3話 何かを知る男
ルガ『オマエムカツクユルサナイ』
俺は伯爵の本心が掴めなくて疲れてくる
最初から疲れていたのだが、まだ昼前だ
長話も不要だ、昼前に来たのは大変だったろうが
断るしか俺には手がない
『申し訳ないですが考えが変わることはありません、忙しい身ですので』
『貴様、貴族が遥々ここまで会いに来たんだぞ!断るとは何事か!』
ルドルガが沸点を越えている様だ、さてどうしたものか
彼の拳はプルプルしている
俺は溜息をついて返事を言うことにした
『何でもハイハイ言える訳じゃないんです、こちらにも事情がありますので』
『何様だ』
彼の周りの騎士もソワソワし始める
こうなるとは思ってなかったのだろうか
多分今まで断られるって案件がそんな無かったのだろうか
『俺は誰の下にもついているつもりはない、教えたくないなら教えないしそんな人間だよ』
『俺は今後ジェミルを統治するんだ、貴様の村の管理も俺が決めれることになるんだぞ?』
『やめんか!!ルド!!!』
ルドルガの言葉にブール伯爵が怒った
伯爵はなんか普通だな、ただ息子がこうなのか
よく甘やかされて育てるとこうなるって隣の家のじっちゃんが言ってた
そんな伯爵はルドルガをひと睨みし彼は固まる
『すまない、息子の無礼を許してくれ』
伯爵はそう言い頭を下げたのだ
この人はまともだ
俺が警戒し過ぎた様だが
『お気になさらず』
『器も大きいとは、息子も見習ってほしいものだ』
今度は伯爵が溜息をつく、息子を無視して伯爵が口を開いてきた
『私の教育のせいだ、どんな返事でも君の邪魔になるような事はしないよ、ただ・・』
『?』
『私個人の興味で会いに来たのだが息子にそれを見せてやりたくてな・・・息子にも貴族としての話し方を学んでほしくてね』
『なるほど』
要するに貴族のお勉強か、ふむふむ
俺が使われたという事か
そう考えると俺は苦笑いしてしまう
なんで俺を出汁に使ったのだろうかと
伯爵はルドルガに見てろと言うと彼は多少不貞腐れた態度で腕を組み
大人しくなる、口を開かないならいい
『せめてもの謝罪に今後この村の税収を軽減しよう』
『えっほんとうですか!?』
周りの村人も嬉しそうな顔になっているのがわかる
ふとっぱらだなこの人、警戒しなくても良さそうだ
『取引をしよう銀狼の子よ』
『どんな用件で?多分先ほどは息子さんの反応を見る為に遠回しで言いましたね?』
『はっはっはっは!いやぁバレたかぁ・・・すまない簡潔に言うよ』
彼は軽く笑うが急に真剣な目で口を開いた
『最強の狼王の時代を知りたくないか?』
『!?』
驚いた
俺は目を見開いて彼を見る、何を知ってる?
なんで伯爵がその類の話を持ち出すんだ・・・
『何千年か前に狼人族がガウガロの国王をしていた時代さ、その1代限りだよ・・・狼人族が獣王を名乗り、世界から最強の武として伝説になっていた時期がある』
『・・・・』
俺も真剣な顔になっていた、無下にできない言葉だった
彼は一歩私に近付きさらに口を開く
『私が知る君が欲しい情報をいくつか提供しよう、そのかわり今日の祭りで君と数分でも会話する時間が欲しいのともう一つの頼みはその時に話す』
『わかりました、祭りにて再度お話をしましょう』
俺は考えずに即答をした
考えるなんて無駄と思ったのだ
『感謝する、なぁに大丈夫だ・・・私と騎士2名で同席するから息子は他の騎士と街に戻らせるさ』
少し安心した、いれば何かしらしそうだし
俺はこの人と出来る限りの交渉をしなければいけないと思った
彼は騎士やルドルガに目で合図をし、彼らは中心街を離れていく
それに続いて伯爵も続くが途中振り返り俺を見て最後に言ったのだ
『もともとルーカストア出身なんでな、若い時は歴史が大好きだったんだよ』
満足げにそう言いい、彼は再び俺に背を向けて歩き出した
ルーカストアの人だったからこそ知っていたのか
歴史が好き?欲しい情報を確実に持っている
損はしないだろう、俺は期待に胸が膨らんだ
『終わりましたよね?鶏肉買いましょう』
『わかったよごめんて・・・行こう』
ケインと俺は鶏肉を買った
1キロだ、店の人に上質な肉があると言われて良い肉を買ってしまった
まぁこれは文句ないだろう、うまそうなピンク色した鶏肉だ
家に帰るとなにやら父さんと母さんが汗だくだった
何かあったのだろうか
俺がそれについて父さんに話しかけたのだが
『俺は若いんだぞ?』
って・・
意味が分からないが特訓とかしたのだろうか
でも母さんも汗だくだしなぁ
せっせと祭りの準備でもしてたんだろうと俺は気にするのをやめた
夕方になり中心街は祭りの為の安易テントが設置されていた
来年の税収が免除と言う話を聞いてナラ村の領主も万歳して喜んでいたのだ
しかもあの大会なのだが、その傑物を産んだという事で領主にも恩恵が来たらしい
まだ31歳男性であり既婚者で準男爵のエドガー・ハミルトン・ナラさん
意外とイケメンで村人からの評価も高い、人あたりが良いのだ
彼は男爵に昇格したのだ
俺がボソッとゼリフタル武人祭で優勝した際の表彰式の時に
『ナラ村か、あの場所の出身というのか・・・』
『はい、良い領主の村作りで特訓も出来ますしみんなから好かれているんですよ』
『そうかそうか!彼にも褒美をやらんとな、で?我のお願いも聞いてくれるか』
『勿論です、村の用事が終わりましたら伺いますよ』
こんな話をしていたのだ、
その話が彼に来た時は
中心街にそのナラ村の領主エドガーさんがお見えになると
速攻俺のとこまで全速力で走ってきて抱きついてきた
『ジャムルフィン君!感謝で一杯だ!今日の費用は俺が全部だそう!君の賞金から全部とか俺もプライドが!プライドが!』
『わわわかりましたエドガーさん、有難く祭りを楽しみましょう』
『おお!そうだな!』
そうして大袈裟な領主の行動に苦笑いしつつ祭りまでもう少しだ
祭りの名前がダサかった
ジャムルフィンとグスタフという豪傑を産んだ村祭り
無駄に長い、最初は銀狼ジャムルフィン優勝おめでとう祭りだったが
恥ずかし過ぎるのとグスタフもめっちゃ頑張ったんだからという俺の意見が通ってなんとかここまでマシになったんだ
祭りと言うか宴会だよな
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
彼の名声が国に知れ渡りナラ村出身という事が国民が知ったことで
この村が活気立つのは数年後の話である
ルルカ『えっ!この小説どこまでやるのだ!?』
ルッカ『凄いながい、24歳までは章あるわよ』