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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第5章【ゼリフタル武人祭】
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35章 【武人祭3日目】1人の父としての姿

将軍『娘が見ている!』

娘『負けちゃやー!』

将軍『へへへ』


ジャムルフィン『・・・』

この会場で口を開く者は誰もいなかった

司会でさえ仕事を忘れて2人の会話を聞き、息を飲んだのだ


その静寂の中で唯一声を上げる者がいた


『お父さん負けちゃだめー!』


将軍は一気に間合いを詰めてきた

これは技だった


『槍速一閃!』


槍を前に出して超加速をして俺に突っ込んできた

かなり速い、何かしてくると思ったけどまだ隠してたか

俺はその攻撃を弾きながら横に回避したのだが威力が強いせいか

真横に吹き飛ぶ、すると再度その勢いのままこちらに向かってくる

一発で終わらないのか、すぐさま立ち上がるがもう目の前だ


『うおぉぉぉ!』


俺は叫びながら全力で大地を蹴りそれを回避した

あのタイミングでは技は撃てない

避けた瞬間に将軍の攻撃が俺に向き直るのがわかった

そのタイミングと同時に俺も槍に狼気を込め始めた


『喰らうがいい!!』


『それは嫌です!』


俺はぶち当たる瞬間ギリギリまで狼気を込め

互いの槍が当たった時に口を開いた


『シルバーバスタァァッァ!!!』


『!?!?』


巨大な爆発が俺と将軍の中心で起きた

もうこの技も上位レベルに近い爆発の威力になっただろう

この前とは爆発範囲も広い、5m圏内なら軽く吹っ飛ぶだろうな


『ぬぁぁぁ!』


技が解除されて地面を転がり将軍は吹き飛んでいく、俺はそのまま狼撃破を2発放ち

彼を追撃した、丁度立ち上がろうとした将軍の目の前には狼撃破が迫っており


1発目は弾いたものの、2発目をまともに受けて再度倒れた

俺は狼気を槍に循環させながら彼に近付く


いつでも対応できるようにしてゆっくりと歩を進めた

シルバーバスターで本当は終わっても可笑しくない技なのだが


『爆発系はお前も・・・使えるか・・・だよな、ははは』


仰向けからゴロンと回転しうつ伏せになり、手を付いて立ち上がる

目は先ほどよりも弱々しくなっていた

彼に限界が近い、俺はそう感じていた


ここまで倒れずに向かってくる相手はそうそういないだろう

俺も何度も意外な攻撃を喰らい多少息が上がる

本当にとんでもない人だ


『俺は頑張る父でありたい、それだけだ・・・誰かの為に頑張るのが・・・馬鹿の役目よ』


ヨロヨロと立ち上がる将軍はファイアバレットを1発放つ

俺はそれを外に受け流して斜め後ろの壁にその術は飛んで行った


『君が・・・何のために頑張るのか聞きたい』


将軍の目は将軍じゃなかった

一人の父親の目をしていた

そんな人に俺は口を開いた


『ナラ村の為と好きな人の為です、守れる力がほしい・・まだ足りないのです』


将軍は幸せそうに俺に笑った顔を見せた

暫く地面を見つめて俺を見直す


『君もそうなのか』


『でしょうね』


彼はゆっくり後ろ歩きでゆっくりで俺と距離を取り始めた

何かをしようといった気配はない、何を考えているのだろう

俺は警戒をした

ふと彼が俺に頼みごとをしたのだ


『すまないが君の本気をみたい、その歴代最強でありおとぎ話の様な存在の力を・・・見せてくれないか』


俺は暫く槍を構えながら考えた、途中スカーレットさんの方を向いたのだが

彼女は静かに頷いたのだ

口元に笑みを浮かべて


俺はバックステップをしてリングの端に言って将軍に言った


『いいのですか?』


『ああ・・・』


将軍が最後の力をだして闘気を体に流しているのを感じた

俺はその期待に応えなけらばんならない

半端な事はできない、俺は敬意を払って


口を開いた


『ノートン大将軍、どんな結果でもあなたは家族の中では一番の武人ですよ、最高の父の姿を見れました』


『・・・そうでありたい、この先もずっとだ!必ず君たちの世界に立って見せる』


彼の目には涙が浮かんでいた

彼は父としての最後の意地を見せる

持っている全ての闘気を使い彼は俺の攻撃を待ち構えた

防御に徹する気だ


俺は将軍に一礼すると彼は軽く頭を下げた

そして全身に力を込めて奥の手を出した


『シルバ・シルヴァ!!!!』


ドンと音が会場に響き渡り風が吹き荒れる

その風の音は空気に擦れて狼に似たような音をだす

俺の周りには銀色の狼気が放出されていた

肉眼でも確認できる程の莫大な放出

狼気で作り上げられた銀狼の姿が複数俺の周りで動き回る


その光景を将軍は目を丸くして見ていた

そして小さく声を出した


『なんと・・・これがあの伝説の職の・・』


『将軍、楽しかったです・・・また話しましょう』


『・・・あぁ!』


彼は槍に闘気を全て込め始めた

これで決まる


俺は15mジャンプした、普通はこんな芸当は難しいが

更に俺は狼気を高めて口を開いた


『銀彗星!』


ドパァン!!と音速を越えた超加速が起きる

何重にも白い空気の壁をぶち破りながら一瞬で将軍の目の前まで行く

コンマ0.3秒もかかっているかどうか


『ヌオォォォォォ!!』


俺は槍をぶん回し彼に叩きつけた

将軍の防御を一瞬で突破し、彼をリング外の壁に吹き飛ばした

俺は直ぐにシルバシルヴァを解除し将軍の様子を見た


噴煙が消えていくと姿が見えてきた

破壊された壁に将軍がめり込んでいた

だが槍はまだ持っている、流石武人だ・・・動くだろうか


『・・・・・・カッ』


生きている、当たり前だ

ただ槍をぶん回して叩きつけたんだ

技を使って攻撃したらもしかしたらマズいと感じてそれはやめた

だが、これで十分だった


俺は槍を地面に突き刺して

深くお辞儀を彼にした


ノートン大将軍は気を失っていた

その様子を他の人も理解したのだろう、戦いが始まって俺は娘以外の声を聞いた



『勝者!銀狼のジャムルフィン!!!!!』


会場が一気に熱気で包まれた

ジャムルフィン『シルバシルヴァー』

将軍『ちょ・・予想外過ぎて怖いんだけど・・・』

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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