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【完結済】槍の新兵は夢を見ない  作者: 牛乳太子
第5章【ゼリフタル武人祭】
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28話 【武人祭2日目】グスタフの力

バニアルド『そんなー!』

グスタフ『しょーーりゅーー・・・』


ナッツ『あ!そのあと言ったらだめです!』

『お前は強かったぞ!グスタフ!』


そう言いながらバニアルドは全力で彼に走り寄る

グスタフはそんな彼をただ静かに見つめていた

姿勢を必死に正しく直し、低くして彼を待つ


『俺は・・・諦めたくねぇんだよ』


『ほざけ!鬼無双!!』




バニアルドが闘気を込めた両腕で巨大な手を作り上げ、それを振り上げた

グスタフの十八番の技だ、専売特許じゃない

体術を鍛えているならだれでも使える技スキルだ


気が付けばもうバニアルドは目の前だ、グスタフは口元だけで笑う

そして振り上げた鬼無双はそのままグスタフ目掛けて振り落とされた


地面にグスタフごと叩きつけた、多少腕でガードはしていたが

すぐにその抵抗は無駄になる

うつ伏せになりリングにヒビを入れて彼は倒れていた

グスタフは動かない、司会も声をかけるが


バニアルドはその場で彼を見ていた

不思議な男だった、本当に中位職と思わなかったと

そう彼は感じていた


『お兄ちゃん立てるでしょー!』

『グスタフー!起き上がったらご褒美をやるのだー!』


バニアルドは声の方向を見る

そうか、と少し納得し司会のジャッジを待たずにその場を去ろうと




したのだが出来なかった



『むっ・・・まさか!?』


バニアルドは彼に背中を向け歩こうと一歩出した瞬間だった

バニアルドは左足から前に出したが、右足が出てない・・何故だ


下を見るとグスタフの右腕でがっちりと足首を掴まれていた

右肩を大剣で潰した筈がまだ生きていたのだ


『貴様!使えたのか!!!??』


バニアルドは攻撃しようと再度右腕に力を込めようとするが

それよりも早くグスタフは掴んだ腕を己の体に引き寄せてバニアルドを転倒させる


『ぐぬりゃぁぁぁぁぁ!!』

彼は立ちあがった、声と言える代物じゃない

多少裏声も混ざった情けないとも思える声を出してだ


『どこにそんな力が』


『この・・糞ったれ・・があぁぁぁぁぁ』

そのままバニアルドを外側に振り回す

余りの回転にバニアルドも体を曲げて彼に攻撃しようと必死になっていた

振りかぶればその力の軌道が変わる瞬間にバニアルドからの追撃が来るだろう

だがグスタフは真上にぶん投げた、15mくらいバニアルドは浮いた


獣が大声で叫んだ


『最初からこいつの足掴もうと立ち上がる瞬間に丁度よくご褒美とか言うんじゃねぇぇぇ!立ち上がりにくいだろうがぁぁぁぁ俺がご褒美目当てとか思われたらどうすんだちきしょー!』


そう言いながらグスタフの影が5倍大きくなる

空中に投げられたバニアルドは空中で勢いが失速し落下を始めようとしていた

グスタフが口を開いた


『てめぇは俺の魔力に気づいてなかった!わざとチラつかせてみたが警戒する素振りも無ぇ!お前には感知がない!だから』


グスタフがそう言うと何倍にも大きくなった影がゾワゾワと波打ち始める

バニアルドは着地の態勢を作りつつその光景を見て驚愕した


『まさか・・・そこまで黒魔術を!』


『お前に空中で軌道を変える技はねぇ!これでも・・くらいやがれぇぇぇぇぇ!ディザスターハンドォォォォォォォォ!!!』


バニアルドが地面落下まで5メートルの所で着地地点である場所から禍々しい悪魔の様な腕が影から現れて真上にバニアルドをアッパーで殴りつけた


その悪魔の様な手の大きさは十天のゼファーくらいの大きさの腕だ、でかい


『ゲフ!!!』


そんな声を出してバニアルドはグスタフの術を喰らう

巨大な悪魔の様な腕はアッパーのまま山なりにバニアルドを拳に張り付けながら地面に向かって殴りつけた


叩きつけた場所が酷く割れていた

多少砂煙が舞い、静まった時には地面に埋もれたバニアルドが深いダメージを負い


気絶していた


グスタフは最後の力は振り絞り、単発的に全力を出した

彼は気が付いてなかったのだ、グスタフは始まりから動かない時に影を動かしていた

それを警戒しないような攻撃をバニアルドはした、見えていなかったのだ

グスタフがこいつは魔力感知は最高でも【小】程度しかないと気づいた

黒魔術の影は魔力感知【小】では気づくことが出来ない術系統なのだ

影の変化が他の術と違いわかりづらいからだ、そう地味なのだ


バニアルドなら多少警戒した動きでグスタフを圧倒できた筈だ

グスタフはそこに活路を開いた

そして体術が得意と言ったので術系統が完璧に使えないと確信した


空中に投げてからの術攻撃だけ心配していたが杞憂だった

彼は剣術と体術だけだった、それが普通に強いのだが

空中で何かできる技が無いのが一番の敗因だ


『勝者ぁ!!首狩りグスタフゥゥゥゥゥ』


司会の大絶叫で闘技場内が歓声に包まれた

グスタフによる完璧な下剋上である


格下は自分だとグスタフは理解していた、だから彼は言ったのだ

上手く(勝てる)いくとは思ってねぇ、たまにこんな日(勝ち方)もあってもいいだろう


負ける気は無かった、当たり前な事にバニアルドは気づかなかった


『あ・・・だめだ』


そのままグスタフは前のめりに倒れ、意識を失う


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『グスタフ!お前って奴は!』


俺は司会の勝利宣言で椅子に座りながら力強く拳を握りガッツポーズをした

俺は選手控室にいる、周りの選手もとても驚いている

彼の称賛の声が多い、這いつくばってでも勝つ


お前の根性には誰も勝てないよ・・・グスタフ



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



『・・・お?』


彼は気が付いた、白い天井だ

仰向けに寝ていた

周りは白と黄色の四角いブロックを綺麗に埋め込んだ壁だ

ベットに寝ていた、彼は2回戦後気を失っていた


左を見ると安易カーテン、右を見ると先ほど言った2色の壁と・・・うん?



彼は胸の辺りが少し重いと感じ、首を下に向ける

なんかルルカがすぐ横の椅子に座りグスタフの胸を借りて寝ていた

グスタフは今まで見たことも無い様な大きさで目を見開き

声を出す、体が動かないのだ

体力の玄海と魔力枯渇だ


『おいぃぃ!ルルカてめぇ何してんだぁ!?』


『う・・ん?・・・お・・おぉグスタフなのだ!』


多少起きる時に寝ぼけていたがすぐにルルカは起き上がりそう言った

グスタフは限界を超え過ぎて動けない、枯渇すると麻痺に近い現象が体に起きるのだ


『ルルカはなんでそうやって寝てるんだよ!』


フフフフと彼女は笑いながら自信ありげに何故か答えた


『ご褒美の準備なのだ!グスタフは頑張ったからな!』


グスタフの頭をポンポンと叩きそう答えた

彼は固まった、ご褒美・・・だと?と

グスタフはこういうのは慣れてないのだろう

全ての反応が全て新鮮だ


すごい目をキョロキョロして不思議と周りを気にする彼も冷静じゃない

こんな姿誰にも見られたくないだろう


『おまっ!ご褒美とかあのタイミングで言いやがって・・・』


『頑張ったらご褒美は当たり前だそー?』


再度ルルカは彼の胸辺りを机で寝るような感じで持たれかけた

グスタフの右肩をツンツンした

彼は多少痛みが来ると思って堪えようとするが


『・・・痛くねぇ』


国で有能な回復術士や薬剤師のお陰で即回復できた

だが疲労と魔力は無理だ

グスタフがため息を吐いて口を開く


『はぁ、あのなぁルルカ・・・気持ちはわかるがよぉ?ご褒美とかどこで覚えたんだよ・・・』


『ルッカお姉さまから聞いたのだ』


『あの野郎・・・何を吹き込まれたんだ、変な事言われたのか』


そう言うとルルカがウーンウーンと彼の胸でゴロンゴロンしながら唸る

『ルッカお姉様が、信頼できる人なら良いのよと言ったのだ』


グスタフが困り顔で返事をする


『信頼て・・・これからそんな野郎沢山できるだろ・・』


その言葉の後に



ルルカが少し戸惑いながらベットで仰向けの状態のグスタフの胸に顔を隠しながらこう答えた


『・・・いいと思える人だけだの!』


その言葉のあとに少し静寂に包まれる

ルルカは軽くグスタフの頭を腕てギューっとした

グスタフは・・・・これはどんな顔と表現すればいいのだろうか

二度としないと思える顔で反応している


『ご褒美のハグなのだ』


『は・・・ぐ・・・』


ルルカの顔は彼には見えない、見ようと言う考えすら浮かんでいないだろう

グスタフは静かに口を開いた


『勝ったん・・だっけか』


『グスタフは頑張ったのだ、2回戦勝利なのだ』


『・・・おぉ』


寝ている間に試合は進んでいた、もう夕方だぞとルルカが言った

かなり寝ていたようだ

そうやら今日の大会はもう最後の組が今終わったらしい

弱々しくだがグスタフは手足は軽く動かせた

ルルカの頭に手をポンポンと叩くとエヘヘーと笑顔になる

その反応も彼にはまだどう反応していいかわからないらしく

不器用な顔つきになる


だがグスタフは直ぐに気になることをルルカに聞いた


『ルルカ』


『なんだ?グスタフ?』


『ジャフィンはどうなった』

ルッカ『計画通り』


スカーレット『おや・・・胸騒ぎが』

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新作ですがこの小説を見てる人ならわかる部分が多い内容になってます 勇者ですが指名手配されたので逃亡ライフをはじめます
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