闇の王 光の騎士
ロットは場内の部屋を一部屋一部屋しらみ潰しに探していた。
連れていた部下も総動員でやらせているが、数が多く、一向に羽は見つからない。
諦めを感じていたロットはある部屋の扉を開けた。
格調高い装飾品に包まれた部屋は、位の高い者の部屋だということを容易に想像させる。
一つの宝箱を見つけた。
見るからに、大切なものを閉まっているだろう、外装。
羽はこの中にあると確信し、ロットは箱を開けようとした。
「そこで何をしている。」
背後から声、振り向くとそこには草原の国のローレル王子が立っていた。
「金髪…まさか、お前は…火山の国の…ロット…」
ローレルははっとし、ロットの背後にある箱に目をやった。
「羽は渡さん…そこから離れろ!!」
ローレルは飾ってあった剣をとり、刀身を出した。
「その羽は奪われてはならんのだ…それが無ければ父上の命が…!」
泣きそうな声で叫ぶローレルをロットは不思議そうな目で見つめた。
「落ち着くんだ!俺もあれから良く調べ直したが、あの話しはただの伝説!美しい姿を持つ鳥の姿を見て、人々が癒されたという話しを脚色して伝えられたんだ!」
「違う!橙の鳥には力がある。私はそう教えられた…フキノトウとサランに!」
伝説の鳥の力で父の病を治すことができる。
そう騙された哀れな王子を、ロットは悲しげな瞳で見つめた。
「ローレル王子…それは偽りです…橙の鳥には人の病を治すような力はありません。」
ロットの言葉にローレルは崩れ落ちた。
「偽りではない…だって、フキノトウとサランがそういって…。」
「それは、あなた自身が調べたことなのですか?」
「…。」
「自分で調べても、目にしてもいないことを何でそう易々と信じることができるんだ…。失礼を承知で言わせていただく…あなたは愚かだ。」
ローレルの耳に心に、深く深く突き刺さる。
幼い頃から兄と比べられてきた自分。そんな自分が、兄と父を救おうとしたと思ったら、それは踊らされているだけだった。
ローレルは膝から崩れ落ちた。
「ローレル王子、箱の中身を確認してもいいですね?」
ロットの問いにローレルは力なく頷く。
ローレルの反応を確認すると、箱を開けた。
そこには、何もなかった。
「どういうことだ?羽がないぞ…。」
「そんな…馬鹿な…。」
「く…」
ジルベルは膝をつき、目の前にいる男―サランを見つめた。
サランは一切傷ついていない。彼はジルベルの攻撃を幻術を使い、全てかわしていた。
「闇の王の実力はそんなものでしたか…残念です。光の騎士が父王を殺し、闇の王になったと聞いた時は、あなたに興味をそそられましたが、興が醒めてしまいました。さて、死んでください。ジルベル王。」
サランは剣を抜き、ジルベルへと突き刺した。
鮮血。
サランは勝利を確信した。目の前の男はもう立ち上がることはないだろうと。
しかし。
「…滑稽だな。」
「馬鹿な…!?確かに、俺は…心臓を貫いたんだぞ!?」
今までの口調も忘れてしまったのか、サランは慌てふためいた。
ジルベルは静かにサランにより突き刺された剣を引き抜く。
「心臓に剣を突き刺しても死なないなんて…まさか、お前が…火山の国の反乱を起こした光の騎士の側近…。」
ドスッ
サランの腹に拳を叩き込む。
あまりの痛みにサランの視界が白む。
「漆黒の刃。そう言いたいんだろ?…その通り、確かに俺は漆黒の刃、ロシェ・アディスだ。」
「死んだ…はずでは…?」
「そう思わせていただけに過ぎない…国王はいつかは命を狙われる身だと思って影武者になっただけ…説得するのには苦労したがな」
ジルベル―――ロシェはそう言って肩を竦めた。
火山の国反乱が成功したあと、自分の言葉に声を荒げて逆らった金髪の次期国王の姿を思い出したのだ。
「さて、羽のありかまで案内して貰おうか」
サランはくやしげに俯いた。




