44章 【優勝】その後
ルッカ『そういえばキャメル君の出番は?』
ナッツ『6章まで我慢です』
キャメル『マジですか?』
優勝が決まった瞬間の父さんの興奮と来たら恥ずかしかった
だって客席走り回るんだもん、将軍の時もしたよね確か?
リングを出てから控室迄戻った俺は椅子に腰かけた
大きく深呼吸をして整理した
勝った!?
『おめでとうございます』
声の元に顔を向ける、タツタカだ
彼が一番手ごわかった、だが色々と俺もタメになった
彼に軽く手を上げて反応してやる
『ありがとう、お前もこれからだな』
『そうですね』
彼は良い顔でそう笑いかけてきた
そういえば大会の景品だったが
3位は金貨80枚とポートレアで有名な飲食店【キャットン】ご食事券30枚
2位は白銀金貨20枚と純正エイジ鉄の武器を鍛冶屋でオーダーメイド
そして俺は優勝したのだが
『士爵ですか、いいですねぇ』
『貴族の残り香みたいなもんだろう、別にいいさ一代限りで』
そう騎士爵だ、これは貴族っぽく聞こえるが違う
世襲することができない一代限りのものであり
子々孫々と受け継ぐことはできないのだ
貴族階級を教えとこうか
公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵・准男爵・士爵
簡潔にこうだ、だが俺が貰うのは騎士としての称号で貴族じゃない
『まぁ一代限りだ、それはいいが・・・』
俺がそう言うとタツタカが笑いながら聞いてきた
『桃金貨5枚ですね』
そうだよなぁ、金貨もおさらいだ
白銀金貨・金貨・銀貨・銅貨とあるが
白銀金貨の上が1つある・・・桃金貨だ
綺麗な薄ピンク色の模様がメインの金貨だ
これは金貨100枚分であり白銀金貨10枚分でもある
金貨500枚か、一年楽に暮らせる
てか何年暮らせるんだよ・・・金あるんだなぁ国は
『実感がないよ・・はは』
『俺は3位の金貨で凄い嬉しいですよ』
俺もそのくらいの方が実感でて嬉しい
これは出し過ぎだよな・・・
『タツタカも座れよ』
そう言うと彼は元気よく返事をして隣に座る
一先ず再確認で言っておかないとな
『俺は用事を半年で終わらせるつもりだ、お前の話だと今の俺の戦力じゃ不安だ』
『なるほど・・・』
彼は深く俺を見つめる
俺は言葉を続けた
『10か月後、君の気持が変わらないならナラ村に来てくれ・・・それなりの仲間を集める』
彼は椅子から立ち上がり俺の方を向き、深くお辞儀をした
『本当に有難い返事です』
『敵は未知数なんだ、十分に準備は必要だし君も出来れば仲間を集めないとな』
『頑張ります』
彼は頭を掻きながらそう答えた
人数は多い方がいいが多すぎてもダメかもしれない
まずは互いに特訓しないといけないのだ
俺たちはまだ自分の能力を扱いきれていない
そこからだ、彼もそれを理解している
『君のガールフレンドにもよろしく言っといてくれ』
俺の言葉でタツタカが多少赤くなる
動揺しているぞ?そうなのか?ん?
『何言ってるんですか!?』
『ハハハ、でも不安になり過ぎるな、君の仲間を信じろ』
タツタカは少し複雑な顔をしていたがすぐに笑顔になる
大丈夫っぽいな、うし
『表彰式だぞ?行くか』
『はい!』
こうして俺たちはリングの上で表彰式を迎えた
『今大会も素晴らしい戦いが見れたとこを嬉しく思いますでは・・・』
視界の言葉が会場に響く
色んな選手がいた、楽しかったし苦戦もした
『3位!タツタカ!彼には・・・』
この職を活かし切れていない事が多かったと思う
技の使い方がまだ不十分だ、銀彗星も加減を覚えれば使用回数も増えるかもしれない
かなり消費するもんな狼気、まぁ使い過ぎなければいいけど
『2位は光の子カール!彼には・・・・』
グスタフも中位職でよくやった、彼の上位職も十分期待できるのだ
上位職になるだけでかなり力が増すから彼に頼る場面は多いだろう
『優勝は銀狼のジャムルフィン!』
歓声が大きい、俺は軽く観客席にお辞儀をする
ナラ村連中の方を見ると父さんが縄でグルグル巻きにされている
母さんが足で踏んでる、怒られたな父さん・・・
ルッカがめっちゃジャンプして喜んでいる
ご褒美くれるかな・・・くれるかな・・
俺は今になって度胸が増したから色々とそっちも意欲的だ
『彼には桃金貨5枚と士爵位を贈呈になります!前に!』
俺は数歩前に出る、前にはゼリフタル王国の国王
ゲイニー・ライバック・ブル・ヴァリスタン・ゼリフタル国王だ
俺は桃金貨5枚と士爵証を受け取る際に国王にボソッと言われた
『凄いな、彼女に怒られそうだが凄く話をしてみたいとこだ』
スカーレットさんの事だろう、俺に茶々いれたら潰しに行くぞといってたからな
俺は苦笑いしながら安心できるような言葉を返す
『大丈夫です、王城の歴史書とか見させていただけるなら喜んで、この職の歴史のヒントを探したいんです』
『おお!いいともいいとも!好きなだけ見てくれ!』
めっちゃ50代のおっさん国王が喜んでいる
俺は王城の書物庫を条件にしたのはまだありそうな気がしたからだ
ノートン将軍の話だと宝物庫だったが、よく入れたな
書物庫も見させてもらおう
今回の大会で色々と参加者は目標が出来ただろう
特にグスタフのお陰でスカーレットさんの職に対する理解を深く考えてほしいって願いが上手くいくかもしれない、実質中位職に上位職がやられたのだ
結果が全てだ、上位職だと言って安易な特訓は意味は無いと知らしめることができただろう
良い事だ
そうして俺は表彰式を終えて会場を出た、そうするとだ
皆いる・・・が
『モゴモゴgmゴgモg』
『何言ってるかわからん』
グスタフが俺の父さんを担いでいた
勿論縄で巻かれていて口には布が詰められている
誘拐犯かよ・・たく
『良い思いしやがってよぉ、来年は俺だ』
グスタフが俺の胸を軽く小突きそう言い放つ
お前ならいけそうだ
俺はそう思う
『おめでとうジャン』
ルッカも祝ってくれた、俺は軽くハグをしたのだが
ゼルさんとマリーさんが怪しい笑顔になっている
普通のハグだぞ!?!?
『流石ですねジャフィンさん!』
『サンキュ、さぁやる事やったらいくぞー?』
ケインだ、彼の頭を撫でながらそう言った
撫でられて気持ちよさそうだ
『流石化け物なのだ!』
『人間だよ?』
ルルカはいつも通りだな
『先輩!めちゃ凄いですよ!将軍倒すなんて!!』
『あはは・・』
ナッツはまだ興奮してるらしい
彼にとって俺のノートン将軍撃破は一番心に残ったらしいな
俺もビビったよナッツ
『お兄ちゃん来年優勝ねー』
『ったりめぇだよぉ!』
ルーシーに煽られてマッスルポーズをしながら自信満々にそう口にした
皆の賑わいを見ていると俺はとても嬉しくなる
俺の頑張りがみんなを良い気持ちにするって嬉しい限りだ
来年はグスタフだぞ?多分イビルハイドになって出場するんだろうな
そうしていると遠くから見覚えのある人が歩いてきた
『・・・ベリト副将』
『やぁジャフィンくん』
ベリト副将、ノートン将軍の右腕だ
いってなかったが実力は折り紙付きだ、強い
彼は深く頭を下げて口を開いた
『感謝しきれん、俺の意地でこうなってしまったがまさか優勝するなんて』
『頭を上げてください副将』
ベリト副将はゆっくり頭を上げて嬉しそうな顔をしてくれた
『おめでとうジャフィン君、軍関係で俺の立場も鰻登りだよ・・・君の村の税だが来年は免除になった』
『なんと!!』
ゼルさんが驚いて反応をした、副将の計らいだろう
村全体の税収を来年は無しになったのだ、でかいぞこれは
俺は逆にベリト副将にお礼を言う
『感謝します、あなたの計らいでしょう?』
『フフフ、君のお陰で色々と自身の立場が固くなったのだ・・・これくらいは恩人にして当然だろう?そしてその恩人を産んだ村にも』
『言い人じゃない、来年は色々と村も活気立つわねぇ』
グスタフのお母さんのディジーさんもそう言う
俺は副将に軽くお辞儀をすると彼は軽く手を上げてこの場を去った
本当にいい人だな・・・
この後俺たちは軽く話し合う
今日は大人しく宿に戻り、明日に一度村に帰ることにした
村全体での祭りをしたいらしい
3日間滞在が決まり、その後は直ぐにここに来るのだ
特訓もそうだが国王との会談もある、それは一週間後だ
俺とグスタフは今日はナラ村が止まる宿に泊まることにした
大会が終わり多少空室が出来ていたのだ、それは言ってから知った
だからそうしたのだが
途中向かっている時にタツタカに出会った
俺は彼を呼んだ
『ジャフィンさん?』
『次はどこに行くんだ?』
『ルーカストアで冒険者登録して頑張って見ようかと』
ルーカストアか、ふむふむなるほど
『ミューリアって街のギルドで登録しろ、銀狼のジャムルフィンからここで登録しろって進められたとギルマスのグロウさんに言え』
『ん?わかりました!』
そう話しているとグスタフが近づいてきた、ルルカもナッツもだ
熊が口を開いた
『こいつがあの5大職のか』
『そうだ、反則的な能力だよ』
『見てりゃわかる・・まぁ面白そうな奴だ、やってみてぇな』
グスタフがタツタカに獰猛な顔で彼の顔を覗き込む
タツタカはなんかビビッてるが仕方がない
その光景を無視しながら俺は彼に口を開いた
『もし君が10か月後、村に来て俺たちが出来上がっていた時は協力しよう』
『・・・感謝します、では俺は行きます』
『ああ』
彼はお辞儀をして静かに立ち去った
猶予はある、大丈夫だと思うが
『さて行きましょう』
母さんがそう言うと皆は歩き出す
俺はタツタカの背中が見えなくなるまで見送った
頑張れよ、タツタカ
俺たちは普通にシングルで一泊ができた
俺とグスタフとナッツだ、選手用の宿はもう持ち物もないから別に大丈夫
夜食を食べて風呂に入り部屋に着く、勿論ルッカを呼んだ
いつも通り会話をしていつも通り獣になる
男だもん
寝る前にルッカに言われた
『本当に人間?』
『人間の体してたろさっき』
『もう!変態!!!』
2人で笑ってその日は寝た
そして次の日はナラ村に帰り、夕方前には着いたのだ
ルルカは実家に残るとの事で今回は来なかった
そしてナッツは自分の実家から直接ポートレアに向かうと言い俺たちと別れているからいない
父さんが再度興奮しながら村を走り回り、明日の夜は外で祭りだ!と大声て村中を走っていた
恥ずかしい
そしていつも通りの日課を開始した
グスタフとの特訓だ、今日は早めに始めよう
『ふへへ!さぁやろうぜ!』
彼は嬉しそうに俺に襲い掛かってきた
第5章【ゼリフタル武人祭】 完
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『あの人を見つけないと【私達】の時間は止まったまま・・・』
その者は肩を落として口にした
『希望がある、だから私はなったのだ・・・』
その者は空を見上げてそう言う
『どこにいるのですか…』
そして空気が入り混じる低い声で彼は鳴く
『・・・メェー』
次回5.5章【太古の記述】
ジャムルフィン『人は獣』
ルッカ『お前が獣』