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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第5章【ゼリフタル武人祭】
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34章 【武人祭3日目】銀の脅威

グスタフ『俺を連れてってくれ!』


ルーシー『やー』

ルルカ『やー!』

リング上の噴煙が消えていく、まだ将軍は倒れている

俺はゆっくり歩きつつ槍を回しながら彼に近付く


会場も静かだ、歓声すら聞こえない

いや違う、俺は聞く気が無いのだろ

外部など今はどうでもいい、目の前の英傑を敵にそんな事できない


『ここまでとはな・・・恐ろしい』


将軍が倒れながら口を開き、目を開いた

ゆっくりと彼は立ちあがり槍を肩にかけて俺に目を向ける

いつでも攻撃できるように俺は槍の回転をやめて近付く

来る気がしたのだ、何かが


そんな将軍が手を前にだし唱えた


『ファイアバレット』


将軍の手の平から10発近くの術が放出され俺に向かってくる

それを必要最小限の動きで避けた、目はずっと彼を見据えて

最後の10発目はあえて素手で横に弾いた


遠くの壁に当たるのが横目で見える

俺は彼に走り出した、将軍は一瞬で構える


カウンター狙いか?彼が待つか

ならばこれなら防げまいと俺は放った


『シルバーダンス』


狼気を込めて槍を突くと狼気で固めた4メートルくらいの銀色の狼が現れ

将軍に襲い掛かる、不思議なものを見る目で俺の技を見ていた


『これは一体・・・』


将軍に襲い掛かるシルバーダンスを彼はギリギリで槍で受け流し

横にふらつきながら避けた、だが終わりじゃない


『なに!?』


シルバーダンスが瞬時に方向転換し彼に襲い掛かる

一定時間相手を攻撃する軽い自動攻撃技だ、今回は5秒ほどか

受け流された俺の攻撃はすぐさま態勢を整えようとした将軍に襲い掛かり

彼はシルバーダンスの突進を受けて再度吹き飛んだ


だがシルバーダンスは消えてしまった

まだ消失時間まで少しあったが、将軍が接触する寸前に槍撃破を本気で撃ってる姿が微かに見えた

それで多少シルバーダンスの狼気が外部に漏れて継続時間が無くなったのだろう


『むっ!?』


倒れた瞬間に将軍は俺に槍撃破を8発放っていた

予見が無かったら油断していたがセーフだ、倒れた状態で撃つのか・・・

6発目まで弾いていたら将軍はもう立ち上がっており

俺に向けて槍を突こうとその手を前に出す


『くぅ!!』


残り2発を避けて将軍の槍の突きを俺は槍で下から振り上げて弾こうとするが

互いに槍が交わった瞬間に弾き切れずに止まってしまう

その様子を見て将軍はすぐ俺の槍を弾きながら回転し蹴りを入れてくる


ガードが間に合うが軽く5mほど俺は踏ん張りながら足で地面をザザザと滑って止まる

直ぐにファイアバレットが飛んできたので腕で外に弾く、少し熱い


『俺も強さに憧れた男だったのだよジュムルフィン』


『・・・・』


彼は俺に襲い掛かりながらそう口にする

互いに槍の攻防をし続けた、話は続いていた


『馬鹿げた話かと思うが、いつかこの国で一番の男になるのが夢だった』


将軍の突きを俺は頭を横にずらし避けながら俺の槍を彼の胸部にぶち当てる

彼は少し吹き飛びながらファイアバレットをまた4発放ってくる

それを避けつつ彼に再度走る


『だが本当の一番にはまだ遠い、表上ではなっても意味は無い!』


彼の槍が地面を突き刺し超撃槍爆砕破を放つ

俺は避ける為に横に移動した

俺は10m先で噴煙に紛れた彼を捉える様に構える

将軍が噴煙の中から歩いて現れた


『あのスカーレット殿にはまだ辿り着けない、気づいたのだよ』


『何をですか?』


将軍は悲しい顔をして答えた


『戦闘職による力の違いをな』


将軍は俺に突っ込んできた、槍で突いてくる

俺はそれを避けて攻撃に転じようとしたのだが

その突きが止まり彼はタックルしてきたのだ

ガードはしたが俺はそのまま押し切られて吹き飛んだ

追撃をされそうになったので狼撃破を13発俺は放ってそれを阻止した


彼は追撃をやめてくれた


『だが強さに限界はあるが強くなるために一番必要なものがある』


彼は肩で息をしながら俺を見て会話をした

最初の猛攻でかなりの大技を使ったのだ

百花乱舞はそれほど多くの闘気を使う

俺は立ち上がり彼に走り出す


『俺は武人、戦う者はな・・・ジュムルフィンよ、馬鹿なくらいが丁度よい』


将軍が構えて俺はそんな彼に突っ込んだ

彼の突きを俺は跳躍し半回転して体を反らせ回避した

残り半回転して彼の頬に蹴りを入れた


『ぐっ・・・』


持ちこたえたようだ、タフだ

直ぐに将軍はバックステップしながらファイアバレット3発撃ち距離をとる

互いに15mの距離、将軍は俺の目から決して目を逸らさない


『強さに細かい理由を求めたら駄目だ、単純で良い・・・考えてたら前には進めない』


彼は動き出し互いに槍での攻防が再度始まる

たまに蹴りが飛んできて俺はガードするがあっちの力が強いのだろう

多少吹き飛ぶ


『考えるのは文官職くらいでいい、俺たち戦う者はただひたすらに体に任せて理想に向かうだけだ』


俺はその言葉の後に石突まで長くもった槍を左手でぶん回し、将軍に叩きつけた

彼はガードごと足で踏ん張りつつ少し吹き飛ぶ


『だが職で負けていても、気持ちの在り方で強くいられることもあるのだ』


彼は静かに槍を構えて

槍に闘気を込めて技を発動させた


『・・・鉄鞭槍テツベンソウ


『何でもできるんですね』


『ハハハ・・・君が言うのか』


将軍が軽く笑う、これは・・・

突属性の槍を打属性に変えたのだ

突くのではない・・・・叩く為に


闘気の塊で一回り彼の槍が大きくなる

そのまま将軍はそれを振りかぶり俺に振り下ろした


『うおっ!?』


避けた瞬間にバチィィィン!と凄い音を出し地面が砕けた

危ないだろこれ!?!?潰されちゃう!!!


もう横から彼の鉄鞭槍が俺を叩こうと体を回転させ、振られていた

俺はそれを身を屈めて避け、即同じく槍を力強く振り


『オラァァァァ!』


将軍の腹部に槍を叩きつけた


『ぐぅっ!』


吹き飛ばされんとその場で歯を食いしばり堪えた

だがそれだけじゃない


『残歩』


俺の叩きつけた槍のあと、将軍の腹部に小規模な爆発が数回起きた

堪える声が聞こえた後、将軍は膝をついた

鉄鞭槍の効果が切れていた


俺は槍を軽く回転させて構える


『君は何の為に・・・戦うと決めたのだろうな・・・』


すぐに将軍の槍の突きが俺にきた

俺はその突きを弾くとすぐに蹴りが来ると気づき

後ろに飛んで彼の回し蹴りを回避した、回避した瞬間にいつものファイアバレットが数発くるが


難なく弾く、どんな時でも攻撃の手は緩めないんだな

安心できない

ファイアバレットを全て対処したら直ぐに狼撃破を1発俺は放つが

将軍は突きでそれを消し飛ばす、俺の狼撃破が銀色の粒子をなり消えた


『ぐっ・・・凄まじい威力の技だな・・』


将軍が肩で息をしながらそう呟く


『俺にも強くなる理由はあります』


『だろうな、フフフ・・・なんと至福な時間だ、だが俺も負けられないんだ・・・』


その時に会場からひと際変わった声援が聞こえた


『お父さん頑張ってー!』


横目で俺はそれを見る

6歳くらいの小さい女の子、そして

横には彼の妻であろう女性が娘を抱き寄せて見守っていた


『俺は馬鹿だよジャムルフィン君、俺は・・・妻と娘の前では一番でありたいんだ、それだけだ』


将軍はそう言い、槍をリングにドンと立てながら俺を見つめた


『プロポーズは出世払いみたいなものだったなぁ、国で一番の男になるから結婚してくれとな』


将軍が苦笑いして頭をかいていた

その様子を俺は羨ましく笑ってみせた


『親バカでしたか』


『まぁな』


否定せずに将軍は即答をする

そんな彼はまだまだやる気なのだろう、諦めていない

将軍にそんな言葉似合わない、グスタフと似た不屈の闘志を持っている


将軍は俺に一歩ずつ近づきながら続けて口を開く


『まだ一番じゃないのだ、まだ上がいるのだ・・・俺は止まれないんだよ』


その瞬間の将軍の顔は覚悟と熱意と不安が混じった様な顔をしていた


ナッツ『あれ?もう僕でないの?』

キャメル『暫く休んでください』

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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