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橙色の望郷

「ははははははは!!!!!!」


自身の窮地に気でも狂ったのか、フキノトウは突然高笑いをする。

退路は断たれ、圧倒的に不利な状況は変わらない筈なのに。


「まだ、手は残っているさ。」


懐から取り出したのは、橙の羽だった。


「“手は残っている”ですって…?まさか伝説の通り、その羽に願いを込めてこの窮地から脱しようとでも?」


フキノトウを茶かすかのように、嘲笑するミスト。


「その通りだよ。」


返ってきた答えは予想に反したものだった。


「僕は君の頭脳だけは買っていたつもりだよ。そんなただの伝承を信じるなんて、随分ロマンチストなんだね。」


「どうとでも言え。我々は仲間とともに、我々の神の力を信じるだけだ…。」


「その仲間とは、こいつのことか?」


ドアが開けられ、入ってきたのはロシェだ。

抱えていたサランを落とす。


「申し訳ございません…ゲイルさん…。」


悔し気に呟くサランの姿をみて、フキノトウ―ゲイルは悲し気に目を伏せる。


「悪いが、こいつは人質にとらせてもらう。お前の持っている羽との交換だ。」


「ゲイルさん!!!聞く耳を持たないでください!!その羽は俺たちの…橙の民の希望に…。」


「黙れ!!!!」


サランの言葉をぴしゃりとはねのける。

その瞳には、怒りと呆れが見て取れる。


「簡単に我々のことをはなすんじゃない…。」


「申し訳ありません…。」


ゲイルは一つ呼吸を置くと、ゆっくりとロシェに近づき、持っていた羽を差し出した。


「サランを解放してもらおうか…。」


「ゲイルさん!!」


「俺たち橙の民の大切な仲間を簡単に見放せるものか。…それにこいつは、俺にとって大切な弟分だ…。手荒にはしないでくれ。」


ロシェは黙って羽を受け取ると、その羽をオンディーヌに渡し、サランの縄をほどいた。

サランの瞳から涙が流れる。

作戦失敗したのは自分の責任であるということを痛感しているのだろうか。


「ちょっと待ってください…あなた方が橙の民!?数十年前、滅びたはずでは…?」


ミストの言い方がカンに障ったのか、サランはきっとミストを睨みつけた。


「ほとんどの民が死んでいったよ…貴様らの祖先に迫害を受けたせいでな!」


サランの言葉に、剣を向けていたオンディーヌの手が緩む。


「しらばっくれる気か?貴様らの祖先は、橙の鳥、神の加護をうけている、我ら橙の民を妬んでいた。自分たちが神からの啓示を受けていないことをひがんでな…!」


「だから我ら橙の民の生き残りは、貴様ら三大国を滅ぼすため、ずっと今まで耐え続けてきたのだ…」


ミストは頭をおさえた。


「そんな歴史…今まで読んだどの歴史書にも書かれてないわ…どうして…?」


「本当にそうなのかな…?」


声を発したのはスリジエだった。



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