輩の情報だと狼人族が遥か昔から守っている銀の祠です』


銀の祠?彼を祭っているというのか?

だが伯爵の話では彼の詳細が不明と、まさか

狼人族だけが隠している真実がそこにあるのか・・・

そこに銀の意思があると言うのだろうか

考える暇もなくリヴィは会話を続けた


『そこに最強がいます、ですがティクティカ遺跡の向こうですね!魔物の森の奥ですが魔物強いですよぉ?ランクAがいますので気を付けてくださいね』


『情報は有難い、だがなぜおまえがそんな事を』


彼は暫く俺を見つめて何かを考えるが何も言わない

だが俺に背を向けて歩きながら口を開いた


『あなたには関係のない事です、あと首のトレーニングはしておいてください?次の道に入った時に苦労しますよ?まだ弱いんですからね』


『首?お前何を・・待て!!』


声を出した時には彼はもう消えていた

俺は内心ほっとしていた


悔しかった、助かったんだと

でも嬉しかった・・死ななかったと

俺は槍を手から離し膝をついた、いつの間にか雨が降っていて俺はうたれている

体に力が入らない、力み過ぎていたようだ

疲れた・・・


でも今になって少し気がかりがあった

銀の祠?最強がいる!?え?

封印されている様な言い方に俺は動揺を隠せずにいた


『・・・首?』


ふと首を回してみる、普通だ

いやそういう意味じゃない・・・首を鍛えろ?どういう・・

だが鍛えとくか、嘘はついていない様に感じた

道を詳しく知っているんだろうな、詳細聞いとけばよかったけど


そんな余裕はない、緊張すれば聞きたいことも満足に聞けないのだ

嘘をつく意味は無いし素直にそうすることにした

世界最強の羊に俺は今でも何もできない


この前は半分の力で瞬殺されたが今なら耐えれるのじゃないか?

どこまであいつとやり合えるのか興味はあるが試したいとは思わない


『まだ無力なのか・・・』


確かに俺は強くなった、大会で優勝もした

国でもトップクラスで思われているだろう


だけども



世界は広かったのだ


そのあと俺は何も考えずに無心で館に戻る

まだ弱い足りない勝てない、どこまでいけば・・

どこまで強くなればいいんだ


大雨だった、音がうるさい

館に着くと入口でルッカがいた

彼女は俺を見るなり驚いた眼でタオルを持ってきてくれた

考え過ぎて何かを言っているがわからない


俺の目の前で何かを言ってる、頬を触ったり軽く叩いたりしている

それでも俺は無心でいた・・


ふと体の正面が暖かくなる

抱きしめらていた、ふと軽く意識は外に向けられた


ルルカもグスタフもナッツもケインもいた

スカーレットさんもいた



抱きしめているのはルッカだった


その状態のまま凄い剣幕でグスタフが俺の頭を掴んで喋っていた


『目ぇ覚ませ!何があった!!!!!!』


『・・・リヴィが』


『なっ!?』


俺の言葉でグスタフが外に飛び出そうとするがそれはスカーレットさんによって呼び止められた


『愚か者が!!!虫がドラゴンに勝てると思っているのですか!!!』


彼女の言葉に全員、いや扉を開けた奥にいた執事やメイドも体を強張らせた

本気の威圧だった、俺も固くなりそうだよ


『・・・くそったれが!!!』


グスタフは諦めた様だ、それがいい


俺は子供だ

助かった、死んで無い

皆が目の前にいる、心配してくれている

それだけで幸せを感じれた、それだけを感じると力が抜けてきた

ルッカに抱きしめられて俺は落ち着いたようだ



ルルカ『様子がおかしいのだ!』

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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